東方転心録~少女無表情~   作:ミユメ

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最後なんて考えてもいないし拙い文。
それでも良いじゃん。面白く出来れば。


其之2「八目鰻の屋台」

 

 

 

 唐突だけど、転生って信じる?

 「急に何言い出してんのコイツ」とかは言わないで欲しい。傷付く。

 まあ転生の話なのだが、これは現実ではまだ証明されてない現象だ。

 中国の方では「生まれ変わりの村」と言う所があり、そこで住んでいる者は死んでも転生してまたよみがえれると言われている。

 だがそれはあくまでも村人が言う話。本当かどうかだなんて分かりはしない。

 しかし私は信じる。それは何故か…

 転生出来ているのだから仕方が無いのだ。嫌でも信じてしまう。

 そもそも転生と言うのは、仏教が流行りださせた事だ。神様だとか何とか知らんが、生まれ変わりは良い事だと言う。

 だがな、私は嬉しくないぞ。何故だと思う。

 それは――表情が変えれなくなったと言う事だ。この体は何故か表情を変えれない。

 「面白い事」があっても心の中で腹抱えながら大爆笑しているだけで表では無表情。「嬉しい事」があっても心の中で嬉しがって有頂天に行っているが表では無表情。「痛い事」があっても心の中で「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!?」って煩く叫んでいるだけで表では無表情。「怖い事」が起きても心の中では糞ビビッてガクブルとするだけて表では無表情。

 …っとまあ、仏顔の如く表情が固定なのだ。正直そんな「面白い事」や「嬉しい事」や「痛い事」や「怖い事」があっても無表情とかまじで石像か何かかと言いたくなる。

 だからって変えれないんだから仕方が無い。

 前世ではちゃんと表情変えれたのになぁ…

 

 まあそれはどうでも良い。今は今で頑張らなければいけまい。 

 

 って言ってもどうしよう、真面目にどうしよう。

 今とても困っている。それはもうめちゃくちゃにだ。

 人生で二回目だったかな。こんな経験は。

 まあ何に困っているかと言うと。

 

「迷子」

 

 そう、迷子なうである。

 どうしてこうなったかの経緯を言いますと、妹紅に謝る為に彼女を追うべく、迷いの竹林へと向かった。

 そしてどうであろう。

 

――結果迷子だ。

 

 正直な話「迷子になる訳無いか、あはははは」みたいな気分で行ったらこれだよ。

 

――結果迷子…

 

 うおおおおぉぉぉーっ! やめろおおおぉぉーっ!!

 確かに今迷子になっている事くらい自覚している。だからって迷子迷子言われたら嫌だわ。

 誰だよ結果迷子だとか連発する奴よ……私だよ。

 あぁそうとも私さ。他の誰でもない。私だ。

 自分の心の中で迷子言いながら長い竹しかない竹林をずっと歩いている。

 もうね。帰りたい。

 

 でも迷子。

 

 すみません。誰か迷子センター何処にあるか知りませんか。

 え? 無いの? じゃあゆかりん、その迷子センターの幻想入りおなしゃす。

 って言うかそもそも何で謝りに行くだけなのに迷子にならないと駄目なんですかね?

 かれこれもう三時間はさ迷っている。流石にお腹が空いた。

 だが飯なんて持って来てはいない。それは何故か。

 

 謝りに行くだけで何で弁当とか必要なんだ。

 

 普通はあり得ないであろう。そんなすぐ終わる事にわざわざ家まで戻って弁当作るとか。頭おかしいだろ。

 未来予想とか出来るわけ無いじゃん。

 …うん?

