綾小路......誰さんですか? 作:せーちゃん
....すみません。名前変更は大変なんでこのままでいきます。じゃなくて....あー、清隆パパがこの名前に滅茶苦茶思い入れがあったとかそういうのです、たぶん。
父小路「男なら清隆。女なら清隆(マダオボイス」
母小路「そ、そう....(ドン引き」
つまりそういうことです(?????)
はい、すみません。
ただ、呼びやすい女の子らしい愛称とかがあったら感想の方にお願いします。もしかしたら後々そっちに呼び方変えるかもです。
────感動の再会。
入学式という時間的空白。
人の消えた渡り廊下で向かい合う二人。
まるで映画のワンシーンの様に、こちらに向かって駆けて来る少女を受け止める為、俺は思い切り両腕を広げた。
─────さぁ、来い! 清隆!
対する彼女はこちらに向かってくると同時に握り拳に溜めを作り─────
「───────ふんっ!」
「────ウボァ!?!?!?」
俺に渾身の腹パンをブチかましたのだった。
「───!? かハッ....き、清隆ちゃん....様....な、なにか某がお気にさわりましたでせう、か....?」
「..................置いてった」
ギクゥ!
「........一人で逃げた」
ギギクゥ!
「....女の子と楽しく同棲してたって聞いてる」
ギギギクゥ!
「どうして、一緒に来なかった....?」
「い、いや、あのそれはデスネ....ち、因みにそれ、どこ情報でせうか?」
「松雄」
松雄ーーーー!! 誰を誤射ってるゥゥゥ! ふざけるなァ!!!
おいッ!? 松雄さーーーーん!!
なして!? なしてそういう事言うの!?
俺、あんたに嫌われるような事したか!?
してねぇだろ!? ふざけやがって!! あんのクソ執事が!
「弁明を聞く」
い、いや────弁明、というわけではない。
しかし、俺は二年前のあの日、ホワイトルーム襲撃の真っ只中で、綾小路父と執事の松雄────それと清隆の三人が山の中で密会していたのをしっかりと確認していた。
故に原作通り清隆は松雄の元に預けられたのだろうと確信していたからこそ、俺自身単身での脱出を決意出来たのだが....しかしそれは彼女には話す事の出来ない理由だ。
俺目線での最善であっても、未来を知らない彼女からすれば、俺は自分を置いていった薄情者に他ならないだろう。
「あー、えっと....ですね。コレには止むに止まれぬ事情があったというかなんというか」
「どんな?」
「そ、それはもう、滅茶苦茶ヤバい理由ですよ。山より深く、海より高いような....」
「標高、零メートル。海抜、零メートルの理由。....低くて浅い?」
ですよね、何言ってんだ俺は。
....コイツ相手に適当な嘘は通用しねぇし....。何故か有栖も清隆も嘘吐いてる時に限って俺の完璧なポーカーフェイスを貫通してくるし。はぁ....後が怖い。
「....いや、本当に悪かった。あの時は俺もかなり精神的に参ってて....一旦別れて別行動した方が再開出来る可能性が俺の見立てでは高かったと言いますか.........あの、なんでもするから許して?」
........................だ、駄目か?
「なんでも?」
「な、なんでも....っす」
「..............................許す」
「!」
っし!!!! ホレみろ! 流石清隆! 話が分かる! いやぁ、やっぱり俺とコイツは以心伝心二人三脚なんですわ! もはや身体の一部....みたいな? みたいな!? そりゃぁ、自分の半身に許すもクソもないよなぁ!!
「....ほんとに反省してる?」
「してます!」
「....鏡持って来ようか?」
どうして皆、そんなに俺に鏡を見せようとするんだ。見たって世界最高レベルのイケメンしか入ってねぇよ。
◇◆◇
────で。
裏庭にあるベンチの上からこんにちわ。
どうも、不良系転生者の菊白蓮夜です。
あー、なんか、まともな自己紹介とか今回が初めてな気がするわ....。ようやく全てが始まったって気がしてならない。いや始まるも何も開幕早々入学式とかボイコットしてるけど。
さーてそんなDクラス代表の不良学生は今────
「あの、清隆さんや、そろそろ良くね? あんま触られんのも恥ずかしいのですが....」
うん、デジャヴ。なんかメッチャ触られてんのよ、茶髪の誰かさんに....。何で俺、こんなにペタペタされまくってんの....?
「だめ、データ更新中」
データ....? 更新中....? え、なに? 俺今、コイツにデータ取られてんの? ....こえーよマジで。この子会ってなかった間になんかまた電波具合増してね....?
「お、おう。そうなんか....データね、うん。それ、楽しい?」
「楽しい」
....そーですか。清隆ちゃんが楽しいようでおにいちゃんは何よりですよ。
....はぁ。
と、そこで聞き覚えのある足音が....。
「おや、蓮夜くん。入学初日から式をすっぽかして女子生徒を誑かすとは良いご身分ですね」
───太陽遮る裏庭に現れたのは、おなじみ同居人たる坂柳有栖であった。
「んぁ? おお、有栖か。て事はもう入学式は終わったわけか....おつかれさ「あ.....昔、蓮夜にチェスで惨敗してた人」ちょっと待って清隆まだ準備が───」
「 は い ?」
....ああ、やだなぁ。怖いなぁ。
ホームシックだ....もう一人で坂柳邸に帰りたい。あの家の暖かい布団と古時計の匂いが懐かしい。優しいお手伝いさんのご飯が食べたい。今頃、パパさんは元気にしているだろうか....。
などと考えてはみるものの、しかし現実は非情であった。何時だって非情な現実に俺の逃避は意味を成さないのだ。
「...........ああ、なるほど。そういえばいましたね。貴女に良く似た方が。九年ほど前に見かけた覚えがあります。確か.....『ホワイトルームでずっと二番手だった方』、でしたよね?」
「.........かちん」
....ああ、う。
ただでさえ冷たい季節に、陽の光が届き辛い裏庭の木蔭。それだけで既に十分寒いというのに、先程からこの場の気温は下降の一途を辿っております。心做しか、初春を迎えた筈の花達が一斉に俺から顔を背け始めた気がする。
「.....................。」
「....................。」
お互い、無言のまま値踏みを始める二人。
やめて。お願いだから喧嘩しないで。仲良くして。
入学初日から早くも頂上決戦を始めないで。
「あのー」
意を決して声を出す。
────瞬間、氷が砕けるような音がした。
恐らく水素の音よりはしっかりと聞こえただろうソレ。<アー! ヒョウガキノオトー!
....いや、絶対幻聴じゃないわコレは。
「と、取り敢えず暗くなる前に日用品でも買いに行かね....? ほら有栖のとか俺らで手伝った方が....」
「問題ありません。そういった物は既に父が手配済みのようですので」
あ、うんまぁそうだよね。
おのれ子煩悩め、余計な真似を。
「取り敢えず蓮夜くんだけでも買い物に行って来てはどうでしょう? 私達は少し話がありますので」
「蓮夜....また明日」
「アッハイ」
有無を言わさぬその重圧に、俺はただ頷く事しか出来ないのでした。