いきなり練習試合か……。どうやら軟式で殲滅戦をした後に、硬式の殲滅戦をするらしい。軟式は大洗の地元でやるが、公式は聖グロの地元でやるらしい。聖グロにとても有利だな。戦車が使えるかはわからないしな。
「あら、あなたが歩兵隊隊長かしら?」
「ああ、そうだ」
「聖グロはサンダースみたいな下品な戦い方はしないわ。お互い、騎士道精神で正々堂々といきましょう?」
「そうできればいいんだがな……」
もちろん、中世の騎士みたいに名乗りを上げて突撃するなんていう馬鹿みたいなことはしない。
「ええ、そうですね、お互いに全力を尽くしましょう」
「ああ、そうだな、死力を尽くそう」
硬式はもはや実践演習とやっていることはなんら変わらない。ならば、全力よりも死力の方があっていると思うんだが……。
「ええ、ところで」
「なんだ?」
「あなた、昔会ったことがないかしら?」
「ないね、覚えてない」
「そう、では、終わったらまた話しましょう」
「あ、ああ」
さて、まともに戦う必要はない。相手が作戦にうまくハマれば今日中に終わらせられるはずだ。ちゃんと従ってくれるといいが……。
──ー対聖グロ硬式戦作戦会議──ー
「歩兵隊隊長兼硬式戦隊長の丸沢だ、よろしく」
「あらためて、Ⅳ号戦車車長の西住みほです、よろしくお願いします」
「三突車長のカエサルだ、よろしく」
「八九式車長の磯辺です! よろしくお願いします!」
「M3リー車長、澤梓です、よろしくお願いします、谷泉先輩」
「38tの車長の角谷杏だよ、よろしくね、谷泉くん」
「これで全員の自己紹介が終わったわけだ、さて、作戦だが、ゲリラ戦を展開する」
「あ、あの……」
「なんだ、西住車長」
「ゲリラ戦は確かに有効ですが……それでは時間がかかりすぎて……」
「確かにそうだ、そこで、三突を除く各車には全ての砲弾を榴弾にしてもらいたい」
「「「え?」」」
「それでは撃破でき……」
「はいはい、かーしまはちょっと黙ってて」
「会長〜」
「もちろん、理由はある、まず、今回の作戦には三突と38t以外を戦力として数えていない」
「それは、どういうことですか?」
「今回の作戦にで、砲を撃つのは三突だけだ」
「それでは戦車は……」
「エンジンを打ち抜けばやれる、それに、動かなくなればいい、それ以外の車両は歩兵の掃討を頼みたい」
「38tは?」
「囮だ、砲弾を全て下ろすから機動力は相手よりも高くなるはずだ、それを生かして囮にする」
「りょーかい」
「で、榴弾の使い道だが、道に埋めて地雷とする、これは接触信管をいじれば可能だ」
「それでは……」
「ああ、そうだ、対戦車用の地雷だ、これで履帯を切ってからなら二発は撃てるはずだ」
「……わかりました」
「あ、谷泉先輩はどうするんですか?」
「
「戦力が足りないのでは?」
「いや、先に戦車隊に奇襲をかけ、これを殲滅する、その後は吹き飛ばすだけだ」
「わかりました」
「反論はあるか? 、無いようなら解散、他の履修者にも伝えるように」
「「「「「はい!」」」」」
さてと、作戦が功を成すといいんだが……。
──ー試合開始!
これからやることは単純だ。ひたすら穴を掘って設定した砲弾を仕掛けていく。西住は何か言いたげだったが、これが
side 西住みほ
私は今、穴を掘っている。そこまで深くない、深さ50cmくらいの穴。だけど、この中には砲弾を入れるらしい。その時に、彼が言ってた。下に釘とその周りにふんわりと土を入れてから砲弾を入れてくれ、と。これがどういう意味かは、よくわかった。これは、履帯を壊すのでも、転輪を外すためのものでもない。転輪の駆動部分ごと吹き飛ばすためのものだ。しかも、人間が踏んでも作動しないように信管が調整されている。これは、戦車殺しの地雷だ。
side out 西住みほ
side カバさんチーム
「こんな作戦、聞いたことがないぜよ」
「私もだ、こんな作戦は見たことがない」
「だが、機動力を削ぐのは有効だな」
「しかし、いつまで待っていればいいんだ? キルゾーンにはまだ来ないのか?」
「まだだ、だが、もう少しの辛抱だ」
「それもそうだ」
side out カバさんチーム
さてと、やっと見つけた。護衛の戦車隊は…、ダージリンでは無いな。まぁ、やることは変わらない。それに、チャーチルはとてもやりやすい。やることは変わらない。ただ、引き金を引くだけだ。