ビワハヤヒデが来てくれた影響かめっさテンション高いです。
コンコンコンッ
「あらっ何方でしょう、予定はないですが……」
「許可!!入りたまえ!!」
ノックがされたのは理事長室、中で仕事をしていた理事長は迷う事も無く入室許可を出した。これがウマ娘であって何か相談事ならば快く乗るしトレーナーや職員であっても話を確り聞くつもりでいる。自分の仕事だってあるが、理事長は何よりウマ娘達の事を考えている、それ故の行動だろうとたづなは笑いながら入って来る人を待った。そして扉が開くと―――
「失礼しま~す」
「あらっヒビキさん」
「どうもたづなちゃん」
入ってきたのはヒビキであった。此方から呼び出すならまだしも自主的にやって来る事は余りないのだが、理事長は思わずヒビキの持っていた包みを見て喉を鳴らしてしまった。
「はいっこれ差し入れのニンジンケーキ、たづなちゃんの分もあるから休憩中に食べて」
「わぁっ有難う御座います。ヒビキさんのケーキは美味しいんですよね」
「ウムッ!!誠に感謝!!してヒビキ用務員、御足労はこの為かな?」
「いえ本題があります」
包みを渡したヒビキ、差し入れも来た理由の一つではあるが本当の理由がある。
「実はちょっとお願いがあるんですよ」
「まぁっヒビキさんからのお願いなんて珍しいですね」
「稀少!!どんな願いなのか興味がある、是非行ってくれ。賃上げ要求でもヒビキ用務員ならば容認しよう!!」
「いや給金には満足してるから、実は用務員室の増築を許可して欲しいんだ」
「説明、如何言った理由なのかを聞きたい」
用務員室は殆どヒビキの専用室になっている。彼が一番仕事を行っているというのもあるが、何かヘルプがあった時に直ぐに対応して貰う為に常駐して貰う為に専用化していると言ってもいい。実際ヒビキでないと即座に対応出来ない事例というのは何度も起きているので他の用務員からは納得と賛同を得ている。
「まあ私用事で申し訳ないんですけど……実は実家から荷物が来る事になったんだけど、俺の部屋にそれを置けないんだよね。それは是非受け取って置きたくて」
「という事はそれなりに大きいという事ですか?」
「うんっ俺の数少ない趣味……みたいなもんなんだけどさ、ウマ娘達のトレーニングにも使える物ではあるからさっお願い出来ないかな」
頼んでくるヒビキの視線を受けて理事長は僅かに考える。本来は職員一人の私的な理由で敷地内にそう言った物を建てる事は許可できないのだが……ヒビキには度々助けられている上に下手に断って心象を悪くするのも悪手。それにウマ娘達の為にもなるならば否認する理由などはない。
「許諾!!だがそのガレージには職務に必要な物も確りと置く事!!完全な私的所有物のみを置く事は厳禁とする!」
「有難う御座います理事長、断れたら倉庫を探さないといけない所だった」
「そんなに大きいんですかその荷物って」
「まあ大きいと言えば大きいかな……三日もあれば建てられる規模にはするつもりだから」
そうなるとそこまで大きいガレージになるのではないのだろうか……と二人は一瞬思うのだが、ヒビキがその気になって作るガレージで三日と考えるとそれなりの大きさになるのではないだろうかと思い始める。そして許可を得たヒビキは待機時間をガレージ建造の時間へと当てるのだが―――三日後、そこにあったのは……
「うんっまあまあな出来かな」
「いや……かなり立派なガレージに見えるのだが」
用務員と見事に一体化しているミニバン位ならば簡単に収容出来るほどに立派なガレージが作り出されていた。これをたった一人で、しかも三日で作り上げたというのだから本当にどうなっているのだろうかと思わず様子を見に来たシンボリルドルフは呆れてしまった。
「あれっシンちゃん如何したの」
「今日荷物が来るのだろう、丁度私にも暇が出来たので見物させて貰いに来た。ヒビキさんの趣味と言われたら気にもなるさ」
「おじさんのプライベートが気になるねぇ……物好きだねシンちゃん」
「フフフッ気になるさ」
そんな風に話しているとヒビキは懐から何かを取り出した、それは金と銀で装飾された懐中時計だった。腕時計や携帯がある今、滅多に見る事が出来なくなっているそれを見たルドルフは思わず興味深そうな目で見つめてしまう。腕時計などに比べて手入れなども必要になってくるそれを使っているは意外だが、妙に似合っているなと思っていると、ヒビキの顔つきが柔らかくなっていた。
「もうすぐ時間だね。正門に行こうか」
「ああっ見学させて貰おう」
ルドルフを連れたまま正門へと向かう、その最中で彼女はどんな趣味なのだろうと思案を巡らせてしまった。身体を鍛える事が趣味だと思っていたが、それ以外となると如何にも思いつかない。料理だろうか、それとも全く別の物だろうか……そう思っていると正門に到着する、まだ来ていないようだが―――と思っていると何かが見えて来た。それは―――巨大な荷物を背負った一人の少女であった。
「もしかして、あれなのか……?」
「ああっ時間通り……だけどまさか一人で来るとは……成程、そりゃそういう日数指定するよなぁ……」
と何やら事情を察したか、呆れたような声を上げてしまったヒビキ。そんなヒビキに向こうに気付いたのか、少女は一気に加速した。巨大な荷物を背負っているとは思えない程に見事な走り、重さを感じていない様なブレの無さ、エネルギーを逃がさぬように振られている腕、理想的なランニングフォームだと思わずルドルフも感心してしまう程。そんな走りを見せたのは―――一人のウマ娘だった。
「響鬼おじ様~!!」
艶やかな腰まで届く程に長い黒髪の中に紛れる前髪の白髪はチャームポイント、まだ幼さが残るその表情は何処かテイオーに似ているとルドルフは思った。赤い色の瞳も美しいが幼げな表情と相まって愛らしさへと変わっている。
「響鬼おじ様お久しぶりです!!嬉し恥ずかしながらお届けに参りました~!!」
「よしっご苦労様、しっかし……態々届けに来なくても良かったんじゃないの?」
「えへへ~私の手でお渡ししたかったので!!」
しょうがない子だな~と言いながらもヒビキは笑みを浮かべたまま少女の頭を撫でる、少女はキャ~キャ~言いながらも久しく感じる感触に喜びを感じているのか顔が蕩けている。そんな少女はルドルフの目がある事に気付いたのか、ハッとしながら咳払いしながらも今更ながらピシッとした。
「初めましてっ響鬼おじ様の姪っ子、雷電
少女、輝は満面の笑みを作りながらルドルフへと挨拶をするのであった。
雷電 響鬼。
実家から贈り物が来るので用務員室にガレージを増設しちゃったおじさん。実家から荷物が来ると聞いていたけど、まさか姪っ子が届けに来ると思ってなかったので驚いてる。