 

「良い匂い」

 

 ふいに周囲に漂っていた匂いを嗅いでみると、魚を焼いているかのような甘い匂いがする。

 私はその匂いが来ている方へと釣られるかのようにふらふらと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

「あ、いらっしゃいませ」

 

 目に見えたのは、持ち運び可能な店。言わば昭和のラーメン屋って感じ。って言っても、想像できるのは私くらいであろうが…

 その店には少女が一人居り、魚をせっせと焼きながら私を見て言ってくる。

 此処があれか、「八目鰻の屋台」

 一度は行ってみたいなと思った事がある屋台だ。ヤツメウナギを焼いている店であり、天狗の射命丸 文(しゃめいまる あや)がおいしいと絶賛していた。

 そんなおいしいとか言われた店なのだから、これは行くしかあるまいと思っていたが…何分その店があるのは迷いの竹林。

 とてもでは無いが行けなかった。だが今目の前にある。

 迷子になって見つけ出したから嬉しいのか残念なのかも分かりはしない。

 まあ取り敢えずだ。何か此処で食べよう。

 私は客が居ないその屋台に近付き、そして気付く。椅子がないと。

 や、まあ当たり前か。あったら逆に怖い。

 

「あら、初めて来ますか?」

 

 少女、ミスティア・ローレライに問い掛けられ、私は無言で頷く。

 因みに彼女の解説をすると。

 ピンク色のショートヘアーで、異形の翼、爪、羽の耳が見える。

 現在は屋台の営業をしているとき専用の服を着ているが、普段着はジャンパースカートの雀のようにシックな茶色で、曲線のラインにそって蛾をイメージしたような毒々しさを感じさせる紫のリボンが多数あしらわれている。

 

「うちではヤツメウナギが一番の人気ですよ。最も、ほぼそれしかないんですけどもね」

 

 え、まじでっ!? ではなく。

 だろうな。と一言思う。

 まじでそう思った。だって店の名前からしてもう分かるでしょ。加えて外での営業。

 持ち運べる食材は少なくなる。

 

「…ヤツメウナギ」

「えっと、何本にしときますか?」

「10」

「分かりました」

 

 必要最低限な事だけを絞り取って超手短に注文内容を一言で言う。

 

 喋るのってめんどい。

 

 とかそんなのではない。たかたんに表情と合わせているだけだ。

「ヤツメウナギを10本下さい」

 を無表情では言い難しいのである。何て言うか、こう…雰囲気? たぶんそれ。それが変な事になりかねん。

 故に、無愛想に言う。

 うん? お面? …いえ、知らない子ですね。

 

「はい、どうぞ」

 

 そうして皿の上には串で刺して焼いたヤツメウナギが十本、カウンターに置かれる。

 私は一本右手で取って鑑賞などもしずに口を開けて食べる。

 

「…どうですか?」

 

 ミスティが作業を止めて私を見ながら問い掛ける。

 うん、あのね。超旨い。何だこれ、美味だわ。流石あやや。お前分かってるぜ。こんなに旨いのはまじ久々に食ったから感動のあまり涙が出るわ。

 だがあれだ。甘味処でのみたらし団子よりかはちょっと下回るかな。

 このヤツメウナギは私が食べてきた中で美味しいランキング二位としておこう。

 だが今度も来るとは保障出来ないであろう。行ったら迷子だ。

 …で、まあ味なんだが。

 

「おいしい」

 

 うん、その一言に尽きる。

 まじ旨いおこのヤツメウナギ。毎日食べたい気分だ。

 しかし、毎日は食べられない。そのうち飽きるであろうとか、そんな理由はあるのだが。

 迷子になりたくない。

 その心が圧倒的に上を行っていた。

 

「…おいしくは、なかったようで…すみません。お代は良いです」

 

 え、な、何言ってるの急にこの子は。

 旨いよ? めっちゃ旨いよ??

 なのにこの子、私が不味いと思われたらしい。

 何故だ! 何がいけないんだ!?

 理由を私に言ってみなさい。すぐにそれ訂正してあげますから。

 

「何でそう思ったの」 

「無表情でしたので…」

 

 ……前言撤回、私には訂正出来かねません。

 流石に表情を変えろとかは無理です。私のスペックが足りません。

 無表情が私のデフォルト顔なんです。察してください。

 

「いつもの事」

 

 取り敢えずそれは誤解だと証明するべく、一言ミスティに言う。

 

「は、はー…そうなんですか」

 

 それだけを言って、ミスティは止まっていた手を動かし始めた。

 …うん、何かごめん。きっと勘違いは未だに解けていないんじゃないかな。

 くそう! 私に愛情と言う名の感情があれば…!

