やはり姉さんの性格は終わっている   作:meigetu

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三話 文化祭

「うーんと、ここを、こうつなぎなおして...よし、これをここに持って行って...うんうん、やった束さん大天才。」

 

と、雪ノ下束は、空中に浮かんでいる半透明のキーボードに向かって高速でコードを撃ち込んでいた。

 

「もうすぐ、第四世代になるんだけど...一人でバージョンアップするのもなんかおかしくなってくるね。」

 

と、一人でわらっていると唐突に近くから

 

『ぴぴ、ぴぴ、でんわ、でんわ、(はる)ちゃんから電話だよー』

 

と、言う通知音が聞こえてきた。

 

「もすもすひねもす~。はぁ~い。みんなのアイドル雪ノ下束だよ~。」

「その挨拶、頭にくるからやめてくれないかな。」

「えー、ひっどーい。いいじゃんいいじゃん。」

 

と、駄々をこねる。

 

「はぁ。まあいいわ。それより今年の総部高校の文化祭に出てくれない?」

「もうそんな時期なんだー。早いねー。でもあんな小学生みたいな授業でいいの?」

「それぐらいでいいの。」

「そっかー。まあ(はる)ちゃんの頼みならやるよー。」

 

と、返す。

 

「それと、できれば有志の届け出を出すときに、仕事に追われていると思うから、雪乃ちゃんのことも助けてくれると嬉しいんだけど...」

「うん?本当にいいの?なんか(はる)ちゃん、雪乃ちゃんにいろいろとやっているみたいだけど。何かミスったの?」

「.そんなわけないじゃん。」

「ほら、一瞬、間が空いた。ほら何やったの?言ってみい。」

「......姉さんにはかなわないわね。そうよ。総武祭の委員長を揶揄って遊んでいたら、そうなっていたの。」

 

と、(はる)ちゃん独白が聞こえる。

 

「うん? 雪乃ちゃん、委員長じゃないの?」

「そうよ。」

「へえ、意外。(はる)ちゃんの後を追っかけることしかしないと思っていたのに。」

「少しは自分で考えて行動するようになったのならばいいのだけど...」

「そっかー。この束さんにまっかせなっさい。」

 

と、話す。

 

「それよりも、(はる)ちゃん最近どうなの?」

「はあ。まあいいわ。最近はね...」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

比企谷八幡は、雑務の仕事をたんたんとこなしていると、唐突に窓がバリンと、割れる音がした。

何かと思い、音がした方向に目を向けると、そこには夏合宿の時に見た、兎の耳を付け、青いドレスを身に着けた人がいた。

 

「なんだ...」

「よばれて、飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。束さん大登場だよ。ブイブイ」

 

と、両手でピースを作りながら、飛び込んできたであろう窓を気にせずに入ってきた。

 

「束姉さん...」

「束さん。」

 

と、周りはそのような状況に慌てふためいている中城廻先輩と雪ノ下がそんなことをまったく気にしていないような反応を示す。

 

「ひゃっはろー。雪乃ちゃん。陽ちゃんの助手ちゃん。今日は、有志団体の届け出を出しに来たんだけど...」

「有志の届け出は左奥に出して。」

「オッケー。りょーかい。」

「束さん。(はる)さんも言っていると思うけど...窓割って入ってこないでください。」

「えーいいじゃん。映画みたいでかっこよかったでしょ、助手さん。それよりも(はる)ちゃんと、いつ結婚するの?」

「へ?結婚?」

 

と、そのような発言に割れた窓ガラスに夢中になっていた人たちが城廻先輩に視線を送る。

 

「そうだよー。普段あんなにも人間に興味を示さない(はる)ちゃんが、高校の間、助手さんとして雇ったんだもん。それに、同じ大学に行くんでしょ?付き合ってるのかなーって思ってね。」

「私と、(はる)さんは、そんな関係じゃありませんよー。」

「えー、それは残念。(はる)ちゃん変な男ひっかけるより、助手ちゃんみたいないい子がお似合いだと思うんだけどなー。」

「それに、私たち同性ですよ。」

「そんなの関係ないでしょ。私だって(しず)ちゃんと付き合っているんだし。」

「そんなわけないだろう。」

 

と、いつからいたのであろうか、平塚先生がドアから入ってきた。

 

「ほらー。ツンデレちゃって。(しず)ちゃんかわいい。」

 

と、束さんは抱き着く。

 

「そんなわけないだろう。」

「えー。(しず)ちゃんヒモに捨てられたとき、やけ酒していt」

「やめてくれ本当に。」

 

と、平塚先生ははずかしさから顔を真っ赤にさせて、束さんの口を抑えた。

 

「もごmごもご。」

「まあ、その話は、いい。それより何しに来た束。」

「もごもご。」

「平塚先生、その状態では話せないのかと。」

 

と、雪ノ下が指摘を入れた。

 

「そうだな。」

「それでね、それでね。私が養ってあげよっかって言った時、静ちゃんこういったの『頼む、私を住まわせてくれ』って。それって、一種の告白って、イっ」

「衝撃のファースト・ブリット」

 

と、言うなり、束さんの、おなかに平塚先生の、こぶしが吸い込まれる。

 

「ごはぁぁ。」

 

と、束さんは飛ばされ、壁にたたきつけられる。

そのまま、倒れ動かなくなってしまった。

 

「平塚先生、さすがにちょっとやりすぎじゃ...」

 

と、言う声がちらほら聞こえてくる。

 

「おい、束。起きろ。」

「まあ、そんな弱いパンチじゃ、効くわけないんだけどね。」

 

どすの利いた声で平塚先生が言うと、けろっとした顔で束は何事もなかったかのように、バク宙をして起き上がってきた。

 

