ストライクウィッチーズ-真夜中の魔女- 作:バイオレンスチビ
マルグレーテ少尉は最年少のウィッチ。小さくって可愛らしい外見をしている。そして、何故か彼女は食堂へ向かう途中で右往左往していた。
「あ、レイヴォネン中尉!助かりましたぁ。道に迷いました。助けてください。」
なるほど、迷子。そう広い基地ではないものの、小さな彼女からすると大冒険だったのかもしれない。
「早くしないと食事の時間が終わっちゃいます。」
そう言いながら私は彼女の手を取って歩き出す。書類では9歳とされている彼女は大人びてこそいるけれど、迷子だなんて年相応の一面もあるのかと思うと少し安心する。
「ありがとうございます。」
食堂に着くと中隊のメンバーを探す。今日の任務は一緒にご飯を食べること。アホネン大尉に『隊長として大切なことは何ですか』と尋ねたら『全員と
つまり、メンバー同士の結束や隊長自身の自覚が大切ということでしょう。
「あ、いました。トモコ少尉とハルカさんです。」
…あれ?二人だけしかいません。まだ席は余っているというのに少し離れたところにウルスラさん、キャサリンさん、ビューイング少尉の三人。
「あ、あれれ?」
思わず両者の間で立ち止まってしまいました。みんなで仲良くご飯を食べているかと思えば、微妙な距離感。何かあったのでしょうか。
「ええと、どっちにしますか?」
マルグレーテ少尉より小声で不安そうに尋ねられながらも、さっき目があってしまったので選択肢はなかった。トモコ少尉の方に歩く。
「相席、いいですか?」
なるべく落ち着きをもって声をかける。内心はドキドキしていますが、一緒に空を飛ぶ仲間ですから緊張することなどないのです。ご飯を一緒に食べるだけです。
「もちろんですとも。どうぞ。」
トモコ少尉の返答を受けて椅子へと伸ばした手が空を切る。隣に立っていたマルグレーテ少尉の手で椅子が引かれたのだ。一瞬の硬直。そして『どうぞ、お掛けになってください』と控えめに囁かれた。そんな対応されたこともないから驚いてしまった。
「お食事をお持ちしますね。」
たしかに隊長らしく振る舞えとは助言されました。そう振る舞う努力をしようとも思っていましたが、私は中尉であっても将軍ではないのです。その、なんというか申し訳ないというか。自分より圧倒的に年下な彼女にそこまでさせると罪悪感がすごい。
「そ、そこまでしなくて大丈夫ですから!むしろ私が持ってきます。ちょっと待っててね!」
訓練は上手くいかなかったみたい。ところどころマルグレーテ少尉とハルカさんが補足する形になったけれど、事の顛末を聞いて目が回りそうになってしまいました。
たしかにトモコ少尉にはやや強引に感じてしまうようなところがありました。でも、せっかく朝早くに訓練を主催したのに真剣に取り組んでくれないように感じたら誰だって嫌な気分になります。
でも、トモコ少尉が言い過ぎたところもあります。せっかく朝早くから参加したのに怒られてしまったら嫌な気分になります。
食堂における絶妙な席の距離は心の距離だったのです。
私が隊長なんだから私がなんとかしないと。
そうは思うものの、やはりすぐには何も考え付きません。
正直なところ、今日のご飯は味がしませんでした。