対魔忍ユキカゼ2 〜疾風異譚〜   作:茶玄

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第9話 桔梗の姉弟

(決して出会ってはならない。楓花(ふうか)姉さんを見つけるまでは)

 

 顔を合わせたら最後、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の住まう危険な廃都にまで(おもむ)いた、己の覚悟が揺らいでしまうから。

 

 幼い頃の温かい記憶にきっと塗り潰されてしまうから……それなのに。

 

 胸の奥底に沈めた少女の面影を色濃く残す、藍色の髪の女性(ひと)

 

 実姉やも知れぬその女性が眼前の車椅子に座り、自らを仰ぎ見ている状況に、達郎の心は激しい動揺に襲われていた。

 

「達郎、お前は達郎なのだろう!?」

 

 達郎の葛藤も知らず、(はや)る心を抑えきれない凜子は、右手を伸ばし達郎の前腕を掴むと、その身体を力任せに引き寄せる。

 

 達郎は、凜子の強引な振舞いに為されるがまま、片膝を下ろすと凜子の視線を真正面から受け止めた。

 

「え、えぇ。俺のことを名前で呼ぶ貴女(あなた)は……もしかして凜子姉さん?」

 

 達郎の返事を聞いた凜子は、満面の笑みを(たた)え、喜びに身体を震わせた。

 

「あぁ、そうだとも!!本当に(たくま)しく成長したな達郎。ゆきかぜとの仕合も見事だったぞ」

 

「凜子姉さんの方こそ、よくぞ生きて…でも、その身体は……」

 

 現地協力員を始めた頃の達郎は、世話をした対魔忍の面々から、“斬鬼の対魔忍”として名を馳せていた凜子の話を聞く度に、誇らしく思えてならなかった。

 

 (ゆえ)に…ブレインフレーヤーの大攻勢において、最前線で戦い続けたであろう凜子の安否は、絶望的に違いないとも諦めていたのだが。

 

「うむ、私としたことが戦いの折、不覚にも深手を負ってしまってな。今や身体の大半を機械で補っている有様だ」

 

「そんな……」

 

 凜子自身の言う通り、その身体は四肢のみでなく、下半身から腹部にかけてまでもが義体であった。

 

「車椅子での移動を強いられているのは、設備や部品(パーツ)が足りないせいでな。今はこの義体を大切に使う他なく、仕方無くこうしている」

 

 悲痛な面持ちで話を聞く達郎に、凜子は気丈な響きを帯びた声で言う。

 

「そんな心配そうな顔をするな、達郎。前線に赴くことはできないが、これでも稽古や防衛任務は普通にこなしている」

 

「そう…うん、少し安心した」

 

 達郎と凜子の会話が一段落すると、戸惑いつつ様子を見守っていたゆきかぜが、真っ先に確認すべきことを二人に聞いた。

 

「えっと、そろそろ説明して貰っても良いですか。何でここに凜子先輩が?それに二人が姉弟って、あの……本当に?」

 

 凜子が説明を始めるよりも早く、後ろに控えていたアビゲイルが、ゆきかぜの一つ目の質問に答えた。

 

「今朝、研究施設を訪ねて凜子さんに聞いてみたの。”秋山 達郎“という髄心逸刀流の剣士に心当りはないかって」

 

 アビゲイルは、降参と言わんばかりに両手を胸元まで上げると、

 

「そうしたらもう、何処にいる!今すぐ会わせろ!!の一点張り。仕方がないから訓練場まで連れてきたという訳」

 

 アビゲイルに次いで、凜子が口を開く。

 

「達郎は幼少の頃に養子に出されたのだ。曲がりなりにも秋山派宗家の嫡男。本来なら養子など(もっ)ての(ほか)だ」

 

 苦々しい記憶を思い返しているのだろう。淡々と話しながらも、その言葉には悔恨の情が多分に感じられる。

 

「だが、両親を失い後ろ盾のない幼い私達が、分家に(あらが)うには余りにも無力でな…」

 

「まさか、凜子先輩に弟がいたなんて…全然知らなかった」

 

「許せ、ゆきかぜ。誰かに話したところで、達郎への哀愁が増すだけと、私一人の胸の内に留めていたのだ」

 

