本の召喚士(僕のヒーローアカデミア×超多重クロスオーバー)   作:アママサ二次創作

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第14話 鋼の錬金術師と白眼と写輪眼

 試合開始。その合図とともに爆豪は大地を蹴って走り出し、更に手のひらからの爆発を推進力として建物の上に登る。

 

 一方の顕は、左手の手首の内側に備えられている携帯用の召喚手帳を開き、数名を順に召喚していく。

 

 1人目はとある特別な目を持つ忍だ。その目によって尋常ではないほどの動体視力と、2つの目であるにも関わらずほぼ360度に及ぶ視力。それに透視能力まで持つ。またその目だけでなく本人の戦闘能力もずば抜けて高く、逃走者の捕獲というミッションにおいては無類の強さを誇る。

 

 2人目は、1人目と同じ物語に登場する忍。というか顕が毎晩の如く戦うすべを教えてもらっていた上級忍者、はたけカカシである。彼もまた1人目とは違うが特殊な目を持つ

 

 そして3人目。彼は他の2人とは別の物語の登場人物である。錬金術、という特殊な術を操り、既に存在している物体の構造を変えてしまう。それは街などにまで及び、街中での戦闘においては無類の強さを発揮し、またやりようによっては敵を拘束することも可能である。

 

 ちなみに彼の操る錬金術に関しては顕にも才能があるらしく、初歩に当たる部分に関しては顕も身につけているので彼を召喚している現在はその術を使うことができる。

 

「なーんで俺がお前の鬼ごっこ手伝わねえと行けねえんだよ」

「エドは、強い。だから、みんなに見てほしい」

 

 自分が働かされる事に対して錬金術師、エドワード・エルリックが文句を言うが、顕の言葉を聞いて黙る。彼ら顕が召喚した相手にはある程度顕の感情が伝わり、またこれまでの交流で顕が彼らのことを本当に好きであることも伝わっている。だからこういう言い方をされると強くでれないのだ。

 

「また今度この世界の科学読ませろよ」

「もちろん」

「では、俺とカカシさんが先行。おまえたちが後詰ということで良いか」

「あー? なんで俺が後からなんだよ!」

「機動力に関しては俺たちの方が高いからね。その代わり君たちが到着したらすぐに捕獲してほしい。頼りにしてるよ、『鋼の錬金術師』さん」

 

 エドワードの性格をよく知っているカカシがうまいことおだて、エドの返事を待たないままにもう1人の忍、日向ネジとともに建物の上に飛び上がり、そのままいなくなってしまう。

 

「あ゛ー! あいつら行きやがった! 行くぞ顕!」

「うん」

 

 忍びである2人と違って建物に飛び上がるような脚力を持っていないエドワードは地面を走っていく。顕もメモ帳から最後に小さな火のようなものを生み出し、それを握りつぶしてその後を追った。

 

 

******

 

 

「わ、何、あれ。個性なん?」

「人が増えたぞ? 人を呼び出すってことか?」

 

 顕が個性を使っているところをモニターで見たクラスメイトたちがざわめく。常闇も顕と同じように自分以外の存在を使役しているが、それは人間ではない。一方顕が呼び出したのは完全な人間の見た目をしていた。

 

「あの人達はどういう人なのかな?」

「え?」

 

 ポツリと呟いた葉隠の言葉に、尾白が思わずと言ったように聞き返す。

 

「だって、人でしょ? ならどこから来たのかなーって」

「ああ、そういうこと。でも確かに個性を持ってるみたいだし、誰なんだろう」

 

 葉隠の思いつきから始まった議論。この場にはクラスで一番のヒーローオタクである緑谷はいない、というか画面の中で爆豪や顕の召喚した人間に追い回されているが、他の者達の間で『ヒーローにはいない』『見覚えはない』といった会話が行われる。

 

 そんな中、画面の向こう側では戦況が動こうとしていた。

 

「あ、爆豪が行ったぜ!」

 

 切島のその叫びに会話していた全員の視線がモニターを向く。

 

 

******

 

 

「デェクゥゥ!!」

「っ! かっちゃん!」

 

 建物と建物の間に隠れていた緑谷にたいして、爆豪が隙間の上から爆風を浴びせた。それを直前で察知した緑谷は間一髪で飛び出し、そのままフルカウルの状態を保って地面を逃げていく。

 

「俺の方が早いぜ!」

 

 と。緑谷の進行方向の地面がいきなり変形し、突如としてそこに壁が出現した。それと同時に、聞いたことにない叫び声が聞こえる。

 

