万魔殿の主〜胡散臭いトレーナーとウマ娘たちは日本を驚かせたい   作:仙託びゟ

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 昨夜寝落ちしました。


オグタマライブ ??/11/24

《オグタマライブ!》

 

「まいど〜! ドリームシリーズウマ娘のタマモクロスやぁ!」

 

「まいど。ドリームシリーズウマ娘のオグリキャップだ」

 

『まいど〜』

『まいどー』

『まいど』

『まいど!』

『オグリのまいどたすかる』

 

「ということで、今日はジャパンカップを実況していく」

 

「なんだかんだ言うてルドルフ以来海外勢に勝てとらんから、今年のメンバーには気張ってほしいわ」

 

『今年のメンバーGⅠ勝ってんの死ねどすさんだけなんだよなぁ……』

『クラシック2着3着の人たちが多い』

『マックも有に向けて回避だしなぁ。まぁ流石にここのシニアGⅠ3戦は日程的にキツいのか』

『それを考えるとネイチャも休んだのは正解だよな』

『強いウマ娘が走ってるところは見たいけど強いウマ娘が走れなくなるところは見たくない』

『ケイエスミラクル……』

『テイオー……』

 

「今回出走しとる海外勢は、アメリカからふたり、イギリスとフランスから3人ずつ、ニュージーランドとオーストラリアからひとりずつや。特に、アイネスフウジンの凱旋門賞で3着やったマジックナイトなんかは見覚えあるんちゃうか?」

 

『マジックナイトちゃん好き』

『マジックナイトちゃんちっちゃくていいよね……』

『ただフランスは一部で借りを返せくらいの勢いで煽ってる奴らがいるからなぁ……』

『流石に日本で海外レース並みの妨害はやってこないだろ』

『わからんぞ。日本にも日本のレースに抵触しない程度に妨害がうまいやつらがいるだろ』

『皇帝みたいなのが何人もいてたまるか』

『でもネイチャクラスなら……?』

『うーん、いないと言い切れないのが』

 

「もうゲート入り終わるで。やっぱスムーズやね。なんやフランス勢の顔強張っとったけど」

 

「そうか? 私にはよくわからなかったが……何か仕掛けてくるのかもしれないな」

 

『ぱぱぱぱー』

『ぱぱぱぱー』

『ぱぱぱぱー』

『ぱぱぱぱー』

『ぱぱぱぱー』

 

「コメ欄もよう鳴いとる」

 

「今回は目立つ逃げウマがいないから先行が引っ張る展開になると思うが、来るとすればフランスが……む」

 

『ワジドがあがってきた』

『掛かったか?』

『アイネスみたいでやんした……』

『コレ保つのか?』

『ワジドは逃げできないことはないと思うけど』

『あーそういうことかこれ……』

 

「ラビットやろ。フランス陣営は差し多いからペース速めて後ろ有利にしにきたんや」

 

「ふむ、しかしルール違反になるのではないか?」

 

『マジレスするとならない。日本の立場からするとフー姉ちゃんやらタボボやらヘリオスやら、最近だとブルボンやらのハイペース逃げの有力ウマ娘がどんどん出てきてる状況で、メインでないとはいえ逃げができるウマ娘がハイペースで逃げるのを「勝つ気がない」と断言するのは無理』

『いやでもどうなのそれ』

『ルールの穴ではある』

『駄目ではないんだがなぁ……』

『こすい』

『死ねどすさんがガッツリマークされてるしな』

『でもマジックナイトはこういうことするタイプじゃない気がするんだよなぁ……』

『スポンサーの意向だろ。向こうはそういうの強いし』

『チーミングはあかんやろ』

『ルール守ってるなら批判される筋合いなんかあるかい。直接ぶん殴ったわけでもなし』

『ニシノライデンさんのコメント』

『うーん名家の斜行王』

『皇帝「名家だから斜行はお手の物というわけだな」』

『皇帝が言ったセリフだからズルいもんな』

 

