meigetuです。たのしんでくださると幸いです。
「う..うーん。」
と、スズメたちがちゅんちゅんと鳴いている音を聞きつつ、二日酔いからか痛む頭を押さえて平塚静は起き上がろうとする。
しかし、何かに抱き着かれているのか一向に体が持ち上がらない。
何事か、と思い目を開けるとそこはログハウスの中であった。
「確か...林間学校の千葉村に来ていたのだったか...」
と、寝起きの回らない頭で思考する。ふと、隣を見てみるとなぜか、特徴的な機械的なうさ耳がピコピコしている。
「......束...」
と、あきれたように声をかけると、垂れ下がっている耳の部分がピコんと持ち上がる。
「束...何しに来た?」
と、あきれつつ改めて声をかけると、顔をこちらに向けてきた。
その顔は軽く頬を染めており、特徴的な紫の長髪に特徴的な機械のうさ耳がのっかっていた。
「昨日、あんなに激しく、シてくれたのに、そんなに冷たい反応...ひどい。」
と、布団のタオルケットで半分顔を隠しながら、およおよと泣き出す。
私は、その態度に半分イラつきながら、
「君は、毎回それをしないと気が済まないのか?」
「いいじゃん。いいじゃん。でも最近、反応が詰まんない。初めてこれやった時、相当慌てていたのに...」
「それは、何回もやられればそうなるだろ。はあ。それで、何の用だ?」
このまま話を続けていても埒が明かないと感じ、話を切り替える。
束、いや雪ノ下束は、空気が変わったことを感じたのか、私が入っている布団を抜け出し、
「妹たちと、静ちゃんに会いに来たんだよ。ついでに、気晴らしに来たんだよー。」
と、一回転してから服についた、埃を手で払いつつ言う。
服は、いつも通り水色と白が混じったメイド服のような服を着ていた。
「妹...雪乃のことか。」
「そうそう、もうそろそろ高校二年目だしうまくやっているのかなと思ってねー。ついでに帰りに陽ちゃんとも会うつもりだしね。」
「そ、そうか...」
「そうだ、じゃあ朝食、食べに、いこっか
と、一目散に玄関に向かった。
私は、相変わらずのその身勝手さに頭を痛めてつつ、食事へ向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ、雪乃ちゃんだ、だーれだ。」
「え、えぇぇ」
と、食堂で朝食を座って待っていると、唐突に目隠しをされた。隣から、由比ヶ浜さんの驚いた声が聞こえる。
このようなことを、それも人前でできる人はあの人しかいない。と確信をもって、
「姉さん...なぜここに...」
「姉さん? え、え?」
「いやー、ばれちゃうとは。さすがは、私の自慢の妹だね。」
と目隠しをしていた手をどけて首の後ろから抱き着かれる。と、同時に頬を後頭部に擦り付けられる。
「束姉さん、やめて。」
「そんなこと言っちゃって、本当はうれしいんでしょ。」
と、さらに強く抱き着かれる。
めんどくささから、半分無視をしていると、唐突に隣から、
「え、え、どうゆうこと?」
と、由比ヶ浜さんの困惑した声が聞こえる。
しかし、束姉さんは、何も聞いていないように話を始める。
「ねえねえ、それで、最近どう? 学校楽しい?まあ、
と、まくしたてる。
いつも通りの束姉さんだと思い、この状況に、半分あきらめていると、
「ゆきのん、どういうこと」
と、由衣さんは困惑したように再度聞いてくる。
あいも変わらず、束姉さんは相も変わらず、
「うーんと、まあいいや。それでねそれでね、新しいバージョンの宇宙服みたいなものを作ったんだよ。どうどう、近いうち私のラボに来ない?雪乃ちゃん。宇宙だって、簡単に飛び出せるんだし来るよね、ね、ね。」
などと、話を続ける。
と、同時にパーンという小気味がよい音が耳に入ってきた。
「いたーい。ひどいよ
そちらに視線を向けるとそこには丸めた新聞紙を持っている平塚先生がいた。
