ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
評価に色が付いた~ッ!
【お気に入り】が50に、【しおり】が30になった~ッ!
これで下がり傾向だったモチベが回復しました
ストックが尽きかけなんで今のうちに頑張れたらと思っております
ありがと~!
用事があるから後は好きにしててね、と言われたのが七の鐘(午後四時)頃。
好きにと言われても正直することがない。
装備には困っていないし、
はっきり言ってすることがない。
今の俺は人生が趣味で、趣味が人生だ。
けど戦いは禁じられているから飯を食うか本を読むかボーっとするしかないのである。
「よう。お前が最近噂のヒイラギって奴だな?」
「あ、はい。というか噂とは?」
内臓の身体強化で消化吸収を早めてフードファイターごっこをしているといきなり大柄な男が正面の席に腰を下ろし、そう問いかけてきた。
一体誰ぞ?
ギルドの中で何度か見たことはあるっちゃあるけど……接点イズどこ?
「噂ってのはクアークと組んでるって噂だな」
「間違いなく俺ですね。クアークには色々教わってます」
「そうか……。それはそれとしてその口調素じゃないだろ? 別に気にしなくていいから普通にしろよ」
「あ~、わかった。ところで一体なんの用?」
顔が怖い。
どれくらい怖いかといえば耳掃除をしているときにくしゃみの気配を感じた時くらいだ。
「興味本位の暇つぶしだな。最近ずっとソロだったあのクアークが新顔とパーティ組んだって聞きゃ結構な数の奴らが興味持つと思うぞ」
「そうなのか」
あれか。
新しい標的にされたってことで同情の目を向けられてるってことか。
なんだよそれ。
笑える。
どんだけ荒らしてたワケよ。
「で、ぶっちゃけどんな感じよ?」
「え? ……あ~、ああ」
開拓兵の話題として最近の稼ぎとかそういうの話すのが普通なのか。
でも、どうってのは曖昧すぎない?
もうちょい具体的に言おうよ。
俺平均値とか知らんし。
「まあ、ボチボチだな。それなりにやってはいるけどやっぱアンタらほど進んではいねえよ」
てかまだ四日目だぞ。
本来の予定なら地上の方で練習するつもりだったんだから。
坑道の深くまで行けるワケないでしょうに。
「なら、何キッカケ?」
「ん……ああ……」
酒飲んでる?
話が地味に飛んで理解に数拍必要なんだけど……。
まあ要するになんでクアークとパーティを組んでるかって話だよな。
正確には何を理由に維持してるかってこと。
クアークの方から絡んできたのは多分知れ渡ってるだろうし、俺がクアークと組んでる理由。
理由……。
やっぱちゃんと教えてくれるところとか戦ってる姿がカッコよかったとかか?
「そうだな。優しいところと姿を見ての一目惚れに近いな」
「おおっ。なるほどなるほど」
やっぱ男としては強さに憧れる気持ちがある。
一番強いのはアデルだろうし、ベアトリクスとどっちが強いのかはわからないけど、実際にモンスターと戦う姿を見たっていう理由で知り合いの中じゃなんだかんだ言って一番憧れているのはクアークなのかもしれない。
「でも実際あの趣味さえなければクアークの奴はイイ女なんだけどな」
「そう、だな。強いし」
「お? ヒイラギは一緒に戦って背中を預けられることに良さを見出すタイプか」
「……まあ、実際一緒にいて危機感という意味では安心するし。ただ守られてばっかだから護れる強さを手に入れたいとは思う」
誰かを護れる力は欲しい。
いつか何かがあった時のため、護りたいものを護れる力が欲しい。
それにもしかしたら将来何かのきっかけでクアークに頼られたときに手を差し伸べられるようになっておきたい。
「アイツって意外と家庭力高いしな」
「そうなのか?」
「そうは見えないだろ? けど味も見た目も完璧に近い家庭料理を出してくるんだよ」
「うわ、家庭料理ってとこがまた狡賢い」
「だからこそ残念過ぎるあの趣味が本当に……」
もしかして:被害者?
だとしたらご苦労様です。
「狙われちゃった感じ? それで捨てられた?」
「いや、俺はアイツの標的にはならなかった」
「へ~。じゃあどういうことさ」
「わかるだろ?! 見た目良し、家庭力良し、性格も意外と良し、さらには子ども好きで街の人との関係も良し。どう考えたって女としては文句なし。ただ悪癖ともいえる趣味がなければだ」
社会で生きる上でその社会をぶち壊すようなあの趣味は確かに全ての長所を上書きしてマイナスに変えるものだ。
一緒に生きるって選択肢を取らなかったら問題はないだろうけど。
その選択肢を取ったらかなり厄介になる。
「というか子ども好きで街の人との関係性良しってそれ評価項目なの?」
「何言ってんだ? 当然だろ」
「すまん。俺、異世界人、この世界の常識、わからない」
「なるほど。子どもが生まれたと考えて、その子育てってのは当然母親やその周囲の人間が手伝うモンだ」
「母親と父親でやるものじゃないの?」
「え?」
「え?」
「お前……故郷どんな魔窟だったんだ?」
そんなおかしなこと言った?
