本の召喚士(僕のヒーローアカデミア×超多重クロスオーバー)   作:アママサ二次創作

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アンペアの個性や戦闘スタイル、実力は考えていますが戦闘シーンは省きました。個性は力、光の双子との関係で考えているのであちらも既に細かく考えています。そこまで一話ぐらい使って書いてしまうと本当に主人公が空気になってしまうのでこうなりました。純粋な強さで言えばトップ10入できる実力を備えています。ブラドやイレイザーとの関係も、それぞれに鍛錬の中でイレイザーが体術の参考にしたりブラドがトレーニングを教えてもらったり、といった感じです。


第8話 アンペアというヒーロー

 戦闘演習は短時間で終わった。アンペアに挑戦したのは、それぞれのチームから2チームずつ系16人だったが。

 その全員が雅人に翻弄され、有効打を与えることすら出来ずに無力化された。

 

 その16人の中には、各クラスの推薦組や体育祭優勝者である爆豪も含まれており、それを軽くあしらった姿を見てアンペアの実力を疑う者はいなくなった。

 

 一方外から見ていた顕は、自分の知っているキャラクターとアンペアや生徒達を比較しながら分析を行っていたが、アンペアはともかく他の生徒達の未熟さに、若干の呆れと、そんなものかという納得を覚えていた。実力はともかく、想像力が欠けていると思える場面が多かったのだ。ただそれは想像力の飛び抜けている顕だからこそ未熟だと感じる程度のものであり、どのチームもトップクラスの実力を持つヒーローと対峙して、一年生の時点ではかなり健闘していたと言えるだろう。

 

 戦闘を終えて息一つきらしてない様子のアンペアは、再び生徒全員の前に立って話の続きを始める。

 

「取り敢えずこれで演習は終わりだ。演習の講評は後でイレイザーかブラドがやってくれるからそっちに任せる。で、ここからは俺の話をしよう」

 

 雄英のヒーロー科において、外部の講師を呼ぶ理由は大きく分けて2つある。

 

 一つは、雄英の生徒や教師にいないタイプの個性の相手と戦闘する経験を積んだり、実力の高い相手と戦う経験をさせることである。これによって、生徒の実力は格段に高まる。

 そしてもう一つは、実際に活動しているヒーローからその活動内容について聞くことで、卒業後の進路について考えを深めたり、知見を広めたりするためだ。

 

 今回アンペアが講師として呼ばれた理由は主に後者であり、ここまでの戦闘演習はあくまでアンペアの実力を示すための、言ってみれば自己紹介に過ぎない。

 

「俺の所属してる事務所はアンペア事務所。つまり俺が所長だ。所員はサイドキックが1人と個性使用特別許可証持ちのカウンセラーが1人、それに事務員が3人の合計6人で今のところは活動してる」

 

 通常は。ヒーロー事務所というのは大半がヒーローで構成され、事務を雇うといってもその数は事務所に所属するヒーローより遥かに少ない。

 だが、アンペア事務所は違う。ヒーローが2人に対し、それ以外が4人と、ヒーローの数の方が少ないのだ。

 

「仕事内容は主にヴィランの更生活動と、児童相談所と連携しての虐待等からの児童の救出、それにその他一般の、ヴィランや災害以外の理由で苦しんでる人たちを救出するための電話、インターネット相談室ってところだ」

 

 顕が両親に対して個性を使おうとした際にアンペアが介入してきたのは、実はその業務の過程で顕の家庭に目をつけていたからである。

 

「逆に一般的なパトロールとかヴィラン対応、災害救助なんかは基本的にやってない。どうせそういうのは他のヒーローがやってるだろうしな」

 

 初めて聞く、通常のヒーローとは違う活動を行っているヒーローの話に、生徒達の一部は興味津々という様子だ。中には全く興味なさげなのも数名いるが。

 

「俺が事務所を自分で立ち上げてこういう方向性の活動をしてる理由は2つある。まず1つは、そもそも俺がヒーローが嫌いで、ヴィランが嫌いではなかったからだ」

 

 淡々と語るアンペアの言葉に、一瞬理解が追いつかなかった生徒達も、理解が追いついてからはざわつき始める。

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

 そう言って質問する気満々で立ち上がる1人の生徒に、アンペアは質問を促した。

 

