ストライクウィッチーズ-真夜中の魔女-   作:バイオレンスチビ

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マナエ・レダレダッケ『従軍ウィッチAの回想』 オストマルク帝国出版 1964年 12頁 より引用


オストマルク撤退戦
000.二次大戦におけるオストマルクについて


オストマルクは確かに広大な領土を保有し、農業に適した豊かな国土と高い技術力を持つ国家である。また鉱物資源にも恵まれた欧州の大国であった。

 

…あの忌々しい一次大戦の前までは。

 

“great war”あるいは“すべての戦争を終わらせるための戦争”とまで呼ばれた一次大戦は、オストマルクに大きな打撃を与えた。

 

多民族と多くの国と地域から構成されるオストマルク軍。真新しい塹壕の内部では異なる言語が飛び交い、意思の疎通すらままならない。一人の皇帝によって纏められた精鋭は、つまるところ唯の幻想であった。実のところ彼らは寄せ集めであり、纏まりに欠けていた。それは国家が文字通り死力を尽くして潰し合う総力戦という戦争形式において、致命的ともいえる弱点であった。

 

結局、この戦いにおいて、戦場で指揮を執った当時の皇太子は戦死。確認されただけで官民問わず国民の3%を越える人々が戻らぬ人となった。そして、その倍以上の戦傷者が街に溢れた。

 

この打撃はオストマルクの戦後社会にも大きな影響を残した。オストマルクは列強の立場から転落した。

 

壊滅した軍隊の代わりに国際ネウロイ監視委員会から派遣された陸空のウィッチ。各国から寄せ集められた義勇軍。国防を彼らに任せることで、オストマルクは軍に回すべきであったリソースをも最大限に注ぎ込み、復興に尽力した。

 

国際連盟の常任理事国による呼び掛けで始まったオストマルクの安定化に向けた試みは、黒海に巣食うネウロイの“フタ”としての働きを期待したものであった。

 

…ただ、運がなかった。

 

一次大戦の傷が癒える前に世界恐慌が発生。当時リベリオンに頼りきっていた国家は地獄を見ることになる。それはオストマルクも例外ではない。かつて、黄金の都と呼ばれたウィーンは100万人の失業者で溢れた。

 

オストマルクは死に体であった。

 

 

 

そして、人類が恐れていた二次大戦は20年ぶりの沈黙を破ったネウロイの攻撃によって開始された。

 

ダキアやモエシアといった黒海沿岸の中小国は瞬く間に怪異によって飲み込まれた。それはオストマルクとて他人事ではなかった。

 

 

 

 

 

ネウロイによる恐怖を大戦によって骨の髄まで叩き込まれたオストマルクは即座に戦時体制へと移行した。ウィッチ養成所に所属するウィッチは一斉に繰り上げ卒業が決定。任官と配属が決まった。

 

工場への疎開命令が発布され、ウィーナー・ノイシュタットに代表される工業地帯は機械の分散及び疎開に向けて動き出した。

 

ウィーンの高射砲塔にも人員が配置され、各地の要塞には一次大戦の経験者までもが予備役であることを理由に召集され、配置された。

 

 

 

 

 

戦前に立てられた防衛計画ではカルパチア山脈に築かれた防衛線を拠点に戦闘を行い、敵の侵攻を食い止めることになっていた。

 

国際ネウロイ監視航空団。国際連盟より派遣された多国籍軍。各国から派遣された義勇軍。そして、オストマルク陸空軍。

 

 

 

多くの血が流れた。塹壕は死体で埋まり、肉片と瓦礫が山を築き、川は赤く染まった。

 

 

 

しかし、我々は突破された。




好評なら続きます。
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