ストライクウィッチーズ-真夜中の魔女- 作:バイオレンスチビ
気晴らしに街に降りてはみたものの、特に土地勘があるわけでもなく目指すべき目的地もなかった。強いて言うならば少し美味しいものでも食べようと思ったくらいだ。
「外出許可、あっけなく出ましたね。」
ハルカは言う。
「…そうね。でも、よかったわ。これで心置きなく羽を伸ばせる。」
ダメ元で外出許可を求めたが何の問題もなく受理されてしまった。引き留められるどころか『スオムスは田舎ですが、いいところですよ。是非、楽しんできてください。』とまで言われてしまった。扶桑なら怒られるようなギリギリのタイミングでの提出だったものの、いい笑顔で送り出されてしまった。
それは私たちが休んでも問題ないということだ。そして、それを誤解を恐れずに言い換えるなら私たちは彼ら彼女たちに必要とされていないということだ。初めから期待していないから多くを求められない。初めから諦めているから努力もしない。救いようのない悪循環だ。
「あいつらの肩を持つ訳じゃないけど、頑張りすぎてもよくないのよ。精神論だとか根性論なんかじゃどうにもできないことはあるわ。」
「最近、頑張ってましたからね。トモコ少尉と私。…それとエルマ中尉とグレーテル。」
何故か二人の名前だけ付け足すように言うハルカ。
「寂しいからって、そういうのはダメよ。私以外のメンバーとも仲良くしなくっちゃ。マルグレーテなんてどうなのよ。年、近いんじゃない?」
ハルカは14歳だ。16歳である私より二つ下。私よりは年が近いわけだ。最年少がマルグレーテの9歳で最年長がビューイングの18歳だから同じウィッチと言えど年の差は大きい。
「ちょっと、照れちゃいます。五歳も若く見えるなんてトモコ少尉は口が上手いんですからっ…!」
スオムスの人々はいい人ばかりだった。
「へぇ、お嬢さんたちが地球の反対側から…。これはこれは、本当に感謝しています。」
「お二人は姉妹かしら?仲がよくて羨ましいわ!ウチの子達なんて喧嘩ばっかり。…あら、姉妹じゃないの!?それは失礼したわ。あまりにもそっくりに見えたものだから。…お詫びに、飴ちゃん持っていって!」
街を歩けば随所で声をかけられた。時には一緒に写真を撮ったりもした。歓迎されているようだった。私たちは彼らにとって余所者の軍隊だ。ことが終われば出ていく。ただ、それだけの得体の知れない異国の連中だ。そして基地でのこともあり、私たち義勇独立飛行中隊は誰からも期待されていないように思っていた。必要とされていないと思っていた。
…でも、違った。
私たちを必要としてくれる人はいた。私たちの飛ぶ空の下には人々の営みがあって、それに支えられることで私たちは自由に空を飛んでいたのだ。
高く飛びすぎて。速く飛びすぎて。そんなことをすっかり忘れていた気がする。何が目的で危険をおかしてまで空へ挑むのか。
「ハルカ、明日からも頑張るわよ。」