ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 書いても大して意味ないので一週間の道中は全部カットします
 なので次回、六一話はノースミナス到着時からです


第六〇話 旅立ち

「そうか、旅に。……ちなみにどこに行くんだ?」

「ノースミナス。大体二ヶ月で帰ってくる予定……あ、もしかしたら俺の行き先を聞かれることがあるかもしれないけど聞かれても答えないでくれ。着いてくる可能性あるから」

「お、面倒な女でも引っかけちまったか?」

「そういうワケじゃないんだけど。盗賊倒した時に助けた子がさ、一緒のパーティをって言ってきてるんだけど開拓兵に登録すらしてない素人だから」

「なるほどな。確かにそりゃ教えるワケにはいかねーな」

「理解感謝する」

 

 あの様子だともしかしたら着いてくるかもしれないから可能性は潰しておく方が良い。

 別にパーティが嫌なワケじゃないけど死なれるのは嫌だからなぁ。

 ベアトリクスが理解力のある奴で助かった。

 

「でもそうか、ノースミナスか。武器買いに行ったのと中継地点として利用したことしかないけど……よし、コイツをくれてやるよ」

中級回復薬(ミドルポーション)中級魔力回復薬(ミドルマナポーション)? いや、流石にこんなの貰えねーよ」

「良いから受け取れって」

「普通の回復薬(ポーション)で充分だってのに……まあくれるって言うなら貰っておくわ」

 

 正直現状ロクに本数飲めない。

 これでも一応何度か試してはいるんだけど体質的なモノなのか五本飲んだら酷いポーション酔いを起こす。

 前に比べたら本数は増えたけど、効力の高まった中級ポーションなんて飲んだら吐く自信があるね。

 なんの自慢にもならんが。

 

「短期間とはいえねっちょり教え込んでやったんだ、死なれるのはヤだからな」

「……ああ。ベアトリクスとの戦いで学んだこと、忘れずちゃんと生きて戻ってくるからよ」

「戻ってきたら戦って、その後思いっきり飲もうぜ」

「おう。二ヶ月で色んな酒飲めるようにそっちも頑張って来るわ」

 

 こんな時間から飲んでいるのは見慣れたとはいえ未だにどうかと思うけど、やっぱりベアトリクスとは一緒に酒を飲んで同じテンションで語り合いたいって気持ちがある。

 同じ釜の飯を食う、じゃないけど同じ樽の酒を飲む仲になりたい。

 

「じゃあ他の奴にも……そういえばあいつらは今日は来てるか?」

「ああ。全員じゃねえけど訓練所で鍛えてるよ」

「なら適当に挨拶してくるわ」

 

 前までは俺も毎日来ていた場所。

 そこには見知った顔がいくつもあった。

 

「よぉ」

「柊……アンタ最近見なかったけど生きてたのね」

「ああ、ちょっと遠出してた。何? もしかして心配してくれてた?」

「だッ、誰がアンタなんか心配するか!? ただ助けてくれた柊が死んだら心地悪いっていうか……ただそれだけ!」

「ほ~ん。ま、なんでも良いや」

「な、殴りたい……」

 

 物騒なこと言いやがって。

 適当にあしらっただけでしょうが。

 冗談冗談。

 

「あ、柊……」

「よぉ、辰壬は戦うことにしたんだな」

「うん。自分の力がどれくらいか気になったから」

「そうか。……他の香月とか、あとはパーカーちゃん。名前なんだっけ? 彩? とかはいないのか?」

「今はいない」

「ふ~ん」

 

 稼ぎの日、とかって決めてんのかね?

 まあいないならいないで別に良い。

 三藤に会うまで忘れてたくらいだし。

 

「用事?」

「別にそういうんじゃねえよ? ただしばらく遠出すっから一応挨拶しとくか~って感じのノリ」

「え、アンタどこか行くの?」

「どこ、いつまで」

「言ってもわからんだろうから……ざっくり東の方。二ヶ月くらいで戻って来る」

 

 まだ生活基盤の形成で忙しいであろう女子たちには具体名を出してもわからない。

 そこそこ本を読んで情報収集するようにしている俺でもまだ知らなかった。

 俺もあまり勉強の時間は取れてなかったが。

 

「そう……」

 

 興味ないならなぜ聞いたし。

 

「あまり無茶するんじゃないわよ」

「それはどうかな。開拓兵の仕事で無茶が関わらないってのはほとんどないだろうし」

「……はぁ」

「ま、死ぬ気はねえから安心しろぃ」

 

 信じて待ってろ、なんて俺の実力的に言えたことじゃねえけどそれでも信じてろ。

 としか言いようがない。

 

「じゃあ、そういうことで。二ヶ月後」

 

 二ヶ月後、とは言ったものの実際会うかどうかは不明だ。

 大した用事がなければ会う理由はない。

 はっきり言って、俺としては会う気がない。

 用事がないからだ。

 それにアイツらも俺に会いたいとは思わないだろう。

 恩を売っているとはいえ別に返してほしいと思っていない。

 アイツらに返せるモンなんて高が知れている。

 

 ま、どうでもいいや。

 興味がない。

 俺たちの関係なんてアレだ、大学のよっ友みたいな。

 知ってはいるけど親しくない的な。

 まあ大学行ってないからわからんけど。

 

 

 

