今回は三人称視点がございます。
それではよろしくお願いします。
私は死んだのだろうか?だとしたらここは天国?……いいや地獄か…それも、とびきり悪趣味な…
何故なら私がいるのは教室、そして目の前では、1匹の
新聞紙やスリッパで叩き、腹や腕を踏みにじる。その度にくぐもった呻き声と下品な嗤い声が木霊する。
そして誰かがスプレー缶のようなものを持ち出してきて、嬉々としてそれを害虫に向けて吹きかける。
その瞬間、吹きかけられた場所が赤く爛れ、断末魔の悲鳴をあげながら暴れ回る。そしてしばらくすると脚を天井に向けながらピクピクと痙攣をしてから動かなくなった。
さながら
本当に悪趣味な地獄だ…今のは全部私の過去の体験だ。でも、決定的に違うのは彼らの悪意、
意識が無くなる直前、彼らの拳があの大男の拳と重なって見えたが今ではおもちゃのようにしか思えない。
でも……私は…恐怖している……。
彼らの一挙手一投足から目が離せず、彼らが動く度に体がビクッと反応する。いつ彼らがこっちに気づくかビクビクと怯えながら、教室から出ていこうとする脚を必死で抑える。
私は……私は…ヒーローだ。今までのように慣れたと自分に言い聞かせて見ないふりをしていた私じゃない、それに守りたいものもできた。「また明日」と、言ってくれた。「すごい」と、褒めてくれた。「そんなことはしないと」と、約束してくれた。初めて出来た大切な友達…
彼らは私にとってのヒーローだ。だからこそ彼らの隣に立てるように、彼らも守れるように、私は乗り越える…!もう、見て見ぬふりはしない…!
でも……私は…恐怖している……。
「「手っ…放せぇ!!」」
恐怖はいつの間にか消えていた。
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上体だけ起こし拳を振り抜いた状態で目が覚める。目の前の手を身体中に着けた
(怖ッ!?近ッ!?ていうか殴ッ……ああ、ヤバいよぉ…!てか身体中痛いし脚の感覚ないしぃ……!やっぱ本物怖いよぉ…!)
…って出久くん!?ヤバ、ば…あの大男に捕まって…
「っ!ガキ…!脳無…!こいつらまとめて……!」
どうする!?どうする!?脚は動かない…身体中ボロボロだ…けど必死に手を伸ばす、決意したから…大切な人を守るって…
「届、け…」
その瞬間バアン!と大きな音と共に誰かが声をあげる…
「もう大丈夫…」
その声を聞いた私たちは安堵し、みな一様にその名を叫ぶ、良かった…これで…助かる……
「…私が来た」
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「「「オールマイトォォ!!!!!」」」
「待ったよヒーロー社会のゴミめ」
「あれが…!!生で見るの初めてだぜ…!!迫力すげえ…」
「バカヤロウ尻込みすんなよ、あれを殺って俺たちが…」
下にいる
いくらゴキブリの複眼の性能が低いとはいえあまりにも速い……!
「相澤くん……蜚蠊少女…!?すまない…!」
「!?」
なっ!?なに!?
