やはり姉さんの性格は終わっている   作:meigetu

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四話 文化祭二日目

「物理演算から...通して...ここかな。」

 

と、雪ノ下束は、キーボードを打っていると通知音が聞こえてきた。

 

『ビー。今日は文化祭二日目だよー、だよー、だよー。』

「もう文化祭の日なんだ。早いねー。よしっと。」

 

と、作業椅子から立ち上がる。

 

「仕方がない。(はる)ちゃんの頼みだし。行きますか。」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「なんか、すごい人だまりだな。」

 

比企谷八幡は実行委員会の広報の写真を撮りながら、外を見てみると大勢の人だまりがあった。

そこには、総部高校の文化祭に来ることがないであろうスーツを着た高齢の人や、白衣を着てきている人、奇抜な格好をしている外国人など、中学生が全くいない高校の文化祭ではありえない異様な風景が広がっていた。

 

「なんだあれは...」

「おお比企谷か。どうした。」

 

と、外を見て呆気にとられているのを気にしてか声をかけてきた。

後ろを振り向くとそこには平塚先生がいた。

 

「平塚先生ですか。外を見て言い方は悪いですけど文化祭らしくない人が大勢いると思って。」

 

と、外を指さす。

そこには、あいも変わらず大勢の人たちがいた。

 

「ああ、その件か。実行委員会で聞かなかったか?」

「全く存じてないんですけど...」

「まあ、それもそうか。比企谷だしな。」

「なんですかそれ。やめてくださいよ。それよりも、平塚先生はこんなところを歩いていていいんですか?」

 

と、言うと平塚先生は苦虫を嚙み潰したような顔をする。

 

「いいわけないだろう。だけどな、それ以上にやらなければならないことがあるんだよ。」

「なんですかそれ。」

「雪ノ下束の確保だよ。」

「雪ノ下束って、あのいつもうさ耳をつけて、青いドレスを着ている、ねじが数本飛んだあの人ですか?」

「君から、そんな風に言われるとはな...まあ数本じゃなくて数十本の間違いだな。」

「そこを直してどうするんですか。」

 

と、苦笑いを浮かべる。

 

「そんなことは、いいんだ。それで、現在の外の状態につながるのだが、外にいるのは有名な研究者たちだよ。」

「研究者?」

「そうだ、全員、束の研究発表を聞きに来ているんだよ。」

「何それ、何かの冗談ですよね。」

 

と、軽く返す。

すると、平塚先生は深いため息をつきながら

 

「冗談だったらどれほどよかったか。」

 

と、頭を抱えていう。

 

「詳しくはないですけど、そこまで研究者がいるなら学会とか行かないんですか? その束さんは?」

「行かないからこういう状態になっているんだろう。そもそも、大学も、推薦をもらっているのにめんどくさいから行かないような奴だぞ。だけど、その反面、頭だけは良すぎるからこんな状態になっているんだ。」

 

と、再度ため息をつく。

そのように会話をしていると、唐突にすごい勢いで廊下を走ってくる音が聞こえてきた。そちらを振り向くと青いドレスを身に着けたうさ耳の女性が走ってきた。

 

「し・ず・ちゃーん。」

 

と、俺の頭上を空中で、一回転バク宙したと思うと平塚先生の首に抱き着いた。

 

「束か。」

「そうだよー。数週間ぶり~。どうする、一緒に、おいしそうなラーメン屋さん見つけたから行かない?」

「研究発表をしろと、陽乃に言われなかったか?」

「えー、めんどくさいんだけど。」

「ほら行くぞ。」

「いやだぁぁぁ。」

 

と、平塚先生に子供のように強制的に手をつかまれ引きずられるように連れていかれた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

平塚先生の後を追っかけて体育館につくと中には文化祭とは関係なさそうな大人で、ごった返していた。

 

「あら比企谷君こんなところにいたのね。」

「雪ノ下か。」

 

すると近くにいた雪ノ下に声をかけられた。

 

「すごいな、こんなに人が来るなんて。」

「それはそうよ。束姉さんは、天才だもの。私や陽乃姉さんじゃあ、決して届くことのない場所にいるもの。」

「そうなのか?確かに来ている人数は多いと思うが...そこまでなのか?」

「そうよ。物理学界隈ではかなり有名よ。たった、3回の研究発表で、物理学を10年も進めたとは言われているわね。」

「マジか。」

「おおマジよ。」

 

