私達は午後の応援合戦のためにチアリーダーの格好をしてグラウンドにたっていたのだが……
『あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!』
『本場アメリカからチアリーダーも呼んでいっそう盛り上げ……』
『ん?アリャ?』
「なーにやってんだ……?」
『どーしたA組!!?』
……こうなった理由は数分前に遡る
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「蜚蠊さん!」
「あ……百……さん……」
全員無事だったゴキさん達を回収し終わって隅の方でご飯を食べていたら少し慌てた様子の百さんが話しかけてきた。
「午後は女子全員で応援合戦をしなくてはならないそうなので呼びに来ましたわ」
ふーん…?全然そんな話聞いてないけど…
「峰田さんと上鳴さんが相澤先生の言伝だと仰っていたので…」
「あ…は、い……わかり…ました……」
応援合戦って一体何をやるのだろうか?なんて考えていたら更衣室に着いた。
「おっ!蜚蠊も来たね!」
そこにはA組女子が勢揃いで百さんを除くみんなはもう着替え終わっていたようだ……
「さ、蜚蠊さんも早く着替えてくださいまし」
「え……あ……これ……着る……の……?」
超ミニスカへそ出し肩出しのチアリーダー服に……
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……というわけで、こうしてグラウンドに出てきたわけなのだが……
「峰田さん上鳴さん!!騙しましたわね!?」
まんまとあのぶどう頭達に騙されてしまったらしい。
うぅ…最悪だ……なんでこんな肌が出る服着なきゃ……恥ずかしい……
「アホだろアイツら…」
「まァ本戦まで時間空くし張り詰めててもシンドイしさ…」
「いいんじゃない!!?やったろ!!」
「透ちゃん好きね」
ええ……ほんとにやるの……?腹筋バキバキのムキムキ女なんて誰も見たくないと……コツン……な、に?
どうやらペットボトルが飛んで来て私の頭に当たったらしい。何事かと後ろを振り向くと……
「ぎゃはは!!当たった当たった!おい!とっとと失せろよ!」
「気持ちわりぃーんだよ!ゴキブリ女ぁ!」
心臓が大きく跳ねる、ぎゃはは!!という笑い声が耳に響く、冷水をあびせられたようで一気に意識が現実に引き戻される。
人が見てる、1人だけじゃない何千何百って人がこっちを見ている。
喉が締まる、息が苦しい、全身から汗が吹き出し涙も止まらない……
「蜚蠊…?蜚蠊!!?大丈夫!?」
私の尋常じゃない様子に気がついたのだろうか響香さんが声をかけてくる。
「はぁ……!はぁ……!かひゅっ……!」
みんなも気がついたのだろう皆一様に私のことを心配してくれる。透さんなんかは「なんてことしてくれんのさ!」と怒りをあらわにしている。
良かった…みんながいてくれたおかげでだいぶマシになってきた…とにかくここを離れよう…
「わ……わた、し…先に……戻……るね……」
「あっ…ならウチたちも…ッ!」
『さァさァ皆楽しく競えよレクリエーション!』
『それが終われば最終種目進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!』
『一対一のガチバトルだ!!』
私はフラフラとした足取りでグラウンドを後にした…
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更衣室で着替えた私は控え室に戻る前にイレイザー先生に体調が悪いこと伝えて、レクリエーション種目の担当を他の人に代わってもらってからしばらくたった。
もうレクリエーション種目は終わっているが……もう向こうには戻りたくなかった。だいぶマシになったとはいえ、今でも話し声が聞こえると自分のことを話しているんじゃないかって不安になるほどだ。
はぁ……今日はもう帰ろうかな…
更衣室を出てイレイザー先生のいる実況席に向かう。今は第一回戦の真っ最中だろうから人に会う可能性は低いだろう……ッ!
「……はこんな個性のおかげでスタートから遅れちまったよ。恵まれた人間には分からないだろ」
人の声……!……と、思ったがどうやら観戦用のモニターから聞こえてきたらしい。
なら、このまま通り過ぎて…
「誂え向きの個性に生まれて望む場所に行ける奴らにはよ!!」
「!?」
ドクンと、心臓が大きく跳ねる。
たまたま戦闘できる個性だったから?たまたまヒーロー科の入試に受かったから?
なら私は恵まれた存在なのか……?彼の言うように誂え向きの個性に生まれたのか……?望む場所に行けるのか……?
否だ断じて否だ…!
私はこの個性が嫌いだ…大嫌いだ!私が誰よりも嫌ってる私が誰よりも憎んでる…!
こんな…こんな…!
私だけなのだ…!家族の中で私だけが嫌われている
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私の父、「
私の母、「
父母共に昔は虫系個性の家系だったそうで触角があるもののその個性はよくも悪くも普通で、嫌われる要素なんてないのだ。
私の個性「ゴキブリ」は隔世遺伝により父母の個性を引き継ぎながら虫系の個性が出たものだ。
父も母も触角の形から推測するにゴキブリかそれに近しい種のものであるとされていたため、私が産まれてくることは何ら不思議なことはなかった。
しかし、不快害虫に指定され人類の根源的恐怖や不快感を煽るあの生き物、その個性を持つ私にも例外などあらず、私を見た人は、私に対して不快感や嫌悪感を抱くのは当然とも言えた。
でも
そうか……そうか…私は…人に恵まれたんだ……みんなが……周りの人が……私のことを認めてくれているおかげで、私は人として生きることが出来ているんだ……
なら彼にも……自身を理解してくれる人達が現れたらいいな……
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「い、イレイザー……先生………」
「!蜚蠊体調どうだ?」
「ま、まだ……優れない……ので……き、今日は……帰ります…」
「そうか……本当は見て学んで欲しいところもあるが……気をつけて帰れよ」
「は、はい…」
「それと明日明後日は休校だプロからの指定などをこっちでまとめて休み明けに発表するからドキドキしながらしっかり休んどけ」
「は、はい!」
次はヒーローインターンか……ぜんぜん活躍出来なかったからなあ………来るのか…?私に……
こうして私の雄英体育祭は幕を下ろした。全く結果は振るわなかったが新たな気づきがあったりで…身にはなったのかもしれない。
……今日はお母さんのシチューが食べたい
今回もお読み頂きありがとうございました。最後駆け足気味になってしまいましたがこれにて第二章終了となります。
ここまで応援して下さり誠にありがとうございます。
そしてこれからも頑張って投稿していきますので第三章もよろしくお願致します。