 

「あ、いらっしゃいませー」

 

 っと、そこで誰かが来た。

 ミスティはその誰かに挨拶をすると、その者は私の隣に来た。

 

「あれ、秦じゃない」

「?」

 

 私の名前を知る者であった。だからそちらに向き直ってみると、何と妹紅が居た。

 え、あれ。何で居るの? いや、居て良いけど何で居る!?

 矛盾してるが気にするな、兎に角何で居るかが気になる。

 いやまずだ。居るとかそんなのどうでも…良くは無いが、今目の前に居るんだ。 私の目的は妹紅に謝ること。だからすぐに謝ろう。今すぐ謝ろう。

 ただ一言、相手に分かりやすく謝る。

 相手が何か言う度に謝ろう。

 

「どうした?」

「ごめん」

「え?」

「ごめん」

「…え、なに――」

「ごめん」

「…………」

 

 妹紅が言葉の途中でもお構いなしで謝る私。

 ふふふっ、流石にこれは誰にでも見破れまい。

 さあ妹紅よ。これをどう潜り抜け――

 

「一体どうしたんだ?」

「………」

 

 不覚であった。まさか両頬を抓ってくるとは…コイツ、出来る…!

 って言っても正直な話、ただ謝るだけでは意味無いのは後半らへんから気付いてはいた。

 では何故止めなかったのか?

 そこはそこ、気分である。

 何か最後までしたくなるのよね。一番良い例が「ゲーム」だ。クリア目指そうと必死こいて止めずにやる。それと同じだ。

 だが私がしていた「ゲーム」にはある事が欠けている。

 

 それは、クリアが無い事。

 

 そう、それだ。クリアが見えないのだ。

 ただただ言うだけで終わるとか何だ。まるでクリア内容が「相手に無視される」ではないか。

 やめてちょ。そんなの私は嫌よっ!?

 と言うか妹紅さん痛いっす。そろそろその両手を離してもらっても良か…?

 

「おーい、どうしたんだー?」

 

 あ、ちょ、やめて。それ以上私の頬弄られたら腫れちゃうから!

 美人な肌を汚すとか、手前私に何か恨みでもあるのか。

 あと、頬抓られたら私何も言えないのだが、それは…どうしろと。

 

「妹紅さん、困っていますよ?」

「え、まじか」

 

 ミスティが私の状況に気付いてくれたのか、妹紅に言うと呆気なく離してくれた。

 おぉうミスティ殿。お主は神様か。店では「お客様は神様だ」とか言うが、私からしたら今のはミスティ(店員)が神様だったわ。

 まじぱねぇ。神様(店員)まじぱねぇ…つっても、店員と言うより女将だがな。

 それにひきかえ、妹紅は何かこう、私の表情に気付いてくれ。私はとても困っていたぞ。それはもうとてつもなく。

 あ、そう言えば私。無表情なんだっけ。

 はは、まあ良いか。「見た目よりも味が大事だ」と言う様に、中身が大事って言うもんね。心の中ではめちゃくちゃ困ってたから良いもんね。

 …良いの?

 あれ、でも正直この場合は表が大事な気がするのだが。お、おい誰だよこんな嘘っぱちな名名言吐いた奴。全然中身よりも表情が大事だろ。嘘泣きは論外としても困っている顔は大事だろ。

 

「それで、どうしたんだ? 急に何度も謝り出して」

 

 む、何でって、そりゃ勘違いを解く為に謝っているだけなんですが。

 

「勘違い、解く為」

「え? 何の?」

「最初、あった時」

「……すまん、何が言いたいのかわからん」

「………」

 

 妹紅が顔を横に傾けて頭の上に見ちゃいけないような「?」を浮かべていた。

 くそう! 無表情やだ!! 誰か翻訳プリーズ!!