「どうぞ」

「ヒーローが嫌いでヴィランが嫌いではない、とはどういう意味でしょうか! ヒーローでありながらそのような発言をするのであれば、納得できる説明をいただきたい!」

「い、飯田君……」

 

 生徒がそう息巻く一方、アンペアの主張を聞いたことのある教師陣は静かにアンペアの話の続きを待っている。

 

「もちろん説明する。それじゃあまずは、俺がヒーローとヴィランという存在の関係をどう考えているかについてだが……。俺が思うに、ヴィランもヒーローも目的が違うだけでやっていることは基本的に一緒だ。ヴィランは、その個性を使って自分たちのやりたいことをする。ヒーローも、個性を使ってヴィランに対して自分たちが従う秩序を押し付ける。ただ、ヴィランは自分たちがそうしていることを自覚しているのに対して、多くのヒーローというのは、それを自覚していない。あくまで、秩序に従うこちら側が当然のことながら正義である、と考えている。もちろん全員が、ってわけじゃないがな」

 

 それは、生徒達にとっては当然のことであった。力の無いもの達を守る、というのがヒーローの仕事で。そのために個性を暴力として振るうヴィランと戦い倒すのも、その当然の役割だった。

 

 それにアンペアは、ヒーローの身でありながら疑問を投げかけている。

 

「ただ、少なくともこの国の半数以上が生きていくのに今の秩序というのはかなり便利な形だ。だからそれを守るためのヒーローという存在も理解できるし、無ければならないと思う。それに、全てのヒーローが俺が言ったようなことを考慮するようになっては無力な一般市民は安心してヒーローに頼ることが出来ないだろう。だからヒーローはそんなことを知らなくていい。俺はヒーローの有り方は嫌いだが、今の形が必要なのも理解している。俺にとっては必要悪のようなものだな」

 

 そう説明を終えると、今度は他の生徒が手を挙げる。

 

「すんません! もうちょっと簡単に説明してもらえないっすか! 難しい言葉だと理解できなくて」

 

 赤い髪の少年の言葉に頷いたアンペアは、今度はわかりやすい形で説明を始める。

 

「わかった。まず、秩序、つまり今この国を作っている法律や、例えば人は人を傷つけてはいけない、という道徳観念。こういうのは誰かが作ったものだ。これは理解できるか?」

 

 アンペアがそう問いかけると、先程まで首を捻っていた数名が頷く。

 

「これはヴィランなんかの従いたくない人たちからすれば、誰かが勝手に作ったルールを勝手に押し付けてきてる、ということになる。このルールを押し付けているのが国であり、俺たちヒーローという職業であり、無力な一般市民達だ」

「でも法律とかは守らないと――」

「法律を守らないと、どうなる?」

 

 返す形のアンペアの問に、声を上げた赤い髪の少年は考え込む。

 

「そりゃあ、刑罰、とか……」

「その刑罰というのが、既にこちら側が勝手に決めたルールなんだ。彼らからすれば、勝手なルールで罰を受けることになる」

「ですが、そうした秩序が無ければ社会を維持できませんわ」

 

 手を上げて発言した別の生徒の言葉にアンペアは頷く。

 

「そうだな。では、社会を維持する理由はなんだ?」

「それは……多くの人がより幸せになるため、だと思いますわ。現代の文明は、大規模な社会と秩序がなければ維持できません」

「そのとおりだ。少なくとも半分以上の人間が幸せになるには、ルールというのは無ければならない。だから、従いたくない者たちを踏みつけてルールを押し付けるのは仕方のないことだ。だから、自分たちはヒーローとして、人々に褒め称えられながらヴィランを倒そう」

 

 ―――じゃあないんだよ。

 

「確かに、多くの者が幸せになるためには社会の維持が必要だ。だから、少なくともそれを積極的に押し付ける立場にある俺は、自分が正義の味方なんかじゃないことを理解している。理不尽を押し付ける立場にあることを覚悟している。その上で、ヴィランにそれを押し付け、出来ることなら彼らをこちら側に取り込もうとしてる。ヴィランの更生活動っていうのがまさにそれだ。向こう側にいる奴らを、こっち側に引きずり込む。ついでにこっち側で生きていく術があれば、もうヴィランとして暴れないでいてくれるだろうなんて期待している」

 

 ただなあ、と。アンペアは続ける。彼にも、この活動を通じて思うところがある。

 

