ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!!   作:名無しのクズ

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第七七話 敵の真意は如何に

「ララリマン鉱業、黒鉄の墓、ヴァーチュのこと。それぞれ知ってる内容を教えろ」

「え、えっと…………」

「はいはい、知らないのね。役に立たん」

 

 なんで悪事に手を染めようとしたのにそっちの情報一切ないのか。

 まあそもそも相手を考えず露骨にヤバそうな顔の相手から盗んでる時点で大分ダメなのだが。

 

「た、ただ、ヴァーチュって奴は知ってる。かもしれない」

「……ほう?」

「昔、廃墟群(スラム)にいた奴がそんな名前だったはず。もしアイツが黒鉄の墓のヴァーチュって奴なら今廃墟群(スラム)が面倒なことになってるのもそいつの仕業……と思う」

 

 スラムで。

 ふむ、一緒かもしれないけど確証はナシ。

 けどスラムのヴァーチュも問題児な感じなのか。

 

「面倒なことってのは?」

「ボクが盗みをした理由にも繋がるんだけど……今廃墟住み(スラム)の子どもの多くがヴァーチュのチームに命じられて悪いことをさせられてて、顔がバレたら面倒だからって普通の仕事するのはダメって」

「……言っとくが同情はしないからな?」

「いらない。アンタにそういうことしても意味がなさそうなのはわかったから」

「ならいい」

 

 犯罪の強制。

 まあそういうことなら事件が収まった後で自首させて、減刑になるか?

 コイツの働き次第で事件を収束させた恩を街の偉い奴に売ってその恩で減刑させることも考えてやってもいいが。

 ……そのあたりはその時考えるか。

 罪は罪としてしょっぴく可能性も充分あるし。

 この国の犯罪に関する認識はまだわかってないから考えても意味ねえ。

 

「盗みをさせて何を……盗んだモンの行き先は?」

「そいつらが買い取るって」

「金額は?」

「知らない。けど半分って」

 

 初犯だからそりゃ知らんか。

 けど売値の半分って良心的だな、おい。

 九割持って行くとかそういうのかと思ったが……まあその値段が言ってる通りの額なら、の話だけど。

 にしても盗ませて何がしたいんだ?

 

 その意図がわからない。

 金が欲しいなら鉱業に入れて格安で使い倒すなどの選択肢がある。

 盗みをさせるにも金持ちなどに標的を定めて、というモノも。

 それに関しては相手によっては盗むのが面倒になるというのも考えられるが、一般人からその場のモノを盗ませたところで利益にはつながりにくい。

 

 目的は無差別な盗みで得られる即物的なモノではない、と。

 さらに言えば金の可能性も低い。

 金が目的なら奴隷として売った方が早いだろうし。

 コネがない?

 ……いや、組織悪がその程度の繋がりを持ってないワケがないからやっぱり金は違う。

 

 盗みで得られる即物的でも金銭でもない何かしらのメリット。

 恐らくは概念的な何かなのだろうが、そう簡単には想像ができない。

 そもそもそんなモノは存在するのか。

 

「そ、それで――」

 

 少女が何かを喋ろうとした時、少女の腹から大きな空腹音が鳴る。

 なぜか少女は一度俺の腹に目を向け、俺の視線に気づくと理解したかのように自分の腹に視線を持っていった。

 

「……食うか?」

「……食べる」

 

 さっきのアラミナを差し出すと少女は頷き、大きな口を開けてかぶりついた。

 浮浪児にとってこういうのは贅沢品で食べたことがないのか、少女は初めての辛みに悶えている。

 俺はちょうどいいと感じたが、それは日本で色々辛い食べ物を買って食べてたりしたから慣れているだけであって確かに耐性のない子どもには大変だろうと理解し、仕方ないから水を飲ませてあげることにした。

 クセで右手でコップと水を創りそうになったところを直前で止まり、改めて左でコップを創り、水を創って少女に差し出す。

 

「何これ、口が痛い……」

「やっぱ子どもには無理か……。それは辛いって言ってまあ、モノとしては痛覚に違いはないがある程度慣れると美味く感じるんだが、個人差はあるし……」

「食べる」

「お、偉いな」

 

 多少辛くてもちゃんと食べようってのは食糧を中々得られない環境で育ったからか。

 好き嫌いはあるんだろうけど我慢して食べられるのは普通に偉い。

 というか場合によっては大人でも好き嫌いが多くてわがままな奴いるし。

 

「この水、何?」

「普通に水だけど……」

 

 魔術で出した水って味違ったっけ?

 それに魔術の水とはいえちゃんとずっと残るように普段と違って存在力……存在強度高めでやったから問題ないはずなんだけど。

 

「水、美味しい。なんというかさっぱりしてる……気がする」

「普段ちゃんと街の水飲んでるんだよな?」

「うん」

「……?」

 

 街の水飲んでて違う感じがするってどういうことだ?

 アレか?

