本の召喚士(僕のヒーローアカデミア×超多重クロスオーバー)   作:アママサ二次創作

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第9話 編入試験合格

「あら兄、そろそろゲーム返してーって空と白が遊んでるのか。あら兄は?」

「屋上。空気吸ってくるって出てったぞ。白、まだ終わらないか?」

 

 ゲーム機の繋がったモニターの中では、白が操作するキャラクターが走りながら正確に、というか。そのゲームをそれなりに好んでいる力の目から見て信じられないような精度で敵を撃ち抜いていく。だが、そんな光景も力には見慣れたものになってしまっていた。

 

「うわ、それ当たる? エグ」

 

 遥か遠方。コンテナのある付近に向かって白が一瞬スコープを覗いて精度を安定させて放った弾丸。その弾丸は、コンテナの影から走り出してきた相手の頭を正確に居抜き、死亡させる。

 

 そしてその後も、敵が飛び出す位置がわかってるのかと言いたくなるような白の射撃によって全ての敵が打倒され、ゲームは力の手へと戻ってきた。

 

 実際、白にはわかっているのだ。敵の移動の方向と障害物に入った角度。その直前の戦闘。諸々から敵の飛び出すタイミングと弾着までにかかる時間、位置を計算し、必殺の弾丸を放つ。もちろん100発100中ではない。特に今のような相手が白に気づいているような状況では中途半端な駆け引きが発生する。それは空が得意とする分野であって、白の領域ではない。

 

 それでも。走っている相手の頭を撃ち抜くことなど、造作もない。

 

「使う?」

「あ、あら兄。うん、ちょっと光と遊ぼうと思って」

 

 屋上から戻ってきた顕が、力の後ろ姿に尋ねる。

 

「なんだ、それならここで遊べばいいだろ? なあ顕」

「え、いやでも、邪魔になるし……」

 

 半年ほど一緒に過ごしたが、2人の間にはまだ微妙な遠慮があった。言ってみれば、それぞれの領域の保護。力は、なるべく顕がキャラクター達と一緒にいるときには邪魔しないようにしていたし、顕も顕で、家族の交流を邪魔しないように気をつけていた。

 

「邪魔じゃない」

「え、良いの?」

 

 力の問いかけに顕はコクリと頷く。確かに、顕にとってキャラクター達は唯一の友人だった。彼らとの楽しい時間を邪魔する者たちは、大嫌いだった。

 

 だが、今は義理とはいえ家族というものを持っている。顕が狭い世界に留まらずに他の人間たちと関わるのを、ニート兼コミュ障の空、白含めて推奨していた。お前達がそれを言うかという感じではあるが、彼らは単純に関わろうとした結果馴染めなかっただけで、積極的にそれを拒否してきたわけではない。

 

 少なくとも外に向けて固く閉ざしていた心を、開こうという努力はしているのである。

 

「でも、空と白はだめ」

「え、なんで?」

「強すぎる」

「強っ、まあそうか。あんなの見たらな。よし、じゃあ光呼んでくる! あら兄これ繋いどいて」

 

 顕がモニターにゲームを繋いでいる間に力が光を呼んでくる。3人で遊ぶのは初めてのことだ。大乱闘するゲームを4人でプレイするために結局途中で空と白にハンデつきで参戦してもらい、皆で遊んだ。

 ゲームをほとんどしたことのない顕が一番弱く、次に光、力は若干力が強いもののほとんど差が無く。空と白はゲーム上かけられるハンデを相当にかけても3人を圧倒していた。途中で空と白のタイマンになったときには、他の3人が息をのむような接戦が繰り広げられたりもした。

 

 空と白の時間制限が来たときも、また遊ぼうと約束をする。この場にいる5人は紛れもなく友人となっていた。

 

 

******

 

 

 空と白が消えた直後。母から手紙が届いたと呼ばれて顕はそれを受け取りに行く。雄英からの、編入試験の結果通知が届いたのだ。

 

 顕がそれを部屋に持って行く後ろを、興味津々な様子の力と光がこっそりとついてくる。そのまま顕の部屋の扉の向こう側で、室内の様子を伺っているのに顕も気づいたが、別に気にならないし双子にも報告するつもりなので先に知られても問題ない。

 

 部屋に戻って封筒をハサミで切って開くと中から1つの装置が出てくる。それを起動させると、空中に大きくホログラムが投影された。

 

『私が投影された! はじめまして本道顕君。私はオールマイトだ。雄英の教師を代表して、私が君の編入試験の結果を伝えさせてもらう。実は入学試験のときも同じようなことをしたんだ。君は特例で、それも配慮に値する事情によって入試を受けることが出来なかった。だからこそ、こうして本来の入試と同じ形を取って伝えているんだよ』

 

 そこで一息ついたオールマイトは、編入試験の結果について説明を始める。

 

『結果から言えば、君は編入試験に合格した。おめでとう! 学力試験、実技試験ともに高い水準で合格している。辛い環境の中で、よくぞここまで努力を重ねた。おめでとう。そして、お疲れ様。編入してからの細かいことについては同封の書類を参照して欲しい。これから君がヒーローになるにあたって、多くの困難もあるだろう。まずは、学校に慣れるところからね。だが! 君なら乗り越えられる! 私は、そう信じているよ。では! 雄英で君を待っている!』

 

 騒がしいオールマイトの言葉が終わり、ホログラムが消える。その後顕は、静かに封筒の中の書類を確認し始める。合格したことに感慨はない。顕にとってはただの通過点だ。

 

 だが。

 

 閉じていた扉が勢いよく開かれ、双子が飛び込んでくる。

 

「あら兄受かったなら言えよ!」

「そうだよ! 言ってくれないと祝えないじゃん!」

 

 オールマイトの声は室外まで響いていたのにも関わらず、顕は特に反応を示さなかった。それに焦れったさを感じて2人が飛び込んできたのだ。

 

「ん。受かった」

「「遅い!」」

 

 今更の顕の報告に叫んだ後、2人はリビングの母のところへ走っていく。今日はお祝いである。

 

 一方顕は、合格したことを雅人へメールで連絡していた。顕の現在の住居は神代家だが、法律上の後見人などは雅人が請け負っている。そのため書類の手続きなどには雅人の手が必要になるのだ。

 

 そのメールに対して、雅人も『了解』と短く返してくる。受かることは当然と考えていたので、特に感慨はなかった。

 

 その後コスチュームや体操服、その他の書類を興味津々な双子と一緒に目を通していく。特にコスチュームに関して、双子たちそれぞれにあんな見た目が良い、こんな機能が良いなどと言って、様々なヒーローのコスチュームを調べながら盛り上がった。

 

 だが、顕はコスチュームのデザインは決めていた。フードを被り、自分は影に潜む。そんなコスチュームを、ある物語の登場人物を見て、自分もそんなコスチュームにしたいと考えていた。機能面などではなく、単純な好みである。そのため、被服控除申請、すなわち雄英が連携しているデザイン事務所にコスチュームの制作を依頼するための書類にも、そのキャラクターに写真を取らせてもらってそれを同封することにしている。

 

 

 ともあれ。

 顕の、ヒーローを目指す道のりは、今日、ここから始まったのだ。




クラスメイトとの関わりより兄妹の場面が多くなるかなって感じです。

顕はオーソドックスにA組に編入する予定です。悩みどころですが、まあ本題はそこじゃないので。
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