万魔殿の主〜胡散臭いトレーナーとウマ娘たちは日本を驚かせたい 作:仙託びゟ
《オグタマライブ!》
「まいど。ドリームシリーズウマ娘のオグリキャップだ」
『まいど』
『まいど』
『オグリのまいどたすかる』
『まいどって言え』
『黙っちゃった』
『芝』
『仕事しろ』
『観念しろ』
『モクロス仕事しろ』
『なんか言え』
「エエやんもう。何がどうなったからどうとか知らんでも。誰が勝ったかわかるやろ」
『解説全否定で芝』
『勢いだけで突き進むのはTV FUJIの青山アナがやってるから』
『宝塚のときの青山ホンマ笑う』
『奇しくもゴール前一瞬青山とオグタマ両方黙って完全に放送事故だったの芝』
『奥義「サカヲノボル」』
『テレ関と3窓しろとあれほど』
「そもそもこの番組始まった当初ウチに解説期待してた視聴者なんぼほどおんねん。どうせ基本ウチとオグリの漫才目当てやろ」
『まぁ感覚派のタマが解説できるとは思ってなかった』
『今も解説してるのほとんどオグリだしな』
『オグリも大概感覚派のはずなんだけどなぁ』
「キタハラと勉強してるからな」
『っぱオグキタよ』
『式はいつ挙げるんです?』
『キタハラ禿げろ』
「私とキタハラはトレーナーと担当の関係であって信頼こそしているが恋愛関係にはない。キタハラのトレーナーとしての風評に関わるからその手の話題は控えてほしい。あとキタハラは最近本当に危なくなってきてるから髪の話題も控えてあげてほしい」
『真面目な話かと思ったら最後で芝』
『真面目な話だろ!!』
『キタハラの芝は枯れてるんだよなぁ』
『誰の頭皮が大井2000mだって!?』
「さて、前置きはこのくらいにしておいて、来週発走のBCシリーズを控え、日本でも注目の秋のGⅠシリーズ1戦目、秋の天皇賞がもうじき発走となる」
「スプリンターズステークスは秋のGⅠ戦線とちゃうんかってやつもおると思うけど、暑さに弱いウマ娘的には9月はまだ夏っちゅーことで納得せぇ」
「今回の注目はやはりチーム《ミラ》のナイスネイチャと、ニホンピロウイナーの弟子にして安田記念の勝者、先日のスプリンターズステークスでも2着になったヤマニンゼファーだろうか」
「言うてヤマニンゼファーてマイラーとちゃうの? ニホンピロウイナーの弟子やろ?」
「確かに、1800m以上の距離に出走するのは今回が初めてなようだ。だが、距離延長の前例はいくらでもあるからな」
『いくらでもあるっていうか近年エラいくらい出てきたっていうか』
『1800m延長とかいうわけわかんないことしたスプリンターがいるらしいからな』
『なんでスプリンターが菊花賞でレコード2着なんですかねぇ……』
「他に注目どころというと、ホワイトストーン、ムービースター、カミノクレッセ辺りだろうか」
「いつもの奴らやね。こんくらいの距離のGⅠ見とると大抵おるわ」
「フジヤマケンザンやセキテイリュウオーも期待できるだろうか。そしてやはり、ナイスネイチャだな」
『黙るな黙るな』
『大丈夫、解説期待してないから』
『!monadのブログ見んべ』
『モナドのブログこそ期待すんな。本業は作曲なんだから』
『天は二物を与えるんやなって……』
『!monadの曲聞くに相当理論派な人だからネイチャのパズルみたいなレース運びとか琴線に触れるんだろうな。普段レースの話しないのにネイチャのレースの話題には触れてる』
『あぁ、ナーバスタマちゃんモードだ』
『ナーバスになっちゃった』
『わァ……ァ……!』
「そろそろ発走の時間だぞ」
『ぱぱぱぱー』
『ぱぱぱぱー』
『ぱぱぱぱー』
『ぱぱぱぱー』
『ぱぱぱぱー』
