「碇くん、月、綺麗ね」と言うと、碇くんも
「そうだね綾波、あの日を思い出すね」と、どこか悲しそうに言う
碇くんに、
「大丈夫よ碇くん、もう『さようなら』なんて言わないわ」と微笑みながら
言うと、碇くんも安心したのか、
「ありがとう、綾波」と、微笑み返してくれた。
「それに私たちには、この子が居るわ」と、お腹を優しく撫でる。
「そうだね綾波、僕たちには、この子が居るね」と、微笑み、
私のお腹を優しく撫でてくれる。
先週の赤木博士の検査でこの子が、女の子だと判ると、碇くんは勿論、
お義父さんまで、今まで以上に気に掛けてくれるわ。
そんなに心配しなくても、大丈夫なのに最近は、安定期に入ったから、
前よりも体調が悪くなる事も無いし、何より碇くんが私の身体と、
お腹の子を思ってなのか、前よりも健康に良いお料理を作ってくれるから、
赤木博士からも、太鼓判を貰っているわ。
それにしても、今日は風が心地良いわ。
8月も終わって、9月に入ったから、大分暑さも和らいで来たから、
妊婦の私にとっては、有り難いわ。
「綾波、この子の名前、『アイ』で、良いかな?」と、聞いてくれる、
碇くんに私は、
「『アイ』良い名前ね」と、一言、微笑みながら言うと、碇くんは続けて、
「アイには、僕たちが、子供の頃、知れなかった事を知って欲しいんだ」と、
碇くんに言われて、私たちの子供の頃を思い出す。
確かに、私たちは、子供の頃に受けるべき、親の愛情を受けないまま、
育ってしまっている。
私には、肉親と呼べる存在が居ない、碇くんは、小さい頃にお母さんを、
エヴァの実験で喪ってしまい、それから、高校生になる頃までは、
お父さんとは上手く行かなかったから、私たちは親の愛情を、
知らないでいるから、アイには私たちが受けれなかった分を、
私たちや、お義父さんから受けて欲しいから、この名前なのかしら?
私が碇くんの思いを汲み取り、碇くんに、
「碇くん、貴方はどこまでも、人に優しく出来る優しい人ね」と、
私が微笑みながら言うと碇くんは、顔を赤くして、照れてしまっているわ。
「碇くん、照れているの?」と、碇くんに聞くと碇くんは、
「そ、そ、んな事ないよ、綾波……////」と、慌てて否定するけど、
可愛すぎて、思わず笑ってしまったわ。
「なんだよ、綾波そんなに変かよ」と、拗ねてしまった。
「こんな事で拗ねってしまうなら、アイが生まれてきたら、もっと大変ね」
と、私は、碇くんに言うと、顔を逸らしてしまった。
私、言い過ぎたかした?
碇くんに機嫌を直して貰うために、私は碇くんの頬に手を伸ばし、
「大丈夫よ、碇くん私は、これからもずっと、碇くんの事だけを、
見て生きるわ、だから機嫌を直して」と、言うと、
碇くんは、「それ、本当だね、綾波」と、言う碇くんの目は
私を誰にも渡さないと決意に溢れていたわ。
そして、碇くんは私に、
「綾波、今日はもう、寝ようか、身体に障ると良くないし」と、心配そうに
言ってくれる碇くんに、
「そうね碇くん、今日はもう寝ましょ」と、言うと私の手を引き
寝室に連れて行ってくれた。
その手は、とても温かく、安心する。
私は碇くんと、ならお腹に居るアイを育てる事が、出来るわ。
それはきっと碇くんも、同じ思いのはず。
私たちは手を繋いだまま、
「おやすみ、碇くん」と、言って碇くんからも、
「おやすみ、綾波」と言って貰い、眠りについた。