私は休むのが下手   作:北部九州在住

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とある先生から聞いたゾーンの入り方

 ある一定の職業人にとってゾーンというのはとても大事である。

 ぶっちゃけると、ゾーンに定期的に入れるかどうかでその仕事の質が変わるので、人それぞれだが入れる人間がそういう職業についていると言っても過言ではない。

 今回はそんなゾーンの話である。

 

 ゾーンに入る。

 集中力が高まって、周りの景色や音が排除される集中状態。

 これは訓練すると誰でもできると言われているが、その状態まで持っていくのか思ったより難しい。

 身体を使うものがこの状態に持っていきやすいらしいのは運動という行動で既に体力リソースの大部分を使用しているからというものある。

 言い換えると、周りの景色は音が遮断されるというのは己の体のリソースが足りなくなってくるという訳で、ゾーンに入った選手がその後派手に疲れているのはこんな理由もあったりする。

 さて、今度は仕事系のゾーンの入り方だ。

 机に向かってパソコンをポチポチとするケースだと、使うのは頭しかない訳で、この体のリソース不足が意図的に起こりにくい。

 ならどうするか?

 簡単だ。頭を動かせば良いのである。

 そんな単純じゃないだろうと思われるかもしれないが、案外これが馬鹿にならない。

 脳というのは体の中で一番大きな器官であり、常に動いている場所でもある。つまりそれだけ消費エネルギーが高いということだ。

 その脳のリソースを仕事に意識的に配分してゆく。

 私の知り合いの作家はこんな事を言っていた。

 

「例えるなら、飛行機の離陸に近いかな。

 準備して滑走路に入り、滑走路で離陸して飛び立つ。

 そこまで行ったらゾーンに入ったので後はそのまま飛び続けるだけ」

 

 なるほど、言われてみれば確かにその通りである。

 ちなみに、その先生は音楽をかける事で意図的にゾーンに入るように心がけているそうだ。

 

「条件反射って奴ですね。

 例えば起きたら歯を磨くとか、トイレに行くとかそういうやつです。だからそれを強制的に引き起こせるようにすれば意識はしなくても勝手に体が動くようになるんですよ」

 

 との事だった。これをする事で意図的にゾーンに入れるので、私も真似してみようと思ったものの、まだできていない。

 音楽を聞いてしまい頭のリソースがそっちに行ってしまうからだ。

 後日、そんな失敗談を私が話すと、その先生はさらにアドバイスをくれる。

 

「別に無理に聞かなくても良いですよ。

 ポイントは飛び続けるイメージです。

 ここで大事なのは、手が止まらない事なので、音楽をかけている間は手を動かす必要があります」

 

 その先生はこのゾーンに入るように習慣化したきっかけはなんとゲームだという。

 

「シミュレーションゲームってゲーム機やパソコンですると無限に時間を食うじゃないですか?

 音楽を流しだしたのは、それで時間が分かるようにする為だったんです。

 ゲーム音楽はゾーンに入ると消えるんですが、こうやって別の音楽を流す事である一定の意識をそっちに留めておく。

 すると音楽が止まったら、必然的にゾーンから離れる訳で。

 これを習慣化した結果、『音楽をかけ続ける=ゾーンに入ってしまう』と体が覚えてしまったんでしょうね」

 

 昔は二徹三徹が当たり前だったと話す先生の話は妙に実感がこもっていた。

 話を戻すと、そうやってゾーンに入れるようになった人は、仕事が捗るらしい。

 ただ、話を聞いて私がゾーンに入れるようなったきっかけは分かったような気がした。

 写本である。

 物書きとしてでなく、ペンで原稿を走らせる場合何かを生むのは思ったより詰まる。

 この先生の言葉ではないが、離陸できないのだ。

 ところが、写本は先にお手本となる物語がある訳で、その物語の通りに筆を進めてゆくと、自然とその物語から外れた言葉が己の中から生み出されるのだ。

 私は、この瞬間が大好きだ。

 そうやって、己の中から生まれた物語をただただ文字を紡ぎだす瞬間こそ至高の時間だと思っているし、その時の感覚はとても心地よいものだと思っている。

 

 さてと、ここまで話て少しは皆のお役に立てるアドバイスをしようというか、先生の言葉の受け売りを続けさせてもらおう。

 ゾーンに入る時間の話だ。

 これ、長ければ長いほどいい訳ではない。

 長時間集中すると疲れてしまうし、集中力が切れてきた時にまたゾーンに入ろうとすると、逆にゾーンに入れなくなる事が多い。

 これは本当にある話で、私なんかもゾーンを入った後はペンを走らせただけなのにへとへとである。

 だから、脳の栄養である糖分は凄く大事。

 するとだね。言わんとする事は分かったかな?

 動かない人間がゾーンに入って脳が疲れて糖分を求める。

 そう。太りやすいのである。

 糖分を補充して、疲れたからお風呂に直行して、いい気分でそのまま置かれた体重計に……みぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ!!!!!!

 はっ!?……こうして話しているだけで手に持ったサンドイッチと紅茶。そしてその後のお風呂と体重計……もう今日は終わりにしよう!! ではまた!!!

 

(追記)

 

 ちくしょう。少し真剣に歩かないと……




私が使っていたゾーン導入曲
https://www.youtube.com/watch?v=shgodQ51jes&list=LL&index=361

ゾーンに入ると2000字をこの時間内で仕上げる事ができる。
ちなみに、この話の作成時間は45分である。
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