本の召喚士(僕のヒーローアカデミア×超多重クロスオーバー)   作:アママサ二次創作

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第6話 編入試験・2(雨の日に生まれた天才)

 編入試験は雄英という学力的にも難関な高校ということもあって、難易度のかなり高い筆記試験から始まった。筆記試験自体は、顕が自分で勉強していたのもあり大した問題もなく終わり。内容に関しても事前に中学時代の成績表などを送っているので、入学試験のような網羅的なものではなく、ある程度限定的な短い時間で終わるものだった。

 続いて簡単な面接、そして最後に実技試験へと移る。

 

 実技試験は屋外演習場の一つを用いて行われることとなった。

 

『では、これより実技試験を開始する。制限時間は10分間。先程配ったプリントに掲載されていた4種類のロボットが敵として出現するので、自由にそれらと戦闘を行うように。ロボットは破壊して構わない。なお、こちらで危険と判断した時点で試験は終了とする。試験開始時と終了時には放送を行うので従うように』

 

 顕一人が演習場に入場した状態で、スピーカーから試験官の一人であるブラドキングの放送が流れる。

 

 顕は知らないが、演習の形態は通常の入試と似た形を取っていた。ただし、あちらが点数という公平に判断するために必要な物を試験内容に含んでいたのに対し、あくまで顕一人を見れば良いこの編入試験ではその形は取っていない。ロボットとの戦闘の中での顕の動きを、教師全員で見て分析すれば良いのだ。

 

 またロボットとの10分間の戦闘というのは共通しているが、百人以上で同時に戦った入試試験と比べて、ロボットが全て顕に殺到してくるという点ではより厳しいものとなっている。

 

 

 

 ただ。短期的な戦力という点で、個性を十全に使える顕が遅れを取ることはありえないのだ。

 

 そして放送が入る。

 

『試験、STAAAAAARRT!!』

 

 うるさい男の叫び声とともに試験が始まる。同時に、広い道路の真ん中に立つ顕の周囲360度から無数のロボットが飛び出してきた。編入試験で受け入れる以上、並の一般入試生程度の実力では困る。推薦組と同じぐらいの実力を、顕は見せなければならない。

 

 それに対して、顕は手にしていたメモ帳のページを走らせる。選ぶのは一枚のページ。特に顕が尊敬し、また憧れてもいるキャラクターだ。

 カカシを呼び出したときと同じようにメモ帳から文字群が淡い光を放ちながら浮かび上がり、やがて一人の人間の姿をなす。そして直後。

 

 顕に殺到していた数十体に登る全てのロボットがその胴体を真っ二つに切断され、機能を完全に停止させた。

 

「温いな」

「あなたにかかればそうだろうな。ありがとうレイン」

 

 手応えが無いとぼやく黒衣の男に、顕はそう礼を述べる。黒髪に黒目、黒衣と全身真っ黒な男は、その手に引っさげた青く輝く剣を腰の鞘に収めながら答えた。天賦の才をたゆまぬ磨き続け、常に限界を超え続ける一人の天才である。

 

「気にすんな。その代わり、また、あー……」

「みんなと食事でも?」

「そういうことだ」

「場所を用意しておく」

 

 そう短い会話をしていると、全てのロボットが破壊されたのを確認した雄英側が、予定を早めて第2波のロボットを投入してきた。今度は、最初に出現した3種類に加えてビルを押し倒しながら4種類目の巨大な敵も出現する。今度は四方からの攻撃ではなく、道路の先から大挙して押し寄せてきている形だ。

 

「おーでかいな」

「存分に」

「はいよ。それじゃ」

 

 顕の言葉に答えた黒衣の男は今度は腰の剣を抜くこと無く右手を振り上げる。そして小さなつぶやきとともに、その右手を振り下ろした。

 

「“ライトニングソード”」

 

 その右手の一振りに合わせて出現したのは、巨大な光剣。高速で飛翔した黒衣の男や顕の投身を遥かに超える光の剣は、ロボットの群れの真っ只中を貫通するように飛び全てのロボットを一撃で破壊する。鎧袖一触とはまさにこのことである。

 後には、圧倒的な熱量と切れ味によって溶解され、切断されたロボットの残骸だけが残る。

 

 黒衣の男、レインの活躍した世界において。そもそも魔術に優れた人間でさえ魔力量の限界から使用することすら不可能な一撃。それをレインは、一切の詠唱すらなく行使する。彼は文字通り、その天性の才という武器を持って人の領域の外に飛び出したのだ。

 

「顕。次はお前が行って来い」

「言うと思った」

「お前の実力なら数体ぐらいは相手に出来るだろ。骨は拾ってやる」

「勝手に殺さないでくれ」

 

 第3波とも言える、今度は左右から挟撃してくるロボットを見ながらレインは顕にそう指示を出した。顕が召喚できるキャラクター達は、顕の使役対象ではない。多少事情を知っているゆえに協力的な部分はあるが、基本は本来の彼らそのままなのだ。

 

 答えを待たないままにレインが一方へと歩いて行ってしまったのを見送った顕は、ため息を付きながら再びメモ帳を開く。レインの言いようからして、他のキャラクターの力を借りるのは認めないだろう。

 

 ならば。少なくとも武器は用意したい。そう考えた顕は、再び個性を使用した。先程よりも少量の文字がメモ帳から浮かび上がり、次第に一本の棒のような形を成す。そして出現した赤く輝く剣の柄を顕は掴んだ。

 

 赤く輝く、『正義』のあだ名を持つ魔剣。それもまたレインと同様に架空の存在である。

 

 その存在を定義し表現する言葉があれば、顕は何でも呼び出すことが出来るのだ。例え人であれ獣であれ。そして道具であれ。

 今呼び出したのは、レインの生きた世界で、彼と敵対した王が使っていた剣である。

 それを構え、レインとは反対方向へと向かって駆け出していった。

 

 

******

 

 

「凄いね彼の個性は」

「圧倒的というしかないですね。ここまで強力な個性というのも……」

 

 実技試験の10分間が過ぎ。個性を消した顕が演習場の出口に戻ってくるまでの間、ブラドキングとイレイザー・ヘッド、それに校長は3人で見たばかりの戦闘について分析していた。

 

「能力的に問題は無いですが、他の生徒との関係が難しいですね」

「ああ……だが実力的には合格だろう」

「それはみんなで見ながら話し合えば良いのさ!」

 

 ブラドキングとイレイザーヘッドは難しい表情をしているが、校長の中では顕が編入試験に合格する、というのは既に決まっていた。

 校長だけが、顕の正直な、正規の手続きを踏んだ上で個性を使える立場を目指す、という考えを聞いていた。そしてその上で、顕の実力を見せつけられた。

 

 もし仮に。ここで彼を不合格として。

 

 さて、彼の正規の手続きを踏むという善意はどこまで続くのだろうか。あそこまでの力を見せられて、顕の善意に寄りかかることは校長には出来なかった。例えば顕が周りを害さないとしても、個性を使っている時点で処罰の対象となる。

 

 そうなったとき、彼がヒーローと敵対しないと言えるのだろうか。友人、と彼が呼ぶキャラクター達の事を何よりも大切にしている顕だ。それをヒーローが害しようとした時、一線を超えることはありえるだろう。

 

 それを考えると、顕の望み通りに雄英で受け入れるというのが一番正解に近い選択肢なのである。




このキャラはこの後も何回も出す予定です。作者がはじめて読んだライトノベルで、今でも一番と言えるぐらいに好きなキャラクターです。原作者様が亡くなってしまったのでもはや彼の旅路を見ることが敵わないのが悲しいです。
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