どうやら俺は須川君に憑依したようだ。   作:葬炎

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幼少期②

少年は走る―――

 

 

 

「はぁ……はぁ……くそっ、最高スペックの体? 頭がいい? 超直感? そんなのがなんの役に立つ……!」

 

その姿はまるでこの世の全ての絶望を見てしまったかのような顔で、それを忘れたいがのように頭を振りながら全力で走る、走る。全てを振り払うかのように。

 

どんだけ最高のスペックがあっても、どんだけすごい能力があったとしても、その問題は解決しなかった。できなかった―――

 

 

 

「くそぅ! なんでだ! なんで現実はこんなにも厳しい!」

 

とある公園にたどり着いた少年は叫ぶ。

なぜだ、なぜ俺は―――

 

 

 

 

 

「くそっ、..........なんで俺はエロ本を買うことができないぃぃぃぃいいい!!!」

 

―――まだ子どもなのだろうか。

前大学生、現子どもは血涙を流しながら公園の中心でエロ本読ませろと叫んでいた。

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

膝をつき頭を振り回しながら叫び血涙を流していた少年は一瞬ピタッと動きが止まると、なにごともなかったかのように乱れた服装を直し立ち上がって公園の出口に向かって歩き出した。

 

よぉ、須川だ。ちょっっっっとばかしみっともない姿を見せてしまったが、許してほしい。そんくらいショックだったんだ。

くそぅ、自分一人で外に出て行動するようになってきたから、ちょっと遠出して本屋に来てエロ本買いにR18エリアに踏み入ろうとしたところ、近くにいた店員の人に止められてしまったorz

店員を振り切ろうと全力で駆け抜けようとしても、どっちにせよ店員にエロ本を差し出して買わなきゃ窃盗になるし、俺には打つ手がなかった。犯罪はいけません。ちゃんと一月に一度の小遣いをコツコツと、他のお菓子とかラノベとかの色々な誘惑を我慢しながらなんとか何冊か買える程度に貯金してたのを持ってきたのに..........。

精神的には健康な大学生なんだから許してくれてもいいぢゃん、俺グレちゃうぞ☆ うえぇ、キモイ……

 

「……今日一日分のやる気がごっそり削れてしまったし、帰るか」

 

俺は今の体ではエロ本を買うことのできない事実に絶望しつつも自分の家の方向へ足を向けた。

 

「ふぅ、拾ったり親父の部屋を漁ったりとかしないと難しいかな―――ん? げっ」

「きぐーですね。須川君」

 

公園を出て家に向かって住宅街をまっすぐ歩いていくと、曲がり角に壁で隠れて見えてなかったがTS根本君がいた。まるで偶然とでも言うような雰囲気を醸し出しているが、TS根本君の家がこことはずいぶん離れたとこにあるのと、ここら辺は住宅街なので偶然というのはあり得ないってことはわかってる。

 

「ぐーぜんです。たまたまおともだちのいえにいったかえりなんです」

「そうか、まだ午後の2時だっていうのにずいぶんお早い帰宅だな」

「じつはきゅーよーでかえらなくてはいけなくなってしまったんです」

「そうか。俺が見た時は完全に足が止まってたように見えたがそんな急y―――」

「そんなことより、わたしのことはしたのなまえでよんでいただいてけっこうですよ」

 

会話の流れを全部ぶった切ってTS須川君が呼び方について提案してくる。

まぁ、とりあえず名前呼びは断っとくかな。なんかそうすると取り返しのつかないことになりそうな予感がするし、悪いが無視して―――

 

「なまえでよばなかったら―――部屋にまた侵入して私がお嫁さんにいけなくなるようなことします」

「また!? ってかお前がいけなくなるのかよ!」

 

"また"という言葉に俺の直感が反応する。

まさか、この前服が数枚なくなって代わりに女物の服があったのはこいつの仕業か!?

俺が知らない間に自分に女装趣味でもできたのかと心配になっていたりしたが、どうやらそんなことはなかったようだ。いやうん自分にそんな奇妙な性癖があるとはこれっぽっちも思ってなかったけどうんちょっと不安になってたりしなかったりしてたんだ。

 

「ええ、それはもうめちゃくちゃに」

「……はぁ~、わかったよ恭子。あとそれなら俺も名前で呼んでもいいぞ」

「……はい、ふつつか者ですが、よろしくお願いします、亮君///」

「名前で呼ぶの許しただけだし俺の部屋に入るのは駄目だからな!?」

 

俺は大人だからしょうがなく、本当にしょうがなく名前で呼ぶのを認め、お返しに俺の名前も呼んでいいと言うと、根mーー恭子は顔を赤くしながら、まるで嫁入りする娘みたいなことを言う。

てか俺子どもになってから叫ぶこと多くなったな。よくある設定で精神が体に引っ張られてるのか? おっさんになってからは無表情だったのに、子供になってから感情の起伏が激しいし。

 

「それでですね、ハネムーンはどこにいきましょうか? それと、子供は何人欲しいですか?」

「保護者呼んでこい!!!」

 

信じられるか? こんな会話してるけど、まだまだ小学生の低学年なんだぜ?

