ワリとクズな主人公が行く! 異世界洗脳!! 作:名無しのクズ
「で、答えは出たか?」
いくつかの買い物を終え、黒鉄の墓の拠点である鍛冶屋近くの屋上へとやって来た。
「う~ん……。もしかして反射で外から中を覗こうとか考えてる?」
「
「……言っておくけどボク、そこまで目は良くないよ?」
「……ん?」
「そもそもさっき歩いてるときも話したけど、ボクはヴァーチュの顔を知らないし、何を見ればいいのか知らないし」
「……ははっ」
「ヒイラギ、貴様意外と他人の話を聞かないのだな」
「か、考え事してて聞こえてなかっただけだしっ」
あい、サーセン。
普通に今後どうしよ~、とか考えてました。
「ま、まあ? 何を見るかに関しては俺とヘルベルトで判断すれば良いし? 感覚強化で視力をね? やれば良いと思うよ。うん」
「何それ」
「おっふ」
即詰みですかそうですか。
いけると思ったんだけど……。
「強化は外部からもできるが」
「あ、そうじゃん。ならヘルベルト頼んだッ」
「いや、固有能力を使うならそれは無理だ。流石にそれをしながら集中の必要な他者への強化付与は僕にもできない」
「じゃあ残るは俺か。……自分以外にするのは初めてだけど、頑張ります」
他者から、オルロヴァからされたことはあっても俺が誰かにというのはなかった。
その感覚がわからないままやるのは少し不安ではある。
とはいえオルロヴァが、同じ見習いだったオルロヴァがそこまで気負うことなくやっていたのだから難易度的にもそこまで高くないはずだ。
よほど変なコトをしない限りは失敗しない。
「ならアイヴィが道を創って、俺がそれを整えて、ヘルベルトがそれを共有する、で良いな?」
「そうだな。しかしどうする?」
「何が?」
「僕の固有能力は相手に触れなければ効果が及ぼせない、かといってヒイラギがその少女から離れると強化が付与できない。となると円を描くように手を繋ぐか?」
「……普通に三人並んで真ん中で手を重ねたら良いんじゃないのか? 多少面倒ではあるけど手から伝ってでも強化はできるし」
「なるほど」
確かに経路を考えれば俺がアイヴィの顔面を掴むように眼のあたりを触れたら楽ではあるけど絵面がアレだし、俺もあまり気乗りはしない。
経路が伸びる分面倒ではあるが手は絵面的にも楽だ。
「てことで、並ぶ方向で」
身体のサイズ的にアイヴィを真ん中に居させた方が負担が軽いと思ってそうしたものの、アイヴィは少し考える素振りを見せてから俺のことをチラリと見て、その後ヘルベルトのことをチラリと見て、俺たちの間から抜けて俺の左から右へと移動した。
恐らくヘルベルトが少し怖いのだろう。
これでもかというほど露骨な見捨てる&興味ない宣言をしたし呼び方も名前を教えたのに少女呼び。
出会った時からずっとフードを被っていて軽く不審者だ。
だったらまだ比較すれば付き合いの長い俺の方を選んだ、というか盾にしたのだろう。
一応罪を見逃したようなものだし、餌付けもした。
「では……少女よ、お前の視界を共有するぞ」
「う、うん」
うおぉ、一気に視界が落ちた。
確かに子どもの頃って地面との距離こんな感じだったそうだった。
ゆっくり背が伸びて視界が変化するから普通にしてたら気づかないけど、戻るとこの感じ懐かしい。
素で若干視界が違うのも面白い。
なんというか俺と比べるとほんの少しだけ明るいような……。
まあ気のせいで片づけられるレベルではあるけど。
「じゃあやるぞ」
「うん……」
少しずつ慎重に魔力を眼に送り、視力を強化する。
アイヴィの視界も鮮明になり、そして意識を集中すると視界がその部分を拡大した。
指示をして俺たち以外には不可視、かつ干渉不能な鏡を創って内部を調べる。
そうしているとアイヴィが魔力切れを起こしかけた。
が、移動の時買い集めてきた
ついでにヘルベルトにもいくつか渡しておき、俺も飲んで回復する。
「右の方を見よう」
「左の方も怪しいぞ」
「そうだな、先に見てみるか」
「行き止まりか」
「隠し扉かもしれないけど誰かが使わないことにはわからないな」
こっちが怪しい、こっちも怪しいとあちこちを探して回り、もはや地図ができそうなほど。
「む、視界が揺らいだな。大丈夫か、少女」
「ちょっと辛い……」
「あ、スマン。休むか」
「ふむ、仕方あるまい」
「……いや、平気。まだ頑張れる」
「なら奥の方を一度一気に消して、手前の方を調べるか」
