やはり姉さんの性格は終わっている   作:meigetu

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五話 文化祭後

「姉さん。最近は、どういう研究をしているの?」

 

と、総武高校文化祭が終わり二人で打ち上げのために向かっているとき私は姉さんに聞く。

 

「珍しいね、(はる)ちゃんがこんなこと聞くなんて。何々、大学卒業したら私の助手さんになってくれるの?」

「はぁ。そんなわけないじゃない。私はもう決めた道があるの。」

「えー残念。まあ、わかっていたんだけどね。」

 

と、私の周りをくるくる回りながら答える。

 

「でも、今はワープについての研究をしているよー。」

「ワープ?」

「そうそう、(しず)ちゃんの影響を受けてアニメを少し見るようになったんだけどそこで、確か宇宙戦艦ヤ〇トだったっけ。宇宙空間で現在の観測位置から特定の観測位置まで一瞬で移動するっていうものがあってね。面白そうだから、理論を組み立てたの。」

 

と、姉さんは何事もないかのように言う。

 

「組み立てたってことは、できたの?」

「そうだよー。二週間ぐらい理論を立てるのに時間がっかっちゃたけどねー。」

 

姉さんは、私の周りを蟹股でぐるぐると回りながら言う。

驚きからか、能力が高すぎるゆえのあきれからか、姉さんを見る。

あいも変わらず、水色のドレスを身に着け、頭からはあいも変わらず機械的なうさ耳が生えている。

姉さんは、あいも変わらずのようだ、

 

「姉さんは、身なりや行動がしっかりしていれば、満点なのに...」

「えー、それじゃあ私じゃなくなっちゃうじゃん。」

「はぁ、わかっていたけどこれじゃあね...」

「それよりも、どう?最近?」

「どうとは?」

「あの人と、うまくやれてるかってこと。あの人めんどくささだけでいえばピカイチだからね。」

 

と、姉さんが聞いてくる。

姉さんが言う、あの人とは、母さんのことだ。

母さんとは、最近はうまくやれている気がする。

あいも変わらず、めんどくさいことには変わらないけど...

 

「まあ、一応は。」

「うん、大丈夫そうだね。あの人、言うことすべて聞かせようとする割には頭が足りない人だからね。」

「そういえるのは姉さんくらいよ...」

 

あきれからかため息が出た。

何度、あの人に振り回されたことか。そう思うと、私も姉さんによく振り回されているなとも感じる。

 

「それよりも、(はる)ちゃんって好きな子できた?」

 

と、唐突に話を振られた。

あいも変わらず、私の姉さんはマイペースらしい。

 

「どうやったら、そんな話の流れになるのよ。いないわよそんな人。」

「えー、助手ちゃんが(はる)ちゃんにあってるかなと思っているのに。」

「助手ちゃんって、めぐりのこと?」

「そうそう、助手ちゃん。(はる)ちゃんが珍しく目をかけている子だから、興味を持ったけど、純粋ないい子じゃん。」

「私は男に興味があるの。女に興味がある姉さんと一緒にしないで。」

 

と、軽く抗議をする。

めぐりとは、単純に先輩後輩の関係だ。

姉さんが言っているような恋人関係では決してない。

 

「そうかなー。私は、(はる)ちゃんには、助手ちゃんのような包容力がある子がぴったりだと思うんだけどな...あの人は、あれだし。」

 

と、姉さんは小馬鹿にしたように笑う。

 

「だから、女の子に興味がないって言っているでしょ。きいてた?」

「聞いてたよー。だから、事実を述べただけだよー。(はる)ちゃんの周りには体目的のゴミしかいないからおすすめだと思うんだけどなー。」

「はぁ。ちゃんと聞いてた?」

 

と、何度言っても、女に興味がないと伝えても引かない姉さんに飽き飽きする。

これが、通常通りだから仕方がないのだが。

 

「うーん残念。まあいいや、そのうち気が付くでしょ。それよりもね、(しず)ちゃん最近どう?」

 

と、また唐突に話を変えられる。

(しずか)ちゃんが好きな姉さんが、どうと、聞くのであれば多分、結婚できそうかどうかだろう。

 