「まぁ海の向こうのやり方っちゅーのはうちらも結構戸惑ったところやからなぁ」

 

「ペイザバトラーだな。彼女は今回のとはまた違うラフプレーだが」

 

「ウチはええと思うで。勝つためになんでもやるくらいのハングリー精神あったほうが好みや。金と名誉がかかっとんねんからルールの中ならなにしてもええやろ。ウチはウチが勝ちたいからチーミングとかやらんけど。さて、この流れやとマジックナイトがエースになるんか? ゴールデンフェザントがフリーやけど……」

 

「うーん……日本に勝つのではなく、日本を勝たせない作戦なのかもしれないのか? アメリカのゴールデンフェザントなら構わないと」

 

『それは流石にどうなの』

『アウトでしょ』

『オイオイ……』

『言うて決まったわけでもないから』

 

「あぁ、失言だった。すまない」

 

「オグリは自分の持つ影響力ちょっと考えなあかんな」

 

「それは間違いないがタマが言うのか……?」

 

『それはそう』

『芝』

『両方とも庶民根性が抜けない』

『しかしレース展開動かねえな』

『死ねどすさんはスプがうまいことブロックしてて、白石さんはマジックナイトがマーク、ワジドが隊列引っ張って縦長の展開だからただの差しでも不利だな……』

『卑しい女ずい……』

『カーッ!』

『レオ田マークされてないの芝』

『レオ田ァ! ナメられてんぞレオ田ァ!』

 

「動くとすればやはり最終コーナーだろうな」

 

「いや、今レオダーバンがロングスパートかけよったで」

 

「そういえばレオダーバンはそうだったな……」

 

『今マジックナイトちゃん領域出してたっぽいけどどうした?』

『現地民だけどレオ田の叫びでふらついたから多分割られた』

『割るってなんだよ』

『ゾーンって過集中のことだろ? 集中途切れさせればキャンセルできるんじゃね?』

『キャンセルできないほど集中してるからゾーンなのでは?』

『どっちも真でキャンセルできないほどの集中をキャンセルできるダーバンの叫びがヤバい』

『なんかスプ沈んでんだけど?』

『見てたけど多分死ねどすさんがなんかした』

『なんかってなんだよ』

『わかんねぇよ』

『え? 領域って直接攻撃とかできる類のものなの?』

 

「タマの電気は当たっても別に痛くなかったが」

 

「知らんてそんなん」

 

『正確に解明されたわけではないが、大まかな分類としての分析結果は、スピードが上がるタイプや加速力が上がるタイプは筋肉の活性化、スタミナを回復するタイプは血流促進や疲労分解の促進、または耐疲労能力の強化、他者への攻撃はレース中で鋭敏になってる感覚神経に対して圧をかけてるらしいな。この圧は領域でなくても技術でできる。例はネイチャの八方睨み』

『領域研究に自信ニキ!?』

『他者への攻撃って単語がレースで出ると思わんかったわ』

『ハクタイセイの領域が吹雪で寒くなるとかって聞いたけどそれが妨害系統か』

『死ねどすさんの領域が妨害系統で、スプラッシュオブカラーはそれ食らったってこと?』

『ゾーン以外のなにかかも知れないけど何か食らって沈んだ』

『ウマ娘レースって異能バトルだったんだ……』

 

「レオダーバンとイブキマイカグラがマジックナイト躱しよったな。マジックナイトも踏ん張っとるけど」

 

「一瞬マジックナイトの体がブレた。ルドルフが使う足止めの類の支配だな」

 

『足止めの類以外の支配があるのが芝』

『皇帝ホンマに何?』

『その皇帝ですら伝説でしかないのがウマ娘レースの深淵。皇帝でも神話には及ばない』

『1着レオダーバン!』

『レオ田ァ! 初GⅠ制覇ァ!』

『若干おこぼれ感あるけどやったなレオ田ァ!』

 