「とある人物の言葉にこんなものがある。『人間とは、犠牲なくしては生を謳歌できぬ獣のことだ』。初めて聞いたときにはなんのことだと思ったんだが、実際こういう仕事をしていると納得出来る場面も多くある」

 

 それは、顕も知るとあるキャラクターの言葉。慢心することこそ己たる証であると豪語する男が、正義の味方を気取る主人公に放った言葉。そこでアンペアは、B組の側に座っていた拳藤を指し示す。

 

「拳藤くん」

「は、はい」

「この社会における弱者は、誰だと思う?」

 

 その質問に、少し悩んだ後拳藤は答えを返した。

 

「一般市民、ですか?」

「ありがとう。これに異論がある者はいるか?」

 

 アンペアの問いかけに、手をあげる者はいない。だからこそ、彼らは市民を守るためにヒーローたらんとして努力している。

 

「じゃあ、これに対して俺の答えを言おう。俺は、ヴィランこそが弱者だと考えている」

 

 アンペアの言葉にわずかにざわめきが起きるが、もはや異端とも言える発言を繰り返すアンペアにもはや動揺しない者も多くいる。

 

「さっきの俺の、『犠牲が無くては生を謳歌できぬ』という言葉の中で言えば、犠牲の部分はまさに大多数のヴィランのことを指している。まあ、理解できないだろうから1つの例をあげよう」

 

 そう言ってアンペアは、後ろでじっと見ていたイレイザーヘッドとブラドキング、それにオールマイトを呼ぶ。

 

「ここに、3人の人間がいる。ひとまず誰が誰かというのは忘れてくれ。3人の人間だ。では、この3人が中学校に通っていたとしよう」

 

 オールマイト君は、皆に好かれる生徒会長だ。運動神経抜群、成績優秀。学校中で彼を嫌いなものなんてほとんどいない。ブラドキング君は、そんな彼を応援する一般生徒。そしてイレイザー君は、オールマイト君、ブラドキング君含めて皆にいじめられているいじめられっ子。

 

 そんな生活の中ある日、いじめられる事に嫌気が指したイレイザー君はブラドキング君を殴り返した。そしてそれを聞きつけたオールマイト君が、彼を成敗した。

 

「さて。()()()()()?」

 

 アンペアの問いかけに、しん、と。その場は静まりかえる。プロヒーローを。それも平和の象徴たるオールマイトをいじめの首謀者扱いするという暴挙もそうであるが、ここまで常識から外れた話をしてきたアンペアが次に何を言うのかという沈黙である。

 

 やがて力強く一人の生徒が手を上げて答えてくれる。

 

「いじめしてるんだから、オールマイト先生、とブラドキング先生が、あいや本当の先生達じゃなくて、でも、その……とにかく、いじめはだめだろ!」

 

 オールマイトとブラドキングを悪いと言うことが出来ず、その生徒は曖昧に言葉を濁す。だがその真意は十分に伝わった。

 

 それにアンペアは、あえて冷淡に返す。

 

「なぜ?」

「なぜ、って……」

「だって、もうこの社会でずっと繰り返されてきてることだろう?」

 

 ―――ヒーローという誰からも好かれている人気者が。誰からも嫌われている弱者を叩きのめし。

 

「それがショーになって。人気者(ヒーロー)嫌われ者(ヴィラン)を叩きのめす光景を見て、更に人々は人気者を好きになる」

 

 衝撃的に過ぎるアンペアの言葉。その言葉は流石にまずいだろうと、オールマイトらが静止に入る。

 

「アンペア君、それぐらいで良いんじゃないか?」

「これ以上過激なことを言うつもりは無いですよ」

「オールマイト先生」

「そ、そうか……」

 

 オールマイトが引き下がったのを見たアンペアは話をまとめにかかる。

 

「言っておくが、ヴィランと市民が1対1で対峙した時、当然ながら弱者は市民だ。純粋に力の勝負になるからな。だがさっきから社会、と言っている通り、人間は社会という集合体になったときその性質が大きく変わる。そして、とてつもない悪意を無邪気に振りまき始める」

 

 アンペアの行っているヴィランの更生活動。その過程では、仕事が出来るように技術や学をヴィランに学ばせたり、あるいは社会の中での生活を実践させるというプログラムもある。

 

