ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 前回はゴブリンを洗脳しただけなので経験値は全く入ってません
 なのでレベルは上がらないまま
 貧弱ボーイです


第四話 敵はモンスターだけにあらず

「よーっす」

「あ、永井くん……お帰りなさい」

「オーン」

 

 戦うのって想像以上に疲れる。

 ま、戦ったってよりは洗脳の力を試そうとして自爆しただけなんだけどネ。

 

「何それ? ノート出して……勉強?」

「えっ……っと」

 

 マントを外し、ブーツを脱ぎ、下に着ていた制服を外しつつ香月に目を向けるとテーブルの上にノートを広げている姿が見えた。

 筆記用具も出していて、俺の場所からでは良く見えないが何かを書いているのはわかる。

 

「よっこいしょっ。……あ、つい普通に腰かけたけど香月ってどっちのベッド使ってた?」

「あ、お、お気になさらず……」

「そう? ま、良いなら良いか」

 

 グヘヘヘヘ、匂いチェーック!!

 異性とほとんど接したことのない俺にそんな対応をしたのが間違いだったな!

 匂いを堪能してやるぜッ。

 

 香月がテーブルに向かっていて顔が見えないのを良いことにゲス顔でベッドに鼻を近づける輝血。

 一番初め、前髪を上げた時にほのかに香った匂いを思い出しつつまるで犬のような体勢でベッドを満遍なく嗅ぐその姿はあまりにもみっともない。

 

「これは……これからどうしようかって色々考えて――何やってるんですか?」

「うえッ!? い、いやぁ、安っぽい宿だから使用済みのシーツだったら嫌だな~って。あ、アハハハ」

 

 や、やべー。

 見られちゃった。

 ……変な扉を開けそうじゃないの。

 

「試しに戦ってきた身からのアドバイス。攻撃する覚悟も血を見る覚悟も何もないなら開拓兵はやめとけ。覚悟の上で戦ってもかなり痛いからな。それに香月は身体細っちいし」

「や、やっぱり私には無理ですか……って!? た、戦ってきたんですか!?」

「おう。軽く手を出しただけ、攻撃食らったから撤退した」

 

 一体も倒していない俺は疑われないように嘘を吐く。

 いくら稼げたのか、とか聞かれても困るし。

 それに男の俺が逃げたって言った方がビビらせられるだろう。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「ん~。受けたのは一撃だけ。痛いから帰って来た。ほれ」

 

 怖がらせてやろうと俺はニヤニヤと笑いながらシャツを脱いで青痣になった両腕を見せびらかした。

 すると香月は少し急いだ様子で俺に近寄る。

 

「うわぁ……結構広い範囲で痣に……」

「あまり触るなよ?」

 

 襲っちゃうぞ?

 思春期男子にそんな無防備に近づいて……うへへへへ。

 ……はっ、ヤバいヤバい、ホントに意識が煩悩に持っていかれる。

 こういう時は……素数を数えるか?

 いや、あれは落ち着かなかったから……そうだ!

 こんな時はこいつのニキビを思い出すんだ!(名案)

 ……ふぅ、落ち着いた。

 

「ちょっと失礼します……」

「んお? ……なんか筋肉が変な感じする」

 

 淡い光が腕を包み、痣のあたりに不思議な感覚が生まれる。

 それは例えるなら中の肉を引っ張られているような感覚だ。

 

「多分私の固有能力【活性化】は自然治癒を高める能力で……」

「あ、ホントだ。痛くなぁい」

 

 軽く腕に力を入れるが痣は痛まない。

 試しに触れても痛くない。

 

 結構便利だな。

 活性化……つまりは細胞の活動を加速させてるってことか?

 これって頭に能力をかけ続けたらどうなるんだ……。

 ハゲでも髪の毛フサフサ?

 逆にフサフサの奴にかけ続けたら一気に髪が生えて抜けてを繰り返して若ハゲになる?

 ……怖ぁ。

 嫌な男見つけたら洗脳で使わせようかな……笑える。

 

「ありがとな。ちなみに魔力消費的にはどんな感じだ?」

「えっと……多分かなりの回数が使えると思います……」

「ふぅん。ならまた後でちょっと頼むわ」

 

 いやぁ、結構使える能力じゃん。

 テロメアとかその辺が気になるけど……まあ、長生きするよりも楽しく生きる方が良いから気にしない方向で行こう。

 てかもう許せるぞ、オイ。

 この能力だけで養っちゃうゾ。

 

 ダメージのこともあって今日はもう休もうと思っていた俺だったが、それが完治したことで休む必要がなくなったためブーツとマントを装備して宿を飛び出していった。

 

「また戦いに行ったのかな? ……いや、武器はあるから違うようね?」

 

 

 

 街の外、街壁付近。

 魔術という存在が実在しているからか、驚くほどにサイズが均一なブロックで街壁が構築されている。

 街壁全体の形状は円に近いが地形的な問題で少し潰れたような歪さがあった。

 