 

「つまり最初にあった時に、何か勘違いされたから今こうして謝ってたんじゃないの?」

 

 っと、そこでミスティが説明をしてくれる。

 さ、さすがミスティ、あんたならやってくれると私は信じてたぜ。

 よもや神様ではなくそれを通り越しての何かではないか。

 

「そうなのか?」

 

 ミスティが助け舟を出してくれたおかげでやっと分かってくれた。もし居なかったら私は挫けていたかも知れん。

 分かってくれた妹紅の問いに、私は何の迷いもなく頷く。

 

「そう、だったのか…え、でも何処だ? その…私が勘違いした所って」

「最後、別れ」

「……あぁ、気を使って言ったんだけど、あれが勘違いだったのか」

 

 そうだ、あれが間違えだ。分かってくれたならもう私から言う事は――

 

「風邪引くなよーって言っただけなんだけど、それで謝れるのも困るなぁ…」

「…………」

 

 待ておい。今何の話をしてやがる。私は寺子屋前での話しをしているんだ。

 なのに何だ。「風邪引くなよー」っておま、それ本当に初めて最初会った時の話じゃねぇか!!

 どんだけ過去に戻してやがる。言っとくがその話は5年前の出来事だぞ。

 まあ何があったかと言うと…雨の日に竹林で初めて迷子になってて、たまたま妹紅と会って人里まで案内してくれた。

 それだけだ。そして最後にその言葉を言った。

 

「ん、おい。どうした?」

 

 妹紅が私の肩に手を乗せて揺らしてくる。

 もうね。あの。謝らなくても良い気がしてきた。確かにそりゃ私の言葉の少なさに問題あるだろうけどさ。ゴリゴリと言える訳ないじゃん。

 だからもうこの話は良いかなって思ってきた。

 いや、もう良いわ。

 

「妹紅」

「うん?」

 

 さっきからずっと肩を揺さぶってた妹紅がようやく手を止めて私の目を見る。

 やべ、目がぐらぐらする。

 

「っと言うか秦ってあんだけ揺らしたのに目とか回らないのな」

 

 え、まじで? 目回ってないの?? 何それ怖い。私怖い。

 そもそも妹紅、手前は目が回る事を知っててやってたのか。

 コイツまじでふざけやがって…

 じゃなくてだな、話を逸らそうとさせるな。さっきから何で別の話にさせるよ。

 

「もう、良い」

「…え?」

 

 え? じゃないよアンタ。もう良いんだよ。謝ろうとしていた私が馬鹿だったわ。

 まあ、謝ろうとして無意識に竹林に入ってまた迷子になった私が言える事でもないんだけどさ。

 

「よく分からんが、もう良いんだな? 用件は」

 

 妹紅の問いに、私は黙って頷く。

 

「そうか。あ、ヤツメウナギ三本で」

「はーい」

 

 ただ一言私に言って、ミスティーに注文する。

 それから私はあと九本ヤツメウナギが残っている事に気付き、一本取って口にする。

 はぁ…それにしても本当に一体何故私はこんな所まで来て迷子になっていたんだ。もう嫌だ。だが八目鰻の屋台にはまた来たいかな。

 迷子になる事前提で行かなければ行けないがなっ!

 あ、そう言えば此処から出るには案内必要だ。

 

「妹紅」

「んー?」

 

 一度、私は妹紅の方に顔を向けるとヤツメウナギを一片に三本豪快に食べていた。

 

「案内」

「…あぁ、良いよ」

 

 妹紅は一気にヤツメウナギを食べ、串を皿の上に置いて立ち上がる。

 私はそれを見て、八本余っているヤツメウナギを見る。

 やべ、これどうしよう。持ち帰ろうかそれとも…

 

「それ、食べないんだったら私が食おうか?」

 

 え、あ、はい。どうぞ。

 私は心の中で返事をして、皿を妹紅に手渡す。

 その手渡した時にミスティーが「あぁ、やっぱし美味しくなかったんだ…」っと小さく呟いていたのは気のせいであろう。

 これで謝る代わりとなっていたら良いのだが…

 

「じゃあ帰るか。ミスティー、御代此処に置いとくよ」

「あ、お二人のお代は入りません。」

「え、何でだ?」

「えーと…と、特別サービスですよ」

「そう、なのか。ありがとね。じゃあ秦、行こうか」

 

 手を差し伸べてくるので、私はその手を持って立ち上がる。

 

「じゃなーミスティー」

「またのご来店お待ちしてまーす」

 

 そうして、私は妹紅に案内されて無事に人里へと帰れたのである。

 

 

 別れの際、また「風邪を引くなよー」っと言われたのは完全な余談である。

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