かずみ推しの女の子が転生した話   作:レイラレイラ

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かずみちゃんでミラーズを勝ちまくったのが嬉しくて書きました。

後悔も反省もいたしません!


プロローグ

「はい、着いたよお婆ちゃん」

 

「すまないねぇ。見ず知らずの子に運んでもらっちゃって」

 

「人を助けるのに知ってるかどうかなんて関係ないよ。だから謝らないで」

 

 申し訳なさそうに若干顔を伏せるお年寄りに対し、一見パッとしない眼鏡の少女がにこやかに答える。

 

 少女の笑顔を見て、シュンとしていたお婆さんはつられて笑顔になった。

 

 かなり急な坂は体力や筋力が衰えている人にとっては苦行だろう。

 

 実際、お婆さんは坂を少し登った時点で息を切らしていた。

 

 そこに少女が通りかかり、お婆さんを背負って登ったというわけだ。

 

 少女は特に鍛えていたわけではないが、人一人分の重さを背負って登る根性だけはあった。

 

「それじゃあ、わたしは行くね。チャオ!」

 

 少女はお婆さんを下ろし、颯爽と駆けていく。

 

 お礼の言葉を聞かずに去る少女の後ろ姿を、お婆さんは眩しいものを見るように目を細めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦️♦️♦️♦️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も人助けできた! やっぱり良いことをすると気持ちがいいよね!」

 

 少女は自宅に帰り、今日の成果に胸を高鳴らせていた。

 

 物心ついたころから両親には、『困っている人がいたら助けてあげなさい。そうしていれば、いつか自分が困っていたとき助けてくれるからね』と口酸っぱく言われていたのだ。

 

 もっとも、その両親も交通事故で命を落としてしまっているからその言葉を聞くことはもう出来ないのだが。

 

 それでも少女は言われた通り、毎日のように人々を助けるためにパトロールをし続けている。

 

 巡りめぐって、絶望的な状況になったとしても笑っているために少女は善行を積み重ねていく。

 

「今日の晩御飯は…………イチゴリゾットに決定!」

 

 そんな少女にも憧れている人物、もといキャラがいる。

 

 夕食の献立からわかった人もいるだろう。

 

「かずみちゃんの得意料理、完璧に作れるようにならなくっちゃね!」

 

『昴かずみ』

 

 それが少女の憧れている女の子の名前。

 

 マギアレコード魔法少女まどかマギカ外伝内のイベント『The_Cuddly_Despairs〜魔法少女かずみ☆マギカ〜』に登場する魔法少女である。

 

 もともとは『魔法少女かずみ☆マギカ 〜The innocent malice〜』のキャラクターだがここでは割愛させていただきたい。

 

 少女が昴かずみに出会ったのは両親を亡くした直後のことだった。

 

 突然知らされた両親の悲報。

 

 悲しみに暮れて自暴自棄になり、自殺の考えが脳裏に浮かび始めたときのことだ。

 

 気まぐれに開いたアプリでかずみは言っていた。

 

『ご飯を食べたいと思うのは、身体が生きたいと思ってる証拠』なのだと。

 

 かずみの言葉を聞くと同時に、少女のお腹はくぅと可愛らしい音を立てた。

 

 一人ぼっちになったことで生じた孤独も、悲しみも、苦しみも何もかもが完全に消えたわけではない。

 

 ただ、少女の奥底から沸き上がる生きたいという欲求だけは何よりも大きいものとなっていた。

 

 それ以降、親戚の援助を受けながら色々とやりくりすることでなんとか生活できている。

 

 両親から教えられた人助けの精神。

 

 かずみに救われた心と命。

 

 あとは、時々鳴り出す腹の虫。

 

 これらが少女にあるかぎり、決して絶望に囚われることはないだろう……………………

 

 

 

 ──────────そう、その筈だった。

 

 

 硬く、重い、高速で駆ける鉄の箱によって地面を転がっていく少女の身体。

 