「皆 入口へ相澤くんと蜚蠊少女を頼んだ相澤くんは意識がない早く!!」
「え!?え!?あれ!?速ぇ…!!」
なんて速さだ私たちを助けながらすれ違いざまに一撃入れるなんて……これが…プロ……
「ああああ…だめだ…ごめんなさい…!お父さん……」
「救けるついでに殴られた…ははは国家公認の暴力ださすがに速いや、目で追えない、けれど思った程じゃない、やはり、本当だったのかな…?」
「弱ってるって話…………」
何ボソボソ喋ってるんだ…?手の
「オールマイトだめです!!あの脳ミソ
「ワン…っ僕の腕が折れないくらいの力だけどビクともしなかった!!きっとあいつ…」
「緑谷少年」
「大丈夫!」
それをオールマイトはお茶目なポーズと共に否定する。
『
『
オールマイトの声を背中に梅雨さんに背負われる。
「蜚蠊さん…!酷い…!蛙水さん!蜚蠊さんをお願い」
「梅雨ちゃんと呼んで、うん、わかったわ」
「…ッ!あり……がと……」
「大丈夫?痛かったかしら?」
「…う…ううん……ゴホッ…だいじょぶ…つ…っゅさん」
「自分のペースでいいのよ」
うぐ…ば、バレてる…な…名前呼び…心の中でなら大丈夫なんだけど…梅雨さんもああいってるしもうちょっと甘えよう。
そんな会話をしているとズドという大きな音と共に爆発が起る。
「なんでバックドロップが爆発みてーになるんだろうな…!!やっぱダンチだぜオールマイト!!」
「授業はカンペ見ながらの新米さんなのに」
どうやらオールマイトの攻撃らしい…でもバックドロップで爆発ってどんなパワーしてるんだ…
「やれええ!!金的を狙ええー!!!」
「私たちの考えすぎだったかしら…すごいわ…」
確かにオールマイトはすごい…けど、それよりも気になるのは隣を歩く出久くんだ、誰もがオールマイトの勝利を、確信する中、1人だけオールマイトの心配をしてる。
何が彼の不安なのかは分からないがわたしにできることなら何でもしたい私がそうしてもらったように…
「ぃず…「蛙ス…っ…ユちゃん!」
「頑張ってくれているのね、なあに緑谷ちゃん」
「相澤先生担ぐの代わって…!!」
「うん…けど何で…」
「あ…待っ…」
出久くんが急に駆け出し黒いモヤに殴り掛かるその刹那、BooooM!とどこからか飛んできた勝己くんが黒いモヤに攻撃をした。
「どっけ邪魔だ!!デク!!」
会話までは聞こえてこないけど鋭児郎くんと焦凍くんまで来ていた。
あぁ…痛みに慣れたせいだろうか酷く……眠い……よに、んとも…ぶ、じで……
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三人称視点
「平和の象徴はてめぇら如きに殺られねぇよ」
「出入口を押さえられた……こりゃあ…ピンチだなあ…」
「このウッカリヤローめ!やっぱ思った通りだ!モヤ状のワープゲートになれる箇所は
「全身モヤの物理無効人生なら「危ない」っつー発想は出ねぇもんなあ!!!」
「ぬぅっ…」
黒霧を押さえつける爆豪だかその言葉遣いはさながら悪役のようである
「っと動くな!!「怪しい動きをした」と俺が判断したらすぐ爆破する!!」
「攻略された上に全員ほぼ無傷…すごいなぁ最近の子はどもは恥ずかしくなってくるぜ
「脳無 爆破小僧をやっつけろ出入口の奪還だ」
死柄木の言葉に反応した脳無は凍った体が砕けるのも厭わずに起き上がる。そして、砕け散った部分からグズグズと筋繊維が集まり再生していく
「身体が割れてるのに…動いている…!?」
「皆 下がれ!!なんだ!?”ショック吸収”の”個性”じゃないのか!?」
「別にそれだけとは言ってないだろうこれは”超再生”だな」
「!?」
「脳無はお前の100%にも耐えられるように改造された超高性能サンドバック人間さ」
その言葉を皮切りに脳無が一瞬で爆豪に肉薄する。
「かっちゃん!!!」
緑谷が心配の声を上げるが杞憂に終わる。オールマイトが爆豪を逃がし、自身が脳無の拳を受けたのだ。
「かっちゃん!!?」
「避っ避けたの!?すごい…!「違えよ黙れカス」
爆豪を庇ったオールマイトを一瞥すると死柄木は語り出す
「仲間を助ける為さ仕方ないだろ?さっきだってホラそこの…あーーー…地味なやつあいつが俺に思いっ切り殴りかかろうとしたぜ?他が為に振るう暴力は美談になるんだ、そうだろ?ヒーロー?」
「俺はなオールマイト!怒ってるんだ!同じ暴力がヒーローと
「何が平和の象徴!!所詮 抑圧の為の暴力装置だおまえは!暴力は暴力しか生まないのだとお前を殺すことで世に知らしめるのさ!」
「めちゃくちゃだなそういう思想犯の眼は静かに燃ゆるもの、自分が楽しみたいだけだろ嘘吐きめ」
「バレるの早…」
自身の嘘がバレても余裕を崩さずむしろどこか楽しげに嗤う死柄木
轟、緑谷、爆豪、切島の4人は各々、戦闘の意志を見せるがオールマイトがそれを止める
「ダメだ!!!逃げなさい」
「………さっきのは俺がサーポート入らなけりゃやばかったでしょう」
「オールマイト血……それに時間だってないはずじゃ…ぁ…」
「それはそれだ轟少年!!ありがとな!!しかし大丈夫!!プロの本気見ていなさい!!」
「脳無、黒霧やれ俺は子どもをあしらう」
(確かに時間はもう一分とない…!力の衰えは思ったより早い!しかしやらねばならない!!)