「そうか、ヒイラギ君はノースミナスに……手に入ったらで良いから珍しいのが手に入ったら持って帰って来てくれないかい? 荷物を圧迫してすまないが、金は充分払うからさ」

「別に良いけど」

「本当かい!? やったー!」

 

 普通にしてると大人びた雰囲気なのだが感情を表に出すとエリナは見た目相応の子どもっぽい雰囲気になるらしい。

 可愛らしいがギャップに戸惑う。

 

「どういうのが良いんだ?」

「何が役立つかわからないからね、珍しかったらいいとも。わざわざ持ってきてもらう身で文句は言わないよ。流石に嫌がらせのようなモノを持ってきたら怒っちゃうけどね」

「俺性格悪いけどそこまでひん曲がってはねーよ」

「なら安心だね。まあ君に関しては初めからそんな心配はしてないんだけども」

 

 あら、嬉しい。

 俺がやったのなんて依頼と何度か飯作って持ってきた程度なのに信じてくれるなんて。

 騙されないか心配だわ。

 

「じゃあ頑張って大量のモンスター倒して良い感じの素材持って帰って来るぜぃ」

「期待してるよ。何か良いのができたら譲ってあげるし」

「お、ヤッター」

 

 これは良い感じのウィンウィンだ。

 力が欲しいか? と問われたら即肯定する。

 ヤバい方法とか、魔道具とかに依存する気はないけど、でもやっぱできる限り強くなりたいし。

 錬金術でできたモノもちゃんと使わないと。

 

「……ご飯はちゃんと食べてるみたいだし」

「君、怒るじゃないか」

「それは当然だ」

「昔からの流れで食べなくなったけど、久々にマトモな食事を摂って認識も改まったとも」

「こう……健康的でイイ感じにふっくらして。可愛さが増したよな」

「そうかい? いやぁ、照れますなぁ」

 

 不健康なのは見ていてこっちが辛いからな、一安心だ。

 

「前はホント不健康な感じ、というか不健康そのものだったからなぁ」

「言わないでおくれよ。ちゃんと反省してるんだよ? だからこそちゃんとした食事をするようになったんだし」

「ごめんごめん」

 

 でもまあ、やっぱりホッとした。

 一人暮らしで不健康暮らしなんてあまり放っておけることじゃないし。

 

「まあ私が悪い以上何も言うまい。……そうだ、旅に出る君に餞別だ」

「そこまで長期じゃねえから別に良いんだけど……まあ、貰っておこう。ちなみにナニコレ?」

鏡面虚現金属(ミラーマテリアリウム)記録鉱晶(メモライト)など、複数種の金属を錬金して生成したまあ見た通りの指輪だね。モノとしては既存なんだけど知らないかい?」

「知らん」

「簡単に言えば魔力を流して姿を取り戻す魔道具の一種だね。これはナイフ。魔力を込めればその間ナイフが生み出せて魔力供給を止めればナイフも消える」

 

 また面白いモノを作ったな、と思いつつ指輪に魔力を込めると宙にナイフが現れ、その感触は一切違和感のないただの金属製ナイフだ。

 全てが同一素材でできているから全身一色で味気ないが、形状はナイフそのもの。

 

「ちなみにぃ、普通のヤツと違って鏡面虚現金属(ミラーマテリアリウム)を混ぜてるから魔力の続く限り残弾は無限だよ」

「わぁ。千本(サウザンド)ナイフッ、相手フィールドのモンスター一体を破壊する。ができちゃう」

「何それ?」

「すまん、こっちの世界の話だ」

 

 こういうネタはわかる奴の前でやらないと滑った感じで悲しくなるな。

 まあネタがわかっても面白い内容ではないんだけど。

 

「いや、でもこれ良いな。魔術構築の思考領域(リソース)割かなくて良いし、土魔術で石とか創るよりも魔力消費が少なくて済む」

「その分装着者の投擲技術がモノを言うんだけどね」

「それは……頑張るっ」

「あはは。頑張れ」

「じゃあ長居しても迷惑だろうしこっちも予定が狂うから、二ヶ月後な」

「油断なきように~」

 

 貰った指輪を指に装備しながらふと思う。

 この世界に来てからやけに指周りがチャラチャラしている、と。

 以前の感覚ならチンピラかチャラ男だと思うのだろうが、開拓兵としては通常装備だし一般市民も着けている者は着けているという、街を歩けば目立つことのない状態だから特になんとも思わない。

 ただここに馴染んできているような気がして、少し嬉しかった。

 

 いた、これは馴染んでるワケではないか。

 どっちかっつーとこれがこの国の感覚に引っ張られてお待ってきてる感じだな。

 朱に交われば赤くなる的なアレで。

 何はともあれこれは良い傾向じゃないか?

 

 決して悪くはないであろう自分自身の変化に俺は心を躍らせる。

 変われるという自覚が、一つの自信となって俺を後押ししてくれていた。




 降星歴以前から傷を治すための回復薬(ポーション)は存在しました
 そのため二種類存在するポーションは体力回復薬と魔力回復薬ではなく、回復薬と魔力回復薬としました
 ポーションと表記した際は二種類両方かどちらかを意味し、漢字プラスルビの時はそれぞれで分かれていると認識してください

 はじめ、ナイフのリングはMÄRのÄRMをイメージしてました
 やめました
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