大量の鏡を順に消し、手前の方で偉そうかつ怪しげな人間を探してその経路を辿る。
何人かに同じことをして。
そしてようやくその場所を突き止めた。
「……あの店員、裏の奴だったのか」
明らかに表とは雰囲気の異なる空間。
客はおろか、普通の店員すら入らないから綺麗にする必要もする者もいないのだろう。
同じ建物とは思えないほど汚い部屋がそこにはあり。
そこには白い髪の男がニヤニヤと楽し気に笑っていた。
「これ以上見ても意味がないな」
「そうだな。もう充分だろう」
「アイヴィ、もう終わりだ」
「え、う、うん」
音声が拾えず映像しかわからないなら必要以上の監視は逆効果だろう。
場合によっては気づかれかねない。
一応ざっと全体を見たから大丈夫だろう。
「でもどうするの?」
「……どうしよっか?」
「これはどう動けば正解か、わからんからな」
「明日もやるの?」
明日……。
それはちょっと辛いんじゃないだろうか。
「再集合は三日後。待ち合わせは俺らが集合した場所で」
「なんで?」
「理由は色々ある。が、あえて色々抜いてぶっちゃけると俺にもプライベートがあるし二人にもプライベートはあるよな。って話。まあ言い訳的なことをするなら開拓兵方面で調べてみようかな、と」
「なるほど。たしかに僕にもやることはある」
「ボクも……流石に毎日は生きられなくなるから」
アイヴィは特に切実だな。
そもそも一日一日を生き抜くのでさえ大変な子を一日拘束させるのは罪云々を差し引いても少しだけ気が引ける。
「そうだ、アイヴィは金と飯どっちがいい?」
「ご飯。……あの辛い奴が良い」
「お、ハマったか。ならホレ」
幸い朝買ったものがそのまま残っている。
「……気になっていたのだが、それはその指輪によるモノ、そうだな?」
「お? そうだな」
世を知らないアイヴィはともかく
現状世界に一つかもしれない、マユゲしかその原理を知らない。
そんなレベルの魔道具だ。
研究狂いの種族的にはまさに血が騒ぐ、といった感じになるだろう。
「その指輪は一般に?」
「いいや。知り合いの
「……見せてもらっていいか?」
「…………ん~、ダメ。あくまでも借りたモノだから」
「くッ……。本当のことを言えば調べたい。今すぐヒイラギの指から抜いて調べ尽くしてしまいたい! だがッ! 友人にそんなことはできない! 許可なき情報源から無理に暴こうとするのは研究者としての矜持にも関わる!」
お、おう。
熱量が違うぜ。
表情の動くクール系かと思ったら普通に感情動かすことあるのね。
ただ単に種族的もしくはヘルベルト個人的に俺とか俺がこれまで接してきた人間たちとは感性が違うだけだわ。
てか友人って言った?
へ~、もう友人なんだ。
……少ないから嬉しいな、おい。
「ま、まあそれが可能ってのがわかっただけでもそれに対する取り組み意欲は全然違うだろうし」
「そうだな。目標が明確なのとそうでないのとでは効率が全く違うからな」
「まあ明日明後日のうちにそっちの役目を果たしつつ好きに研究したらいいと思うぞ。うん」
プライベートで何をしようともそれは個人の自由だ。
それなりに役目を果たしたうえで自分に時間を割くのなら流石にヘルベルトにそれを命じた奴も文句は言わないだろう。
恐らく。
種族的にブラック企業気質で役割を受けた以上は年中働けと言わない限りは。
てかアイヴィちゃ~ん?
辛いのにそんなに悶えるなら食わなくていいのよ?
いや、わかるけどね。
待ってるのが苦痛としても時としてやっちゃうのはわかるさ。
激辛料理巡りとか俺もしてたし。
だからってそんなに悶える?
「……水を飲め」
「ありがと」
辛そうにしながらも嬉しそうに食べている光景は少し可愛らしい。
小動物を相手にしている気分だ。
「まあとりあえず三日後、三の鐘(八時)に露地で」
この男ども……アイヴィをちゃんと人間として見てるんですかねぇ?
ヘルベルトはともかくとして、ヒイラギ……そういうところだぞ
ちなみに基本的に
そもそも他人に対してあれこれ干渉することがほとんどないですからね
ンなことするより引き籠って研究だ!
を地で行く
性欲がないワケではないですが結界という安全な場所で暮らしているため生存欲が低下していて、性欲も減衰、年間出生数が低いです
セックス? そんなことより研究だ! な脳みそを男女ともにしてます
仕方ないね