ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 レベルアップ開放(レベルアップ速度は低下状態)


第六一話 到着、ノースミナス

「ここが眠れない街(・・・・・)ノースミナスっ!」

 

 赫赫たる空。

 照らされた街並みは燃えているかのように赤く、鉱山は禍々しくも美しい。

 

「街の雰囲気も王都とは全然違うし……ワクワクしてきたぁ」

 

 初めての土地。

 王都では見ることのなかった種族。

 ありとあらゆる光景が俺の心を躍らせる。

 もう夕刻で、俺も一週間の旅で疲れているはずなのにもう戦いたくて仕方がない。

 

「お姉さん、その串焼き五本ください」

「は~い」

「ちなみにギルドってあの赤い屋根の大きな建物で合ってる?」

「そうですよ~。大通りに面してるからわかりやすいですよね。大きいですし」

「ありがと。代金これね、多い分は情報量ってことで」

「ありがとうございました~」

 

 イノシシ肉の串焼きか。

 独特な臭いはあるけど甘じょっぱいタレと辛めのスパイスが良い感じに合ってて美味いな。

 てか始めこそ臭いが変な感じに思えるけどじっくり噛むとその臭いとスパイスが良い感じに合わさっていい匂いに思える。

 スパイスって臭い消しだけじゃないのか。

 

 顎が鍛えられそうなほど噛みごたえのある肉ながらも噛み切れないワケではなく噛めば噛むほど細かくなる串焼きに舌鼓を打ちつつ真っすぐギルドへ向かう。

 

「ようこそ、ギルドへ。この度はどのようなご用件で?」

「初めてノースミナスのモンスターと戦う開拓兵向きのモンスターがいる行動の情報が欲しい」

「坑道での活動をご希望ですか?」

「いや、外でも良い」

「活動予定時間は?」

「二時間ほどだ」

「ではボアがおすすめです。突進力は警戒が必要ですが魔術は使わず動きも単調なためこの辺りでの経験のない一般開拓兵の方には向いているかと」

 

 あ~、ちょろっと本に書いてあったっけ。

 つかさっき食ったのがそれか?

 おすすめだって言うなら信じるよう。

 

「場所は?」

「この街で活動を行う開拓兵の方々には無償で地図を配布しております。それがこちらです」

「おお、いくつかエリアが分かれててどんなモンスターが出るか書かれてる。ありがとな」

「いえ、無償ですので」

 

 流石は眠れない街。

 モンスターを倒してもらうためだったらある程度無償なのか。

 まあ年中無休で運営してるとしたら通常よりも収入は多いだろうし、多少の損失はダメージ皆無だろう。

 

「場所は大体山腹。柵を出たあたりか」

 

 やりやすい場所だ。

 帰ろうと思えばすぐ帰れる。

 

 たしか正確には魔術を使わないんじゃなくて海悪魔(サハギン)と同じような理由で魔術を使えないんだったか?

 全身の強化魔術と、牙を中心に発動する土系魔術。

 周囲の岩石を集めて牙を巨大化してるから威力がヤバいんだったか……。

 

「お、見ねえ顔だな。新人か?」

「ああ。王都から来た一般開拓兵ヒイラギだ」

「そうか。頑張れよ、ヒイラギ」

 

 柵のところで街の外を見守っていた衛兵。

 王都近辺よりもモンスターの強さが上なことに加えて数も多いからか衛兵の態度が知っているモノよりも少し優しい。

 露骨なほど優しくはないが、街を守る主戦力である開拓兵にへそを曲げられても困るからか反応がニコニコとしている。

 

「……ま、今は目の前のこいつに集中すっか」

 

 相対するは保護色のように体表全体が周囲と同化する猪。

 だがそれは全身に纏った岩石によるカモフラージュであり、猪本体の保護色ではない。

 

「おうおう、獰猛な殺気は怖いねぇ」

 

 隠す気のない殺気。

 正確には旅の道中で気配感知を鍛えていたから感じ取りやすくなっているだけだろう。

 

 周囲に気配なし。

 敵はこいつ一体だけ。

 だったらどれくらいの力加減で倒せるか把握しておくか。

 

 魔力を練って一瞬だけ気配を強化して意識を俺に向けさせる。

 そして突進してきた猪をジッと見つめながら背後に石壁を生み出し、猪の突進が俺に当たる直前で垂直に飛んでバリアを足場に猪が壁に衝突するのを見た。

 

「うへぇ。これでも結構魔力込めたんだけどドデカい穴開けやがって……処す!」

 

 俺の姿を見失っている猪の背に飛び乗り、右手に着けたガントレットで殴る。

 魔力を込めた一撃は猪の装甲を弾き飛ばすように砕き、追撃で左の短剣を突き立てた。

 さっきの一撃は肉質をも一時的に変化させていたのか短剣は驚くほどすんなりと突き刺さり、数秒経って猪はバタンと倒れる。

 

「なるほど。正面からやり合わなきゃこの程度の力でも一応二撃で確殺できる」

 

 多少の調整はするが個体差もある、ギリギリは狙わない。

 初心者向けなだけあって意外とやりようはいくらでもありそうな猪を見下ろしながらその上から離れ、短剣を抜くとその死体が霧散して魔石と魔術で纏っていた岩石が残る。

 短剣には血がベッタリと残っているが、振って落とすと血はそのまま霧散した。

 

「纏ってた岩石は残るのか。牙なんて姿そのまんまだな……」

 

 形状は正に岩石で構築された『罅割れた牙』という見た目。

 持ってみるとかなり重く、魔術で圧縮されていたからかその見た目以上の重さを感じる。

 

「あ、片方だけ牙残ってんじゃん」

 

