本の召喚士(僕のヒーローアカデミア×超多重クロスオーバー) 作:アママサ二次創作
ひとまず編入試験の日程を終え。任務に向かったミッドナイトに代わって、手の空いていたブラドキングに案内された雅人と顕は雄英の食堂を訪れていた。時間としてはちょうど昼休みの昼食時ということで、食堂は学食を食べにきた学生でごった返している。
「懐かしいな」
「いつぶりですか?」
「卒業以来だ」
「ほんとですか? 先輩なら講義の話もあるのでは?」
「全部断ってたよ。俺は俺で忙しかったからな。それに、学生はまっすぐ過ぎて嫌いなんだよ」
ブラドキングと雅人もまた、雄英高校時代の先輩後輩の関係にあたる。先輩後輩の関係で言えば、雅人が3年生、ミッドナイトが2年生、そしてブラドキングやイレイザーヘッドらが1年生にあたる。ヒーロー科では2年離れている場合には関係があまり無い、というのが普通なのだが、当時学内で有名であった雅人の名は下級生にも知れ渡っており、またその親しみやすいキャラクターから知り合いの後輩もそれなりにいたのである。
「では今日は何故?」
「こいつの付き添いだ。来る暇があるなら受けるしか無いだろう」
「なるほど……」
2人の視線を浴びる当の顕は、フードの下で学食はカツカレーと親子丼にしよう、いや、カツ丼とラーメンが良いか、などと取り留めのないことを考えていた。
3人で列に並びながら、ブラドキングと雅人は会話を続ける。そんな2人の姿が珍しいのか。というよりは、プロヒーローであるブラドキングと、私服の教師ではない男と雄英の制服ではない学ランを着た学生という組み合わせが珍しく、ちょっとした野次馬が集まってくる。
取り敢えず3人それぞれに学食を買って席についたものの、周囲からの興味の視線は止まることは無い。ブラドキングの話している相手がもの珍しいというのもあるが、そこには、プロヒーローであるブラドキングと親密であるということは、その相手もプロヒーローだろうという憶測が働いている。それだけプロヒーローというのは注目を集める存在なのだ。
ただブラドキングも雅人もプロヒーローであり、そうした視線への耐性はある。そして顕もフードをかぶっている以上外のことは全く気にしていないので、大した問題は無かった。
そんな中。世間話やヒーローとしての話などに興じていたブラドキングに、彼の担当する1年B組の生徒が話しかけてきた。うまく授業の話にカモフラージュしているが、実際は単純に好奇心を抑えきれなかった、というところだろう。
「ブラドキング先生。午後の演習結局何するんですか?」
「お、拳藤か。今日は外部の講師を呼んで特別講義だと朝言わなかったか?」
「それは聞きました。でも具体的にどんな内容なのかとか、私達も予習しとかないと」
「む、確かにそうか……」
予習、と言われれば教師の立場からすれば無碍に否定できない。ただ、今日は事前の打ち合わせで雅人に一任されることが決まっているので特に言えることが無いのも事実だ。
そんな少し困った様子のブラドキングに、雅人は思わずといった様子で笑いをこぼす。
「笑わないでください先輩」
「いやいや。立派に教師をやってるんだと思ってな」
褒められているはずなのにどこか馬鹿にされているように聞こえる雅人の言葉にブラドキングが憮然としていると、雅人が自ら拳藤とブラドキングに呼ばれた生徒に話しかける。
「今日の授業は俺がやることになってる。特に予習は必要ないぞ」
「は、えと、はい」
日本人離れした、彫りの深いイケメンと言った風情の雅人にいきなり話しかけられて、拳藤はしどろもどろといった様子になる。確かにクラスメイトらから話を聞いてこいとせっつかれて来たのだが、相手が積極的に話してくれるというのは想定していなかったのだ。
「一応プロヒーローをやってる。『アンペア』と呼んでくれ。拳藤さん」
「は、はい。よろしく、おねがいします」
「それより、向こうでご友人が待ってるようだぞ?」
そう言って雅人が視線で示す先には、拳藤とブラドキングの会話の様子を見ていたB組の他の女子生徒が4人の方に視線を向けていた。
「お前ら……」
「ヤバっ」
雅人と同じく視線に気づいたブラドキングがそちらに視線を向けると、女子生徒の誰かがポツリを呟く。そこでようやく拳藤の目的が、雅人の事を探ることだと気づいたブラドキングは呆れたようにため息をついた。
「拳藤」
「はい」
代表して探りに来ていた拳藤も少々気まずげな様子である。
「俺は構わないが、相手の方が失礼に思うこともある」
「俺も別に構わないがな」
「先輩……。とにかく、今後は気をつけてくれ」
「はい。すいませんでした。アンペアさんも、お話を遮ってすいませんでした」
ペコリと頭を下げた拳藤はクラスメイトの方へと戻っていく。ブラドキングに気づかれた当初は気まずげにしていた彼女らだが、拳藤が戻ってすぐにどうだったかと盛り上がっていた。
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周囲の視線を浴びながらの昼食を終え。雅人が担当する講義の時間になり、2人は演習場へとやってきた。雅人とブラドキングが会話している間の顕は、周囲の様子を一切気にせずに読書にふけっていた。
顕の個性の使用には、召喚するキャラクターに対するイメージの醸成が必要である。そのための、読書だ。
と言いたいところだが。確かにイメージの醸成は大切なのだが、読書をするのは単純に顕がそれが好きだからだ。実際彼らを呼ぶことの出来ない外では時間さえあれば読書をしている。
そんな顕だが。ヒーロー科の授業という、間近で見るのは初めてのものに対しては多少の興味を示していた。戦争や戦闘が実際に行われている物語で戦ったキャラクター達と交流を持っている顕にとって、この世界でのその枠に当たるヒーローというのは一応興味の対象になりえるのだ。
そんな顕が見つめる先では、ヒーローとして活動するための装備であるコスチュームに身を包んだ40人ほどの生徒たちの前で雅人が話をしていた。一部の生徒は顕に気づいてチラチラと視線を向けているが、ほとんどの生徒は雅人の方へと視線を向けている。ヒーローを本気で目指している彼らは、一度授業となれば本気で取り組むのだ。
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雅人の講義は、本来はまだ行う予定ではなかったA組B組合同の演習という形を取ったことで、いつもの授業とはまた違う緊迫感があった。
「はい、どーも皆さんはじめまして。ヒーローアンペアと言います。今日は少しばかり俺のヒーローとしての活動について話そうと思ってるんだが、まその前に。俺のことを知ってるって奴はいるか?」
雅人の問いかけに対して、上がる手の数は0だ。ヒーローに対してマニアックなレベルで詳しいと皆が知っている緑谷ですらが、結局思い出すことが出来なかった。
「ま、そうだよな。オーケー。それじゃあ俺の話をする前に、取り敢えず一戦、やってみよう。どんなやつかもわからない相手の話なんて、聞く気も起きないだろ?」
一戦。つまり自分と戦闘演習をやってみよう。
プロヒーローとの実戦演習という言葉に、生徒達はざわつく。これまで演習で相手をしてきたのは基本的に同じレベルにあるクラスメイト達ばかりで、職場体験に行った際もプロヒーローの姿を後ろから見つめるものばかりだったのだ。
「それじゃあ40人……あれだな。全員相手すると流石に時間がかかりすぎるから、やりたいやつは適当に4人ぐらいでチーム作ってくれ」