 そんな活動の中、あるとき取材が入った。取材の対象は、活動を主導しているアンペアや、ヒーローではない事務員ら。そして、近くにいる市民達。

 

 質問の内容は一貫して『ヴィランは、怖くないですか?』『もともとヴィランだった人が、日常生活の中にいるのは危なくないですか?』と。秩序に適応しようとしてくれている元ヴィラン達を貶める答えを求めてのものばかりだった。

 

 そしてそれに、事務所の人間はともかく、市民たちは皆一様に。煽るように『怖い』と答えた。『近くに来てほしくない』と。

 

「いやー、全員ぶっ殺してやろうかと思ったね。まあそれが出来ないからわざわざヒーローになってひっそりこんな活動してるわけだが。そもそもうちの事務員はヴィラン上がりだ。ヴィランならどれだけけなしても良い。ヴィランならどれだけ失礼な態度をとってもいい。まあ今どき有名人に対して礼儀をちゃんとする人間なんて少数派だろうから一概には言えないが、いじめっ子は無力で善良な一般市民なんだなと改めて理解したよ」

 

 アンペアの言葉に、呆然と生徒達は聞き入る。

 

 ヒーローを嫌いだと言い放ち。守るべき市民を悪者だと指摘する。そんなヒーローを見たことがあるものは、一人もいなかった。全く新しい価値観にさらされたとき、人はその処理に時間がかかる。まさにそれが、今の生徒達の状態だった。

 

 と。最後に話しのまとめをしたいアンペアは強く二度手を打ち合わせる。

 

「言っておくが、これはあくまで俺の考え方だ。無力な市民を守りたい。多くの人に笑っていてもらいたい。それもまた、人として当然の考え方だ。考え方は人の数だけある。だから俺は賛同してくれる奴らと静かにこういう活動をしてるし、他のヒーローを責めたりしない。今日あえてこんな話をしたのは、せっかくヒーロー候補生に会えるなら、こういう話もしてみたい、と思ったからだ」

 

 そう言った後、アンペアはイレイザーとブラドの方を向く。

 

「これ聞きたい事があったらうちの事務所に連絡してこいとか言って大丈夫か?」

「……強く勧誘しなければ大丈夫でしょう」

 

 ヒーロー科の生徒に対する勧誘には一定のルールがある。これまで職場体験の指名など全く行ってこなかったアンペアはその辺りに詳しくなかった。

 

「と、いうことだ。何か質問があるならこの後してもらって構わないし、後で思いついたら事務所にでも連絡してくれ。それと最後に説明しておくが、うちの事務所はヴィランを更正させるためだけの事務所じゃない。それ以外にも、様々な種類のDVや虐待、いじめ、その他些細な理不尽から人を守るための活動をしている。ヴィラン対応や災害救助に関しても、今いるメンバーでやりたい奴がいないだけでもしやりたいというやつが入ってきた場合には積極的に応援する。なんせヒーローは俺含めて2人だからな。手もそうは回らない。要するに、最初から方針を決めておくのではなく、入ってきたヒーローがそれぞれのやりたい形で人を助けることが出来るような事務所だ。もし興味があったら一考してみてくれ」

「それは勧誘では?」

「さっきの話をしておいて勧誘もなにもないだろう」

 

 そうして、アンペアによる特別講義は終わった。その後、ブラドキングとイレイザーヘッドそれぞれが指示を出し、生徒らは更衣して教室へ戻る。一部の生徒がアンペアに質問に行っていたもののまだ考えを整理しきれていないので、後でメールなどで質問をすることになっていた。

 

 そして一方。初めて雅人の話を聞いた顕もまたそれを咀嚼しながら、彼とともに帰途へついた。




主人公が無口という性格と、雅人(アンペア)について描きたいのが噛み合って主人公誰やねん状態になってしまいました。次からは戻る、はずです。

アンペアは考えてるうちにヒーローとしてかなり特殊な形になりました。顕に理解を示し溜めにもただのヒーローでは済ますことは出来ませんでした。

今回の話は実際に登場するわけではありませんが、Fateのギルガメッシュの言葉を借りました。作者はFateを見たことはありません。これらいくつかの台詞を聞いたことがあるだけです。
また、アンペアの主張の軸に関してはもうひとり、ワンパンマンからガロウの言葉を借り、そこから考えを発展させました。こちらは漫画(ONE作ではない)を全部読んでます。



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