 

 あちこちの骨が折れている。

 

 

 内臓にも少なくないダメージを負っている。

 

 

 身体から流れ出る大量の真っ赤な血液は、まるで少女の希望が外へと流れていくようで。

 

 

 

 少女の心に残るものは、『昴かずみ』の笑顔のみ。

 

 最後に残ったものは、生を全う出来なかったという両親への懺悔などではなく推しへの想いに他ならないのだ。

 

 

 友達にも恵まれ、人助けによって得た暖かい想いを一心に受けた少女は感謝する。

 

 自分は絶望()に沈むことにはなるけれど、確かに生きたのだと。

 

 愛しいあの人(昴かずみ)への密かで、それでいて強い想い。

 

 

 少女の目尻から涙が伝う。

 

 

 もしも次があるのならと少女は願う。

 

 

 ──────────あの人みたいに、誰かに希望を与えられる存在になりたいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦️♦️♦️♦️

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スマホのアラームに設定した『うつろい』を起点として、少女『奎あずみ(けいあずみ)』は眼を覚ます。

 

 前世で軽音部の助っ人をした経験が活きて、ほぼ完璧に再現できた筈だ。

 

 あとは、『環いろは』『七海やちよ』『由比鶴乃』の三人に出会ったときに歌詞を渡して歌ってもらおう。

 

「ふわぁ…………」

 

 大きな欠伸を一つ。

 

 いまだぼんやりする目をこすりながら、洗面所へと向かう。

 

 春先ということもあって冷たい水を、あずみは顔にかけ強引に意識をシャキッとさせる。

 

 

 鏡に映るその容姿は、前世の頃とは大きくかけ離れていた。

 

 足元に迫る長さを誇る黒髪に、特徴的な頭のツンツン。

 

 ルビーのように煌めく赤い瞳。

 

 欠伸の際に発したロリかわボイス。

 

 何もかもがあの『昴かずみ』と瓜二つだったのだ。

 

 転生ものでよくある憑依転生の類いなどではなく、これは奎あずみの『願い』に起因するもの。

 

 あずみの指には指輪がつけられており、それはソウルジェムが形を変えたものだ。

 

 ソウルジェム。

 

 少女とキュゥべぇが契約することで現れる宝石。

 

 魔法少女たちの魂そのものとも言えるもの。

 

 それがあるということは、あずみもまた魔法少女ということ。

 

 そして、あずみはある願いを叶えた。

 

 『憧れのあの人みたいになりたい』と。

 

 その願いの結果、奎あずみを構築する要素の全てが昴かずみとして再構築された。

 

 もちろん、奎あずみとして生きてきた痕跡も記憶もちゃんとある。

 

 一つ違うことがあるとすれば、容姿が昴かずみのものとなる前…………もとの奎あずみの容姿を誰も覚えていないことだ。

 

 どれだけ写真をひっくり返そうと、スマホのアルバムを探そうと奎あずみの容姿の痕跡は一切残されていなかった。

 

 なんとなくこうなることは、あずみもわかっていた。

 

 しかし、後悔はしていない。

 

 新たな生を与えられ、こうして自分は『マギアレコード』の世界に足をつけている。

 

 ならば、自分に出来ることは何か。

 

 手が届く限りの魔法少女を救うこと。

 

「わたし頑張るよ。この世界で、魔法少女の皆に幸せに生きて欲しいから」

 

 鏡に映った自分(かずみ)に、あずみは今日も誓いを口にする。

 

 

 

 

 これは、一人の魔法少女が絶望から皆を助ける物語。

 

 

 

 

 




奎あずみ
願い『憧れのあの人みたいになりたい』
この願いによって奎あずみの容姿は昴かずみとなる
本人は後悔しておらず、むしろやる気満々になっている

固有魔法『コピー』
技術や魔法をコピーできる

魔法少女としての才能は『魔法少女まどか☆マギカ』のまどかの三分の二はあるチート性能
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