どうやら俺は須川君に憑依したようだ。   作:葬炎

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幼少期

始まって突然だが、俺は今ちょっと困惑する状況に陥っている―――

 

はぁ、神様よぅ、今ほどあんたを恨んだ日は無いぜ……

そんなため息が吐きたくなるような現状にちょっと涙がほろりとしてくる。どうも、須川君に憑依した俺です。

 

「きこえてますか? むしはよくないとおもうんです。きこえてなかったならもーいっかいじこしょーかいをしましょう」

 

ここはバカテスの世界。……の、IF。

だからと言って、これはあんまりじゃないかな? かな?

そう思ってしまう原因が、俺の目の前にいて、俺の右手を両手で包むように握っていた。

その姿はたれ目気味の目に紺色ような青のかかった髪。髪型はまだ幼いので少しもいじってないことが伺える。

うん、少し見覚えがあるんだ。全体的に女性っぽいシルエットになってるのと幼いことを除けば、ある程度知ってるキャラに。それは―――

 

 

 

「わたしのなまえは、根本(ねもと)恭子(きょうこ)。さぁ、あなたさまのなまえをおしえてください」

「……俺は―――」

 

名前でわかるだろうか、俺の目の前にいるのはアノ根本()、だったはずの人物だ。

しかし、なぜか彼だったはずの根本君は、今俺の目の前に彼女として立っている。……しょせん、IF世界なんだからTSというやつだろうか。

もしかしたら名前は容姿が似ているだけの別人、もしくは姉や妹などの親族などという可能性もあるが、あの神様は『本来の作品とは違うところがあるかもしれない』ことを強調して説明していたんだ。わざわざ説明するくらいだから大なり小なりなにかしらの変化は覚悟してたけど、なんかなあ。

そう、違う人物という路線は捨てられないんだけど、俺のこの無駄にスペックの高いこの世界の体は他にも色々パワーアップしてる。

例えば運のよさなり集中力だったり。まぁそこは最高というほどなんでもかんでも上手くいくほどの能力UPはしてないんだけど、そんな身体スペックや頭のよさとは関係ない能力的なスペックも上がっていて、その中でも一つだけ抜きん出てよくなってるものがあった。

そう、直感である。それも某カテキョーするヒットマンに出てくる超直感って言っていいほどパワーアップしている。

その直感が叫んでいる―――目の前の女の子はアノ卑怯者として書かれているBクラス代表になるはずの根本君だった人だと。俺が知っているキャラであると。

 

そんな元彼、現彼女はうるんだ目、赤くなった頬、上目遣い。そんな感じで俺を見ている。

これは明らかに―――

 

 

「―――須川(すがわ)(りょう)だ。言ったから手を離してくれない?」

 

「須川君……」

 

必要なとこ以外は聞こえてないとでも言うように俺の右手は両手に包まれるように握られたままだった。

無理矢理手を引き離すのも大人気ないというかなんというか……はぁ、こいつ出会ったのは、まぁ子供にありがちなことだった―――

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

『なー! おにごっこしようぜ!』

『うん! じゃあおにごっこするひとこのゆびとーまれ!』

 

わーわーきゃーきゃー

 

「…………」

 

俺は今公園に来ている。

というのも、やっぱ予想通りこの小さい体は小学生のものらしく、それも低学年だった。

俺が憑依して数ヶ月、いつまで経っても学校以外では部屋を出ない俺を母親(最初に会った時は直感で目の前の女性が母親だとわかった。けっこう綺麗で若かい)が公園まで連れ出してきたからだ。

もっとも俺は連れられてきても他の子どもとは精神年齢が違いすぎるゆえに公園の遊具の遊ぶ気にもなれず、ずっとブランコに座ってぼーっとしてただけだが。

ちなみに連れ出した犯人である母親は他の親と絶賛井戸端会議中である。俺のことなんてちっとも気にもかけちゃいない。

 

「はぁ……暇だ」

 

さすがに俺は生前二十歳になり大人の仲間入りした年頃だ。今では体は同学年であるといっても小学生低学年と遊ぶには少し歳が離れすぎている。俺に保母スキルがあるもしくはそこそこ歳のイったおっさんくらいの年齢なら付き合えたんだろうけど、さすがに普通の大学生であった俺には少々きつかった。