と、雪ノ下は肩をすくめる。

 

「もしかして、その三回って...」

「多分、考えている通りだと思うわ。すべて毎年一回行われるこの総武高校文化祭の二日目に行わるものよ。」

「...だからか。」

 

と、この異様なほど文化祭とは関係のない人が集まっている点や、平塚先生がわざわざ文化祭の仕事があるのにもかかわらず外に出ていた理由が紐付けられた。と考えていると、

 

「それよりも始まるわよ。」

 

と、言う声が聞こえてきた。その声に舞台のほうに視線を向けるとそこにはいつもの格好をした束さんがいた。

舞台横には束さんが逃げ出さないようにするためか平塚先生と、陽乃さんがたっている。束さんはいつもの調子で研究発表を始めた。

 

『はーい、こんにちは! たーばねさんだよ~。』

 

と、言うと観客の人々が拍手を送る。

 

『じゃあね、今日はね、私が小学生の時に考えた物体の量子化、そしてそのデータについて話すよー。』

 

と、言うなり周りの雰囲気が一変し、真剣な雰囲気へと変わる。

 

『これを見てもらうのが早いかなー。はい、これ。見て見てー、これは本物の日本刀だよー。』

 

と、どこからか一本の長いさや付きの日本刀を取り出した。

 

『こんな感じでスパスパ切れるよー。』

 

と、またもやどこからか取り出したりんごを宙に飛ばし8等分に切った。

 

『今回は、この日本刀を量子情報に置き換えることで消すよ、3,2,1,ほら。』

 

と、一瞬でそこにあった日本刀は何事もなかったかのように消えた。

 

『今のは、ここにあった物体を量子情報に置き換えることで消したんだよー。じゃあ、その逆、量子情報から物体に置き換えることでだしてみよっか。ほら。』

 

と、いうとそこには再度日本刀が現れた。

 

(しず)ちゃんもやってみてよ。』

 

と、(たばね)さんは、舞台袖に声をかけるとそこからいつもの格好に白衣を着た平塚先生が出てきた。

平塚先生も同様に日本刀を消し再度出現させた。と、同時にとても驚いた反応をしていた。

 

『と、言う感じだね。正確にはこの日本刀を量子化させた際にこの腕のブレスレットの部分にデータが保存されて再度呼び込むとそのデータから再構成されるってわけだね。今回はさっき言った通り物体の量子化、そしてそのデータについて話していくねー。じゃあ、量子化から...』

 

「手品ではないよな...あんな現象初めて見たぞ。」

「そんなわけ、束姉さんに限ってあるわけないじゃない。」

「そうだよな...すごいな...」

「ほんとね。あそこまでの天才となると、一周回ってあきれしか出てこないわ。」

 

下を見るとそこには血眼になってメモを取り録音をしている研究者が、頭のねじが数十本外れている天才科学者を囲むという、小説のような風景が広がっていた。

 

 

 

 

 

「やったー。終わったー。」

 

一時間ほどの発表を終え、束姉さんは舞台裏で私が卒業生でオーケストラの準備をするのを片目に、(しずか)ちゃんに膝枕をしてもらっていた。

 

「うーん、(しず)ちゃんのいい匂い。」

「やめろ、嗅ぐな。」

「それと上を見ると、もみがいのあるお胸が二つ」

 

と、手をワキワキさせ、揉もうとする。

 

「揉もうとするな。もう膝枕しないぞ。」

「いたーい。わかったよー。」

「人が準備している横でイチャイチャしないでくれるかな。」

 

と、私の本番前だというのに、いちゃついている二人に文句をいれた。

 

「だってー、(しず)ちゃん。(はる)ちゃんは、私たちはイチャイチャしているお似合いのカップルだって。」

「はぁ。そんなわけないだろう。」

「束姉さん、耳でも腐っているのかな?」

「だって。もし耳が腐っていたら(しず)ちゃん今みたいに膝枕をして看病してね。」

「はぁ。」

 

この姉さんは、文句を言ったところで治ることはないとわかっていながらも、あきらめからか、ため息が自然と出た。

軽く頭を押さえていると、

 

「まあ、いいや。それよりも頑張ってね、(はる)ちゃん。」

 

