ピンポンパンポーン。
『2年3組、丸澤谷泉くん、至急、生徒会室まできてください』
ピンポンパンポーン。
「谷泉先輩、大丈夫ですか?」
「あ、ああ、なんでもないよ、丸山さん」
「紗希って呼んでください、谷泉先輩」
「抜け駆けしないで、こんな子より、私の方が可愛いですよ、谷泉先輩」
「2人とも可愛いよ、じゃあ、少し生徒会室にいってくるよ」
「はい、いつまでも待ってますよ」
「待ってる」
「あ、ああ」
────ー少年移動中────ー
「なんだ? 生徒会長」
こいつに呼ばれる時は、大体いつもあいつらがいるはずなんだが、今日はいない。こう言う時は決まっていつもやばいことばかりだ。だが、あいつがそう言う時に俺しか頼れる人間がまだいないことも知っているから断りずらい。
「もー、他人行儀になって揶揄うのはやめてよー、谷泉、あ、干し芋いる?」
「話をずらすのはやめてくれ、なんのために呼んだんだ?」
少なくとも、こいつは至って普通の、いつも通りに見える。自分がこの学校の膵臓だと理解しているのだろうか。まぁ、理解していたらこんなことにはならなかったはずだ。
「わかってるんでしょ? や・ず・み・くん」
「戦車道のことか? 何度でもいうぞ、俺は参加しない」
俺はもう、あんな血と硝煙の匂いがし続ける場所には行きたくない。何があっても、だ。二度と引き金を引く側にはなりたくないし、引かれる側にも当然なりたくない。もう2度と、あんな殺気と空気が同化した
「そんなつれないこと言わないでよ、
「なんでそれを……」
そのことについてはこいつにさえ言ったことはなかった筈だ。それを知っていると言うことは、
「ちょーっとね、でも、その戦績で一般人はちょっと無理があるんじゃないかな?」
「どこまで知ってる」
どこまでだ? どこまで知ってる? 俺はまた、逃げなきゃいけないのか?
「もー、怒らないでよ、でも、君のことならなんでも知ってるよ、愛する人のことを知りたいと思うのは普通じゃない?」
「参加すればいいのか?」
参加するだけでいいのなら、いくらでも参加しよう。そう言って、実際はやらないなんてのをこいつが許してくれないことはよく知ってる。逃げ場はない。きっと、いつものあいつらがガッチリとドアをガードしていることだろう。
「もー、そうゆうわけじゃないんだよねー、あくまでも、自分の意思で参加してくれないと、それに、装備も多少は融通するよ?」
「わかったよ、わかったから、参加する」
逃げ場は、ない。前へ進むも、右に進むも、左に進むも、後ろし下がるも、全て地獄の入り口しかない。なら、ドアに入って、また出てくる以外の選択肢以外、存在しない。
「そーこなくっちゃね」
「で、何がしてほしいんだ?」
ここまでお膳立てされておいて、して欲しいことがわからないほど俺は鈍感じゃない。それに、勘はいい方だ。嫌な方にだが。
「まぁまぁ、座りなよ、でだ、硬式戦車道って知ってるかい?」
「っ! ああ、知ってるよ」
だが、あらためて言われると、驚く。たとえ、それが予測できる解答であったとしても、驚くときは驚くのだ。
「谷泉くんにはね、それに出てもらおうと思うんだ」
「俺以外の
「残念ながらってやつだね、ごめんね、君の部隊がどうして壊滅したか知ってるのに、ごめんね」
「わかった、だから、泣かないでくれ、で、装備は?」
「死ぬかもしれないからね、日本戦車道連盟から貸与、もしくは資金援助があるよ」
「わかった、で、ここにある装備は?」
「うーんとね……」
「何があるかだけでいいから」
「生徒会の護身用のワルサーp38が3丁と、弾なしのMARS automatic、ボーチャードc93、だけだね……」
「そうか……資金援助を頼んだ方がいい、その金で多少、装備を整えよう」
「ごめんね、頼りきりになっちゃって」
「何か、あったのか?」
「ううん、なんでもないよ」
「それならいいんだが……」
「そろそろかーしまに小山も戻ってくるからさ、またね、やずみくん」
「あ、ああ、また」
はぁ、受けてしまった……、もうあんなことはしたくないのに……
「谷泉先輩じゃないか」
「どうした? 麻子、急に抱きついて」
「どうして今日は起こしてくれなかったんだ?」
「ごめん、今日は色々と用事があったんだ」
「おかげで一緒にいる時間が52分48秒も短かったんだぞ、寂しかったんだぞ」
「ごめん、当分は一緒にいるからさ」
「ありがとう、生徒会室から出てきたが何かあったのか?」
「戦車道に誘われたんだ」
「あの女狐が……硬式戦車道か……参加するのか?」
「ああ、もう後戻りはできない、やるしかない」
「そうか……じゃあ、私も参加する」
「それは……麻子に傷がついたら婆さんにどう謝ったらいいのか……」
「その時は谷泉先輩が貰ってくれ別に、いつでもウェルカムだぞ」
「そうだな……何か言ったか?」
「いや、なんでも」
「そうか……」
「麻子、起きろ、遅刻するぞ」
「んぁ……ちょっと待ってくれ」
「朝ごはんはそこにある、それと、早く着替えろ」
「んぁ、あ?」せきめん
「見たか?」
「いや、見てない」
「そうか」
「痛っ、なぜ叩いた」
「なんとなく」
「はぁ〜、そろそろいかないと本気で遅れそうだから先行くぞ」
「ちょっと待っ……」
「やっぱり、装備はこれだけか……、装備は新しく調達するとして、弾薬をどうするか……」
スー。何も開いていないのに、風の音がする。
「…………ここか」
ガンッ。壁は蹴破られた。
「これは……」
そこには大洗に戦車道があった頃の装備が置いてあった。
「防弾チョッキ類は全て廃棄だな、装備はまだいける、弾薬も多少ってとこか……」
そこにあったラハティL39対戦車ライフルを手に取る。
「やっぱり、こいつは使える、他も保存状態はいい、なんとかなるはずだ」
そして、それらを持って外に出た。
読んでくれるだけでもありがたいです。