 次戦う時のため、試しに残った岩石の牙を持ってみると片方だけ重さが違い、見比べてみると片方には牙が半ばまで残っていた。

 割ってみると牙の亀裂に従って装甲が剥がれ落ち、中から白い牙が姿を現す。

 

「つか、サイズと落ちた音が合ってねえ」

 

 試しに魔力を込めて操作してみるが、かなりの干渉力を必要とする。

 道中でレベルアップをしてある程度魔力が上がってるからそのあたりは余裕がある。

 ただ純粋に魔術に使う脳の演算領域が足りていない。

 ド低能が証明されてしまって悲しいが、まあ鍛えれば問題ないだろう。

 

「……意外とこういうのも研究の役に立つのかもしれないし装甲も持って帰るか」

 

 何が役立つかわからないのが世の常だし。

 モンスターがどういう風に魔術を使っているのかとかそういうのがこういうモノから解明できたら魔術の発展も進むかも。

 てか実際モンスターの魔術って人間の魔術と同じなのか?

 降星歴以前の人間は魔術が使えなくて世界で魔術が使えたのって龍だけだったらしいし。

 ワリとそのあたり気になるんだよな。

 龍、人間と順当に魔的進化を遂げて魔術を獲得したとして生物かどうかすら曖昧なモンスターが魔術を使える理由……。

 考えてもキリねえから深くは考えねえけど。

 

「さて、次だ次。視覚で見つけづれぇのがつれぇわ」

 

 となるとするのは魔力探知だ。

 五感強化で耳頼りで探しても良いのだが、覚えたばかりの技というのはすぐ使いたくなるのが少年心。

 一時的に自分の魔力の影響が及ぶ範囲を拡大することでその範囲内の魔力の籠ったモノを感知する。

 自分の感知能力以上の偽装を施した相手や魔力の籠っていないモノに対しては通用しないが、鍛えれば残滓程度までなら感知できるらしい。

 

「意識を研ぎ澄ませつつ意識を周囲に拡散するイメージで……漏れ出た魔力が周囲一帯に溶け込むように、世界に還るように……」

 

 この範囲が及ぶのは感知だけ。

 魔術を使おうとすると意識が集中してしまうから一気に範囲が狭まる。

 

「……見つけた」

 

 一一時方向に二体。

 両脚に力を込めて加速、近づくと視認でもそいつらがモンスターだとわかる。

 

「スマッシュ!」

 

 正直合ってるのかはわからないがテンションでそう叫んだ。

 低く踏み込み、斜め下から猪の顎を殴り上げる。

 装甲が砕けるのと同時に一度軽く拳を開き、そして再び魔力を練ってワンインチパンチ的なノリで殴りつけた。

 すると頭部の装甲が広い範囲にわたって弾け飛び、猪の口や鼻や目からは大量の血が飛び出る。

 

「うわッ、えぐッ!?」

 

 予想外の効力に自分でもドン引きながら、もう一体を動き出す前に接近して頭を押さえた。

 加速していないから純粋な力勝負。

 魔術で俺の足場を整地しつつ身体強化を行い、二本の牙を掴んで突進を阻む。

 そして即座に牙伝いに魔石付近を凍結させて殺した。

 

「ふぅ、魔術に対する抵抗力はそこまでないな」

 

 正直凍結に対する抵抗力は海悪魔(サハギン)の方があった気がする。

 気がするというか、実際そうだ。

 レベルアップして色々変化してるから断言はできないのだが一応それなりに確信は持てる。

 

「パンチに関しては今の流れを一撃で、一瞬で出来るようにしたいな。でも二段階の魔力衝撃は一瞬じゃ……あ、左腕でも魔力を練ってそのまま右腕伝いに流せばいいのか」

 

 凍結した魔石を解凍しながらふと思いつきを口に出した。

 言葉にしたら凄く単純だが、別々に分けた二か所の魔力を暴走させないように気をつけながら一撃に込めるというのは中々難しい。

 端的な矛盾を孕む。

 それは一撃であり二撃で、二撃であり一撃というもの。

 これは勘でしかないが、さっきのあれは同じ魔力量でも一撃では威力が損なわれる。

 一撃でしてしまえば威力が装甲破壊に向く。

 が、露骨に二撃に分けると隙が大きい。

 実際さっきも動き始めていた。

 だからこそタイミングがシビアになる。

 

「ああ、いいねぇ。一ヶ月での成長目標一個見っけぇ」

 

 恐らく今この時の俺の表情を客観的に見れば『恍惚』が最適表現だろう。

 それを達成するのを想像して、最高に興奮してきた。

 

「ンふっ」

 

 凍った岩の牙に二度魔力を流し叩きつけて粉砕する。

 やはり二撃だが、今はまだこれでいい。

 これ以上にし得るということ。

 確かな成長の余地だ。




ヒイラギ 一七歳 男 レベル五
 筋力:212
 魔力:175
 防御力:153
 生命力:178
 器用:189
 敏捷:199
スキル:生命力魔力変換 魔力生命力変換
固有能力:洗脳

 ……これ、いる?
 正直ステイタスの出番なんてほとんどないです
 一般常識的にステイタスは他人に対してベラベラ話すものじゃないから他人のステイタスはほぼほぼ登場せず、ヒイラギのステイタスだけ公開しても役に立たないですし
 世界観的にもステイタスだけじゃアテにならないです

 それに表記上整数で出してますけど小数点以下の数が大量ですし
 スキルもやろうと思えば持ってなくても可能なことを外装的に会得してるだけなんですよね
 例えばマユゲは上記二つのスキルを持ってませんけど同じことはできますし
 なんなら自力でやった方が効率イイまである

 固有能力は肉体に備わってる能力を表記しただけ

 いらないのでしばらく書きません
 気が向いたら書くかも?
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