ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
「――以上が試験の詳細です」
「お、おう……一つ関係ないこと聞いても良い?」
「内容によりますが……」
「
「そんな感じ、とは?」
俺としては当然のことを聞いているつもりなのだが、彼女――彼女たちにとってそれは馴染みのないニュアンスなのかとぼけているワケではなく普通にわからないといった様子でこちらを窺っている。
いや、街を歩いてきてなんとなくそうなのだろうということは察しているのだ。
けれどやはり確証がなく、好奇心も相まって聞いてしまった。
「その……上半身裸じゃん?」
「そうですね。……ああ、通常は服を着るということですね?」
「そう! そういうこと!」
雑に言ってしまえば上裸。
さらには下半身の方も中々際どいように見える。
「そもそもあなたが思っているのは見られて恥ずかしいところを隠すためでしょう? 御覧の通り我々は他種族の方々とは違って胸……正確には乳房がございませんから」
「……寒くは?」
「特には」
「……」
確かにそうだけどさ、魚におっぱいはないけどさッ。
羞恥心はないのかよ!
ないから普通に曝け出してるんだったわ!
でも確かにそうだよなぁ。
見られて恥ずかしい部分がなかったらそりゃ隠しませんよ。
胸だってそういうファッションによっては上乳下乳横乳見えることあるし、肝心なのは乳首の部分。
スリングショットと同じ理論だ。
肝心なところが見えなければ見せても問題ない……つまりは乳首がなければエロくない?
あれ?
二つの山があっても山頂さえ削ってしまえばエロくは……あれ?
ダメだ、哲学しそう。
そのうちエロいとはなんだって思考に行くぞコレ、絶対。
やめだやめだ。
考えるのや~めた。
「他の獣人族の方も場合によっては服を着ていない場合もございますし」
体毛に覆われてるもんな、しかも当人としては暑いだろうし。
そもそもこの世界の人間は相手の視線に気づくんだ、エロい目で見ちゃいかん。
嫌われる可能性だってあるし。
俺は健全、俺は健全、俺は健全。
「それに我々の場合服を着ても鱗ですぐボロボロになってしまいますから」
「ああ……だからそんなに露出が多いのか……」
確かに普通の素材で服を作れば鱗ですぐボロボロに、頑丈な素材で作ればあるいは。
けれど頑丈な素材は重い可能性や高価な可能性がある。
複数用意しなくてはならない服という
だから必要最低限のこんな露出の多い……。
てことは直射日光とかは平気なのか。
「……ん? ……気を悪くしたらごめんなんだけど」
「はい?」
「お腹のそれって、へそ?」
「そうですけど?」
「……お姉さん個人がそうってワケじゃなくて
「ええ。それが何か?」
あるぇええ?
魚の特徴で臍?
しかも個人差じゃなくて種全体?
えぇ……
へそがあるってことはへその緒もあるだろうし普通に哺乳類と同じ、というか人間と同じ?
まあ分類が人間だから人間と同じ可能性が高いけど。
「もう一つ聞きたいんだけど……卵生? 胎生?」
「……一応聞きますけど、バカにしてます?」
「してないしてない!? 断じて馬鹿にしてないです!! 普通に知らないの、俺異世界人」
「ああ……そういうことですか」
セクハラとかで文句言われるんじゃなくて馬鹿にしてるかどうかって……どういうことだ。
「我々
「あ、
「失礼しました……。ええ、そこげ決定的な違いの一つです」
「てか、ごめん」
そりゃ嫌ですよねぇ。
昨日注意されたもん!
