本の召喚士(僕のヒーローアカデミア×超多重クロスオーバー)   作:アママサ二次創作

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第11話 交流(八百万・轟)

 午前中の授業は普通通り過ぎた。会話も前の席の八百万と数度交わした程度で、後は飯田から仰々しい自己紹介と握手を求められたぐらいであった。授業の合間の短い休憩時間では、話しかけようにもその暇もあまり無いのだ。

 

 だが、昼休みともなると話は変わってくる。

 

「ねーねー! 本道君、だよね? 初めまして! 私芦戸三奈よろしくね!」

「私葉隠透! よろしく本道君!」

「俺は切島鋭児郎! 困ってることがあったらなんでも言ってくれよな!」

「ほら次うぇーい」

「うぇ、うぇーい、って俺今はアホじゃないから! 上鳴電気! よろしくな!」

 

 昼休みになってやってきた芦戸を皮切りに、皆が集まってきて自己紹介をしてくれる。

 

 この雄英高校は、全国トップの高校として存在している。そのため生徒の数というのは、他の私立のマンモス校などと比べるとかなり少ない。言ってみれば少数精鋭だ。更にヒーロー科は2クラスしかない上に、それぞれのクラス人数というのは20人しかいない。そのためクラス内では全員と仲が良く、増えたメンバーに対しても弾き出すのではなくこうして声をかけてきているのだ。

 

 だが声をかけられた顕からしてみれば、そんなフレンドリーな接し方は“慣れていない”ものだった。

 

「……よろしく」

「皆さん。本道さんはあまり話すのに慣れていないとおっしゃっています。ですのでそのように大挙して押しかけると困惑されますわ」

 

 そこでようやく、集まってきた芦戸らの目にも顕が机の前に掲げていたカードが目に入ったようだ。午前中の授業では少し尋ねることのあった八百万と、ペアワークで3人組になった轟ぐらいなものであった。

 

「あ、ほんとだ、書いてる」

「えーでもお話したいよ!? どうするの!?」

 

 あーでもないこーでもない、と当の顕をそっちのけにして話すクラスメイトたちに対して、顕も重たい口を開く。

 

「2人ぐらいなら、なんとか……」

 

 実際それぐらいが限界だ。轟と八百万2人でギリギリだった。

 

「よし、じゃあ当番決めよう! 毎日2人ずつ交代で本道君のお世話とお話するの!」

「良いなそれ! じゃあ俺くじ作るぜー」

「待ちなよバ上鳴。つかいきなりそんなのされたら本道も迷惑でしょ?」

 

 盛り上がるクラスのお調子者達をなだめて、常識人枠の耳郎が顕に尋ねる。

 

「迷惑ではない。でも今はご飯食べたい」

 

 適度に関わってくる分には迷惑だとは思わない。それにそうしていれば、少なくとも力や光と話すのと同じぐらいには話せるようになるだろう。

 

 ただ。今そのくじ引きをしていると昼食を食べそこねるのではないかという至極まっとうな感想だ。

 

「うわ、やば! じゃあ細かいことは後で考えよう! お昼ごはん行くぞー! 本道君も食堂?」

「うん」

 

 本道の自己紹介にめげることなくフレンドリーに話しかける芦戸に、本道もいつもはしない声での返事を返す。

 

「よーしそれじゃあレッツラゴー」

「ゴー!」

「ちょ、葉隠さんなんで俺の尻尾掴んでるの! 助けて障子!」

「……すまない」

 

 芦戸と上鳴に急かされるように席を立った顕は、そのまま食堂へと連行、もとい案内される。そのままカツカレーを購入し、空いている席へとついた。

 

 顕が大人数が無理と言ったことを考慮してか、座る際には今日の担当ということで八百万と轟が送り出され、隅の方の席に3人で座ることになった。隣に轟、正面に八百万といった並びである。

 

 ここまで怒涛の勢いであったことに少し戸惑いのあった顕だが、いつものようにフードを被って黙々と食事をしはじめた。

 