「くっそ、こんなことになるなら転移する前に筋トレしておけば良かった」

 

 ぶっちゃけ体力が少ない。

 慣れない靴だから余計にそうなんだろうけど、体力がゴリゴリ削られる感じがする。

 元々運動不足気味だったからだだっ広い街を歩くだけで疲れる。

 

「とりあえずダイエットと筋トレじゃオラァッ!!」

 

 ダイエット。

 とは言うが俺の持論は「食うなら動け、動かないなら食うな」である。

 つまり運動していない俺は基本的に食事量が少なく、贅肉はほとんどないから筋肉量が少ないにもかかわらず腹筋が浮き出ていて、腹についているのは皮だ。

 だが、太った経験のない俺はその皮を『脂肪』と勘違いしている。

 まあ筋トレに大した影響はない。

 無知なだけだ。

 

「あ、ダメだ! 芝生の上すら走ったことない俺には平原を走るの辛い!」

 

 普段の歩行走行場所。

 コンクリート、アスファルト、硬い土の上。

 柔らかい場所を走ったことのない俺にはとてつもなく気持ち悪く感じていた。

 

「おいッ、貴様! 何者だ!!」

「うえッ!?」

 

 マイペースに走ること二周。

 全身鎧に身を包んだ騎士らしき人物が声を掛けてきた。

 声音からして恐らく女。

 

 奥から普通の兵士が来てるな……。

 兵士は馬でこの騎士はなし。

 素の能力で馬以上か。

 それに明らかに特別な意匠の鎧。

 世界が違うから何とも言えんが確かオーダーメイドの全身鎧って一千万超えてたよな。

 てことは貴族か?

 

「見慣れない奴が街の外をうろついていると聞いた。貴様、名をなんという」

「あ~……ヒイラギです。はい」

 

 いつでも抜剣できるように構えた姿勢。

 答えを間違えたら死にかねないと引き攣った笑みが漏れる。

 

「最近、というか今日開拓兵になったんですけど身体が想像以上に弱かったんでまともに動けるように鍛えようかと走ってました」

「その開拓兵証(タグ)……開拓兵というのは本当のようだな。それにヒイラギという名、異邦の者か」

「イホウ……ああ、はい。異世界人です」

「なるほどな」

 

 首から下げた開拓兵証。

 そして聞きなれない響きの名前。

 なんとなく状況を察したその女騎士は俺に向けていた敵意を少しだけ引っ込めてくれた。

 

「その歳でその体格。君にはわからないかもしれないがこの辺りは君のいた場所ほど恐らく治安が良くなくてな、警戒した」

「いえいえ、それが仕事でしょうから良いですよ」

「理解、感謝する」

 

 とはいえ完全に信用はしてくれないか。

 ……いや、それが普通だな。

 初対面で相手を信じるアホはほぼほぼいないだろ。

 警戒が強いのは思想が異なる人間を内に招き入れたらその思想の差で不要な面倒が起きるから、ってところだろうな。

 相手の思想によっては【洗脳】を使わずとも洗脳は可能だし。

 

「私は上級騎士のアデル・オーガスト。もし怪しい奴を見つけたら街の兵士たちに伝えてくれ」

「え、ああ、はい」

「君は国民ではない。だがこの国にいる以上は治安維持に協力するのは義務だ。決して怠るな」

「了解です」

 

 騎士だから高圧的だな。

 まあ、間違っちゃいないけど。

 郷に入っては郷に従え、それがここのルールなら最低限守らんとな。

 ……にしても最後まで顔は見えなかったなぁ。

 声が綺麗だったしどんな美人か気になったんだけど……。

 こりゃアレだな、平安貴族の気持ちがわかるというか、パンツは見えない状態の方がエロいというか。

 妄想が広がリング。

 

「……てかなんでわざわざ上級騎士が来たんだ?」

 

 ただのぼっち不審者にそんなお偉いさん使うか?

 

「ああ、それは兵士たちがどうするかと話しているところに偶然通りかかったからだ」

「ああ、左様でございますか」

 

 うげぇ、聞こえてた。

 結構離れてるのに。




 ステイタスが上がれば五感が鋭くなります
 かといって聞こえすぎて「うっ、耳が……」とはなりません
 耳とか頭とかの処理能力とか耐久力とかも一緒に上がってるんで
 ちなみにステイタスは不可視の強化外装というか、バフみたいなモンです
 ステイタスの上昇によって肉体が魔改造される、とかはないです

 ついでに主人公柊について
 柊は元々の性格は『普通0―――――悪100』の7くらい悪かったです
 そしてその状態で他人と接したら悪いことはしてないのに嫌われ、性格が悪化して32くらいに悪くなりました
 だからなんだって話ですけどね
 根は良い子なんですよ? ホントホント
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