『よう鳴いとるって言え』
「スタートだ。ハナを取ったのはロンシャンボーイだな。その後続くようにヤマニンゼファー……ん、外枠側が乱れたな」
「ナイスネイチャがなんかしたんやろ」
『それは見ればわかるんよ』
『まぁネイチャから外側が見事に乱れてればそりゃネイチャがなんかしたんだろって思うわ』
『多分威圧でよろめかせたのが伝播した感じだと思う』
「ナイスネイチャはヤマニンゼファーの後方にマークし始めたな」
「……思ったより静かやな……宝塚ん時みたいな感じなんか?」
「ナイスネイチャがあの位置まで上がってるのは珍しいから、恐らくヤマニンゼファーをマークしているものだと思うが……」
「ロンシャンボーイは掛かっとんな」
「セキテイリュウオーは中団、ホワイトストーンは後方だ」
『すげぇ、マジでなんもわからん』
『おっ、お前ネイチャは初めてか? まぁ肩の力抜けよ』
『肩に力入れてもわからんからな』
『インテル入れろ』
「向正面に入って、ナイスネイチャの後続が位置を上げたな。これは誘ったか?」
「聞くな、わからん」
『芝』
『それは芝』
『清々しいな』
「全体に動きはないな。ムービースターがやや前に出たくらいか」
「ナイスネイチャがまた前に出てきおったで」
『あぁ〜』
『なるほどそういう』
『?』
『わからん』
「なるほど。この状態が続くようなら最終直線の前にロンシャンボーイを威圧してヤマニンゼファーの壁にする。そして今のようにヤマニンゼファーが動いたら、内側を通らせた後続を最終直線で垂れさせて壁にする。そういう作戦だったわけか」
「あ〜、なんとなくわかったわ」
『多分本当になんとなくわかってるんだろうけど何もわかってなさそうな顔』
『人ってこんなに何もわかってなさそうな顔できるんだな……』
『ダイユウサクが地獄待ちの倍満に振り込んだときの顔』
「言いたい放題やな」
『待て』
『え?』
『また領域なのか?』
『◆また領域なのか――?』
『どうやって抜けた今!?』
『おおおおおおおお!!!』
『ネイチャ逃げろ!!』
『きてるきてる』
『ぜふぁああああああああああ』
『いけええええええええええええ』
『いや抜かれんのはええなおい!!』
『ああああああああああああ』
『うおおおおおおおおおおおおおお』
『勝ったああああああああああああああああ』
『おあああああああああああ』
「確定した。1着がヤマニンゼファー、2着ナイスネイチャ。3着にホワ……」
「いや待て待て待て待て!! おかしいやろ!!
"
『てか何が起こったん? 俺には壁の後ろから壁の前に瞬間移動したようにしか見えなかった』
『気づいたら抜けてた』
『領域ってそんなんありなん?』
『人体透過するなら服も透過しろよ!』
『死ね』
『見てたんだけど3Fくらい隙間開いた時間あったよ』
『現実のfpsいくつなんだよ』
『60fpsだとしても0.05秒だぞ』
『見てからじゃ遅いもんな。開くのわかってたのか?』
『見聞色じゃん』
『穏やかじゃないですね』
『すり抜けは無理でも未来予知なら集中力でイケそうな気がする(感覚麻痺)』
「未来予知でどこにスキマ開くか見てタイミングあわせたっちゅーんか? そないなことある?」
「いや、むしろそれで納得した。恐らく、ヤマニンゼファーが元々観察力というか洞察力が高いタイプなんだ。ナイスネイチャが道中でヤマニンゼファーをマークしていたのにも関わらず、ヤマニンゼファーの走りにはブレが少なかった。最初はナイスネイチャが宝塚記念のときのように水面下で仕掛けを作っているのかと思っていたがそうではなく、ヤマニンゼファーがすべて躱していたんだ。その洞察力が"
