ストライクウィッチーズ-真夜中の魔女- 作:バイオレンスチビ
そういえば、白夜と呼ばれる現象がある。オラーシャやスオムスといった高緯度に位置する国家に生じる現象だ。一日中、日が落ちない。夜になっても太陽が沈まないという現象である。寒さは別としてナイトウィッチは暇を持て余して気が狂うかもしれない。逆に極夜と呼ばれる現象は日が昇らなくなるらしい。一日中、真っ暗になる。…そんな場所で働いていたらナイトウィッチが過労死してしまうんじゃないだろうか。
ただ、純粋に興味はある。白夜も極夜も地球の自転軸が傾いていることで生じるものであり、オストマルクでも日本でも見られなかった現象だ。
加えて昔から噂に聞くオーロラにも興味がある。そうそう見られるものでもないらしいが、どこに行けば見られるんだろうか。肉眼で見るそれはどれだけ綺麗なのだろうか。
…あとでエルマ隊長に聞いてみようか。
そんなどうでもいいことを考えながら待機任務の終わりを待つ。
単純な話だ。この待機任務が終わると同時に床につけばいい。そして、早起きして穴吹少尉の朝練に参加。それ以外に今日は特にお仕事の予定はないから、一日をゆったりと過ごせるはずだ。
机に突っ伏したエルマ隊長に布団を掛け直してあげる。
「『起こしに来て』って、私はあんたの同僚であってママじゃないっての…。」
学校で同級生に頼るのはわかるが、学校を出たなら誉れあるウィッチの一員だ。学生から軍人になるのだ。それに軍人は公人である。そこらのサラリーマンとは違うのだ。たしかにウィッチに課される規則は厳しいものではないけれど、自分で起床することもできないなんて本物の子供じゃないか。
「そうは言いつつも、起こしにいってあげるんですよね。」
私の横を歩くハルカが言う。なんだか、この子と『おはよう』から『おやすみ』まで一緒にいる気がするが、きっと気のせいだろう。
「体質なら仕方ないでしょ。」
ため息が出そうになる。嘘か本当か彼女はナイトウィッチなのだ。ナイトウィッチは普通のウィッチと比較すると少し特別だ。夜空を飛ぶ彼女たちは昼間も飛べるが、私たちのように昼間を飛ぶウィッチは夜空を飛ぶことはできない。希少な存在で高い技量と独特の世界を持つ人が多いとされている。つまるところナイトウィッチという職種というだけで一種のエリートなのだ。あの独特な飛びかたも夜空を駆けるための技能だとしたら納得するしかない。本来なら夜型の生活を送るべき彼女が朝に弱いのは当然のことなのだ。
…しかし、自分で起きる努力を放棄して他者に頼りきりなのはどうかと思う。
「まったく、お子ちゃまですね。」
「一人で寝られない子が何をいっているんだか。」
部屋の前にいってドアを叩く。あまり上等な作りをしていないので、バンバン叩くのは気が引けるのだけど…。
思ったよりも早くドアは開いた。
「…なんですかぁ。もぅ、ぅちは新聞なんて…あっ!」
出てきたのはパジャマ姿のエルマ中尉。
…カウハバはキケンがアブないのかもしれない。