万魔殿の主〜胡散臭いトレーナーとウマ娘たちは日本を驚かせたい 作:仙託びゟ
《オグタマライブ!》
「まいど〜! ドリームシリーズウマ娘のタマモクロスやぁ!」
「まいど。ドリームシリーズウマ娘のオグリキャップだ」
『まいど』
『まいど』
『まいど』
『オグリのまいどたすかる』
「ちゅーわけでBCシリーズ終わって息もつかんうちに菊花賞や」
「とは言え私たち自身は普通に半日以上時間があったわけだから特段慌ただしいと言うこともなかった。問題は網馬トレーナーだ」
「網馬トレやけど、既にレース場で確認されとるで」
『ヤバい』
『ま、まぁ飛行機の中で寝られるから多少はね……?』
『※アメリカのレースではライブは後日行うのでこの後またアメリカへとんぼ返りです』
『BCターフで稼いだ賞金全部飛行機代で消える説』
「普通こういう時んためにサブトレーナーがおるんやけどな」
「さて、今回の菊花賞、注目はやはりナリタタイシン、ビワハヤヒデ、ウイニングチケットの3人だろうか」
「BNWやな」
「このうち、ウイニングチケットはこの菊花賞が引退レースとなる」
『ファッ!?』
『マ?』
『聞いてないよ〜(駝鳥)』
『チケゾーはSNSやってないからな……メガネキがウマスタで言ってたぞ』
『しかしなんでまた……ダービー取って燃え尽きたか?』
『なんかやりたいことができたって言ってた』
『トレセン学園ではアナウンサーの勉強してるチケゾーの姿が確認されてるぞ』
『女子アナチケゾー!? ウッ……』
『死ね』
『毎朝チケゾーが見られるようになるんですか!?』
『いや実況アナだろ』
『オグタマライブに呼んだら? 実況のチケゾー、解説のオグリ、ツッコミのタマで役割分担できるぞ』
「大してウケてないネタ擦るな!! スカ確定したスクラッチくじか!!」
「この3人の中で優勝候補となるのはやはりナリタタイシンだろうか。ステイヤー寄りのミドルディスタンスランナーで、トレーナーのステイヤー路線での成績もある。次点で、マイラーであるという意見もあるが2400mで好成績を収めているビワハヤヒデか」
「ウイニングチケットとネーハイシーザーやったらどっちのがあるんやろなぁ……ネーハイシーザーは上り調子、ウイニングチケットは下り調子やけど」
『俺はネーハイシーザーに花京院の魂を賭けるぜ』
『シッショーはビワハヤヒデは完全にステイヤーだって言ってたけど』
『マイラーは皇帝の杖情報やぞ』
『本質的にマイラー』
「さて、そろそろ発走だ」
『ぱーぱーぱー↓ぱー』
『ぱーぱーぱー↓ぱー』
『ぱーぱーぱー↓ぱー』
『ぱーぱーぱー↓ぱー』
『ぱーぱーぱー↓ぱー』
「コメ欄もよう鳴いとる」
〜中略〜
「ほんでウチが思わず反射的に『そんなら食うて見ろやー!』てツッコんだらおもむろに立ち上がったオグリが秋天みたいな走りで海鮮市場に走り出して売りもんのイクラを……」
「タマ、レースが動くぞ」
「ん、やっとかいな。アレやな、ナイスネイチャみたいにごちゃごちゃ動かれると言えることないけど、動きがないと動きがないで言うことなくなるな」
『ワガママ』
『どうすりゃいいんだ』
『ちょっと待て続き気になるとこで止めんな』
『ちゃんと金は払ったよな?』
「リスナーは私のことをなんだと思ってるんだ。タマのツッコミに対してカウンタージョークをしただけで本当に食べ尽くしてはいない。500gパックを買っただけだ」
「まぁ流石にそこまで非常識とちゃうかったやんな。500gのイクラで米20kg食っとったんは忘れへんぞ」
「ビワハヤヒデが"
「ホンマよー毎度毎度おんなじレース展開にできるな……」
『【悲報】ツジユートピアン終了』
『シュアリーは粘ってる!!』
『でもハヤヒデは末脚あるし……』
『誰だよブライアンじゃない方って言ってたやつ』
『ハヤヒデやぞ』
『自称なんだよなぁ……』
『自分を客観視できないのか』
「ナリタタイシンも"
『ハヤヒデ!?』
『ハヤヒデ』
『何があった!?』
『失速……』
『いや、故障じゃないっぽい』
『ホントだ、加速した』
『ん? んんんー?』
『おぉ、2つ目』
『ゾーンか?』
『領域っぽいな』
『待て待て』
『おおー!』
「……タマ、どう思う?」
「どうって……まぁこの時期に2つ目の"
「そうなんだがそうじゃなくてな……今のビワハヤヒデは狙ってやったよな?」
『どうしたオグリ』
『なんやなんや』
『タイシンもゾーン2個目!!』
『タイシンいけええええええ!!』
『タイシイイイイイイインン!!』
『!?』
『ちょ』
『なんだ?』
『血じゃね?』
『タイシン故障!?』
『鼻出血だ』
『なんだ鼻血か』
『ヤベェんだよレース中の鼻血は』
『最悪死ぬぞ』
「……後にしよう。最終直線、抜け出しているのはビワハヤヒデ、ナリタタイシンが追走。シュアリーウィンは失速。ウイニングチケットは仕掛けているがスタミナが限界か」
『いけえええええええええええ!!』