「え!? これ本道くんの!? っ! やばい!」

 

 突如としてせり上がり行く手を塞いだ壁。高さ自体は3メートルほどなので緑谷なら飛び越えるのは可能であるし、横には抜けていく隙間はある。だが突如として出現した壁に対する警戒と驚きが、緑谷の体を一瞬止めた。

 

 そしてそれを見逃す爆豪ではない。

 

 爆豪のはなった爆破は、緑谷を吹き飛ばすと同時に地面からせり上がっていた、エドワードが作った壁を破壊する。

 

「お前キンブリーかよ!」

「キン、は?」

 

 大声で突っ込んだエドワードに対して爆豪が変な声を漏らした瞬間、吹き飛ばされた緑谷の体が拘束された。

 

 巨大な水の塊に。

 

『っ゛!? ガババボブブボババッ!!』

 

 なんとか緑谷はそこから脱出しようとするが、チャクラすら持たない緑谷が容易に脱出できるようなものではない。少なくともフルカウル程度の出力では不可能だ。

 

「あ゛ー!! カカシ俺の出番取りやがったな!」

「いや、お前が先にやっちゃうから。顕、これ解放してもいいの? 息続かないと思うけど」

「多分」

『鬼チームWIIIIN!!』

「今勝ったみたい」

 

 スピーカーから響いた放送にそう顕が漏らした直後、水牢の術は解除され、緑谷は解放される。

 

「ゔえっ! ごほっごふっ」

 

 水牢の中で無闇にもがいたがために緑谷はかなり水を飲んでしまっていて、解放されてすぐに大きくむせこむ。それに対してはネジがその背中を叩いたりさすったりして息を安定させようとしていた。本来であればその透視能力を使って指示を出し、カカシと自分が攻撃をしている間にエドワードに捕獲させるという手順であったのだが、エドワードが先走ってしまったがためにネジの仕事は無くなったのである。

 

「ごほっ、ずいまぜん」

「気にするな。慣れないうちはそうなる」

 

 そんなネジや悔しがるエドワードの様子を顕が見ていると、下から爆豪が爆発を利用して飛び上がってきた。

 

「おい、無口」

「何?」

「これあなんだ。どっからこいつら湧いてでた」

「俺の、個性」

「あ?」

「人を、本から呼び出す、個性」

「んだそりゃ」

 

 クラスの誰とも異質な個性。その個性に普段はキレ気味の爆豪も思わず素になって疑問の声を上げてしまう。

 

「そういう、個性」

「こいつら全部本から出したんか」

「うん」

「何人まで出せる」

「……100人以上?」

「……1人1人は強えのか」

「まあまあ」

 

 そんな話をしていると、壁の形を変形させて階段を作って昇ってきたエドワードが話に参加してきた。

 

「俺は強いぜ!」

「……なんだお前」

「俺はエドワード! あの壁を作ったのは俺だぜ」

 

 ほんとかよ、という目で爆豪が顕の方を見てくるので、顕はそれにうなずく。そして次に爆豪が発そうとする言葉が何か気づいた顕は、その口を塞いだ。

 

「てめ、何しやがる!」

「それは禁句。エドの前で言っちゃ駄目」

「あ゛?」

「言っちゃ、駄目」

 

 真剣な表情で爆豪を見つめる顕に、爆豪は居心地の悪さを感じて目をそらす。彼が今言おうとしたのは、『こんな小せえやつが』という、エドワードの逆鱗に触れる単語であった。それに気づいた顕が、慌てて止めたのだ。そんな視線で見つめられるのに慣れていない爆豪は、思わず目をそらしてしまったのである。

 

 改めて、こいつはなんか苦手だと感じた爆豪であった。

 

 

******

 

 

 モニターのある場所まで移動した後質問攻めにされた顕は、自分の個性について八百万と轟のヘルプを受けながら簡単に説明した。またその際それぞれの使った技などについても聞かれたのだが、それを面倒くさいと思った先は既に本の世界へと帰ってしまっており、その説明も含めて顕がせざるを得なくなってしまった。3人の、というより彼らの強さを見せつけたかったのは確かだが、その後の始末は面倒くさいのだとはじめて顕は理解した。




大判ぶるまいで出したにも関わらずすぐ戦闘が終わってしまいました……。爆豪にちびって言わせてエドワードと喧嘩させておけば良かったかな……

まあそういうのは今後色々個人的な手合わせとかをさせる中で書きます。



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