誰か俺に子どもと接するためにどうしたらいいか教えてください。と、思わず切に願ってしまうほどどうしたらいいかわからなかった。

 

「母さんは……まだ井戸端会議中か。さて、なにしよ―――う?」

 

母さんは衰える様子もなくずっとしゃべりっぱなので帰ろうにも帰れない。

そんなことを考えながら暇つぶしになるものがないかと周りを見渡すと、なんともまぁ子供がやってそうな光景が見えた。

 

『あははは! おまえじゃまー!』

『もーどっかいってよー』

『こっちこないで!』

 

『なんで……わたしは……』

 

まぁ、ようするにイジメだ。

この年代はなかなかイジメに関して難しい。ただ大人に言って、大人が口先で怒るだけだと、一時期収まるかもしれないが絶対と言っていい確立で再発する。

そして、再発した場合はだいたいが陰湿になる。理由は子供たちなりにまた怒られないように、バレないように精神的にイジメてくるだからだ。

こういうのはだいたいが時間で解決するが、たまに時間が経つにつれ過激に、取り返しのつかないイジメに発展することがある。

これの解決方法は―――と、そんなこと説明してる場合じゃないな。しかし、あれに介入しようにも、イジメられてる女の子と知り合いってわけじゃないし、イジメてる側の誰かと知り合いってわけじゃない。こういう場合はガキ大将的なやつと友達だと手っ取り早いんだけどな……。この世界に来てまだ1年も経ってないし、友達とか言える間柄はいない。っていうかこの体と同年代の子どもとはまともに話したことがない。せいぜい先生の手伝いなんかでちょこまかと動いてたくらいだ。

んー、しゃーない。

 

「君たち、なにをしてるんだ?」

 

『なんだよおまえ!』

『じゃますんな!』

『なにーきみー?』

 

「あうぅ……」

 

俺はイジメられてる女の子の隣に立ってイジメっ子たちに問う。口調はちょっと精神年齢がだいぶ上なんで叱るような語調になってるが、気にしないでほしい。

さて、反応はかね予想通りかな。

解決方法だが、こういう場合はアル手段に頼らせてもらう。これは前世ではまずできない、つまりこの世界だとできる方法だ。

まぁ、馬鹿馬鹿しい方法だが、この世界では実に有効手だろう。

 

「―――俺は恥ずかしいっ!」

 

『は?』

『なにいってんだよ!』

『ふーん?』

 

「なんでお前たちはそんなグレてしまったんだ!? 昔はもっと純粋にみんなと遊びたかったはず! なのに今の現場を見ると、ただ少女をいじめるだけのイジメっ子集団じゃないか! それでいいのか!? 君たちは仲良く遊びたいだけだろう! なぜそうなった! 家の事情か? 友達の作り方がわかないのか? むしゃくしゃしたのか? だが! 今ならまだ間に合う! さぁ、このこと手をつなぐんだ!」

 

さて、皆様は俺がなにをしたいかまったくわからないだろう。

そこでだ、この世界がどこかを思い出してほしい。

そう―――バカテスの世界だ。

原作を持ってない人はわからないだろうから説明すると、バカテスの世界は、常識人も非常識なやつらもだいたいノリと勢いでなんとかなる。

具体例はバカテスの何話だったか忘れたが、学力強化合宿編の男子生徒全員(・・・・・・)による女湯覗き事件だろう。

そう、全員だ。もとからエロいやつとかはともかく、そういうことはやっちゃいけないと考えるやつが絶対一人はいるはず、そもそも興味ないのだって数人いる可能性もある。なのに、全員なのだ。

よって、この世界の住民は―――

 

『……なんか、わるかった。ごめん』

『……ごめんなさい』

『ほー、じゃーわたしもごめんなさーい』

 

「え……うん、べつにいいよ」

 

―――ノリと勢いで押せばなんとかなることが多い。

多いだけであって、なんともならない時もあるだろうけどな。

 

『おまえっていいやつなんだな! いっしょにあそぼーぜ!』

『じゃーあそこの鬼ごっこにはいろう!』

『わたしはどっちかっていうとそっちの男の子にきょうみあるなー? まーいーやー。あそぼー』

 

「......はい!」

 