「はあ、陽乃しかり、生徒の前でその呼び方はやめてくれと何度言えばわかるんだ。」
と、頭痛が痛そうに頭をおさえる。
「まあいいじゃーん。
「はぁ。何度言えばいいんだ...まあいい、もう少しお前は他人に興味を持て。」
と、平塚先生は諦めたように言う。
「オッケー。最大限善処するよ静ちゃん。」
「善処って。やる気ないだろ。」
「てへっ。ばれちゃった?」
と、右手の拳の自身の頭にぶつけて愛想のよさそうに笑う。
平塚先生は、ジト目でいるのを見ながら苦笑いをこぼした。
「ゆきのん、ゆきのん。あの人だれ?」
と、由比ヶ浜さんが聞いてきた。
「あの人は、私の姉よ。」
「姉?」
「そう、雪ノ下束。私の七歳上の姉よ。」
と、言いながら、私の優しい姉は、あいも変わらず平塚先生にちょっかいをかけていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それと...最後に今日付けで、ボランティアサポーターになった人がいます。」
と、一通りの今日の行程の説明をした後、平塚先生は話を切り出した。
俺は、なんだと思い、視線を平塚先生の方向に向けると、平塚先生の近くのテーブルに二つのウサギのような耳がぴょこぴょこ動いていた。
「なんだあれ...」
と、独り言をこぼすとその正体は唐突に立ち上がった。
その正体は、兎耳を付け、水色と白が混じったメイド服を着ている紫の髪を持っている女性だった。
コスプレか何かか?と思い、視線をそちらに向けるそこでは、平塚先生と、うさ耳をつけた女性がじゃれていた。
周りを見渡してみると、おおよそはなんだこいつという苦笑いを浮かべているが、雪ノ下と、葉山は違った。
雪ノ下は何やらあきらめたような顔を、葉山はなぜかふだん見たこともないほど顔を青ざめさせていた。
観察を続けていると、
「ほら自己紹介しろ。」
「わかったよー
と、一回転して手を振っている。
と同時に周りが騒がしくなる。
「束って、あの束ですか?」
「たった、四回の講演で物理学を十年分進めたといわれている...」
どういうことだ?
全く話に追いつけないので近くにいた戸塚に聞いてみる。
「なあ戸塚。束って誰?」
「もしかして、八幡、束博士を知らない?」
「ああ、そうだ誰だそれ?」
「そう。本名は雪ノ下束、ここの高校の卒業生で四年前から年に一回うちの高校で物理学の公演をやってくれるんだよ。」
「雪ノ下?」
「詳しくは知らないけど...雪乃さんの姉なのかもしれないね。」
「そうか...」
と、戸塚と話していると、
「束は、私の昔の教え子で、総武高校卒の先輩だ。」
「うんうん、そうだよ~。私はみんなの大先輩にあたるわけです。あやめ奉り給え。」
と、束さんは、腰に手を当てて胸を張る。
「いい加減にしろ。束。」
「いいじゃーん。ここで序列付けしておかないと、後輩たちになめられちゃうからね。」
「はぁ~。」
という、平塚先生の深いため息が聞こえてきた
「埒が明かん。まあ以上だ。お化けの仮装セットはおいてあるそうだ。手分けしてやってくれ。」
「『はーい』」
という声と苦笑いとともに解散した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「それで、
「静ちゃんいうな。」
と、朝食を取り終えた後、二人で並んで廊下を歩いていた。
「いいじゃんいいじゃん。現に陽乃ちゃんだって
と、言い、どこから取り出したのかスケートボードのようなもので平塚静の周りをぐるぐる回りながら言った。
「はぁ。相変わらずだな、お前は。」
「当たり前でしょ。私が変わることなんて、たとえ空が落ちてきてもあり得ないことだよ。」
と、スケートボードの上で逆立ちをしつつ答える。
「だろうな。24になってもこの調子じゃ自明の理だろう。」
と、あきらめたように言う。
「そうだよ~。それよりも...
