最近はサウナがブームである。
『整う』という言葉もそれとなしに聞くようになった昨今だが、女子が一人で気軽にサウナというのはまだ抵抗があったりする。
24時間サウナとかは大体繁華街にある訳で、ふと夜に入りに行くにはお金の面と安全の面からお勧めができない。
とはいえ、サウナ気分というものを味わいたいという時に、謎アイテムの存在を友人経由で知ることになる。
「春河童先生。
サウナ傘ってのをご存じですか?」
仕組みは簡単。
お風呂の湯船の上に傘を被るだけ。
お湯は当然湯気を立ててその湯気は上に上がるのだが、傘で逃げられなくすれば下はお湯で、上は湯気でポカポカという理屈。
という訳で買ってしまったのである。サウナ傘。
お値段は2000-3000円台で、まぁ交通費込みでサウナに行くならばというお値段。
という訳で、傘を開いてみると、傘が逆に開く。
「そうか。柄の部分が邪魔にならないように天井を向いている訳だ」
一人納得しながら空の湯船に置いてみる。
およそ湯船の2/3が傘ですっぽりと覆われるが、傘が透明なので中は思ったより明るい。
という訳で、湯船にお湯を注いでみる。
まずは普通の湯量を入れて、裸になって……これどうやって入るんだ???
鍋の蓋をとるイメージをしてほしい。
その状態で、湯気を逃さずに具を入れるイメージ。もちろん具というのか裸の私である。
まぁ、最初という事で端を持ち上げて湯船に。
傘の中は、湯気で真っ白である。
「うーん……確かにあったかいと言えばあったかいかな?」
私が使うには程よい高さだが、成年男子が使うと頭が傘に当たるかなという感じ。
とはいえ、その効果は上がってから分かる。
体の熱さが逃げないのだ。
「なるほど。たしかに効果はあるみたいだけど……」
風呂上がりの牛乳を飲みながら、そんな感想をぽつり。
たしかに暖かいが、これするなら湯船に蓋を置いて、そのままつかりながら本でも読んでいた方がという考えがちらりと浮かぶ。
なお、全身湯気につつまれるので、これだと本すら読めないし、する事もないので妄想するしかない訳で。
その後、その妄想も汗と共に溶けてゆくので悪い気はしないが、うーむなんて思っていたら、閃いた。
「これ、お湯にお酒入れたら良いんじゃない?」
という訳で、やってみた。
そしたらまぁ、傘に入るなり濃厚に感じる日本酒の香り。
酒につかるどころではない。
酒におぼれるという感じである。
飲ん兵衛大歓喜だろう。
そんなこんなで、だんだん使い方が分かってくる。
要するに、こいつはミストサウナな訳で、そのためにお湯の張り方も工夫しないといけない訳だと。
まず、お湯は普段より胸の下あたりまでで抑える事。
そして、その際にお湯に香りをつけるとなお良し。
ミストサウナ&アロマセラピーというのが、こいつの使い方だろう。
ミストサウナの場合、上がってシャワーを浴びれるのも風呂場ならでは。
目安は汗が浮き出る程度だが、普段使いでも体の熱が逃げにくいので、さっと入って上がるのもあり。
体温が上がって熱が抜けにくいので、これはこれでありと思ったり。
なお、アロマセラピー一本に絞るのもあり。
その場合は、空の湯船に香りの発生源を持って傘をかぶって座るだけである。
匂いの強いお香の場合、焚く際の火の管理とかが問題になる事もあるが、風呂場ならば心配しなくてもいいのがありがたい。
これならば本を持って入る事も可能である。
程よく香りを堪能した後でシャワーというのもなかなか爽快である。
こんな感じの使い勝手だが、今度はデメリットを紹介しよう。
まず、ミストサウナの場合、入るのにそこそこのテクニックがいる。
傘を斜めにしてしまうと湯気が逃げてしまうからだ。
それを避けたい人は、湯をさらに少なく大体おへそぐらいまでにして湯を注ぎ続ける事で湯気を補充するという案を提案したい。
あと、湯船の広さにもよるが、ナイスバディな人は入るのがきついのを宣言しておこう。
端からするりと入ろうとすると、まず尻が湯船に当たり、それを押し込めると今度は乳が傘に当たるという始末。
出る時も逆で乳が当たり傘が持ち上がったり、尻が邪魔で傘が浮き上がったりと四苦八苦。
なお、酒湯で溺れた際は業を煮やした私は最終手段。傘をたたむという手に出て脱出する事になった。
あと、傘が逆になっているという事は、柄が天井を向いているという事で、上の醜態時に持ち上がった傘が天井に当たり『コンコン♪コンコン♪』とまるで啄木鳥のごとし。
あと、片づけ時には必ず風呂場の換気を絶対する事。
カビるので。
まぁ、お手軽であるが、お手軽なゆえの苦労もあるという事で。
この手のアイテムは最終的には『サウナに行けばよくね?』となってそのまま埃をかぶる事になるので、旬なうちに感想を書いておくことにする。
という訳で、タイトルの句である。
……さてと、温泉でも予約するか。