「最近も、婚活パーティーを追い出されたとは聞いたね。」

「そっかー。やっぱ、人間の男の人間て、見る目がないね。あんなにいい人なのに。」

「確かに、(しずか)ちゃん少しズボラなところはあるけど、しっかりとみてくれるからね。」

 

それに関しては同感だ。

卒業した、私の面倒を見てくれるし。

適当に姉さんの話を頷きつつこれから会う母さんの対応を考えていると、

 

「そうそう、だからね。アラサー過ぎても結婚できないなら私がもらっちゃうって約束したの。」

 

と、言う姉さんの発言が耳の中に飛び込んできた。

姉さんと、(しずか)ちゃんが仲良くしているのはよく見ていたけど、婚約していたことは初めて聞いた。

その驚きからか自然と、

 

「え? どういうこと?」

 

と、聞いた。

 

「だから、アラサーになっても結婚出来ていないなら私と、(しず)ちゃんが結婚するの。」

 

と、聞き間違いではないことに私は固まってしまった。

 

「おーい、大丈夫?(はる)ちゃん。」

 

と、姉さんが固まってしまった私の眼前で手を振っているのが目に入る。

 

「それって本当なの?」

「本当だよー。」

「そ、そうなんだ...」

「で、来年で(しず)ちゃんは、32歳。今付き合っている人はいないから、再来年度には入籍するって感じだね。」

「それって本当なの?」

 

驚きからか二度聞く。

 

「本当だよ。何なら、(しず)ちゃんに電話で確認してくれてもいいし。」

 

と、言われ、急いで陽乃は、携帯を取りだし、へと電話を掛けた。

 

『もしもし、陽乃か。ちょうどよかった。お前からかけてくるなんて珍しい。』

(しずか)ちゃん。姉さんと婚約しているって本当?』

『ああ、そのことか。話していなかったか。』

『聞いたことないよ。』

 

正直、初めて聞いた。

 

『本当だよ。』

『え?』

 

と、軽く返されたことに陽乃から決して聞くことができないような素っ頓狂な声が出た。

 

『あれ、陽乃には、話していなかったか?』

『知らないよ、初めて聞いたよ。え?姉さんが(しず)ちゃんに絡んでいたのはネタだと思っていたのに違うの?それはいいや、(しずか)ちゃんって同性愛者だったの?』

 

と、私でも驚くほどすごい勢いで聞く。

正直、姉さんが一方的に(しずか)ちゃんのことを思っているものだと思っていた。

 

『陽乃、少し落ち着け。一回深呼吸しろ。』

 

(しずか)ちゃんに言われた通り、一度落ち着くためにも深呼吸をする。

と、同時に落ち着きを取り戻し軽く怒りがわいてくる、

 

『じゃあ、どういうことかな(しずか)ちゃん』

『まて、まて。そう怒るな。私だって初めは、同性愛なんてありえないと思っていたさ。今から、6年前ぐらいだったか束が総部高校を卒業するときにな、真剣に告白されたんだよ。その時の返答は、断ったんだが、その後も何度もアタックをされてな、その時にあきらめてもらうためにもアラサー過ぎても結婚できなかったら結婚するって伝えたんだ。』

『ふーん。じゃあ、(しずか)ちゃんは、姉さんと婚約はしているんだ。』

『そうだ。』

『じゃあ、どうなの?結婚できそうなの?』

 

と、問いただす。すると、クッ、といううめき声が聞こえ、

 

『そうなんだよ。先日また逃げられてしまってな。いいところまで行ったんだけどな、グイグイ行き過ぎてひかれてしまってな。』

 

と、言う(しずか)ちゃんの苦悩が聞こえる。

それよりも気になることを聞いた

 

『じゃあ、(しずか)ちゃんは、姉さんが好きなの? 文化祭の時だって姉さんにしれっと膝枕していたけど。』

『......その話はあとでしよう。その話が出てきたということは、どうせ近くに束がいるだろう。』

 

と、言われる。

逃がさないように私は追撃をかけようとするが、隣から

 

「いるよー。(しず)ちゃん。」

 

と、姉さんは、この話が聞こえていたのか、私が話している電話に向かって話しかける。

(しずか)ちゃんは、助けられたように

 