 軟水硬水の違い的な。

 この街の水がどっちがどっちだか知らんが。

 

「で、何言おうとしてたんだ?」

「ボクに何をしろって言うのさ」

「そりゃ調査だよ。もちろん危ないことをしろってワケじゃない。ヴァーチュって奴のことを廃墟地帯(スラム)の奴らに聞いてくればいい、もちろん普段親しくしてる仲間にだ。変に暴走して尻尾掴みづらくなったら面倒だ」

「わかった」

 

 ったく、ホントああいう奴らは何がしたいんだか。

 もしヴァーチュとか黒鉄の墓ってのが理性的な奴らだったら俺も見て見ぬふりをするんだが、これで『ただ私腹を肥やしたいだけなんです』『独りで破滅するのが怖いから周囲丸ごと道連れにしてやろうと思ったんです』とかそういう類のアホだったら善とか悪とか関係なく全力で捻り潰してやる。

 まだ街の上層部が腐敗してるから立て直す、国がクソだからマトモな国を造るために革命を起こすとかそういうのだったら納得はできる。

 とはいえ王都を見る限り、雰囲気とかを感じた限りだと王族が腐敗してるとか大臣とかが腐敗してるってのはなさそうだけど。

 

 周囲を巻き込むなという当然のツッコミがある。

 国を善くしたいのなら自分がそういう仕事に就けばいい。

 ビックリなことにこの国は先進的で、有能であればそういう上級職にも就こうと思えば就けるのだ。

 単に長期的な思考を持てないだけかもしれないけれども。

 そういうヤツが往々にして無駄にデカい声で政治批判をするのだ。

 

 マジで目的なんだろ?

 絶対何かしらの目的はあるはずなんだよなぁ。

 じゃないとやってることの説明がつかん。

 どんなバカでも何かしらの理屈はある。

 バカほど即物的なモノに飛びつくからこれは違うはずなんだけど……。

 

 本当に理解している人間は仲間内だけか、実戦に移す。

 けれど理解せず、中途半端に知的レベルのあるアホは今政治が何をしているのかを理解できてないまま理解した気になって見当違いのことを言うのだ。

 質が悪いことに平凡に比べて頭が良いことは確かでその自覚があるから間違いを認めない『これが正しいんだ』という思考停止の主義者ができる。

 頭が良い人間は多分どれだけ勉強しても自分の知識じゃ及ばない範囲があることを理解してるから声高に主張を掲げるなんて恥ずかしくてできないはずだ。

 

「んじゃとりあえず二時……第六の鐘の時にまたここに来て」

「わかった」

「ちなみに名前は?」

「……アイヴィ。あんたは?」

「チベスナで」

「偽名じゃないの?」

「はいはい、わかりましたよ。ヒイラギだ。仮面付けてんだから察せよ」

 

 さて。

 正直一日で片づけたいところだけどそう簡単な相手じゃないだろうな。

 偶然と【洗脳(チート)】ありきとはいえその程度で簡単に尻尾を掴めるようならそもそも悪が蔓延ったりはしないだろうし。

 

 どう攻めるかが肝心だ。

 こういうのは本来警察――この国で言えば衛兵などの風紀組織に投げるべき。

 とはいえ相手も人員も体力も限られていて、全ての報告を全力で受け止めていたら組織として運営できないのは確か。

 多少証拠がなくてもすぐ対処可能な事件なら対処するが、証拠なしに大きな事件には身を入れづらい。

 虚偽の可能性が高い。

 となると俺がやるべきことは、相手が動くに値すると判断できるレベルの証拠を集めて提出すること。

 もちろん第三位と第二位に悟られず、さらには不特定多数の内通者(スパイ)を見極めて信用できる人物に対して証拠の提出をしなければならない。

 

 うん、メンドクセエ。

 いっそのこと証拠を不特定多数の人間にバラまいて犯罪行為の数々と腐敗を周知の事実にしちまおうか。

 ……やめとこ。

 

 逃げられるうえに関係ない奴らを巻き込みかねない。

 それに黒鉄の墓の方はともかく、ララリマン鉱業の方は表な分犯罪とは関係のない一般人もいる。

 浅慮で相手に時間を与えてしまっては一般人がスケープゴートに使われかねない。

 やるなら秘密裏に、逃げる時間を与えずに、だ。

 

「こうして考えると正義のヒーローってスゲエな……」

 

 俺には正義のヒーローも、無償の正義もできそうにない。

 無論する気もないが。




 何をする仁もお金は必要なワケで、そんな現代社会における無償の正義ってのは金持ちの道楽な気がします
 それともパトロンでもいるんですかね?


 それはさておき、王族や大臣たち及びそこに使えているアデルたち騎士などの名誉のために言っておきます
 現在ルートヴィヒは善政を行っていますからね?

 国民あっての国家を理解し、その上でちゃんと政治を行っています
 識字率が三割とまだ低いのでその向上のために無償の図書館を多数設立し、新たに国民となる子どもたちのために簡単な文字で書かれた絵本を多数製造、老若男女各世代に向けの定期的な朗読会の実施
 参加すれば少額のお金が支給される勉強会の定期開催
 新政策を施行する際は国民の多くが理解できるようにわかりやすく要約した内容を記した書類を配布するなど国民の理解を得られるように努力していますし
 そのため国民は王が民を理解している、と理解しているため支持率は高いです

 王制であって民主制ではないですが、大臣などになれば直接政治に関わることもできるため政治に対する意識は高いですし直接でなくとも間接的に政治に関わる手段はいくつか存在するため国民全体の政治への理解は強いです
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