ストライクウィッチーズ-真夜中の魔女- 作:バイオレンスチビ
警報が鳴り響き、ネウロイの襲来が伝えられる。新聞をベッドの上に放り投げ、廊下を走り抜け、最短距離で格納庫へと直行。軍刀を腰に挿し直しながらストライカーユニットのエンジンを回す。
バタバタと駆けてきたハルカが転がっている工具箱に足を引っ掻けながらも転倒を回避。やや不馴れな動きでストライカーユニットに足を突っ込む。
その後にキャサリン、ウルスラと続く。
「ビューイングは、ビューイングはどうしたの?」
あの女。まさか寝ているわけではあるまいな。
「後ろにいるぞ。気にするな。」
都合が悪いことにエルマ中尉とマルグレーテは仲良く慣らし運転をしているところだ。互いに不具合があったときに助け合えるようにとペアで出ていったのだが、その為にメンバーの中の貴重な常識人2人がお空の彼方というわけである。
「ええと、緊急事態に付き私が臨時に指揮を執る。異存はない?」
…この中で階級が高くて実践経験があるのは私とビューイングだけ。ビューイングはあまり人に指示を出すのが得意そうではない。そもそも、やる気すら感じられない。そうなると、私以外にトップはあり得ない。
「いいだろう」「OKでーす。」「ありません。」「いいと思います。」
返事はバラバラ。しかし全員が是と答えた。
「空戦の鍵は格闘戦にあり!難しいことは言わないわ。…ただ、私の邪魔だけはしないでね。」
今の実力で下手に援護射撃を入れられると何が起きるかわからない。後ろ弾を食らうなんてバカらしい死因はごめんだ。黙って鉛玉を食らう趣味はないし、大抵の攻撃なら避けられる自信があるが、流れ弾が飛び交って同士討ちまで始めるなんてことになったら流石の私でも面倒を見きれなくなる。
「返事は?」
それにこれはチャンスなのだ。目の前でバンバン落としてやるのだ。ハルカだって私の映画でウィッチを志したという。軍の作った映画だからプロパガンダ的な側面もある。かなりの数の扶桑の少女たちに影響を与えたと上官が上機嫌だったのを覚えている。この“いらん子”たちも目の前でウィッチによる空戦を見せつけられたら何か意識が変わるかもしれない。いや、きっと変わるだろう。
「はい」「わかったねー」「了解した」「わかりました」
なんともしまりのない返事だが、返事は返事だ。
アホネン大尉の率いる第一中隊が次々に滑走し、離陸していく。
『スオムス義勇独立飛行中隊、出撃します。』
一歩前に出て、ここにいない中隊長の代わりに自分が指揮を執ることを宣言。
『こちら、管制塔。雪女、了解しました。レイヴォネン中尉とマルグレーテ少尉が現地から急行し合流します。間違っても撃ち落とさないように。』
“雪女”はハッキネン大尉のコードネームだ。エルマ中尉によれば一見冷たく感じるかもしれないけど、いい人なんだという。まぁ、このくらいハキハキしていた方が仕事がやり易いこともある。
『了解』