私は休むのが下手   作:北部九州在住

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深夜読書のすゝめ

 これは若い人向けの話である。

 なぜならば、お年をめした方は深夜読書の体力が……げふんげふん。

 本を読むのも体力が必要なのだと悟る今日この頃いかがお過ごしでしょうか?

 

 さて、深夜読書である。

 本というのは面白いのならば一気に読みたいもの。

 忙しい社会人だとそれも難しく深夜にしか時間が作れない人も多いだろう。

 それでも、ある種の人は深夜読書にはまってしまうものである。

 それはどういう人かというと、人生においてこれはとという本を見つけられる、もしくはみつけてしまった人たちの事だ。

 

 人間が一番コントロールできないものの一つに『時間』というものがある。

 これだけは貧富、体力、智謀全て関係なく平等に流れており、人間が時間に合わせる--多くの人で勘違いするが、スケジュールの本質はここ--のが必要がある。

 そして、没頭する本というものは、そんなものを吹き飛ばす面白さがある。

 そういう人は幸せだ。

 人生の節目において、そんな本が必ず頭から出てくるからだ。

 出てこない人は、断言しよう。

 そういう本にまだ出合っていないのである。

 

 じゃあ、そんな深夜読書に出会う本をどう見つけるのだろうか?

 すごく簡単な方法がある。

 本屋に行き、ぱらぱらと読んで、帰りのバスや電車の中でも読んでしまう本がそれだ。

 もしくは図書館で読みだして、閉館まで読んでそのまま借りるように本がそれだ。

 そういう本と出合うと人は否応なく変わるのである。

 

 これも勘違いしているが、『知恵』というものは本来は麻薬なのである。

 古ではアダムとイブが食べて楽園を追放されるぐらいの麻薬である。

 そういうものを私たちは常に摂取して、現代社会というものは構築されている。

 このような劇薬に副作用がない訳がなく、人が本に取り込まれるのだ。

 比喩ではなく、その人の行動規範に本からの知恵がインプットされて離れなくなる。

 そういう本と出合うのが深夜なのだろう。

 深夜に読むのは、人生で出合うべき本との邂逅なのだ。

 そして、その本の魔力に取りつかれたら、もう本からは逃げられない。

 そういう人は幸せなのだろう。取りつかれた私が言うことでもないが。

 

 ついでに深夜読書に必要なものたちを紹介してみよう。

 まずは飲み物。これは必須。

 できればコーヒーや紅茶などのカフェイン系飲料がいい。眠気を追い払ってくれる。

 頭をフルで使うから砂糖は入っている方が望ましい。無理な人は甘い茶菓子をご用意を。

 読むためのBGMが必要な人もいるが私はこのあたりは気にしていない。

 本に取り込まれると音が消えるからだ。

 で、気をつけたいのが気温調整。今はエアコンで設定すればいいのだが、冬にストーブを使う人は換気に注意。

 これで本から離れるのを嫌がって布団の中で読み耽った人間もいる。

 あとは座椅子とテーブルぐらいだろうか? もちろん本を読む場所はリビングなり自室のベッドなりである。

 そして、深夜読書はあくまでも個人の自由だ。他人を気にする必要はない。

 ただ、節度を持ってほしいと思うだけである。

 徹夜明けでテンションは上がるが寝てないから体力を消耗しているのである。そういうのもあるので深夜の読書はほどほどに。

 

 さて、ここからは作者向けだ。

 ありがたいことにこのエッセイは読者だけでなく作者、つまり同業者もそこそこ読んでいるみたいなので、文字埋めついでにそっちの話をして終わろうと思う。

 自分の本を『徹夜で読みました!』なんて言われたら作者冥利につきる。

 そんな本が書けるなら誰だって書きたい所だが、困ったことにそれができるのなら苦労はしない。

 読者が徹夜で読む本というのは、作者も徹夜してでも読みたい本なのだ。

 これだけはおそらく間違いがない。となると、作者側は自分の感性が読者と一致しているかという所がポイントとなってくる。

 はっきりと言ってしまおう。

 自分が時代と合っているか?

 そこの所で作家の運命が分かれる。

 もちろん、作家なんて名乗ってこういう所を覗いている人間は時代に合わせて書くというか書かないと生き残れない。

 だが、生き残るために書いた本が名著かどうかは読者の感想は別にして作者からすると疑問が残る。

 生き残るために書いた本で収入を得て『私の書きたいものはこれじゃない!』と強引に終わらせて書きたいものを書いていたら『あの本の続きは?』と読者と出版社から詰められ続けついに本を復活させる羽目になった作家だっているのだ。

 その作者はアーサー・コナン・ドイルといい、その復活させる羽目になった本のシリーズは『シャーロック・ホームズ』というのだが。

 

 私を含めた多くの人たちを魅了し続けた『シャーロック・ホームズ』を生み出し、それに振り回された作者のアーサー・コナン・ドイルの心境はいかばかりか。

 私も作者となったために目を逸らしながら苦笑してお茶を濁してこの話を終わせるのだが。

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