こうして、イジメっ子集団とイジメられっ子は仲良くいっしょに遊び始めましたと。めでたしめでたし。

ちなみにさっきの長台詞は某生徒会長をリスペクトしました。

 

「さて、俺はどーしよーかなー」

 

ふっ、俺にかかればどんな事件でも解決さ。と意味なくちょっとかっこつけてみたりした後改めてどう暇つぶしするかを考え始める。

どーしよーかなーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねー奥さん、あそこのスーパーの―――』

『あらやだ、もうこんな時間。私は―――』

『あら、私も―――』

 

時は過ぎ去り今は夕方。結局ぼーっとしてるだけの公園での一時は母さんの井戸端会議が終わることによって終結しようとしていた。

 

「んん~……はぁ~」

 

俺は結局他の子供とは遊ばなかったなぁと今日を振り返る。だって、神様からもらった身体スペックもあってなにしようと勝負にならないし、勝ったら勝ったで泣き出す子とかいてあやすのが大変なんだもん。……おぇ、精神年齢的にこの口調はねえわ。

 

「……ねぇ」

「ん?」

 

俺は背後から声をかけられたので振り向く。

すると、後ろにいたのは―――イジメられていた少女だった。

 

「……わたしをたすけてくれたよね?」

「んー、気のせいじゃないかな?」

「うそ」

 

なにかめんどくさいことになりそうだと俺の直感が警報を鳴らしていたため、嘘をついて適当にあしらおうとしたらあっさり嘘と断言されてしまった。

ふむ、まぁさすがの子どもといえどこんくらいならバレるか。ならもっと複雑に、めんどくさい言い回しをして―――

 

「あなたのことが好きになりました。よろしければ婚約を前提に結婚してください」

「……は?」

 

つきましてはなまえのこうかんから―――とかなんとか目の前の少女が言ってる気がするが、今はそんなことを考えていられない。

 

婚約を前提に結婚……?

どういうことだーーーー!?

 

声に出ない悲鳴が頭の中に響き渡った。

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

「そして冒頭に戻る、と」

「どうかしましたか?」

「いや、なんでもない」

 

そんなこんなで、いきなりの結婚してくださいというカミングアウトにより頭の中が真っ白になってた俺はたった今まともな思考回路が回復した、そんな状況だった。回復してもあまりに動揺しすぎたため謎の発言をしてしまったが、まぁ、許容範囲だろう(何が?)。

 

『りょ~ちゃ~ん、帰るわよ~』

 

「あ、母さんに呼ばれてる。帰らないと。じゃぁな」

「む、ざんねんです……ええ、またあした」

 

ちょっと気まずい空気の中、俺は母さんに呼ばれてこれ幸いと帰ることとなった。

……なんかまた明日会う予感がするのは、気にしないほうがいいだろう。超直感が超仕事して確信とも言えるほど会う未来が予想できている。

 

そして、俺は帰った。

この時俺は知らなかっただろう。出会った日からずっと、予想していたよりずっと長い付き合いになることを。

 

それと、ちょっと大変だけど楽しい日々が待っていることを。

 

 

 

 

まぁ、せいぜいがんばりますか。




リメイクにより改めて読んでみると..........うわーお。
矛盾してるとこがわかるわかる。あと説明不足すぎて、もー泣きたくなりました。まぁ、しょうがないね! (諦めた)

一応矛盾してるとこや誤字なんかは修正したつもりですが、ありましたら是非ご報告ください。思い込みの力って言うんですかね、自分では何回もチェックしてても、それでも誤字はなくならないんです..........。
あと恭子ちゃんについて、他のとこがなるべくひらがなにしてるの「婚約を前提に結婚〜」のくだりだけ漢字なのは、そこだけ流暢にハッキリしゃべったと思ってください。犯人はおそらく母親あたりが「将来想い人ができたときのために練習しとくのよ〜」とでも言ったのでしょう。

こんな私でも修正点がすごく多いことがわかるとは、前の私がよほど駄目だったのか、文章を書く技術が上がったと見るべきか。個人的には後者を全力で押したいと思います。

幼少期②も明日か明後日あたり、すぐに投稿します。作者の本領(超亀更新)が発揮するのはその後です。まぁ亀と言ってもリメイクなんでそこまで酷くはならないと思いますが。

最後まで読んでいただきありがとうございます! 葬炎でした。
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