「あの、本道さん。室内ですのでフードは……」

「……ごめん」

「あ、いえ、何か理由があるのでしょうか。あまり行儀が良くないと思いますので」

「そう言えば、授業の休み時間にも被ってたな。何か理由があんのか?」

 

 話の入、というには少し奇妙な八百万と轟からの質問。ちなみにこの席の会話は、耳の良い耳郎によって聞き取られ、他の場所で集まっている女子陣にも共有されている。

 

 2人の質問に対して、顕はおとなしくフードを取り、話す気合を入れて話し始めた。

 

「視界と耳を塞げる、から。外の世界から自分を切り離せる」

「お静かなのがお好き、ということですか?」

「……関係ないものが苦手なだけ」

 

 正確に言えば、顕のそれは少々面倒くさいものである。極度の人見知りと言うべきでもあろうか。例えば本のキャラクター達や双子、それに雅人に義両親。そうした親しい者たちの立てる音や、彼らの姿というのは顕にとっては異物ではないため、とくに気にもならず拒否感も無い。

 

 一方で道行く市民や現状でのクラスメイトというのは、顕にとっては興味のない無関係なもので、言ってみれば視覚的にも聴覚的にもノイズとなってしまうのである。普段はそれを排除するためにフードを被って自分に軽い暗示をかけており、授業中や会話中などフードを外す際には気合を入れて、これまた自分に軽い暗示のような物をかけて会話に望んでいるのである。

 

「……瞑想みたいなもんか?」

「多分? 仲良い相手なら良い。けど、関係ない相手だと、塞ぎたくなる」

 

 それが何か顕自身にもわかっていない。ただ、幼い頃から特殊な事情で関わる相手を限定し選んできた顕にとって、関わりたい相手とそれ意外との区別というのは、外から見てもはっきり見える形で示すものになっていた。こうすれば顕を傷つけようという相手も、よほどの悪意を持っていない限りは積極的に近寄ってこず、避ける傾向にある。防衛手段と言っても良いかもしれない。

 

「まあ。でも私は本道さんとはお友達になりたいですわ。それでも、その、塞ぎたくなりますの?」

「友達でも駄目なのか?」

「弟と妹は、1ヶ月かかった。俺も頑張る、けど、友達は時間かかる」

 

 慣れ親しんだキャラクター達相手や、双子相手なら顕もこんな伝わりにくい片言のようにはならない。今は話すのが難しい相手に対して、気合を入れて話そうとしているためにこうなっているのだ。こればかりは、顕の身に染み付いたものであり、解決策は慣れることしか無いのだ。

 

「そうなのですね……。では、私たくさん本道さんに話しかけますわ」

「え?」

「そうすれば早くお友達になれる。そんな気がします」

「……ん。よろしく。俺も頑張る」

「はい!」

 

 顕の中で友達として認識されるには時間がかかるという顕に対して、八百万は積極的な姿勢を見せてくれた。

 

「俺は……悪い。俺もお前と一緒で口下手だから八百万みたいには行かないと思うが……よろしく頼む」

「よろしく。俺も、頑張る」

 

 一方の轟は、そもそもが顕と少し違うが口下手である。その分時間はかかるかもしれないが、仲というのは会話だけでできるわけではない。背中合わせで無言で座っているだけで信頼の生まれる関係というのも存在する。

 

「それで、あの、私気になっていたのですが」

「なに?」

「本道さんの個性はどのようなものなのでしょうか。それと、特別な事情というのも少し気になりますわ」

 

 続けて八百万の放った質問は、八百万や轟だけでなくクラスメイトたちも気にしていたことで。近くで聞いていた耳郎たちもかたずを飲んで顕の返事を待った。




活動報告にも上げましたが、Pixiv fanboxを開設しました。

僕は、一生物語を作って生きていきたいと思っています。今は特に小説がそれです。なので最低限生きていけるお金があればそれをずっと続けられるので、そのための手段としてfanboxを作りました。

またその中で『完璧な何か1つ』を作るのではなく、70点、80点で良いので大量の作品を作りたいと思っています。物足りない、もっと物語読みたいという方は是非、応援してくださると嬉しいです。

一生ずっとこれだけに費やすつもりです。

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