ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 ありがとうございます!


第六七話 戦闘狂の傾向有

「そういえば、クアークって剣二本使うのな。しかも同じヤツ」

「元々は両手で一本だったんだけど面倒なモンスターを相手にするときにやったら上手く出来たからやるようになったの。剣が同じなのは予備をいっぱい持ってるからよ」

「……確かに宿の部屋の隅に剣が積み上がってたな」

 

 武器屋のまとめ売りかってくらい大量にあったのを憶えている。

 もしかしてアレは全て同じなのだろうか。

 

「最近剣が高くなって大変だけどこういうとき買い置きって助かるわよね」

「この街って剣高いのか」

「そうね。大体二年位前から高くなり始めたわ」

 

 道理で俺は特になんとも思わないワケだ。

 今の値段しか知らないんだから高かろうと俺にとっては普通でしかない。

 

「なんでなんだ?」

「正確なことは知らないわね。噂じゃ採掘量が減ってるって聞くけど炭鉱夫たちはそれを否定してるし」

「ふ~ん。燃料代とかが高くなったとかかね?」

「それはない。燃料に必要な魔石もモンスターの素材も供給は充分あるんだから」

「へ~。てか燃料に魔石使うのか、知らんかった」

「昔プロミネンスって鍛冶師が発見したらしいわね。それまで加工ができなかったモンスターの素材を加工する方法が見つかったぞーって」

「スゲーな」

 

 それって結構スゴイ、というか普通に世紀の発見じゃないのだろうか。

 利用価値のない、討伐のために買い取るだけだったモンスターの素材に価値を見出す。

 偉人として歴史の教科書に載っても良いレベルだ。

 というかだからこそ調べなくても自然と耳に入ってくるレベルで有名だったのかもしれない。

 

「正確には初代プロミネンスの息子。フィランダー・プロミネンスの発見ね」

「聞いてもわかんねえや」

 

 ポーラってそんなスゴイ鍛冶師の子孫なんだ。

 

「ちなみにそれは剣だけ?」

「他の装備もね。まあアタシは剣以外の装備をしばらく使ってないから関係ないけど」

「値上がりはまだ続いてる感じ?」

「そう、ね。いきなりは上がってないんだけど変わり始める前とじゃ一割くらい違うわ」

「マジか」

 

 二年で一割も変わったとかよっぽどなんだろうな。

 実際何が起きてるのかは知らんが。

 

 そういうことに詳しくないから考えられる可能性は多くない。

 一つは製錬のための人手が足りないというもの。

 いくら採掘量が充分でもそれを製錬する工程が不充分なら供給量が減る。

 似たような方向性で鍛冶師が少ないという可能性。

 いくらインゴットがあってもそれを加工する者がいないんじゃ装備が造れるワケがないのだ。

 他には鉱石の純度低下。

 鉱山から採掘された鉱石の純度が常に一定以上とは限らない。

 いくら鉱石を採掘してもそこに目的の金属の含有量がほとんどなかったら意味ないだろう。

 

「どうする? 新しい武器が欲しいなら案内するけど?」

「……今はいいや。武器の性能に依存したくはないし。ちゃんと教わったことを身に着けて、その上で困ったら武器に頼るかもしれないけど」

「うん。それが良いと思うわよ」

 

 決して強いとは言えない武器で戦っている猛者が目の前にいる。

 そんな人の前で『武器に頼る』なんて口が裂けても言えないしそんな選択肢持ちたくもない。

 

「武器ついでに聞きたいんだけど、クアークって何種類の武器使える?」

「教えて欲しいの?」

「まあそうだな。取れる選択肢は多い方が良いと思うし」

「そうね。アタシは剣と少しの魔術しか使えないわ」

「え……」

 

 長年開拓兵を続けてきた人間はみんな色々なことができると思っていた。

 武器はともかく、魔術は様々なモノが使えてその場に応じて使い分けると。

 けれどクアークから帰ってきたのはその考えの否定。

 謙遜などではなく、純粋に、一般的認識に従ったうえでの『少し』と言っているのがわかる。

 

「活動範囲の狭さもあるんだろうけど。アタシ、アタシ以上に強い敵と出会ったことないの」

「……サラッと凄いこと言ったな、今」

「だってアタシ普通の攻撃とかほとんど効かないもの」

「え?」

 

 そう言うとクアークは俺の腰の鞘から短剣を抜き、自分の手首に刃を当て、一気に滑らせた。

 剣身は深く沈み、下へ振り下ろされ、手首から先は元の位置よりも先へ離れる。

 けれど血は一切流れなかった。

 