『場をかき乱すことに関してはピカイチだな。束』

「いやあ、それほどでも...」

『ほめてない。はぁ。』

 

と、いつものようにあきれたように返す。

後で、絶対に聞き出すことを、私は心に決めつつ(しずか)ちゃん姉さんの話に乗る。

 

『それよりも、これから打ち上げに行くんだが、できれば店をおさえていてくれないか。』

「いいよー。どうする、お昼言っていたラーメン屋さんに行く?」

『私は、陽乃に頼んでいるんだが...』

『それで、誰が来るの?』

 

と、いつもの仮面をかぶり、答える。

 

『私含めて、七人いる。』

『どういった、お店がいいの?』

『なんでもある店がで、特に穴場のお店にしてほしい。』

『なんでもあるお店?』

「要は、肉とか魚とか、野菜とかいろんなものをとりあつかっているお店でしょ?(しず)ちゃんが言いたいのは。」

『そうだ。さすが、束だな理解力だけに関してはピカイチだな。』

 

と、携帯越しで姉さんと、(しずか)ちゃんが話している。

 

『いろんなものを扱っている穴場のお店ねえ...』

『どこかありそうか?』

『そうだ、もんじゃ焼きっていうのはどうかな?』

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「ふーん。こんなお店があったんだ。」

 

私たちは今、お好み焼きと、もんじゃ焼きの店に来ていた。

 

「そういえば、(はる)ちゃん。雪乃ちゃんも成長したね。驚いちゃった。」

「雪乃ちゃんのこと?」

「そうそう、どうどう、今の気持ちは?」

「特に何にも感じないわよ。」

 

と、言うと束姉さんは珍しく難しい顔をする。

 

「ありゃ、間違いだったか。(はる)ちゃんのことだから妹が自分の後を追ってこなくなったというところからの寂しさと、それよりも、成長した雪乃ちゃんへの喜びでごちゃ混ぜになっていると思っていたんだけど。やっぱり、人の感情って難しいな。」

「何その感情推測。強いてそれを言うなら、雪乃ちゃんがようやく一人で歩けるようになった安心感が強いんだけど...」

「本当にわからない。物理のほうが数倍分かりやすいよ。式さえ書けば正解なんだから。あーもう嫌だ。」

 

と、姉さんは、案内された座敷に寝っ転がる。

そして、どこかからキーボードと、ディスプレイを出現させ、すごい勢いでタイピングしている。

 

「何やっているの?」

「気持ちの方程式の改変だよ。数か月かけて作って、正解だと思っていたのに間違えるなんて。」

「そんなもの作っていたの?」

「そうだよー。性格を数字で表して、そのうえでおこった現象を場合ごとに数字に細分化することで、計算できるようになっていたんだけど...」

 

と、姉さんは透明なディスプレイを回して式を見せてくる。

そこには、数十行にもなる式が書かれていた。

 

「もう間違っているけど、これが場合分け表ね。」

 

と、辞書のような数千ページにもわたる資料を渡される。

中には、時、場所、人数によって細分化された数値が設定されている。

 

「もしかして...姉さん。」

「どうしたのー。(はる)ちゃん?」

「毎回計算を解いて、私たちの気持ちを、察していたの?」

「そうだよー。私には他人の気持ちがよくわからないからね。わかるようにはいろんな努力したんだけどね。無理だから計算で出せるようにしたんだよー。」

 

元から分かっていたけど...姉さんらしいとしか言えない。

 

「そ、そうなんだ。ちなみに私は今何を考えていると思う?」

 

と、質問を投げかける。

 

「式が間違っているから出せるわけないじゃん。まあ、それに代入するなら、驚きと、あきれだね。なぜかはわからないけど。」

「へ、へー。」

 

と、驚きと困惑からかかそんな言葉が口から洩れる。

 

「まあいいや、ちょっとこの後、用事ができたから先帰るね。式を改めて立て直さないといけないしね。(しず)ちゃんと雪乃ちゃんによろしく言っといて。じゃあね。」

 

と、マイペースな姉さんはとっとと帰ってしまった。

 

 

 

 




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