ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

33 / 183
 ぃやったァッ!!
 初めて【評価】と【感想】が貰えた!。゚✶ฺ.ヽ(*´∀`*)ノ.✶゚ฺ。
 うおぉぉぉぉ、体力とモチベが回復していくぅ


第三三話 憧れと覚悟と辛辣な優しさ

「ヒイラギ」

「おン?」

 

 謎に神妙な表情をしたクレイオスのオッサンが俺たち、俺に声をかけてきた。

 流石に連日厄介事は御免なのだが?

 エーベルヴァインは隣にいるからまた攫われたとかではなさそうだけど。

 

「その、迷惑だっていうのはわかってるんですけど……私を仲間にしてください!」

「……え? は?」

「開拓兵になりたいんです! ヒイラギさんのパーティに入れてください!」

「……」

 

 一瞬ワケがわからなかった。

 けれど少し考えたらなんとなく察した。

 恐らくは助けられたことによって開拓兵(・・・)という職業に憧れを抱き、けれど恐怖がある。

 一人でやるのは怖いがかと言って男女比が男寄りの開拓兵の中で誰かに声をかけるのは男に対する恐怖で難しい。

 そんな中で白羽の矢が立ったのが俺。

 助けたということでエーベルヴァインの恐怖心が比較的薄く、また強くはないが盗賊たちを単独撃破出来る程度の実力はある。

 正確にはマユゲからの指輪(チート)があったのだが、二人の主観では独力で倒したということ。

 そう考えると合点は行くが逃げ道が少ない分複雑だ。

 

「この子は昔から開拓兵への憧れが強かったんだ」

「そうなのか?」

「ああ、親戚に結構有名な開拓兵がいるんだ。だからかこの子は昔から憧れてたんだ。その人と境遇もちょっと似てるし」

「境遇?」

「その人は酒場のとこの娘で、この子は宿屋の娘」

「あ~、似てるっちゃ似てるな」

 

 こうして食事や酒を提供してるから子供心にその開拓兵の人と自分を重ねてそうなりたいって思ってたんだろう。

 子どもの頃の憧れを続けてそれが職業になる奴もいるし別に悪くはない。

 なりたい姿があるっていうのは健全な精神だと思う。

 それに巻き込まれるっていうのは面倒だけど。

 

「まあ面倒だからどうして俺なんだとかなんで一人でやらないんだとか詳しくは聞かん。が、変わりに聞く。覚悟はあるんだな?」

「覚悟……」

「戦う覚悟や死ぬ覚悟、注目を浴びる覚悟」

「注目って開拓兵と関係あるのか?」

「あるわ、ありまくるわ。強くなって手柄を上げれば注目を浴びる、その不特定多数の人間からの目を気にしないもしくは目を向けられてもメンタルをケアできるか。注目を浴びたくないってんなら開拓兵は止めておけ。俺らと違って職業選択の余地があるんだからな」

 

 開拓兵くらいしか選択肢がなかった俺はともかく、エーベルヴァインはその自由がある。

 宿屋として働けるし、違う職業にだってなれる。

 戦いたくない、注目されたくない。

 そう思うのならやめるべきだ。

 

「そもそも見た目(つら)が良いのにそこに強さ加えたら注目を浴びるのは確実。昨日あんな目に遭って、帰る時に露骨に怖がってたのに耐えられるのか?」

「それ、は……」

「……そこはどうにでもなるとして、死ぬ覚悟あんのかよ?」

「死にたく、ないです」

「それは基本誰だってそうだろぉが、俺だって無意味に死ぬ気はねぇよ。けどな、死にビビって立ち止まるなら開拓兵になってすぐ死ぬぞ。生き残れんのは死の恐怖を感じながらそれに立ち向かえる奴だ」

 

 死ぬ覚悟、つまり死力を尽くす。

 それができないのなら多分無理だ。

 勝つための自己犠牲。

 肉を斬らせて骨を断つ意志がないなら死はもう目の前に立っている。

 

「どんなつもりで開拓兵目指してんのかは知らん。単に憧れか、金のためか、人のためか。どれでもいいが覚悟がないなら諦めた方が良い。憧れは憧れである方が美しい、金は他の手段で稼げばいい、人のためというのなら田畑でも耕した方が余程マシだ。一人死んだところでロクな大地の糧にならん」

「……」

 

 エーベルヴァインだけでなくクレイオスのオッサンも香月も何も言えずにいるのがわかる。

 香月が俺を少し睨んでいるのも感じ取れる。

 けれど俺は非情だ。

 何を言われようと、恐らくその言葉に俺の理性は同意しない。

 あくまで俺は冷酷に現実という刃をその喉元に突きつける。

 現実を知らずに開拓兵になっても恐らくエーベルヴァインは現実に打ちのめされて憧れはただの夢と化すだろう。

 夢は叶わないから夢で、そうなってしまえば幼いころからの憧れを失ったエーベルヴァインは泣くだろう。

 なら、そうなるのなら今選択肢を突きつけた方が良い。

 そうすれば憧れが憧れで在り続けられる。

 だったらここで非情な篩に掛けた方がエーベルヴァインの為。

 精々考えろ。

 考えなければ自分のためにならない。

 