『うおおおおおおおおおおおおおお!!』
『ハヤヒデえええええええええええ!!』
『差し切れえええええええええええ!!!』
『あああああああああああああああああああ!!』
『なんとかなれええええええええええええ!!』
「……届かず。ビワハヤヒデの逃げ切り1着。ナリタタイシンは半バ身差で2着だ。3着にはネーハイシーザーが……」
「おいおい大丈夫なんか!? ふたり倒れよったで!?」
『タイシン!! は、フーねーちゃんが行った』
『シーザー!?』
『シーザーどうした』
『血?』
『血だ』
『鼻血?』
『口から出てんぞ』
『喀血!?』
『シィィィザーーァァァッ!!!』
『シィィィザーーァァァッ!!!』
『シィィィザーーァァァッ!!!』
『シィィィザーーァァァッ!!!』
『シィィィザーーァァァッ!!!』
『シィィィザーーァァァッ!!!』
『おまえら……』
『お前らこんな時に……』
『不謹慎だぞ』
『ちゃうねん』
『シーザーの後輩がやっとんねん』
『どっから持ってきたんだあのバンダナ』
『シバかれてて芝』
『残当』
『なんつったっけあの娘』
『スターって呼ばれてんの聞いたことある』
『マンちゃんって呼ばれてた気がする』
『ほなスターマンやないかい!!』
『あのバカ4人な』
『バカルテット?』
『それはまた別の』
『なんだっけ、マンちゃんとチョーさんしか覚えてねえや』
『マンちゃん、チョーさん、パラさん、バイザーじゃなかった?』
『え、ライアーじゃね?』
『ファイターって呼ばれてたぞ』
『ファイバーだった気がする』
『タイガーじゃね?』
『ヲタ芸かよ』
『とりあえず母音がアイアーなのはわかった』
『で、4人はどんな繋がりなん?』
『はい、わたしたちは、シリウス組ウマ娘です!!』
『ウマトーーーークかよ』
『シーマだっけ? あのアウトロー軍団』
『ネーハイシーザーもC-Maだぞ』
『そういう繋がりか』
『落ちこぼれって言われてんの聞いたことあるけど全然優秀じゃね?』
『シリウスさんこの人です』
『ちげーって!! マジで伝聞!! マジで!!』
『ホントかなぁ(疑心暗鬼ゴロリ)』
『スターマンマジでうるせぇなwwwwww』
『どっから出てんだあの声量』
『スターマン見てたらナリタタイシンいなくなってるし』
『黒い人のフーねーちゃんで治療してお米に運ばれてったよ。お姫様抱っこで』
『それは米』
『米稔るわ』
『大豊作』
『で、結局なんだったん?』
『ハヤヒデの領域のときな。オグリンどうした?』
「いや、あー……"
『内側から抜くこと、は確定だろうな。あとは前の方にいること?』
『最終コーナーも条件だな。ビワハヤヒデは失速してすぐに内から抜き返せたけど、最終コーナーを待ってた』
『あー……え? おかしくね?』
「そう、おかしいんだ。あの"
「せやけど……それはナリタタイシンも同じなんちゃう?」
「いや、ビワハヤヒデとナリタタイシンとは明確な違いがある。ビワハヤヒデは"
『あー、なんで知ってたの? ってことか』
『併走でも内から抜けるから……(震え声)』
『◇併走に最終コーナーはないんだ』
『……じゃあどういうこと?』
「ビワハヤヒデは、あのタイミングで必要に応じて、即興で"
「……ハァ?」
『うっわ……(ドン引き)』
『マジで?』
『ヤバいを通り越してもうヤーバーババーバーババー』
『いやマジでヤベェっていうかバケモンだよこんなん』
『よくわからん。TCGで例えろ』
『デッキの一番上が光って盤面のメタカードが出現する』
『ヤベェわ』
『例えで芝』
『ディスティニードローじゃん』
『どこが凡才なんだよ!!!! お前の!!!!』
『タマもオグリも領域会得の厳しさを知ってるからこそ信じられんよなぁ……』
「なんかもう……終わるわ……」
「タマがナーバスに」
「ほな……」
「ほなな〜」
『ほなな〜』
『ほなな〜』
『ほなな〜』
『ほなな〜』
『オグリのほななたすかる』
『タマ今日は暖かくして寝な』
★☆★
秋華賞優勝者、ユキノビジン。
天皇賞・秋優勝者、ヤマニンゼファー。
菊花賞優勝者、ビワハヤヒデ。
エリザベス女王杯優勝者、ホクトベガ。
JBCシリーズ優勝者、割愛。
マイルチャンピオンシップ優勝者、シンコウラブリイ。
ジャパンカップ優勝者、イブキマイカグラ。
チャンピオンズカップ優勝者、イズミスイセン。
香港スプリント優勝者、サクラバクシンオー。
香港ヴァーズ優勝者、レガシーワールド。
阪神ジュベナイルフィリーズ優勝者、ヒシアマゾン。
朝日杯フューチュリティステークス優勝者、ナリタブライアン。
「――っ、ふぅ……」
「パマちんお疲れぃ!!」
「ヘリオス、ありがとね、手伝ってもらって」
「モーマンタイ!! ウチらズッ友じゃん? ……にしても、マジでやるん?
「……まぁ、ね」
嵐の逃亡者は、再び嵐を巻き起こす。
波乱のGⅠレースが、来る。
副題:君に贈る