「ウッ。それは...」
「大丈夫だよ。アラサーじゃなくなったら、私がもらってあげるからね~。あの時確約してくれたしね。」
と、いつもの束らしくないことを言う。
「勘弁してくれ。あの時は友達の結婚式に誘われていてやけ酒していた時なんだ。」
「え~。なんだったけ?むしろ、束がいい。できれば私をもらってくれ。だったっけ。」
と、雪ノ下束は、恥ずかしがってうつむいている平塚先生の顔をしたからのぞき込むように言う。
平塚先生は恥ずかしがるように顔を覆い隠す。
「やー。やっぱ
と、後ろから抱き着こうとするがアイアンクローで止められてしまう。
「痛い痛い。親指と小指でこめかみをぐりぐりしないで、頭、頭割れる。」
「聞き分けの悪い兎はこれぐらいに処しておいた方がいいだろ。」
と、平塚先生は顔を真っ赤にして雪ノ下束の頭をぐりぐりしていた。
「で、結局私は何やればいいのかな
「はぁ。夜から、肝試しをするから倉庫に向かいその準備をしておけ。」
「オッケー。了解ー。この大天才の束さんにまっかっせっなさい。」
と、指示がもらえてうれしいのか束は嬉しそうに兎の耳をひょこひょこさせて周りを飛び跳ねていた。
「束。森全体を霧の海にするみたいな変なことはするなよ。仮装道具を倉庫から持ってくるだけで...て、もういないし...」
私は、長年束と付き合ってきた経験から嫌な予感を感じ、くぎを刺そうとしたが、そこにいるであろう束はいなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「姉さん、何してるの?」
と、言う声で、私は作業を中断した。
この声は雪乃ちゃんだ。
「雪乃ちゃん、どうしてこんな倉庫に来ているの?」
「私は平塚先生から、肝試しの衣装を取りに倉庫まで来たのだけど...」
「そうなんだ!今ね、私も肝試しの準備をしていたんだよ。」
と、宙に浮かんだディスプレイを見せる。
「そ、そうなの。じゃあ、私はここで...」
と、コスプレ衣装が入った段ボールを二段重ねにして雪乃ちゃんは出ていこうとする。
今にも倒れそうで、非常に危なさそうだ。
「そういう時は手伝ってって言ってといったでしょ。雪乃ちゃん。」
と、雪乃ちゃんが両手で抱えていた二段重ねの段ボールをかっさらう。
「姉さんの手を煩わせるわけには...」
「問題ないよ~。それに私のお姉ちゃん道を守るためにも手伝うんだよー。」
と、片手で段ボールを持ちながら、胸を張る。
「そ、そう。」
と、困惑する雪乃ちゃんを横目に私は部屋の外へと飛び出した
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おー、雪乃ちゃんこの子が気になるの?」
私は
「やっぱ、雪乃ちゃんは、猫が好きだね。」
「...そんなわけないじゃない」
「そういわないでよ。それよりも化け猫のコスプレの子こっち来てよ。」
と、女の子に声をかける。
「は、はい。」
と、言いこちらに向かって来た。
「その中途半端な猫耳のカチューシャと、尻尾を外してこれと、これをつけてみてよ。」
と、私が開発した猫耳のカチューシャと尻尾を差し出す。
「は、はい。」
と、何やら警戒したようにその女の子は恐る恐るこれらを身に着けた。
私は一通りそれを確認した後、
「うーんとね、そうだなぁ...ちょっと怒ってみてよ。」
「急に怒れと言われましても...」
「なんでもいいよ。感情さえあれば問題ないから。」
「そういわれましても...」
と、困った顔をする。
耳はピンと張られており、尻尾はたらんと垂れていた。もし、できれば怒りの感情を持てば耳をぴんと張って尻尾を逆立てるはずなんだけど...。
と、原因を探っていると、
「すごいわ、姉さん。」
と、なぜか、雪乃ちゃんは目をキラキラさせて女の子のしっぽを触りに行った。
「ゆ、雪乃さん??」
と、女の子は何やら困惑をしている。
「ちょっと、失礼するわね。」
と、雪乃ちゃんはのどあたりを触った。
すると、女の子からコロコロという鳴き声が聞こえてきた。
おお、私の発明品は故障していなかったぽい。
「え、え??」
「すごいでしょ。これ。これはね、猫そっくりになれるものだよ。感情表現も猫そっくりになるし、仕草とかも猫そっくりになるものだよ。ついでに猫とも会話できるんだよ~。どうどう、すごいでしょ!!」
と、胸を張った。
「えーっと、どうやったら元に戻るんですか...」
と、隣の濁った眼をした少年が聞いてきた。
「尻尾とかを外すと、元に戻るよー。それよりも雪乃ちゃん、これつかう?」
と、服のポケットから猫じゃらしを取り出す。
軽く振り回してやると女の子が困惑してる声を止めて、猫じゃらしを目で追っている姿が目に入った。
「姉さんそれかして。」
と、ひったくるようにそれを奪われる。
雪乃ちゃんがそれを振るたびに、女の子の顔が動くのを見つついい仕事をしたな~と思い私は、別の仕事へと向かっていった。
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