ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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 前回書くの忘れてました
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第七六話 表の顔と裏の顔

「いやぁ、災難だったな。てっきり俺も盗られたと思って追ったんだが俺の方は平気だったよ」

「そいつを早く返してくれ」

「おいおい、随分とせっかちだな」

「いいから返せ」

「……」

 

 ちょっとは会話を楽しもうぜ?

 一応取り戻してやった立場なんだけどな。

 

「そんな急かされると危ないモンでも入ってんじゃないかって考えちまってコエーじゃねえの」

「ッ……」

「え、マジで?」

 

 見た目の厳つさから軽い冗談でそう言ったのだが、どうやら図星だったらしい。

 やるにしたってもう少しマトモな顔のヤツにやらせろと思う。

 見た目差別ではあるが明らかに何人か()ってる目つきと面構えだ。

 

「中身を知られたからには生かしておけねえな」

 

 あ、それ本当に言うんだ。

 見てはないけど『ヤバいの』ってのは知っちゃったしなぁ。

 にしても明らかに弱いよねぇ。

 子どもに撒かれる程度の雑な追い、俺に悟られる程度の杜撰な索敵。

 気合があんのは面だけかよ。

 

「別に興味はないんだが……一応こんなシチュエーションに遭遇しちゃったワケだし面白そうだから首突っ込んじゃおっかな?」

 

 正義漢では別にないが悪人は放置すれば肥大して俺のリスクになる可能性が充分ある。

 捨ておくことはできまい。

 

「フハハハハハハハ! 悪いおじさんはブタ箱にしまっちゃうぞぉ!」

「ワケがわからんな」

「[許可するまで動くな、魔術を使うな、喋るな。話す内容も俺の質問に対する答えとその補足のみ許可する]て、ことで、いくつか聞こうか」

 

 完全に【催眠】状態だからそこに二人の思考は介入せず、動けないどころか殺気も敵意も発することができない。

 それどころか能力を解除しても今この瞬間の記憶は一切残らず、前後の内容すら曖昧になる。

 

「まずこの中身、取引の書類っぽいけど具体的なこと知ってる?」

「知ってる。鉱山で取れた資源の取引について書いてある」

「んなこたぁ見りゃわかるわ。他の情報持ってねえのかって話してんだよ、馬鹿かテメエ」

「……」

 

 ガチで知らないのかよ。

 取引の書類持ってたってことはこいつらが取引してきたってことだろ?

 なんで何も知らないんだって話だ。

 先に取引内容は決まってて本人が表に出たらヤバいとかそういう理由で契約自体は手下にやらせたとか?

 ……そういう風に隠されると潰したくなっちゃうな。

 

親分(ボス)の指示で代理契約をしに行ったッス。オイラたちは代理契約ッス」

「ふぅん?」

「採掘量の一部を流してもらってウチで捌いて金にした後ウチの活動資金と、何割かは元のトコに返すッス」

 

 税金対策?

 いや、どちらかというと普通に横領だな。

 要するに商品を横流ししてそこの利益を還元してるってワケだし。

 

「てことはお前らの組織は表裏両方に顔があるのか?」

「表がミナス鉱業下部、ララリマン鉱業で。裏は黒鉄の墓ッス」

「オッケー、んじゃこれ持って衛兵にそのこと――」

 

 いや待て。

 ……うん。

 

「――衛兵やその上部及びに関係者。そこにお前らの仲間はいるか? もしくは賄賂次第で事を揉み消せる有力者の存在」

「いるッス。ノースミナス衛兵団の第三位に黒鉄の方のメンバーがいて、第二位が金に汚い男って聞いたことあるッス」

「クソがッ」

 

 一番上が腐ってないのがまだ救いだが、組織の二番目と三番目がクソというのは致命的過ぎる。

 現実的に考えてデカい街を護る組織のトップと会う、なんてのはまずありえない。

 そんな幸運はない、というか幸運でどうこうできる内容でもない。

 重要組織の長がそんな無防備に一般人と接せるワケがないし、会えたとして周囲に組織の一員がいかねないワケで。

 そうなるとそいつも腐ってる可能性がある以上危険すぎる。

 第三位と第二位の耳に入る可能性があるだろうし、場合によっては一緒にいる奴が強硬策を取ってトップを殺そうとしかねないから周囲に被害が出るという点で却下だ。

 

 そもそも見ず知らずの男の戯言を誰が信じるよ?

 第三位と第二位は伊達にその地位にはいないだろうが。

 信用度が足りません、だコノヤロー。

 むしろ虚偽の報告で俺が犯罪者、ノースミナスの国的重要度を考えたら国家転覆罪にすら問われかねないじゃねえか。

 かといって放置したらそれこそ国が傾いて確実にアウトだし。 

 

「ダぁクソッ。このまま書類を持っておきたいけどこいつらを返さないとそれこそ組織にバレるし……」

 

 多少の遅刻はともかくこいつらを返さない&書類の持ち逃げは露骨な地雷すぎる。

 どっちも返さないと俺が行動できなくなるし。

 

「組織の場所を教えろッ、あとリーダーの名前ッ!」

「場所は――。名前はヴァーチュ、ッス」

「わかった。最後に……お前ら、今のやりとり及び能力を掛ける前、俺に話しかけた直後からの記憶を完全に消去しろ」

「わかった」

「わかったッス」

 