似てるからって差別的な扱いを受けるんだし、そりゃ
ホントミスった。
時間巻き戻したい……。
「いえ、知らなかっただけのようですし。私の早とちりでしたから……」
「一応言っておくけど俺一切そういう思想持ってないから。個人個人に対する好き嫌いはあってもこの世界に来てから全体に対する好き嫌いはなくなったし」
前は人間が嫌いで好きだった。
優柔不断で、主張が曖昧で、自分たちで掲げた
けれど漫画やラノベに触れて、人間を心の底から嫌悪することはできなくて。
結局俺も好きか嫌いかハッキリしない優柔不断で、主張が曖昧な人間らしい人間だった。
「ま、一応それだけは言っておく! てことで、また後でね!」
「あっ、遅くまで洞窟に籠らないでくださいね!?」
ああ、もう。
何をいらん事まで言ってるんだ俺は。
自分語りなんて理解されるワケないからしないようにって思ってたのに。
……いや、意外と受け入れてくれるのかもしれない。
マユゲもなんだかんだで受け入れてくれているし、ただ同じ街に留まってたから出会えなかっただけで前だって出会えただろうし。
「……はぁ、ヤメヤメ。真面目に考えすぎたってロクに良いことないってのは実体験でわかってるってのに」
真面目が美徳の時代はとっくに終わって、現代はより狡猾な奴が勝つ。
ああ、でもこの世界じゃどうなのかわからないか。
この世界における男のモテ要素はざっと二つ、いざという時に立ち向かえる強さと根性。
強さはともかく
ここでの女性は本能的評価項目として
敵がやって来た時に助ける……。
……真面目⇒優しい⇒助ける。
うん、真面目に生きるか。
「んふふふふ、真面目も悪くないな」
今は下心アリだけどやってるうちに本心になるかもしれない。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
といったのはどこの誰だったか。
まあ誰でも良いか。
モテたいならちゃんとそれ相応のコトをしないと。
努力せずともどうにかなる、なんて甘い考えはゴブリンと戦ってイヤってほど思い知らされたし。
「あ~、強くなりて~。強くなって旅して~」
海を見て、ふとそう思った。
この広い世界で、自分がいけるのはまだ限られた狭い範囲だけで。
自分のちっぽけさを思い知らされながらもそれに反抗するように湧いて出た、実に思春期らしい悩み。
なぜ口に出したのかはわからない。
海を見て、感情が揺さぶられ、思考と口が一体化したのだろうか。
けれど別に恥ずかしくはなかった。
周囲に人がいて、聞いている者も恐らく少なくはない。
それでも羞恥はなかった。
思春期の悩みとはいえそれは俺にとって本心。
心の底から欲した、願望だ。
俺は願望を否定したくはない。
自分の願望を否定するということは、自分そのものを否定するような気がするからだ。
俺は弱いからそこを否定してしまったら動けなくなる気がする。
欲することも、望むことも、願い求めることも悪ではない。
だから俺は決して自分の欲を、本心から出た望みを否定しない。
「……なんつーか、俺この世界に来てから青春してる気がする」
ロクな思い出のなかった以前と比べて、今は大変だけど充実感がある。
最高に楽しい。
未だに殺されそうになるのはビビるし訓練も大変だけど、全てが快感だ。
命を浪費して、無為に生きていたこれまでとは違って生の実感がある。
「みんなもなんかキラキラしてるし」
ロクに何も知らなかったから本当の意味でどっちが辛いのかはわからない。
けれど死が圧倒的に近く、国全体が決して豊かとはいえないこの世界の方が俺の目には辛そうに見える。
それは多分俺が平和な社会でずっと生きてきたから。
日本という色眼鏡で見てるからに過ぎない。
でもみんなが必至なこの世界。
それでもみんなが輝いて見える。
確かに盗賊や犯罪組織はあるけど、死にたいと思っていそうな顔をこの世界で見たことはない。
「……」
脳裏を過ぎるマユゲやベアトリクス、シャプルたちの姿。
彼女たちが笑っている姿を想像して思わず笑ってしまった。
「あはっ」
とりあえず死ぬまでの目標が一つ決まった。
優しくしてくれた皆の平穏を維持したい、と。
マユゲたちだけじゃない。
これから出会うであろう奴らと一緒にバカやるために、平穏は不可欠だ。
俺の幸せのためにも、それは絶対なのだから。
最後の辺りヒイラギが色々考えているのは知らない街で若干はしゃいでいる&不安だからです
よくありますね
脚を持たない場合は魔術で街を移動したりします
男女関係なく基本は上裸、身体的特徴によっては胸を隠すものもいます
別に胎生だったら人間に分類されるってワケじゃないです
鳥人の中には卵生の人間もいます
ただ