「じゃあ、彼が昨夜話していた、髄心(ずいしん)逸刀流の創始者のお父さんっていうのは……」

 

 今だ凜子の前で膝立ちの姿勢を取る達郎が、ゆきかぜの方へ顔を向ける。

 

「えぇ、実父でありません。秋山派剣術に固執しながらも、遁術を扱えなかった養父は、逸刀流と宗家を逆恨みしてましたから……恐らくは、そういう理由もあって、俺を養子に迎え入れたのだと思います」

 

「でも、昨夜は凜子先輩のこと、名前を知ってるだけって言ってたよね?」

 

「済みません…下手に血縁者と知られては、身動きが取り辛くなると思い、嘘をつきました」

 

 幾許(いくばく)かの静寂の後、アスカが今後に向けた話題を切り出した。

 

「一通り話は済んだかしらね。で、今回の試験の結果を踏まえてなのだけど、私としては、達郎君には本部直属の扱いで、今後は単独での隠密任務をお願いしたいのだけど、どうかしら?」

 

「申し訳ありませんが……」

 

 達郎の辞退の返事を見越し、間髪入れずアスカは言葉を重ねる。

 

「お姉さん代わりだった使用人の捜索でしょ。なら尚のこと、レジスタンスに留まった方が良いんじゃない?」

 

「……何故ですか?」

 

「今後も私達に協力してくれるなら、レジスタンス内外の情報網を使って、その使用人の捜索に力を貸してあげるわ」

 

「それは、俺が凜子姉さんの弟だからですか?」

 

「当然それも否定はしないけれど、達郎くんの実力を高く評価しているのも本当よ?」

 

「……」

 

「達郎、私も悪い提案ではないと思うのだが……」

 

 押し黙り迷う達郎に対し、先程までとは打って変わり、捨て犬のような怯えた瞳で達郎を見つめる凜子。

 

(凜子さんが、これ程までに感情を(あら)わにするなんて…本当にいつぶりかしら)

 

 達郎の返事を待つアスカは、身体の大半を義体化して以降、感情の起伏に乏しく、言少(ことずく)なだった凜子の変化に驚きを隠せなかった。

 

 他方、達郎もその瞳で強く訴える凜子の姿に、心揺らがずにいられなかった。

 

(確かに悪い話ではない。今後、偵察任務の危険度は上がるかもしれないが、それと引換えに楓花姉さんの捜索が、大きく前進することは間違いないのだから……)

 

 楓花姉さんを探すためなんだ……達郎は胸中で己に何度もそう言い聞かせると、

 

「俺はアスカさん達のように、強い信念を持ちレジスタンスに参加している訳ではないですが……それでも良ければ、よろしくお願いします」

 

「じゃあ、決まりね」

 

「それでこそ我が弟だ。達郎ならそういうと思っていたぞ!」

 

 ほんの少し前の悲壮感漂う様子は何処へやら、凜子の声色は一転して喜びに満ちていた。

 

(本当に調子の良い姉さんだ。二十年振りだと言うのに、今の俺のことなど大して知りもしないのに……)

 

「達郎、もし時間が許すなら、この後もう少し話せないか? 別れてからのこと、もっと色々と聞かせて欲しいのだが」

 

(達郎、達郎って…人の名前を気安く何度も何度も……)

 

 限界はとうに超えていた。(こら)えきれなくなった涙が瞳から溢れ、頬を伝い零れ落ちる。

 

(あぁ、畜生。涙で顔もろくに見れないなんて、何て情けない……)

 

 達郎の涙に凜子は、矢も盾も(たま)らず掴んでいた腕ごと更に達郎を引き寄せると、その胸と両腕で以て、膝上に乗せた達郎の頭を掻き(いだ)いた。

 

「……弱虫は卒業したのかもしれんが、泣き虫なのは相変わらずのようだな、達郎」

 

 瞳に涙を溜めながらも懸命に微笑む凜子。感極まった達郎は、(すが)りつくように両腕を凜子の腰に回し、声を上げて(むせ)び泣く。

 

 五車町でのブレインフレーヤーとの戦闘の折、凜子を始め学園の最終学年であった同級生達は、他学年よりも多くの生徒が防衛戦に駆り出され、その大半が命を失った。

 