「ゴールデンフェザントもマジックナイト躱してゴール。3着や……ちゃうわ、え? いつ抜いたん?」

 

「わからん。いつの間にかホワイトストーンがマジックナイトを抜いて3着に入っていた」

 

『完全に見失ってたわ』

『俺ずっとホワイトストーンちゃん見てたけどいつの間にかゴールしてた』

『認識の大外を走るな』

『俺ホワイトストーンがゴールした瞬間を見た記憶がないわ』

『まさか……領域……?』

『違うと思う。ただの素質』

『カノ……カノ……』

『赦してやってくれ、彼女はカノープスなんだ』

『なにげに3着まで日本勢独占って初?』

『それどころか1着日本だってルドルフ以来だろ』

『レオ田ァ!』

『フランスここまでやってこれはダサいな』

 

「はいはいレース走った娘ぉ批判すんのはナシな。なにはともあれ頑張ったんやから」

 

「私は普通に走っていればマジックナイトはもう少し順位を上げられたように思えるが、これも選択だろう」

 

『インタビュー始まる』

『レオダーバンやー』

『タボボの時は黒い人がほとんど代わりに答えてたけど、同じタイプのレオ田は自分で答えるのな』

 

「アカンわ、擬音族や」

 

タマ(大阪人)が言うのか? それを?」

 

『芝』

『レオ田ァ!!』

『レオ田ァ!』

『レオ田ァ!!』

『レオ田トレの怒号キタ』

『本場本元のレオ田ァ!!』

『一昨年までスパルタのやべー女で恐れられてたのにレオ田に引っ掻き回されて熱くて面倒見がいいことがバレたレオ田トレだ』

『今年のトレーナー人気ランキングでランクめっちゃ上がってそう』

『女性部門はクレッセトレとパーマートレが2強だろ。イケメン姐御系のクレッセトレとゆるふわ小動物系のパーマートレ』

『おハナさんとか樫本サブトレのリギル勢も人気だ、女子人気ランキングは上位陣が強い』

『クリークの奈瀬トレとかタマのとこのコミちゃんも人気だよなぁ……』

『男性トレ部門は黒い人がどこまで上がってくるかだよなぁ……沖野トレあたりは抜いてきそうだけど』

『沖野Tはかっこいいときとアカンときの落差が強い』

『一昨年から代替わりしたカノープスのトレは?』

『南坂トレか。優男系で結構いいのでは?』

『ブルボントレが一部でカルト的人気があると聞く』

『黒沼トレな。網トレと並ぶともう完全にそういう事務所』

『男性トレはヘリオスのとこのショタトレダルォ!?』

『サンエイサンキューのとこの羽原Tもいいと思う。ちょっと荒いけどウマ娘思いで』

『サンエイサンキューって今年デビューした子だっけ』

『そう、ブルボンとかお米の同期』

 

「話逸れまくっとんな」

 

「インタビューも終わったしそろそろ締めでも……」

 

『待て、なんか来た』

『来ないぞアストラル』

『ウマッター見ろ。死ねどすさんの』

『また動画?』

 

「アカンわ、祇園族や」

 

「なんの動画なんだ?」

 

『マジックナイト?』

『フランス勢やね』

『何言ってるかわからん』

『フランス語だからだな』

『は?』

『うわ』

『BOO YOU WHORE !! EAT SHIT !!』

『えぇ……』

 

「なんやなんや、何が起こってんのや」

 

『端的に言えばフランス勢のウマ娘がフランストレーナー(女)から体罰受けてる』

『ビンタされた程度だけどこれは……』

『いや、言ってることも酷いぞこれ。普通に役立たずとか言ってるし』

『ペティナボット? って何?』

『意味合い的には"クソチビ"かな。かなり罵倒的な意味合いで』

『ヒトカスがウマ娘に勝てると思ってんのか……?』

『マジックナイトは特に田舎の生まれだからなぁ……』

『メチャクチャ小柄だからなかなかスカウトされなくてやっと拾ってもらったって聞いたから逆らえないんやろ』

 

