ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第五話 訓練

「ああ、そうだ……訓練ならギルドでやれ。あそこなら無料で自由に訓練ができる」

「そうなんですか……それは良いことを教えてくださりありがとうございます」

 

 最後にそう言って女騎士アデルは立ち去ってゆく。

 

 そんな良いモンがあったのか……。

 他の奴らに会いたくない一心で回りを見てなかったから気づかなかったな。

 

「てかギルドでそういう場所を用意してくれんのはスゲーな。やっぱ貴重な戦力になるかもだから呆気なく死なないように鍛えられる場所を用意してくれるとかそういうのか?」

 

 ギルドというのは俺にとってほぼほぼ創作物(フィクション)のイメージだ。

 中世にギルドが実在していたのは知っているが、オタク趣味ゆえにモンスターの討伐や依頼の達成によって金を得る場所で、場合によっては酒場もある。

 という認識。

 だからその存在が現実となったときにその形態を想像できていなかった。

 

 魔石を買い取ってるってことは魔石を利用した商品、ファンタジー的に言えば魔道具とかがあるってことだよな?

 んでもってモンスターによっては他の素材も買い取ってるってことは素材の利用もある、と。

 

「そーいや……店のほとんどがギルドの紋章の看板掲げてるよな。開拓兵証(これ)とは若干デザインが違うけど」

 

 盾の形状を基本としてそこに剣が描かれているのはどちらにも共通している。

 けれどそこに開拓兵証はドラゴンらしき姿が描かれていて、店の看板には鎚らしきモノが描かれていた。

 恐らくはギルドという組織の開拓兵という部門と商業という部門で分かれているのだろう。

 

「とーちゃーく。アイツらは……いない、ヨシッ」

 

 軽く聞き耳を立て、入り口付近で中の様子を窺ってから中に入る。

 会いたくない者たちがいないから堂々と歩いていた。

 

「なあ、訓練場が無料で使えるって聞いたんだが……『どこか教えて』くんない?」

 

 受付に訊ねようと思ったが運悪く混んでおり、仕方なく近くにいた女開拓兵に催眠で訊ねる。

 

 ワォ、中々露出の多い装備ね。

 痴女? 痴女なの?

 ……まあ、真面目に考えりゃ防具を買う金がないか、もしくはいらんくらいにステイタスが高いか。

 どっちかだろうな。

 にしてもエロいッ。

 

「あ、ああ……それなら向こうだよ……」

「そうか。ありがとな」

 

 女開拓兵の指さした先には通路がある。

 行き先を書いた看板などはないが他の開拓兵も普通に行っている辺り少なくとも立ち入ってダメな場所ではない。

 

 にしても……洗脳すると露骨に雰囲気が変わるのはちょっと厄介だな。

 成長すればマシになるか?

 

「なあ、良けりゃ訓練に付き合ってやろうか?」

「え?」

 

 洗脳の効果は切れてる……よな?

 そもそもさっきの命令と今のには関係ないから洗脳の効果が繋がるワケないし。

 

「……ならぜひ頼む。今日開拓兵になったばかりだからまだまだ弱っちいが強くなる気は満々だ。全力で鍛えてくれ」

「お、言ったな? なら遠慮なくやらせてもらうよ」

 

 向こうが良いって言うなら断るこたぁ、ねえよな。

 こんなトコで社交辞令言っても意味ねーし、見るからに弱そうな奴に社交辞令する意味もわからん。

 

 暇つぶしか何かだろうと判断した俺は実力差的に戦っても勝てないだろうと万が一の場合の抵抗の気すらほとんどないまま、いつでも命令を下せるように【洗脳】を使わずフェイクとして歩きながら指を鳴らし続けた。

 

「訓練の時にわかるだろうから言っとくけど、俺って異世界人なんだよ。だから戦闘は素人だしステイタスは全部100ってことだけ言っておくな」

「へぇ、なら少し前に見たガキ共と一緒か」

「……認めたくはないけど同じ世界の人間だ。うるさかったろ」

「ははは、多くはないが珍しくもないし。それに開拓兵がうるさいのなんて当然のことだ」

「そうか。……そうだな」

 

 基本的に一人で静かにいる時間が多く、騒がしい環境に耐性がない俺はしばらくストレスが溜まりそうだと面倒臭く思いながらそれでもこの道を選んだ以上仕方がないと早く適応しようと覚悟をする。

 

「さて、お前……名前はなんだ?」

「ヒイラギ、だ」

「そうか、私はベアトリクス・ブレイズだ。それでヒイラギ、お前はどんな戦闘スタイルを目指してるんだ?」

「どんな……やっぱ理想はどんな武器でも使いこなせて色んな魔術を使えるのが良いけど、とりあえずは簡単な魔術と体術を身に着けたいな」

 

 魔術がある世界なんだからそれを使いたいというロマン。

 もちろん遠距離の攻撃手段が欲しいというのもある。

 そして体術は汎用性の高さが理由だ。

 持っている武器は安い短剣一本。

 失えば森で木の棒でも拾って振るか石を投げるかくらいしかない。

 だが体術があれば最低限相手の攻撃を躱し、防げるし、上手くやれば自滅させられる。

 

 どんな強い武器があってもロクに動けなきゃ攻撃も当てられないだろうしなぁ。

 それに若干運動音痴気味だからそれも改善しなきゃだし。

 

「なるほど。ならこれから連続で投げるから受け身を取り続けろ」

「え?」

「倒れたらすぐ起きろ。気絶したら起こしてやる。強くなる気はあるんだろ?」

「……え?」

 

 唐突に訓練が始まった。

 ベアトリクスは重そうな大剣を背負ったまま掴みかかり、モンスターの真似なのか技術も何もない腕力だけで俺を訓練場の地面に叩きつけた。

 

 !??