 今だ身体だけでなく、心にも大きな傷痕を残す凜子にとって、突如訪れた弟との再会は何ものにも替え難く―――その存在は、二度と失うまいと己に固く誓わずにはいられない程だった。

 

(これからはずっと一緒にいよう―――なぁ、いいだろう? 達郎)

 

 そうして、凜子もまた万感の思いを胸に、達郎の髪にその頬を深く(うず)めたのだった。

 訓練場での一件から二週間後。それは、達郎がアスカから指示された偵察任務を終え、深夜にレジスタンス本部を訪れた時のことだった。

 

 アスカとアビゲイルに一通り報告を終えた後、同じく本部にいたゆきかぜから、剣術の助言を求められた達郎は、忖度(そんたく)なく思うところを彼女に述べた。

 

 “雷剣(プラズマブレード)”の発光は明度の低い暗色に。刀身は細身で、身幅は狭く、重ねも薄く。可能であれば、プラズマ粒子の放出音も極力抑えるようにと。

 

 前回の試験を兼ねた剣術仕合を振り返り、容易に剣筋を見切られないようにと(おもんばか)っての発言であったが……ゆきかぜの返答は、達郎にとって予想外のものだった。

 

「そんなの地味過ぎ、即却下」

 

 余りにも思慮に欠ける物言いに、暫し唖然とする達郎であったが、

 

「あの、ゆきかぜさんは対魔忍……ですよね?」

 

 虚無感に(さいな)まれながらも、何とかゆきかぜの理解を得ようと試みる。

 

「何、馬鹿にしているの?」

 

「いえいえ、滅相も無い。でも、てことはですよ? やっぱり忍びな訳じゃないですか」

 

「……そういうことね。貴方が言いたいのは、古式ゆかしい“忍道”ってやつでしょ? 悪いけれど、私の柄じゃないから」

 

(うわっ…忍者、全否定。本気(マジ)ですか……)

 

「そ、そうですか。でも、ゆきかぜさんの剣術は、”雷剣“二刀の扱いを少し見直すだけで、相当良くなると思いますよ」

 

 更に達郎は、実剣のように順手持ちと逆手持ちを“雷剣”でも実現できるよう、掌から発する刀身の伸長方向を柔軟に変えてみてはどうかと提案する。

 

 達人の柄捌きには及ばずとも、理合に適う所作や技の幅が大いに広がるに違いないと考えたのだが、

 

「駄目」

 

 助言を求めた当人は、相変わらず全く聞く耳を持たなかった。

 

「そうですか。では、ゆきかぜさんの気が向いたら……」

 

 嫌気の差した達郎は、理不尽極まり無いこの会話を終え、早々に立ち去ることにした。

 

 アビゲイルの計らいにより、居住区の空き部屋を宛てがわれた達郎は、それまで住み込んでいた坂下隊長の小屋から早々に引っ越していた。

 

(はぁ…さっさと家に帰って、ゆっくり休もう……)

 

「そうじゃなくて、その“さん”付け」

 

「え?」

 

「だから、敬称は要らない。大体、凜子先輩から聞いたけど貴方、私と同い年なんでしょ?」

 

「えぇ。でも、レジスタンス内での立場も違いますし……」

 

 呼び捨てで呼ぶほど親しい間柄という訳でもない。それに、今の距離感の方が、先々レジスタンスを去るにも都合が良い。

 

 申し訳ないけれどその申し出には応じられない―――じっと返事を待つゆきかぜの不安気な瞳に気付かなかったなら、恐らく達郎はそう答えていたに違いない。

 

「分かりました。では、今からお互い呼び捨てということで」

 

「あ……そ、そうね。話が早くて助かるわ。それじゃあ、今後ともよろしく、達郎」

 

 ゆきかぜの安堵の色を帯びた声音に、達郎は己の選択が間違いでなかったことを確信する。

 

「こちらこそ。でだ、ゆきかぜ。早速で悪いけど、やっぱり"雷剣“の扱いは考え直すべきだと思う。このままでは遠からず、君の剣は行き詰まる」

 

「う、うん…って、何? 途端にグイグイ来るじゃない……」

 

 そんな二人のやり取りを黙って見守るアスカの表情が、終始ニヤついていたのは無論言うまでもないことだった。

 

