本の召喚士(僕のヒーローアカデミア×超多重クロスオーバー)   作:アママサ二次創作

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性懲りもなく新シリーズです。昔まだ二次創作なんて単語すら知らない頃に書こうとしていた作品を今出来る形で書きます(当時は『とある』で書こうとしてたけど今ヒロアカの方がよく知ってるので)。



第1話 本道顕と友達と弟(最強のゲーマー兄妹)

 数多の世界で生き。

 

 時に戦乱の中を。時にまだ見ぬ大地を。時に平和な日々を。

 

 それぞれに駆け抜けていく彼ら。

 

 彼らが、自分にとって唯一の友だった。

 

 同じ年の子供には気味悪がられ、両親には虐げられ。

 

 ただ彼らのみが。語らい、遊び、競い合い。

 

 そんな友と呼べる存在であった。

 

 だから。

 

 彼らが存在する事を許さないこの世界を。

 

 俺が許すことは、けしてない。

 

 

 

******

 

 

 

「あら兄勉強教えてくんね……また空と遊んでんの?」

「ん」

 

 ガチャリと扉を開けて入ってきた弟の言葉に、将棋盤に向かった兄はたった一文字で短く返答する。初対面ではかなり冷たく聞こえるこの言葉だが、半年ほど一緒に過ごしてようやく弟の方もこれが兄のデフォである事に気づいた。基本的に、特定の相手を除いてこの一つ年上の義理の兄は塩対応なのだ。

 

「よー力。また勉強聞きに来たのか?」

「そう。遺伝子のところが微妙にわからなくてさー」

「ちょっと問題見せてみ? それぐらいなら俺にもわかるかも……」

 

 部屋に入ってきた力には一切顔を向けない兄の代わりに答えるのは、兄の対戦相手である空という男だ。適当に伸ばされた赤紫の髪の下に覗くのは陽気な中に鋭さを隠した笑み。着ている黄色のシャツには『I♡人類』という特徴的な文字列が書かれている。兄の対戦相手をこなしながらも、力の勉強を見てくれるぐらいの余裕はあるらしい。

 

「また空の圧勝?」

「んー、どうだろな。顕も最近いい線いってるし……」

 

 そんな気の抜けた言葉を返しながら空は力の渡したテキストに目を通しているが、空が問題の全容を把握するよりも先に兄、顕が勝負を投げ出す。

 

「無理だ。詰んだ」

 

 そう言って卓上の駒をガシャガシャと集めては並べ直し、再度対戦が出来る状態にする。

 

「空」

「あと2分。力、ペンあるか?」

「じゃあ白。やろう」

「……ん」

 

 空がまだ少しばかり時間がかかるであろうと判断した力は、今度は空の背中に持たれてタブレットを弄っていた白という白髪の少女に声をかける。これまた短い返事の後に、その小学生ほどに見える少女が将棋盤の向かいに座り顕との対局を始めた。

 

 一方の力は、空に声をかけられて空が裏紙に書き記す内容を見ながら解説をしてもらう。この空という男は学校にもまともに行っていないらしいが、持ち前の頭脳のおかげで力が聞く程度の勉強なら例え直前まで知らない内容でも一瞬で理解し、わかりやすい形で解説をしてくれる。

 

 その解説を数分で受け終わった力が将棋盤の方を向くと、再度兄が盤上を片付けて並べ直していた。

 

「あら兄もう負けたの?」

「負けた」

「白相手に将棋は無理ゲーだ。俺とやった方がまだ勝ち目があるだろ」

「……ブイ」

 

 笑いも出ない、とはこのことだろうか。兄が将棋を指しているのを見たことはもう何度もあるが、適当に手を指すタイプではない。むしろ一手一手丁寧に考えて指すタイプだ。力は将棋は知らないが、空曰くプロになれる程度の実力はあるらしい。だから力が解説を受けている数分の間に、勝負がつくほど手数が進んだとは考えにくい。

 

 単純に、白という少女がその実力で手数を必要とすらせずに顕を詰んだのだ。

 

「力、何か用?」

「もう空に教えてもらった」

「そ」

 

 将棋に集中していて最初にかけた言葉すら理解していなかった兄に、力は微妙な表情になる。この顕の集中力は顕と一緒に生活していると確かに色々な面で顕の助けにはなっていると思うのだが、一方でこうやって周りの一切を無視してしまう悪癖となることも多い。

 

 そんな事を考えていると、突然空達が話し始めた。

 

「お、もう時間切れか」

「……ん」

 

 そう言う2人の身体からは小さな光の粒が立ち上り始めており、それにつれて2人の身体も透き通り始めている。

 

「じゃ、またな顕」

「次は俺が勝つ」

「残念、それは無理な話だ」

「……『  』に、敗北の二文字は……ない」

「徒競走させるぞ」

「運動なんて俺と白に出来るわけないだろ。なあ?」

「……ん。兄ィ、倒れる。白も……」

 

 言葉の途中で2人の姿は完全に薄れ、消えてしまった。顕の挑発に対してあんな事を言っていた2人だが、いざ勝負となればきっと何かの手を使って勝ちに来るだろう。そして勝つのだろう。それは、彼らを本で読んだ力にも理解できた。彼らはそういうキャラクターだ。

 

 力が、久々に見た彼らの消えていく姿にぼうっとしていると、何やらごそごそと顕が着替えているのに気づく。

 

「あら兄運動する?」

「走ってくる」

「俺も行く! ちょっと待ってて!」

「玄関」

 

 玄関で待ってる、と。端的に残した兄を待たせ過ぎないよう、力は兄の部屋を飛び出して自分の部屋に向かった。

 

 

******

 

 

 かなりハードなランニングを終え、家に戻ってきた2人は揃ってストレッチをしていた。これも半年前、顕がこの家にやってきてから力にも伝わった習慣だ。もともとしていた顕に加えて、ヒーローを目指している力も自分はそれをすべきであると始めた。

 

 

 さて。

 

 ヒーロー。それは確かに、力と。実は顕も目指している存在である。架空の存在ではない。“個性”という超常の力。言い換えてみれば超能力が流布し始めたこの世界において、もはや警察以上に治安を守る存在として、確かにヒーローという役職は存在しているのである。

 

 

 

 

 

 

 超常の力である“個性”。

 

 その始まりは、中国のとある街で『光る赤子』が見つかったことだった。

 

 それ以降世界各地で、それぞれに異なる超常の力を振るう子どもたちが発見されるようになった。

 

 始めは『特殊な存在』であった彼らもいつの間にか数を増し。今ではそんな『異常』が『日常』となって、世界総人口の8割が“個性”を持つ社会へと、世界は変わった。

 

 人々はそれを超常社会と呼び、個性と向き合い、人間の形を逸脱した個性を抑えながら生きてきた。

 

 だが、個性が人それぞれに発現するものである以上、それを悪事に利用する者達も現れる。

 

 そんな者達は『(ヴィラン)』と呼ばれ。

 

 “個性”を武器に彼らから市民を守る存在は『ヒーロー』と呼ばれて、もはや国家公認の一つの職業となった。

 

 

 これは、そんな世界で。

 

 個性によって架空の存在を文字から呼び起こす少年が。彼らの力を借りてヒーローを目指す物語。




サブタイトル(各話タイトル)の()内はその話に出てくるクロスオーバーキャラにしようかと思ってます。
様々な作品の登場人物が無数に登場します。キャラクターが登場するごとにその作品をタグに追加していけたらなとは思いますが、忘れていたらごめんなさい。

第1話は、あの最強のゲーマー兄妹です。
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