 

 俺は咄嗟に体育の授業の柔道で習った受け身をとる。

 けれど体育の柔道のような手を抜いた温い投げではなく、手を離されれば20メートルは投げ飛ばされそうな勢いで投げられ、そもそも咄嗟に受け身を正確に出来るほど長期間指導されたワケでもない俺は受け身のタイミングを間違えて背中に強烈な衝撃が走った。

 

「がはっ!?」

「ほら、次だ」

 

 ゆるりと立ち上がる。

 それは命じられたからではない。

 いや、命じられたのも少しはあるだろう。

 けれど立ち上がった理由のほどんどが無意識の生存本能。

 衝撃を危険(・・)とみなした本能がこんな状況で寝ていられるかと俺を立ち上がらせたのだ。

 

「何が……」

「ほっ」

 

 衝撃で思考力が鈍り、直前の記憶が曖昧になっていた俺を軽快に投げるベアトリクス。

 今度は服を掴んだまま投げるのではなく、そのまま放り投げた。

 

 浮いてる、地面、顔、危ない……受け身とんねえと!?

 

 回復した意識。

 迫る地面を防ごうと俺は空中で身体を回転させ、地面の上をゴロゴロと転がった。

 

「イッテぇ……」

 

 寝返りを打つように横に転がる。

 着地の際の衝撃を打ち消せなかった俺は転がった状態から跳ね上がり、立ち上がった。

 

「ほらほらッ! どんどんやるぞ!!」

「いッ!?」

 

 投げられ、起き上がり、投げられ、起き上がり、投げられ、起き上がり。

 ただひたすらその繰り返しだった。

 気づけばマントは脱げていて、制服は土に塗れ、土に傷つけられ、ボロボロ。

 衝撃に負けて気絶し、その起こし方も水を掛けるなどという優しいものではない。

 気絶をするとまず3カウント。

 起きないと次に足蹴り。

 そしてそれでも起きないと容赦のないエルボードロップ。

 

俺の身体はボロボロだ(オデノカラダハボドボドダ)!」

「はっはっは!」

 

 俺は痛む身体を庇うようによろよろと歩きながら、それでもネガティブになるまいと精いっぱいの虚勢としてふざけた。

 

「どうする? やめるか?」

「やめ、ねーよ……。流石に馬鹿にしすぎ。なんでこんなことしてるのかくらいは理解してらぁ」

 

 口に溜まった血を吐き出し、口を拭いながらキッと睨む。

 するとベアトリクスはへぇと愉快そうにニヤリと笑い、その答えを訊ねた。

 

「戦いで重要なことの一つは攻撃を受けた後の対処。下手すると攻撃を受けた後に頭から落ちて死にかねない。だからそうならないように訓練や戦闘の安全性を少しでも上げられるように受け身をまず初めに教えている。……そうだろ?」

「当たり。攻撃を受けてもその後の行動でダメージがかなり変わってくるからな」

 

 少し前の異世界人(クラスメイト)を見て平和ボケしてあまり期待できないと思っていたがワリとまともな思考回路を持っていると理解したベアトリクスは満足気に頷く。

 表情(かお)は新しいおもちゃを貰った子どものソレだ。

 

「てか魔術は?」

「私は簡単な魔術しか使えないからあまりアテにはせず自分で努力しろ。まあ教えられる範囲でなら教えてやるからそのあたりは安心していいぞ」

「ウィっす、了解」




 この世界では男女での区別はありますけど差別はあまりありません
 理由としては魔術やステイタスが存在するからです
 この世界では武力に男も女もあまり関係なく、強くなる意志とアクシデントを生き延びられる運さえあれば呪いにでもかかっていない限り基本は誰でも強くなれます
 なのでどちらの性別の方が強い、というのが基本的には存在せず
 肉体的違い、つまりホルモンバランスなどによる精神性の違いがあったり
 性別での役割、男はいざというときに戦えない状態の家族を守る、女は子どもを産んで母乳を与えるなどの生物的役目によっての性格が異なるくらいです
(一切戦っていないレベル一のステイタスオール1の男女の場合は筋力の有無で武力が決まったりします。技があれば別ですけど)

 要約すると、この作品は世界観が中世なのに上役に女がそこそこいたりします
 が、種族的に男優位な社会が形成されていたり、逆に女が優位な社会が形成されていることがあります
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