『タマ! 顔!』
『何だその顔は』
『もうこの際はっきり役割分けよう。解説のオグリとツッコミのタマで』
「せめて実況させろや!!」
「そろそろインタビューが始まるぞ」
『ゼファーのインタビューはターボとかレオ田ァとはまた違う意味でよくわからんからな』
『おっ、今日は羽原Tいるじゃん』
『羽原ー! サンキューちゃんは大丈夫かー!?』
『あれからもうじき1年か……』
『この間退院して今リハビリ中って言ってたぞ』
『じゃあもう帰国してんのか』
『ソースは?』
『スカイチノフのウマッター』
『誰だよスカイチノフ』
『1行版の荒巻スカルチノフをハンネにして固定ウマートに何故か荒巻スカルチノフのAA画像を貼ってる謎のウマ娘。恐らく現役中央生で未デビュー。普段は猫の写真やフィッシングの写真が多いが、結構頻繁にニシノフラワーについての呟きもする。ニシノフラワーについての情報はデジたんより正確』
『色々言いたいことはあるけど基準にされるデジたんで芝』
『流石未デビューな上に現状特別な後ろ盾もないのに一般認知度がビックリするほど高い一般ウマ娘オタクウマ娘アグネスデジタル』
『ダンスロボットダンスみたいに言うな』
『アグネスって最近できたとこ?』
『データ重視派のスクールやね。名家ほどではないけど大きめの家が支援してるとこ』
『なんでスカイチノフなんだ……スカイどっから来た……』
『スカイチノフのあげた動画でフラワーが「スカイさん」って呼んでるから。恐らくニシノ家関連のセイウン組のセイウンスカイだと思われる』
『特定はやめとけ……遅かったか……』
『消されたな』
『消された(意味深)』
『名家の情報戦を一手に担うセイウン組を敵に回したらそらそうよ』
『学習してくれ』
『てかなんでスカイチノフからサンエイサンキューに繋がるの』
『フラワーの情報が載るからだろ』
『それはわかってんよ。ニシノフラワーとサンエイサンキューって仲悪いんじゃなかったっけ?』
『いつまでマスゴミのデマ信じてんだよ。めっちゃ仲いいぞ』
『まぁいくらかはイメージ戦略も入ってるだろうが仲いいか悪いかならいいだろうな』
『てかニシノ家の伝手でもなければあんな病院入れないだろ。愛国の王家御用達だぞ』
『ニシノ家って国内には手広いけど国外はそうでもないんじゃないの?』
『病院なんて伝手なくても入れるだろ』
『救急病院ならともかくウマ娘のスポーツ病院だと技術漏洩の可能性があるから国外の患者は紹介状必要なとこもあるぞ』
『ヤマニンゼファーって羽原トレの担当だったんだ。安田記念のときいたっけ』
『安田記念のときはサンエイサンキューの方で手が離せなかったから祥臣トレに監督頼んだって言ってた』
『流石柴原相談役』
『あのふたり顔がいいから並んでると花があるよね』
『若き天才羽原トレと苦み走ったいい男の柴原甥トレな』
『もう甥ってつけなくても誰だかわかるのか……』
『やめろよそういうこと言うの……』
「お前らがアホ言うとる間にインタビュー終わったで」
「私達の知らない情報もあって普通にコメントの方を見入ってしまった」
『芝』
『それは芝』
『仕事しろ』
『まぁオグタマはこんくらい緩くていいよ』
「まぁ、そろそろ時間や。来週はBCシリーズの長期特番、休憩挟んで菊花賞の実況や」
「どちらにも担当が出る網馬トレーナーはどうするんだろう。間に合うのか?」
「最悪プライベートジェット飛ばすやろあの人なら。〆んで」
「「ほなな〜」」
『ほなな〜』
『ほなな〜』
『ほなな〜』
『ほなな〜』
『オグリのほななたすかる』