ポケモン世界に転生したからゲーム知識で無双しようと思ったのに全然役に立たない上になんかヒロインがおかしいんですが?   作:名無しのナナシ

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アルセウス楽し過ぎてサボってましたが作者は悪くないし反省もしてません。


洞窟探検はわりとシャレにならない事が起きる

 ムロタウンでやりたい事は大きく分けて二つある。

 まず一つ目がムロジムリーダーのトウキからバッジを手に入れる事。そしてもう一つが石の洞窟にてとあるポケモンを捕獲する事だ。

 ゲームだとダイゴさんに手紙を届けるイベントがあったはずだけど、それらしいものは預かっていないので割愛。

 ではどっちを優先するのかといえば、レベル上げも兼ねて石の洞窟探検の方から先にしていこうと思う。

 ジュプトル(カイン)はともかくチルット(フォルテ)がまだまだ頼りなさすぎるし、とりあえず目標は二十レベルくらいとしておく。

 そんなわけで道中の釣り等のトレーナーとバトルしながら石の洞窟に向かうと、奥には案の定というかダイゴさんがいた。

 

「うーん、この石も中々……あ、こっちも……」

 

 ……壁画そっちのけで石捜索してるけど。

 

「ダイゴさーん!」

 

「ん? ああ、ハルカちゃんか。それと……君は初めましてだね」

 

「どうも。ユウキといいます」

 

「ユウキくんか。僕の名前はダイゴ。よろしくね」

 

 そんな風に自己紹介するダイゴさんは近くで見ると非常にイケメンである。なんていうかこう、爽やかオーラが溢れてる感じだ。

 

「ダイゴさんはね、ホウエンのチャンピオンなんだよ!」

 

「ああうん、知ってる」

 

 ゲーム知識云々関係なくトレーナーなら知らない方がおかしい。テレビとかでも普通に見るし。

 

「……あんまりそういう事言わないでほしいなぁ。不本意ながら続けてるんだから」

 

 おや? 

 

「あんまり乗り気じゃないんですか?」

 

「色々と事情があるんだ。交代出来るものならしたいんだけどね……」

 

「あはは……」

 

 肩を竦めてダイゴさんが言い、ハルカが苦笑する。

 ……これは不満を装った自慢なのだろうか。いやでもこの感じだと多分素で言ってるな……。

 そんな発言が許されるのは貴方の強さと顔があってこそだと自覚していただきたい。

 

「……で、ダイゴさんはこんなところで何を?」

 

「ああ、趣味の一環だよ。珍しい石が好きなんだ。調査も兼ねてたけどね」

 

 調査……というと、あの壁画──つまり超古代ポケモンのグラードンとカイオーガについてだろう。

 言い方から察するにその調査は既に終えていて、今は趣味の石集めをしてるって事か。

 

「そういう君たちこそ何をしにここへ? 見ての通り、この壁画くらいしか面白いものは無いと思うけど」

 

 ダイゴさんが見上げた先には、太古の昔に描かれたのであろう超古代ポケモンの壁画がある。

 ゲームだと片方しか描かれてなかったけど、どうやらこの世界だとグラードンとカイオーガ両方の姿が描かれてるみたいだ。

 これを面白いと思えるかどうかはさておき、石の洞窟内で見るべきものは確かにこの壁画くらいしか無いだろう。

 ただトレーナーとしてなら話は別で、この洞窟内には有用なポケモンが何匹か登場する。

 

 例えばココドラ。ダイゴさんも手持ちに加えており、最終進化のボスゴドラは凄まじく高い『ぼうぎょ(B)』種族値を誇る将来有望な一体。

 例えばクチート。そのままでは使いにくさが目立つものの、メガシンカすればすごく可愛い見た目から全く可愛くない攻撃力を発揮出来る優秀な一体。

 例えばヤミラミ。種族値自体は決して高くはないものの、特化すれば様々な技を駆使して相手を完璧にハメる事が出来る中々いやらしい性能を持つ一体。

 そして俺が探し求めているポケモンとは──。

 

「キバゴを探しに来たんです。この洞窟に生息しているはずなので」

 

 そう、キバゴ。正確には最終進化のオノノクスに期待しての事だけど、このポケモンが手持ちに欲しい。

 ゲームだとキバゴが出現するのはグラカイを鎮めた後の話なので現時点で出てくる事はないんだけど、この世界だと非常に珍しくはあるものの生息域であれば現時点でもほぼ全てのポケモンが出現するはずなのだ。

