響子の口調が少し変化していますのでご了承ください。
出雲さんと話した雨の日から少し経ち梅雨も明けそうになったある日の放課後、いつものように生徒会長として書類への記入や陳情への対応をこなしながら忙しく働いていた。
「副会長、ハッピーアラウンドが次のライブで使うフライヤーのデータを送ってきたので確認をよろしく頼むよ」
生徒会の仕事の中にはDJユニットをしている生徒たちがライブの宣伝用のチラシ、そっちの方の用語ではフライヤーと呼ばれているものを始めとした掲示物の管理も生徒会の業務の1つである。しかも来週には陽葉学園はオープンスクールを控えており、奨学金などの団体のチラシや各部活動のポスター張りなどの作業が一気に入ってきており私や副会長の美星を始めにとても忙しくなっていた。
そんな中、美星の携帯に電話がかかってくる。
「もしもし平塚です、はい、本当ですか分かりました」
電話を終えた美星が私のところに向かってきて言った。
「会長、少しまずいことになりました」
美星の話を聞くに来週末のオープンスクールの生徒代表で出る予定の一年生、たしか美川さんだったかのご親戚に不幸があったらしく、出られなくなってしまったようだ。
「そうか、彼女にはご愁傷様と何とかするので心配しないで欲しいと伝えておいてくれ」
彼女の親戚の冥福と後の事は心配するなと伝えるように美星に伝えると、今後の予定が変更になったことから次の手を考える。
「しかし、参ったこれでは生徒代表の代役がいるかと言うとフォトンメイデンは時間とギャラ諸々を抑えつつ準備するのは不可能、ハッピーアラウンドは呼べそうか副会長」
私は相手の生徒代表の代役を依頼する相手を考えるが、芸能人であるフォトンメイデンは交渉が時間やギャラ等の準備がある為気軽に呼ぶなどという事は出来ないため、ハッピーアラウンドを呼べないかと美星に聞いた。
「会長、ハッピーアラウンドですが、来週末のオープンスクールの日お泊り会だそうです」
美星は昔見た映画で援軍が来ないことを伝える軍人のようにハッピーアラウンドが出られない事実を理由付きで無慈悲に私に伝えてきた。
私は観念したように息を吐き、美星にいった。
「分かったよ副会長、山手さんと清水さんにいつ時間が空いてるか聞いてこよう今の時間帯ならまだ練習用部屋を借りてるはずだ」
そういうと私は椅子から立ち上がり響子たちのいる一年の教室へ美星を連れて歩き出した。
「はぁ~疲れたぁ~」
陽葉学園の中にはDJユニットなどの音楽活動を行う生徒達の為の練習スペースがあり、ここもその中の1つだ。その部屋の机にだらけ切った表情で突っ伏しているピーキーピーキーの清水絵空がいた。
「もう疲れたの?」
それを横目に見ている栗色のロングヘアで制服にパーカーを羽織った少女が話しかける。
「響子や由香たちが体力お化けなだけでしょ」
名前を響子と言った少女に対して絵空は反論する。
「次のライブも有るから少しは動けるようにしないと」
それを見ながら次のライブに関して話している少女こそが陽葉学園最強のDJユニットとも呼ばれているピーキーピーキーのリーダーである山手響子その人だ。
私と美星は山手さんと清水さんたちピーキーピーキーが借りている練習スペースのドアの前に立ちノックする。
「山手さん、清水さん入っても良いですか?」
「はーい、大丈夫ですよ」
清水さんの返事が部屋から聞こえたので私はドアを開けた。
「藍会長と美星副会長が二人そろってなんて何かあったんです?」
椅子に座った清水さんは二人を見ながら何が起きたのか聞いてくる。
「いきなり押しかけてすいません、少しお願いしたいことが」
私は部屋の椅子に座り清水さんと山手さんにいきなり押しかけた事を謝りつつ依頼を行う。
「実は来週のオープンスクールに出る予定の人が色々あって出られなくなって至急代役を立てる必要が出てしまって」
私は個人情報が絡まない程度だが二人に対して状況を説明した。
「それで、私たちに?りんくちゃんたちは?」
響子は私たち以外にりんくたちハピアラを呼べないかと聞いてきたが。
「本当に申し訳ない訳ですがハッピーアラウンドは出られません、フォトンメイデンは今から調整したのでは間に合わないと言うわけでしてピーキーピーキーの内から誰か一人出て頂けたらと」
美星が状況について補足して説明した。
それを聞いた絵空は軽く頷きながらスマホを取り出す。
「状況は分かりましたけど、私もその日はダメですね、たしかしのぶもダメだし、由香も忙しいって言ってるし」
多分画面には全員の予定が映っているのだろうか時折指でスワイプしたり拡大しながら言う。それを聞いた私はダメかと思い違う方法を考え始めようとするが山手さんが清水さんのスマホの画面を見ながら「その日ならわたしは予定がないので行きましょうか?」と言ってきた。それは私と美星たちにとっては救いのように聞こえた。
「山手さん本当ですか? ぜひお願いしたいです」
私は思わず山手さんの手を握り頭を下げて頼む。
「私からもお願いします」
同じく美星も頭を下げた。
「わ、分かりました、その話引き受けます」
それを見た響子は少し引き気味にと了承の返事をした。
「ありがとう山手さん本当に、本当にありがとう、今台本のデータを送るから本番までに目を通しておいて欲しい、まだ練習もあるだろからそろそろ失礼するよ」
私はスマホを操作し山手さんに台本のデータを送り、お礼を言って部屋から出る。
それから時間はあっという間に過ぎて来週末のオープンスクールの日を迎えた。
「山手さん、準備の方は?」
私は講堂の舞台袖で待機している山手さんに声をかける。
「大丈夫」
山手さんはそう言うと舞台に上がった、そこからはもう大盛り上がりだった。なんせ陽葉学園の最強のユニットで他の学校でも有名なユニットのリーダーが来てくれたのだ。盛り上がらない訳がない。
オープンスクールは山手さんが盛り上げてくれたおかげで学校に来てくれた他の小学校や中学校の生徒や保護者達は大喜びで、プログラムが一通り終わった後、山手さんは話しかけてくる人たちを全て捌き切ってしまったのだった。
オープンスクールが終わり、講堂に出していた机やパイプ椅子等を片付けて本日は解散となった。私は帰り道、山手さんに話しかけた。
「山手さん、今日は本当にありがとう。おかげで大盛り上がりだったよ」
私は山手さんにお礼を言う。
「いえいえ、こっちも楽しかったですし、それに沢山のファンにも会えたので」
私のお礼を聞いて山手さんは嬉しそうな顔をしていた。それは私からのお礼だけでなくファンと交流できたことが楽しかったと言う顔だった。
「そうですか、それなら良かったです、それではまた」
私は山手さんが嬉しそうな顔をしているのを見て頑張った甲斐があったなと思えた。それに満足した。私は帰ろうと玄関へ足を進めた。
「山手さんじゃなくて、響子でいいですよ」
すると後ろから山手さんが話しかけて来た。
それを聞いた私は響子に向き直り言った。
「それでは響子、また来週」
その夜、私はベットに座りながら今日の事を思い出してみた。
大成功のオープンスクール、山手さん、いや響子と仲良くなれた事も含めていろいろなことがあったと思い出しながら眠った。
(来週もまた、楽しくなるだろう)
何故だが私の心の中では何1つの根拠もないのにそう思えてしまった。
ピキピキ編、終了しました、次回もお楽しみに。
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