「クリアして帰ろう!」
(何故なら私は)
(平和の象徴なのだから!!)
刹那、物凄い風と共にオールマイトと脳無の拳がぶつかる。
「”ショック吸収”って…さっき自分で言ってたじゃんか」
「そうだな!」
「!!」
「”無効”でなく”吸収”ならば!!限度があるんじゃないか!?私対策!?私の100%を耐えるなら!!さらに上からねじ伏せよう!!」
ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ!血を吐きながらも一発一発全てを100%以上の力で叩き込んでいく。
「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!」
「
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「衰えた?嘘だろ…完全に気圧されたよ よくも俺の脳無を…チートがぁ…!」
「全っ然弱ってないじゃないか!!
脳無を打倒され癇癪を起こす死柄木。
「どうした?来ないのかな!?クリアとかなんとか言ってたが…」
「出来るものならして見ろよ!!」
そう言って死柄木たちを睨みつけるオールマイト…だが彼のこれは虚勢だった。活動限界時間を超えてしまいもう動くことが出来ない。1歩でも動けばトゥルーフォームに戻ってしまう状況にあった。故に彼にできることは…
「うぅうぉおおぉおおぉおおぉお…!!」
「さぁ、どうした!?」
時間稼ぎ…!少しでも
「脳無さえいれば!!奴なら!!何も感じず立ち向かえるのに………!」
「死柄木 弔 落ち着いてくださいよく見れば脳無に受けたダメージは確実に表れている」
ガリガリと首を掻きむしり焦る死柄木に黒霧が冷静に助言を飛ばす。
「どうやら子どもらは棒立ちの様子…あと数分もしないうちに増援が来てしまうでしょうが」
「死柄木と私で連携すればまだヤレるチャンスは充分あるかと…」
「……うん…うんうん…そうだよな…そうだよ…そうだ…やるっきゃないぜ…目の前にラスボスがいるんだもの…」
「何より…脳無の仇だ」
オールマイトに迫る死柄木と黒霧、オールマイトには為す術はなくそしてまた一人を除いて彼のピンチを知る人間はいなかった。
「な…緑谷!!?」
(折れた!!さっきはうまくいったのに…!!でも!!届いた!!隠してる体部分!!そこを狙えば!!飛ばせる!!)
「オールマイトから離れろ」
だが、そう上手くは行かず黒霧にかわされワープゲートから伸びた死柄木の腕に捕まるその瞬間…!
死柄木の腕を銃弾が貫く。
プロが相手にしているもの…世界。それは彼らにはまだ早すぎる経験だった。
この襲撃は後に起こる大事件の始まりだが、この時の彼らには知る由もなかった。
今回で第一章入学編が終了となります。次回更新から第二章体育祭編が始まります。楽しみにしていただけたら幸いでございます!
前話の誤字報告ありがとうございました!一通りチェックしてから投稿してますがやはり抜けてしまいますね……
またなにかありましたら誤字報告、感想評価ご質問などありましたらよろしくお願いします。