「けったくそ悪い」

 

「まったくだ」

 

『死ねどすさんのウマート「仲のええことで」は完全に皮肉』

『これなんの意図での投稿なんだ』

『死ねどすさん意外とお人好しだから普通にリークでは?』

『他国の事情に首突っ込めんし』

『てかやっぱ上からの指示かよ』

『えぇ、それ脅しでは?』

 

「最後の最後に嫌なもん見たわ……」

 

「各所が心配だが、私達は座して待つことしかできないな」

 

「せやなぁ……終わっとこか。タマモクロスでした〜」

 

「次は阪神ジュベナイルフィリーズで会おう」

 

「「ほなな〜」」

 

『ほなな〜』

『ほなな』

『ほなな〜』

『ほなな〜』

『オグリのほななたすかる』

『オグリのほななたすかるニキたすかる』

 

 

 

☆★☆

 

 

 

『はぁ……これからどうしよ』

 

 フランス、パリ。ジャパンカップで無様を晒したマジックナイトは、トレーナーとの契約を切られた。ワジドとスプラッシュオブカラーはトレーナーが違い、今回の日本遠征はマジックナイトのトレーナーが代表して統率していた。だから日本で叱責されたのもマジックナイトだけだった。

 トレーナーのスポンサーたちの多くが、凱旋門賞でアイネスフウジンにしてやられたことに反感を覚えていたらしい。日本勢に勝たせるなという指示を、マジックナイトは断れなかった。

 理由はおおよそ前述の通りだ。GⅠ1勝、上位入着多数と言っても、マジックナイトの小柄な体躯は実力に比して低く見積もられる結果をもたらしており、まったくスカウトされなかった。半ば拾われる形になっていたのだ。

 しかし、今回完全に見捨てられた。あのトレーナーに愛想が尽きていたのはマジックナイトも同じなのでそれはいい。しかし、トレーナーがいなければレースには出られない。今からスカウトしてくれるトレーナーなどいないだろう。

 なにより、冷静になって考えてみると、ジャパンカップのときの自分の言動はよろしいものではなかったと理解できることがショックだった。

 なにはともあれ、これでもうレースには出られない。田舎に帰るしかないかと電車の時間を確認しようとしたときだった。

 

『そこの小さなお嬢さん。アタシといいことしねぇ?』

 

 声がかかった。

 振り返って声の主を見る。背の高い鹿毛のウマ娘がいた。アジア系の顔立ちに、前髪から細い流星が伸びている。マジックナイトより年上ではあろうがまだ学生のように見える彼女の胸元には、フランスのトレーナーバッジが輝いていた。

 

「……なんだぁ? フランス語間違えたか? あー……『アンタをスカウトしたい』これでいいのか?」

 

『ぇぁ……』

 

 予想外だった。なにせ、マジックナイトのトレーナー()()()女性はそれなりに名門で有名なトレーナーだ。スポンサーの数も多く、マスコミとの繋がりもある。

 そんな相手に目をつけられている以上、自分をスカウトすればスカウトした新しいトレーナーまで目をつけられることになる。

 

『や、やめたほうがいいですって! 私、目つけられてるし、ろくな事にならない……絶対後悔します!』

 

 相手のことを考えてとかではなく、自分のせいで他人が巻き込まれるのは嫌だ。しかし、そんな浅はかな保身を見抜いたのか、女はがしりとマジックナイトの頭を掴んで顔を近づけた。

 

『うるせぇ。アタシがスカウトするっつったらもう確定なんだよ! 大体、"絶対"だなんてくだらないもんは、アタシがとっくにぶっ壊してんだ!』

 

 唖然としたマジックナイトに、ウマ娘は『驚いたか?』と得意げに鼻を鳴らし高らかに宣言した。

 

『アタシの名はギャロップダイナ。皇帝に土をつけた女だ!』




「私のほうが先に勝ったんだが……?」
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