 

「あぁ、いまからたのしみです」

「……俺さ、もう人生に疲れたよ」

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

俺は恭子と別れたあと、やる気がさらにごっそり削られた俺は自宅に向かって歩いていた。

 

「結局あいつの用事はなんだったんだか。友達とか急用とかの戯言のくだりは置いといて、あそこらへんにあるものっていったら……俺の家? いやそもそも根m―――恭子には俺の家の場所は教えてないような……まさかずっと尾行していて..........!?」

 

なにやら恐ろしいことに気がついてしまったような気がするが、きっと気のせいだろう。気のせいだと思わせてくれ。

きっと今日会ったのも尾行していて、その意味は俺の行動範囲を知るためだったり―――気のせいなんだ!

 

ドン!

 

「っと、ごめんなさい」

「おや、こちらもすみません。ほら、あきくんもあやまりなさい」

「おねえちゃんがぶつかったのになんでぼくがあやまるの!?」

「まったく、それだからあきくんはだめなのです。それでははやくこうえんにいきましょう」

 

なにやら見覚えのある顔だったけど気のせいだ。俺は今んとこ恭子以外に子供の知り合いはいない。

とりあえず上の空で人にぶつかってしまったため周りを気にしつつ帰宅を再開する。

 

『奥さん! この魚なんていかがでしょうか!』

『あら……安いわね』

『むむむ、この子いいわね……幻想郷に持ち帰ろうかしら?』

『駄目ですよ紫様。その子はこの世界の主用人物の一人なんですから』

『ヤ ら な い か』

『うほっ、いい男』

 

色んな意味で危ない人たちが少しだったりいや、多数いるが気にしないことにする。

と、あれは本っ当に典型だな……

 

『うへへへ、おねーさんいっしょにおちゃしなーい?』

『おごってあげるからさー』

 

『いやっていってんでしょ!』

 

要するにナンパだ。ただし―――彼、彼女も見た限り俺と同年代(つまり小学生低学年)だが。……親はいったいなにを教えてるんだ。てーかお前らにはそんな会話は早すぎるだろ……俺は少年たちがいったいどんな情操教育を受けてるのかすごい気になる。

と、とりあえず少女のほうを助けるか。

 

「ほら、お前らやめてあげなさい」

 

『あん? なんだおまえー! じゃまするなー!』

『やーいやーい! おまえなんかこっちにくんなー!』

 

「ほぇ?」

 

なんかちょっとデジャヴュを感じるようなセリフと共にあっちに行けとでも言うように手をシッシと振ってくる少年。

それを無視して俺は少女の隣に立つ。―――ん? なんかこれも前にもあったシチュエーションで、嫌な予感がビンビンするんだが……

俺のそんな考えなど知ったこっちゃないとでも言うように状況は進む。

 

『じゃま!』

 

ブン

 

「よっと」

 

ぱん!

 

『え? わわわ!』

 

とっとっと、ビターン!

 

効果音だけでわからなかっただろう。

少年Aが殴りかかってきたので、その伸びてきた腕を横から叩いて俺に当たらないようにズラしただけだ。そしたら少年Aは殴りかかった勢いのまま片足でけんけんした後バランスが崩れ、ヘッドスライディングのような体制で転んだ。

 

『ふぁ..........』

 

「あ、まずい。逃げるぞ」

「へ? ーーはわわ!」

 

『びえええぇぇぇえええ!!』

 

少年の泣き声を背中に、俺は少女の手を取って走り出す。

さて、どうするか―――

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、大丈夫か?」

「はぁ……はぁ……だいじょーぶ、です」

 

一番近いとこにある公園まで走ってきました。

俺は全然大丈夫だけど、少女には少しきつかったかな?

 

「さて、それじゃ―――」

「あ、まって!」

 

帰ろうとしたら呼び止められてしまった。

はぁ、今日は厄日かなんかだろうか。エロ本が買えなかったり、恭子のストーカー疑惑が浮上したり、さっさと帰ろうとしたら歳不相応にナンパしてる少年にされてる少女を見つけて、まぁ見過ごすのもできないで助けちゃったり。

先生……早く、帰りたいです……

 

「おなまえを、きいていいですか?」

「俺か? 俺は須川亮だ」

「すがわりょーくん、すがわくん……いえ、りょーくんですねっ!」

「いやーー……まぁいっか」

 

いきなり下の名前で呼ばれたから訂正しようかと思ったが、あんな嬉しそうな、眩しい笑顔を無くすことなんておいらにはできんよ……

 

「わたしは―――久保(くぼ)光希(みつき)

です! よろしくおねがいしますねっ!」

「―――は?」

 

とても、可愛らしい顔で、そんなお名前。

久保……みつ? 久保、利光? ……はははは……

さすがに、無いよね?

無いと言ってくれ俺の直感―――

 

 




この幼少期の恭子ちゃんが漢字混じりの台詞を言ってる時はそこ台詞の部分をしっかり発音していて、日頃よく言ったり聞いたりしてる言葉だと思ってください。もちろん原因は母親でしょう(確信)。

ということでここからタグの超☆亀更新が始まる―――かもしれません。まぁせめてリメイク前に追いつくまでは週一で更新できたらいーなーと、そんなことを作者は作者は考えたり。まぁ、無理でしょう(断言)。

感想、指摘、意見、批判をいつでも待ってます! よければ気軽にしてってください! 葬炎でした。
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