「今答えを出す必要はない。答えはいつでも聞くからちゃんと考えて結論を出して、しばらく時間を置いて改めてその結論が結論であるかを考えるんだ。俺は出る」

「は、い……」

「ちょっ、永井くんっ」

 

 答えが出せずにいるエーベルヴァインを見て俺は外へ出て、香月は俺の後を追ってくる。

 

「あそこまで言わなくても良いじゃないですかっ」

「ならどう言えと?」

「それは……」

「ロクに考えないのに言うなよ……。大体気ぃ使って優しい言葉掛けたところでなんにもならねーだろ。優しさは時として毒にもなる、アレでいいんだよ」

「……案を出せない以上永井くんを責めはしませんしできません。けど私からも一つ、事実は時として人を傷つけるんですからねっ」

 

 それもまた事実。

 人間ってホントメンドクセエな。

 まあそれが人間を人間足らしめてるし、そこが面白いんだけど。

 俺だって矛盾しまくりだから他人のこと言えないし。

 

「俺はそういうの好きだぜ? 変に嘘を孕んだ優しさを見せられるくらいならドギツイ現実突きつけられる方が良い。現実ってことは相手はちゃんと俺を見てるってことだし、その現実は俺が成長するための糧にもなる」

「普通はどっちも嫌ですよ」

「いや、おかしいだろ。接するなら相手から突きつけられるのは嘘か事実かだろ? その両方が嫌だっていうなら誰かに対して意見を求めること自体おかしい。俺は二つを天秤にかけて嘘をつかれる方が嫌だって話」

 

 誰かと接するのに嘘でも本当でもない、なんてワケがわからん。

 確かにどっちでもない曖昧な話ってのもあるだろう。

 けれどそういうのは大抵がどうでもいい内容だ。

 大切な話をするのに曖昧はありえない。

 大切なことを曖昧にはぐらかすのは誠実じゃない。

 

「大切な話で事実を話す奴は信じられる。逆に嘘を言う奴を俺は信じない」

「永井くんって良くも悪くもハッキリしてますよね」

「そうか? ワリと優柔不断だぞ、日本人だから」

「……」

 

 俺はこれだ、と思ったことに頑固なだけだ。

 俺は傲慢で、自分が正しいとか多分心のどこかで思ってる。

 だから偏屈で融通が利かない。

 

「あ、今日は霜村さんたちと永井くんが紹介してくれたお仕事に行くので今日はここで失礼します」

「おう、頑張れよ。これから次第で色々変わっていくんだから」

「はいっ」

 

 マイナス要素が一つなくなったからかやけに意識してしまう気がする。

 やけにこれまでよりも可愛く感じるというか。

 なんというか。

 これまでと見た目は変わらないはずだ。

 髪も切ってないし髪型も変えていない。

 気弱な感じの顔つきも長い前髪で隠れた上半分も、見た目の上では一切変化なしだ。

 

 え、ええ……こんなに意識変わるモン?

 俺がアイツのニキビないって理解しただけでこんなに認識変わるモンなの?

 前は異性として意識にほとんどなかったけど、普通に異性として見れるんだけど……怖ッ。

 

 そう思考が巡って、一つ気づく。

 性格も少し変わっていることに。

 敬語調なのは以前と変わらず。

 けれど明るくなった気がするのだ。

 気がする、というか実際明るくなっているはず。

 以前は会話のテンポが少し遅かったし喋り方もボソボソした感じだった。

 今はワリと明るく、そこそこハッキリと喋っている。

 

「……人間ってちゃんと変わるんだなぁ」

 

 人の変わる様を自分の目で見て理解し、驚いた。

 いや、香月は変わったというよりは変わろうとしたのだ。

 まだぎこちないところがあったりはする。

 他人の顔色を窺うような時がある。

 けれど以前よりも主体性が見えた。

 その様を見て俺は、何故か嬉しく思う反面とても悔しかった。

 

「はぁ……」

 

 自分は強くなれているだろうか。

 以前と変わらず軟弱な心でいるんじゃないか。

 強くも、気高くも在れていない。

 俺だけが成長できていないんじゃないかと、勝手にそんな気分になる。

 

「いかんいかん、ネガティブになっても意味がない。前向きに前向きに」

 

 さっきエーベルヴァインに言ったのと同じだ。

 恐怖に足を竦めるだけでは何も生まない。

 それに起きてもいないことにあれこれ頭を回したって無意味だ。

 俺は開拓兵だ。

 真っすぐ前を見て、未知の領域に臆すことなく飛び込まないと。

 

「やぁっす、今日はなんか良い依頼ある? もしくは昨日のヤツの報酬でも良いぞ」

「ヒイラギッ! 先輩ッ、ヒイラギが来たぁッ!」

「本当か!? んんっ、ヒイラギさん、貴方に会いたいという方が上でお待ちです。着いて来てください」

「えっ、あっ、お、おう」




以前書くのを忘れていた設定
 神星教:降星歴になってすぐに生まれた宗教
     歴史は二〇〇年弱
     王都は広大なため複数の境界がある
     教義は『信じよ、さらば救われん』
     その理由は龍が国を襲い滅亡しかけた時、人々が祈るしかなかった時に空から巨大な星が降ってきたから(そりゃ星が神聖なモノとして崇められるわ)
     現在の活動は主に人々の救済(貧しい者に富を分ける)ことと御神体(巨大な星)の捜索
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。