「―――で、何やかんやで結局、その後ゆきかぜに訓練場にまで付き合わされたんだ」

 

 初夏を向かえ、身体に纏わりつく地下の冷たい湿気が、心地良くも感じられる早朝。

 

 身体を冷やさぬよう薄手のコートを羽織る凜子は、二本の竹刀袋を背負う達郎に車椅子を押され、(くだん)の訓練場へと向かっていた。

 

「全く以て、ゆきかぜらしいな。ところで、達郎。私も“さん”付けでなく、昔のように“凛子姉”で構わんのだが?」

 

「……ごめん、実はいつからそう呼ぼうかと切っ掛けを探してたんだ」

 

 凜子に要らぬ気遣いをかけさせたことを、達郎は素直に詫びる。

 

「構わんさ。長い間離れていたんだ。少しは余所余所(よそよそ)しくなるのも仕方ない」

 

 舗装の朽ちかけた道に車輪を取られぬよう、注意深く車椅子を操作する達郎は、気になっていた事柄を凜子に訊ねることにした。

 

「アビゲイルさんから聞いたんだけど、凛子姉が学生の頃かな、装備の棚卸しの時に、俺の忍刀を届け出たらしいんだけど……何か覚えてる?」

 

「……あぁ、言われてみれば。確かにそんなこともあったな」

 

 昔の穏やかだった頃の日々を辿っているのだろう。凜子の表情はいつにも増して明るい。

 

「昔、同級生に打刀と脇差の二刀を腰に差してなければ武士とは言えぬなどと、揶揄(やゆ)されたことがあってな。虚勢を張って達郎の忍刀を届け出たのだ」

 

「そんな持ってもいない刀を何故?」

 

「仕方なかろう。我が“石切兼光”に見合う銘持ちの刀が他に思いつかなかったのだ。無銘の刀剣では格好が付かんだろう?」

 

「あ、そう…だったんだ……」

 

 余りにも他愛の無い理由に、達郎は追及を諦めて苦笑する他なかった。

 

「ところで、今日はアスカさんの許可をちゃんと貰ったんだよね?」

 

「あぁ、日頃の型稽古に比べれば、義肢への負荷は当然増すだろうが…達郎との大切な約束だと言ったら、快諾してくれたぞ」

 

(正直、凜子姉の認知って偏ってるというか、素直過ぎるというべきか。アスカさんのことだから、渋々承諾した気がしてならないのだけど……)

 

「それにアビゲイル殿のお陰で、回収した敵兵の部品(パーツ)を流用する目処が立ちそうでな。そうなれば仕合稽古は勿論、今後は義体の損傷を気にせず戦えるやもしれん」

 

 回収した敵兵というのは、恐らくは機械生命体のアサグのことだろう。

 

 達郎にはその内部構造までは分からないが、女性の対魔忍を模した見た目からして、凜子の義体への換装は現実味があるように思われた。

 

 暫くして訓練場に到着すると、凜子は車椅子を降りコートを脱ぎ、達郎から竹刀を受取ると素振りをし始めた。

 

「そういえば、達郎が探しているという使用人。アスカが姉代わりと言っていたが?」

 

「あぁ、ずっと俺のことを支えてくれた大切な人なんだ」

 

 凜子を横目にもう一本の竹刀を袋から取出しながら、達郎は楓花の姿を思い浮かべる。

 

 明るい栗色の髪に緩いウェーブのかかったセミロングヘア。普段は太縁の眼鏡に控え目な性格も手伝って、周囲には地味な印象を与えていた。

 

 だが、実際は小柄ながらスタイルは抜群で、愛らしい顔立ちに優し気な瞳を湛えていて―――慎み深く上品で、心惹かれずにはいられない女性だった。

 

(そう…俺は取り返しのつかない失敗をしておきながら、この荒れ果てた廃都で、今も楓花姉さんの行方を探している……)

 

「そうか。さぞ、良い姉代わりだったのであろうな。だが…実の姉がいながら、よもや代わりを頼るとは……」

 

 素振りを止め、竹刀の切先を下ろした凜子から不穏な空気を感じ、達郎は思わず後退(あとずさ)る。

 

「え、ちょ…凜子姉?」

 

