ストライクウィッチーズ-真夜中の魔女- 作:バイオレンスチビ
7.7ミリ機銃と軍刀を振り回して
嫌味なぐらい適切な射撃だった。ビューイングだ。やはり腕だけはいいようだ。弾丸を受けた敵機は体勢を崩して私の間合いに取り込まれる。そこに思いきり軍刀を振り抜いて撃墜する。
『ちょっと、支援なんてしなくていいって!』
同時に叫んだ。全部私の獲物だ。やる気がないなら、実力がないなら、黙って下がって見ていればいいのだ。
そして見せつけてやるんだ。コイツらに本物のウィッチという存在がどんなものなのか。
ついでに撃墜数も稼いでやる。そして知らしめてやるんだ。私がエースであると。この私を極寒の大地に送り込んだ武子と上層部に“お前らの目は節穴だ”と。
無線が聞こえ、太陽の中から見知った二人の影が降りてくる。エルマ中尉とマルグレーテだ。ネウロイが太陽に目を焼かれるか否かについては諸説あるものの、実際に飛んだウィッチたちの経験から一定の効果があることを知られていた。
『あなたたちの獲物は残っているかしらねっ…!』
そもそもマルグレーテの挙動は一見すると高度を上げてから失速反転して敵の背後を狙う木の葉落としのようにも見えるが、本質としては空戦よりも対地攻撃に近いのだ。敵まで一直線に降下して敵の頭上あるいは背後より鉛弾を撒き散らす。そして敵の被害状況に関係なく、位置エネルギーを運動エネルギーに変換して全力で逃亡。高度を確保。建て直してもう一度。この繰り返しだ。
これは狙った獲物を確実に仕留める格闘戦とは違う戦術だ。99式ほどの運動性能を持つなら十分に格闘で勝てるはずなのに。まったくもったいないことをしている。
『これで最後っ…もらったぁ!』
そんな彼女たちの攻撃によって弱ったところを叩き落とす。照準を覗いて擊鉄を落とせば狙い違わず7.7ミリの弾丸が殺到し、ネウロイは粉になって消えていく。
6機のネウロイを叩き落として戦闘は終了。こんなのが音に聞こえた欧州のネウロイか。そう笑ってしまうほどに手応えがなかった。
「いらん子中隊の皆さん。ご活躍おめでとう。戦闘機と楽しく踊ることも大切ですが、真に脅威であるのは
第一中隊は一直線にケファラスに向かっていったが、こちらも上手くやったらしい。いちいち引っ掛かる言い方をされるから腹が立つが、僚機の方々には私の持つ力が伝わっただろう。それだけでも今日はいい感じだ。
「まるで蜜蜂の巣に侵入した雀蜂みたいな活躍でしたね。瞬く間に殲滅してしまうなんてさすがです。」
格納庫で呼び止められる。マルグレーテだ。
「マルグレーテ、もうちょっと褒め方ってあるんじゃないかしら。」
どうやら彼女は考えていることや感情が顔や口に出るタイプらしい。誉めるような口調だが、毒が含まれているし、どこか不満そうな顔をしている。
「…でも、気を付けてください。扶桑の蜂さんのことについては詳しくありませんが、西洋蜜蜂は単体で巣に入ってきた雀蜂を集団で取り囲んで窒息させてしまうことがあります。」
彼女のアドバイス通りの作戦だったはずだ。他のメンバーに力を見せつける。鮮烈な印象を与える。何が違うのだろうか。
「話を聞きなさい。私に昆虫観察の趣味はないの。あと、あまり回りくどいのも好きじゃないわ。面倒くさいし面白くないもの。」
背丈の小さな彼女は私を見上げるようにして口を開いた。
「そうですか。…じゃあ、端的に言います。やりすぎです。毎回あんな大立ち回りをしていたら、いつか死ぬかもしれません。」