 

 

 

 

「まあ、要は、毎年恒例の研究発表をすることを(はる)ちゃんに頼まれちゃってね。そのために有志団体の届け出を出したっていう訳ー。」

「ああ、陽乃がか。」

「そうそう、たぶん雪ノ下家よりも上のところからも圧力がかけられてるんじゃないかな、よくあんな私が小学生のときに考えてた内容を聞いて喜ぶもんだよ。」

 

と、束は呆れたように肩をすくめる。

 

「あんな難しい内容理解できるわけ無いだろう。現に諸外国から大勢の有名な研究者たちが来るんだから。運営する先生の気持ちも考えてほしいな。」

「いいじゃんいいじゃん。そのおかげで給料少しは増えたでしょ、(しず)ちゃん。」

「それもそうだが...」

「っと、言うわけで来たってわけ。」

 

と、雪ノ下雪乃のほうに振り向く。

 

「はぁ、とても回りくどいわね。」

「そう怒らないで、雪乃ちゃん。」

 

と、束は後ろから抱き着く。

 

「それに、委託されたんでしょごみ(元委員長)に。だから許可頂戴?」

「何で知っているのよ...はぁ。わかったわ。」

「やったー。ありがとー。雪乃ちゃん大好き。」

 

と、束は雪乃の頭に頬を擦り付ける。

 

「やめて、束姉さん。」

「いいじゃーん。久しぶりに抱き着いても逃げないんだし。」

「はぁ。」

「おい、束。委員会の仕事をしなければいけないから帰れ。」

 

と、平塚先生が言う。

 

「いいけどー。午後5時。実行委員会の真っただ中なはずなのにこんなに人間がいないんだね。」

 

と、束は両手を広げぐるりと回る。

 

「それは...」

「いいよー。お手伝いするよー。」

「そんな、束姉さんに、迷惑をかけられないわ。」

「うんうん、そういうことじゃないの。どうせ、雪乃ちゃん一人で仕事のほとんど把握して司令塔兼雑用として処理してるんでしょ。」

 

と、束は言う。

 

「そうだけれど。」

「それで、委員会全体をまとめることで、(はる)ちゃんに追いつこうとする。大義名分兼自分で納得するのにはちょうどいい、元委員長(ごみ)もいたしね。というわけでしょ雪乃ちゃん。」

「...そんなわけないじゃない。」

 

と、雪ノ下は顔を下げる。

束さんは、そんな雪ノ下の様子にもお構いなく話を続ける。

 

「ほらー、弱いところを突かれるとすぐ嘘をつく。まあ、それはいいとして私みたいな世紀の大天才ならまだしも、今の雪乃ちゃんじゃ破綻しちゃうよ。それ以上に、陽ちゃんと向かっている先が全然違うもん。」

 

と、束はうつむきがちになっている雪乃の顔を下から覗き込む。

 

「......」

「だから、今日、少し手伝うからそれまでに解決方法、要は雪乃ちゃんでも委員会を回せる方法を考えること。あとヒントになるけど...(はる)ちゃんも、今の雪乃ちゃんのようにひたすら仕事をこなしていたわけじゃないよ。あともう一つ、大前提としても今の状況におかれている雪乃ちゃんじゃあ、(はる)ちゃんにすらなれないただの出来損ないだよ。」

 

と、人差し指を立てていう。

 

「それじゃあ、書類かしてねー。」

 

固まってしまった、雪乃を片目に、

雪乃の机の上に山積みにされた書類を手に取って自身のキーボードに打ち込み始めた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「本当に良かったのか?あんなことを言って?」

「うん?何のことかな。束さんわからない。」

 

と、平塚静は、束としゃべっていた。

 

「雪乃のことだよ。」

「ああ、雪乃ちゃんのこと。」

「私が言うのもあれだが、あそこまできつく言ってよかったのか?」

「本当のことを言っただけでしょ。」

「お前はいつもそれだな。何も恐れずそう言えるのはうらやましいよ。」

 

と、平塚先生は肩をすくめる。

 

「それよりも...どうだった今日のお店。」

「ああ、うまかったな。」

「そうでしょそうでしょ。軽く調べただけでも結構いい情報がばんばん入ってきたからおいしそううだなーと思ってきたわけ。」

「本当にうまかったな。特に、麺はこしががあって、そのうえにうまいこと汁が絡んでいる。それに、」

(しず)ちゃんは本当にラーメンが好きだね。」

「当たり前だ。」

「そんな、(しず)ちゃんも好きだよ。」

 

と、束は抱き着くこともなくまっすぐ視線を合わせて。いう。

その改まった態度に驚いて聞く。

 

「やめろ、恥ずかしい。というか、なんで私がここまで、他人に対して興味がないお前に気に入られているんだ。」

「そりゃあ、私にいろんなことを教えてくれたからでしょ。その当時、私が全く認識していなかったことを、いともたやすく教えてくれたんだから。」

「いろんなこと?」

(はる)ちゃんの件についてだよ。」

「あの件か。私はあくまで、教師として教えただけに過ぎないんだが...」

 

と、平塚先生は肩をすくめる。

 

「そうだったとしても、私にもともと零だったものから一にしてくれたのは(しず)ちゃんだよ。だから感謝しているの。大好きだよーー。(しず)ちゃん。」

 

と、いつも通り、抱きついてくる。

平塚先生は、それを華麗によけ、ものの見事に地面に頭をぶつけた束を見つつ。

 

「最後の最後で台無しだな。」

 

と、一つため息をつきつつ。

しかし、この関係も悪くはないなと思う平塚静であった。

 

 




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