 とりあえず聞くべきことは最低限聞いた。

 他にも色々聞きたいことはあるが今ここで聞くと時間が掛かりすぎる。

 

「そうだ」

「……いやぁ、災難だったな。てっきり俺も盗られたと思って追ったんだが俺の方は平気だったよ」

 

 唐突に始まった男の言葉。

 脳を高速回転させて俺たちのやりとりを正確に思い出し、ワンテンポ遅れつつ同様に返した。

 

「そいつを早く返してくれ」

「そんなに大事なのか、ほらよ。俺が奪い返せて良かったな」

「感謝する。……中身は見たのか?」

「蓋が開いてることか? ちょっと見えた程度で詳しくは知らねえけど……。何? 開けたらなんか効力が失われちまう魔道具とかか? それなら済まねえ、あまり金は持ってねえけど手持ちだったら全額で賠償するぜ?」

 

 嘘じゃない。

 ちょっと(組織背景が)見えた程度で、(お前たちのことは)詳しくは知らない。

 書類に関してもちょっと見ただけ、契約書とか熟読しても得られる情報なんて皆無だ。

 そこに関わった人間の名前と取引内容とかくらいしか憶えてませんよ~。

 ついでに、賠償って言ったけど指輪に収納してるしギルドに預けてるから手持ちゼロだけどな。

 

「兄貴、嘘の臭いはしないッス。なんか面白い感じはするッスけど」

「……そうか。疑ってすまない。見られたくないモンでな」

「何それ。中学時代の卒業文集?」

「……なんだそれは」

「あ、スマン。この世界じゃそういうのないのか。俺異世界人でな、思春期時代の浮かれた心が引き起こす嫌な思い出とかそういう感じのがあるってことだ」

「そうか」

「面白い感じはそういうことッスか」

 

 ……うん、弟分くん。

 耳打ちしてるけど聴覚強化しなくても普通に丸聞こえだぞ?

 

「ちなみに女を知らねえか?」

「オッサン……そういうのは娼館に行けばいいと思うぞ?」

「違う。盗んだガキのことだ」

「え、アイツ女だったの? てっきり男だと思ってた」

「もういい。手間をかけさせたな」

 

 …………。

 

「出てきていいぞ。もう俺の索敵範囲にいない」

「身体が……」

 

 狭いところに窮屈な姿勢で閉じ込めたから痛いらしい。

 

 うん、ごめんね。

 

「てことで、キミの罪は正直消えたんだけど。何もなしに放置したら同じことやらかしかねないし、反省してても罪悪感が残るだろうからせめてもの罪滅ぼしとして手伝え」

「え……」

 

 ま、罪だのなんだのというのはクソほど興味がない。

 俺及びその周囲に被害が出なければ多少の罪なんてどうでもいいし、罪悪感が残ろうがなんだろうが知らない。

 むしろ『一生罪悪感に苛まれてろ』とすら思う。

 無関係だから。

 

「ど、どうして罪が消えたの?」

「そりゃ罪に問えないからだよ。今回の一件で関わったのは大きく分けて三つの勢力、わかりやすく三人としよう。一人目、木箱を盗んだ少女。二人目、盗まれた犯罪者。三人目、面白半分で首を突っ込んだクソ男。少女は罪を犯した、だが同様に犯罪者も犯罪を犯していて盗まれたことを問題にしたら自分たちの犯罪も露見してしまう。犯罪者は木箱を取り返せた以上実害はなく、クソ男に関してはほとんど無関係なため一切の被害がない、ただ首を突っ込んで色々知っちゃったってだけ。な? 被害があっても言えない犯罪者と実害ナシのクソ男、今回関わったのがそこ二人である以上キミに罪は実質的にないワケ」

 

 うん。

 これ説明にクソ男(おれ)入れる必要なかったな。

 とりあえず関わったから登場人物に含めたけど。

 罪の云々なら犯罪者との云々だけで良かったわ、ちゃんと考えて離さないとダメだなこれ。

 

「あ、ありがと……」

「あ~別に助けた礼を言葉でされてもいらん。働きで返せ」

 

 口ではなんとでも言える。

 そこそこ交流のある人間ならともかく、浅い関係の何考えてるかわからない奴相手ならそっちの方が何倍も有益だ。

 

「あ、そうだ……[俺の能力を他者に対して伝えることを禁止する。言葉でも文字でも念話でも、動作でもありとあらゆる手段での禁止だ]」

 

 話すなと言われたから文字で教えた、とかそういう古典的手法とミスもキッチリ封じる。

 そもそもこいつが文字を使えるのか知らないが。

 

「ま、そろそろ始めるか」




 すぐそうやって面倒事に首を突っ込むんだから……
 ま、面白そうだと思っちゃったら仕方ないですよね
 好奇心は止められません

 ワリとバカな細身の男(兄貴)と普通の男(弟分)に血のつながりはナシ
 役割はパワー系バカ枠と常識枠

 少年は少女だった……
 意図的にそう見えるような格好をして、意図的に少し声を低くしてるため勘違いしたのはヒイラギの見る目がないのではなく少女の擬態が上手かったってこと
 独り言でも声を低くしてる理由は『役を演じるなら日常レベルで』という、要するにボロ出し防止のためです
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