と、姉さんに珍しく顔をあげ目を合わせて言われる。

束姉さんがこの反応をするときは真剣に私に伝えているときだ。

私は、それにこたえるように返す。

 

「もちろん。」

 

と、私は姉さんの瞳を合わせ、言った。姉さんはそのことに安心したのか軽く笑ってから

 

「なら大丈夫だ。(はる)ちゃんは、私がいなくても何でもできるから。」

「何それ。」

 

と、軽く返す。

 

「じゃあ、私は、(しず)ちゃんと舞台裏で乳繰り合ってるからよろしく。(しず)ちゃん大好きーー。」

「やめろ、引っ付くな。」

「うーん。最後の一言は必要なかったかな。」

 

私はいつも通りの姉さんに半分呆れながら演奏へと向かっていった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「何?相模がいない?」

「はい携帯電話も通じません。」

「参ったわねこのままではエンディングセレモニーができない。」

「最悪、代役を...」

「ZZZzzzz…」

 

と、舞台裏で、俺は、平塚先生と、平塚先生に膝枕をされて寝ている束さん。城廻先輩そして、雪ノ下と話していた。

 

「最悪でっち上げればいい。」

「う、うーん...みんな、どうしたの?そんな危機迫った顔して?」

 

と、提案すると、膝枕をされていた束さんが目をこすりながら起き上がってきた。

 

「あ、(しず)ちゃんだ。どーしたの?」

「束。起きたのか。」

「そーだよー。束さんだよ。助手ちゃんも、雪乃ちゃんもなんかあったの?」

 

寝ぼけ眼でいう。

 

「ひとまず、目を覚ませ。束。」

「いーじゃん。数週間ぶりに寝たんだから。多少寝ぼけていてもショーがない。」

「はぁ。またそんなに偏った生活をしているのか。仕方がない、ほら起きろ。」

 

平塚先生は、束さんの肩を強くもむ。

 

「いったーい。」

「起きたか?束。」

「毎回、この起こし方はやめてよね。本当に痛いんだから、(しず)ちゃん。で、どうしたの?」

「束、相模の居場所はわかるか?」

「相模?誰それ?」

 

束さんは、本当に知らないのか、肩をすくめる。

 

「文化祭実行委員長の、相模さんよ。」

「へぇー。そんな名前だったんだ。じゃあ、その人間の、写真を頂戴。」

「城廻持っているか?」

「はい。この子ですね。」

 

と、城廻先輩が持っていた文化祭のパンフレッドから、写真を一枚指さす。

 

「うーんちょっと待っていてね...うん、覚えた。」

「頼めるか?」

「いいよー。その代わり今度一緒に遊びに行こ。(しず)ちゃん(はる)ちゃん。」

「はぁ。わかったよ。」

「私もか。」

 

陽乃さんはあきらめたように、平塚先生は驚いたようにこたえる。

 

「あったりまえじゃん。ほら、写真かして。」

 

と、平塚先生が軽く抗議する声を無視して、束さんは体を一回転させた後、どこからか、透明なディスプレイと、キーボードを出現させる。

 

「ひとまず学校の防犯カメラにハッキングを仕掛けて...うん、束さん大天才。ハッキングできた。」

「ハッキング?」

「本当にいいんですか?先生。」

「緊急事態だ仕方あるまい。」

「この赤髮の子でしょ。赤髪赤髪...あ、いた。こいつでしょ。」

 

束さんが、一分もかからずにディスプレイをこちら側に見せるとそこには、階段を上っていく相模の姿があった。

 

「うーんとね。この映像は1時間前に取られた奴で特別棟の階段の写真だよー。」

「それ以降のやつは?」

「ないよー。屋上とかにこもってるんじゃない。それよりも(しず)ちゃん。せっかくだし、休日にディスティニーランドに行かない?」

「勘弁してくれ...あそこのジェットコースターだけは...」

「えー、しょうがないなー。じゃあ、(しず)ちゃんの恥ずかしい秘密をここで...」

「わかった。泣いてでも、ジェットコースターに乗るから勘弁してくれ。」

「やったー。じゃあ、日曜日貸し切りで行こうねー。」

 

と、いうように、束さんはどうでもいいのか、平塚先生はと、茶番を繰り広げていた。




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