子育てって普通両親の二人でやるものじゃないのか??
それが普通だと思ってたんだけど……。
「そんなのするのなんて駆け落ちした奴らくらいだろ。最低でも家族とか、他には付き合いのある奴らが手伝うモンだろ」
「そうなのか……」
「当然だろ。父親が稼ぐのに忙しいと仮定して、その間の家事育児を独りでやんのなんて馬鹿のすることだ。二人でやれば単純に考えて労力も掛ける時間も半分。その間寝ることも遊ぶこともできるんだぞ」
「そう言われれば確かに」
現代人は薄情だ薄情だと思ってたけど、もしかして想像以上に薄情だった?
というより現代人って子育て嘗めすぎ?
実際今言ってた子育てって単純だけど効果が高いよな……。
なるほど、確かに子ども好きも近所付き合いが良いも評価基準足り得る。
「つまりはそういうことだ」
「……それを踏まえて考えると確かに完璧に近いな」
「だろ?」
そして同時に趣味が残念過ぎる。
「……世の中に完璧って、ないんだなぁ」
「まとめよる」
まあそれが普通だろう。
特に人間なら完璧は絶対ありえない。
怪しすぎるし。
「ちなみに真面目な話、最近何と戦ったよ」
「最近……初日に地上で岩石猪と戦って、二日目に地上でクレイゴーレムと、三日目に坑道でストーンゴーレムと、四日目の今日は休みになってクアークと戦ったな」
というかさっきは真面目じゃなかったの?
まあ今現在関係ない人間にとっては真面目ってよりかは笑い話の系統か。
「依頼は受けないのか?」
「依頼は……そうか、依頼か……受けてみるのもいいかもな」
「なら先輩として助言をやろう。調査系の依頼はやめておいた方が良い」
ほう、調査系とな?
海域調査団の募集とか森の調査とかのアレか。
受けようと思って受けたことはなかったけど正解だったんだな。
「もちろん調査系依頼の全部がダメってことはない。中には受けた方が金的にも経験的にも旨いヤツはある。ようはちゃんと見極めて受けろ、見極める能力がないうちは手を出すなってことだな」
「なるほど。ちなみに具体的にはどんなのがダメでどんなのが良いんだ?」
「そうだな……わかりやすいので言えば、調査範囲が曖昧で広大、とかだな」
「広いと時間掛かるからか」
「その上で報酬が普通だから労力に対する見返りが少ないんだよ」
確かに得るモノは少ない。
同じ
経験も得にくい。
けどな~。
どうなんだろ。
即物的な恩恵がないのは事実だけど……。
「受けなかったらどうなるんだ?」
「誰かが受けるまで放置か、取り下げられるな」
「放置か取り下げかは依頼主の気分次第か?」
「いや、調査依頼ってのは大抵がギルドが出してる。そういうのはしばらくしてギルドが取り下げて、たまに誰かが気まぐれに出す依頼は基本そのまま放置だな。忘れてなかったら取り下げられたりするけど」
「そうか」
これ、依頼受けた方が良いよなあ。
得るモンはないかもなけど。
やることで維持できる、失わずに済むモノもあるし。
坑道内に異常があったらそれを放置ってのは危険すぎる。
「なるほどな。参考になったよ、酒でも奢らせてくれ」
「今後も何か困ったり気になったりしたら聞いていいぞ。もちろん酒は貰うがな。てことで、こっちにヴァイアーツのロカリー酒!」
今度調査系の依頼を受けてみるのも良いかもしれない。
異世界情報
ヴァイアーツ:王都ルートヴィヒより南東に向かった海近くの街
扇状地付近に街を形成、扇状地には大規模な果樹園を造り、流通の約三割を一手に担っているそこそこ大きな農業都市
始まりは農村ゆえに今でもその痕跡が随所に残っている
ロカリー:白い可食部の果托と緑の有毒種子のリンゴほどの大きさの木の実(果実)
種子は遅効性の猛毒で、かつては暗殺に多く用いられた
熟せばとても甘く、基本はそのまま食べるかデザートにするか酒にするかだが、多くはないがロカリージャムも存在して曰く『蟻も逃げ惑い、虫歯菌も恐れる地獄の甘さ』で、ロカリージャムをそのまま食べる者は猛者として扱われることもある
ちなみに虫歯にならないのはロカリーがそのままでも殺菌作用があり、加熱すると殺菌作用が強まるため甘さは関係なく、殺菌作用は胃酸に弱いため腸内環境が壊れることはない
酒は甘さの強い甘口の酒か、アルコールの強い辛口の酒の二つが主流
流通量は辛口が七割、甘口が三割である