「え?」

「アタシのもう一つ固有能力でね、普通の攻撃ってこうなっちゃうの」

 

 腕に続く手首の断面周辺と、切り落とされた手首から先が変色していた。

 普段の灰青色の肌色ではなく、透き通った黒に。

 しかもそれはただの黒ではなく、内部に宇宙を内包したような星空の輝きを彷彿とさせる、まるで未加工の魔石のような色。

 そして手首から先は落ちることなく宙に浮き、断面付近を朧げな形にしたかと思えば手首と繋がり、何事もなかったかのように見慣れた普通の手になった。

 

「触ってみる?」

「うわ、ホントに治ってる。どこ触っても普通の手の感触だ」

「魔術も効き目が薄くて。元々並大抵の攻撃じゃ平気だったのに長年の開拓兵生活でこの辺じゃ無抵抗にしてても敵なしってわけなの」

「強いな、おい」

「だから防具なんてほとんど着けたことがないし、単純に剣での実力も高かったからやったことがないってわけなの」

 

 正直そこまで聞くと無敵に思える。

 けれど無敵ではない。

 効かないのはあくまで『ほとんど』で。

 全くじゃない。

 

 ……なんで俺はクアークと戦う前提で考えてるんだ?

 辻斬りかなんかかこの野郎。

 完全に戦いに思考回路侵されてるじゃねえの。

 

「ん? もう一つのってなんだ、もう一つのって。他にもあんのか?」

「うん、あるよ。秘密だけどね」

「ああそう。まあステイタスと同じと考えたら当然か」

 

 固有能力の複数持ちに関してはそこまで驚きはない。

 いること自体は聞いたことがあるし、マユゲの【固有能力模倣】がある時点で基本なんでもありだと思ってる。

 改めて思うが、マユゲの固有能力はチート性能だ。

 

「でもそうか……クアークは剣しか使えないのか。手数増やしたかったし良ければ教えて貰おうと思ってたんだけどな……残念だ」

「なら剣を教えてあげるわ」

「良いのか?」

「別に教えて損はないもの。それに自分の教えた技でどれだけ強くなれるかってのに少し興味があるの」

「なら、頼みます」

「ええ」

 

 貴女が神か。

 

「ちなみに。昨日今日と活動してるけどどうする? 休む?」

「え? 俺普通に毎日戦うつもりなんだけど」

「休みなよ。心身を休めないと力を発揮できないわよ?」

「別に不調はないんだけど」

「今はね。そのうち現れるから、休んで鍛錬なりなんなりに回しなさい」

「え~」

「なら明日はアタシの動きを教えてあげるから! ハイ決まり!」

「は~い」

 

 決められちゃ仕方ない。

 明日は訓練かぁ。

 ……楽しみだ。

 

 もちろん訓練の時に戦うのも好きだけど。

 学んだことをどうやって活用しよう、って考えるあの時間も好き。

 考えるの自体も楽しいし、ふとした拍子に思いつく一手が良い。

 

「ニヤニヤしないの、気持ち悪い」

「端的に酷いな」

 

 そんなニヤニヤしてた?

 気をつけないと……。

 

「飲み込みは早いみたいだし、もし一ヶ月の間に教えたことものにできたら色々な武器を使える知り合い紹介してあげるわ」

「お、マジで? よっし、速攻で覚えてやんよ」

 

 正直、甘やかされ過ぎなんじゃないかって不安になる。

 そういうのがこの国での一般常識なのかもしれないけど、俺の性格的にこういうのが当然だと思いそうで、堕落しそうで少し怖い。

 

「ちなみに教わるのは男と女のどっちが良いの?」

「どっちでもいい。度を過ぎて変な奴じゃなかったら老若男女問わずだ」

「なるほど。向こうの都合もあるから本当に教わりたいなら早くして頂戴ね?」

「もちろん」




 クアークの固有能力は鍛えても鍛えなくても普通にぶっ壊れ性能
 遠征に参加しようと思えばできる実力があるからまず普通の攻撃は効かないし、魔術も大体効かないっていう敵からすればクソゲー案件
 固有能力の成長が結構進んでいるから魔術ですらほとんど効かない……うん
 一応無敵ではないんですけどね
 その打開策は普通の思考回路ならまず思い浮かばないっていう

 マユゲは異常な部類。流石に万能じゃないけどその制限を抜いても有り余る汎用性
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