「黙れ、痴れ者が。そうだな…私がこの仕合に勝ったら、その姉代わりとやらのこと、洗いざらい吐いてもらうとしよう」

 

「いや…だから、どうして……」

 

「四の五の言わずに、さっさと竹刀を構えよ、達郎」

 

 最早、取り付く島もない。凜子の剣幕に気圧されるがまま構えを取った達郎は、何かしら言い返さねばどうしても気が済まず、

 

「なら、俺が勝ったら、これまで付き合った男性の人数でも教えてもらおうかな」

 

 瞬間、凜子はカッと目を見開くも、静かに目を瞑り、

 

「ふ、ふふ…よりにもよって、姉に過去の色恋沙汰を訊ねるなどと…まぁ、良かろう。愚弟の腐った性根を叩き直すのも姉の務めだからな。ふ、ふふふ……」

 

 (たかぶ)る感情を抑えきれず、肩を震わせながら返事を返す凜子。

 

(これ以上、凜子姉の不興を買っては身が危うい…)

 

 達郎は口を(つぐ)み、深呼吸して雑念を鎮めると、自らの精神を静謐の縁へと至らしめる。

 

 相対するは“斬鬼の対魔忍”の二つ名を持つ実の姉。その卓越した技量と到達し得た境地は、達郎にとって未知の領域に他ならない。

 

「いざ」

 

 竹刀の剣線を凜子の喉元に向け、仕合の開始を告げる達郎。

 

「参る」

 

 達郎の掛け声に応ずる凜子。逸る心をそのままに、二人は惹かれ合うようにその間合いを瞬く間に詰めていく。

 

 小気味良い竹刀の音鳴りを伴い、秋山派剣術を色濃く残す体捌きと見切りの剣技の応酬を繰り広げる桔梗色の姉弟。

 

 間を飛び交う濃密な視線と気配のやり取りは、さながら男性選手(リーダー)女性選手(パートナー)が目まぐるしく入れ替わり、主導権(リード)を奪い合う即興のボールダンスのよう。

 

 ―――長い旅路の果て、懐かしい彼方にあった約束は今果たされた。

 




 何とか無事に第2章まで書き終えることができました。特に今回は手前勝手な設定も多かったので…貴重なお時間を割いてここまでお読み下さった方々には、只々感謝するばかりです。

 本当にありがとうございました (_ _)

―――――――――――――――――――――
【キャラクター補足②】
秋山 達郎
 旧・秋山派逸刀流宗家の元嫡男で凜子の実弟。髄心逸刀流の剣士。

 幼い頃に分家筋に養子に出されて以降、剣術は養父である秋山 俊樹の下で髄心逸刀流を修め、遁術の基礎は三歳年上の使用人の楓花より手ほどきを受ける。

 旧・秋山派宗家の乗っ取りを企む野心家の養父の意向により、高校時代から対魔忍の下部組織にて現地協力員を務め、実戦において己の風遁に磨きをかける。

 養父である俊樹は、宗家への異常な執着や、遁術の才に生涯恵まれなかった劣等感を抱えるがゆえに、歪んだ性格の持ち主であったため、達郎自身も逸刀流や対魔忍に対して良い印象を持っていない。

 特に対魔忍の下部組織に属し現地協力員を務めて以降は、更にその思いを強くする。

 達郎と任務を共にした対魔忍達は、何れも強者揃いではあったが戦略に欠け、また戦術も古風かつ画一的なものばかりであった。

 如何(いか)に精緻な敵方の情報を提供しようとも、その場凌ぎの力業の対応ばかり。

 これでは才に乏しいものは命が幾つあっても足りず、武装勢力として大成を収めるには至らないと、対魔忍組織自体を見限っている節がある。

 髄心逸刀流忍術 “風踏(かざふみ)
  極低空下にて風圧を足場に変幻自在の
  機動を為す移動遁術
   ※逸刀流忍術 “追風”の亜流
 
 髄心逸刀流忍術 “風鳴(かざなり)
  抜刀と同時に鞘奥の烈風を解放し
  驚速の一刀を為す攻撃遁術

 髄心逸刀流忍術 “凪待(なぎまち)
  風を利用した全周知覚・索敵遁術
   ※逸刀流忍術 “連達”の亜流
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