 これに関してはフォルテの事を聞くついでに連絡したオダマキ博士の証言も貰っている。

 というのも、何もグラカイを鎮めた後に無から湧き出したわけじゃなく、元々その近辺に生息していたポケモンたちがそれをきっかけに表に出始めて来るから、というのが俺の推測。

 事件の前後で変わる事といえば自然エネルギーがホウエン中に降り注ぐ事なので、多分そこら辺が関わってるんだと思うけどとりあえず置いておく。

 

「キバゴかい? うーん、いるにはいるだろうけど、多分地下まで行かないと出てこないんじゃないかなぁ」

 

 ダイゴさんが言う。

 まあそれはそうだろう。今の段階だと多分深いところまで行かないと姿を見る事すら出来なさそうだ。

 

「やっぱりそうですか。うーん……地下かぁ……」

 

 一番浅いこの階層は壁画の事もあってわざマシン(“フラッシュ")をくれるあの山男が明るさを保ってくれてるらしいけど、地下となると話は違う。

 もちろん“フラッシュ"なんか使わなくても懐中電灯なり、明かりを持つポケモンを出しておくなりで光源は確保出来るので必須技というわけではないんだけど、問題は出てくるポケモンのレベルだ。

 少し考えればわかるけど、浅い階層と深い階層で出てくるポケモンの強さが変わらないなんて事が有り得るだろうか? 

 そんなわけはない。当然奥に行けば行くほど強いポケモンが出てくる。トウカの森でもそうだったように。

 あと洞窟内だとポケモンが普通に脅威。視界が取りにくいのと、人間に敵対心持ってたり捕食対象として見てたりする個体がそれなりにいるので油断したら死ぬ。

 特にズバット系列は噛みつかれたら本当にヤバい。イシツブテとかも落石関連で普通に危ないけど。

 そんなわけで出来れば地下には行きたくない。行きたくない、けど……。

 

「でもキバゴ欲しいんだよなぁ……」

 

 ここまでキバゴに拘る理由もぶっちゃけてしまえば『好きだから』というだけであり、急務というわけでもない。

 それに『ドラゴン』タイプだから手懐けるにしても時間がかかるだろうし、あんまり賢い選択とは言えないと自分でも思う。

 それでもやっぱり、どうせ旅をするなら好きなポケモンと一緒の方が楽しいだろうから頑張りたいところ。

 

「……ダイゴさん、地下ってどれくらい強いポケモンがいます?」

 

「そうだなぁ、平均してだいたい三十くらいかな? 主クラスだと五十越えもいるけど」

 

 平均三十。今のカインよりレベルが上だし、出てくるポケモン的に相性がいいとも言えない。ちょっと厳しいか? 

 

「ハルカちゃんがいるならそんなに苦労しないと思うけど、それはダメなのかい?」

 

 と、ダイゴさんがハルカを見やる。

 確かにハルカなら大した苦も無く洞窟の相手を蹴散らせるだろうけど……。

 

「あたしは別に非常時のサポートに徹するなら行ってもいいよ。探索するのはユウキくんだし」

 

「マジで? いやでも、うーん……」

 

 果たしてこのままハルカ頼りでいいのだろうか。セーフティがあるという前提で旅をしてたらその内痛い目に遭う気が……。

 

「……まあいいか。行こう」

 

 ハルカがいいって言ってるんだし、危なそうな相手からはすぐ逃げる方針で。

 それと潜るのは地下一階まで。それならまだ自力でも何とかなるはず。

 

「行くのかい? それなら頑張ってね」

 

 ああそれと、とダイゴさんが付け加えて。

 

「ハルカちゃん、近い内に君の力を借りる事になるかもしれない。旅も大事だけど……」

 

「わかってますよ。その時はすぐに駆けつけますから」

 

「ありがとう。本当ならまだ子どもの君にこんな事は頼みたくないんだけどね……」

 

 苦々しい表情のダイゴさんとハルカの会話。何の事だろうか? 

 

「ユウキくん」

 

「は、はい?」

 

「君はいい目をしている。きっと強くなる。だから頑張りなよ」

 

「……は、はぁ……頑張ります……」

 

 今まで生きてきて初めて言われたなそんな事。

 ハルカもツツジに妙な入れ知恵してたし、強者には何かが見えてるんだろうか。

 

「それにしてもハルカちゃんが旅のサポートか。随分と贅沢だけど君が頼んだのかい?」

 

「いや、なんかハルカが自分から……」

 

「ふうん? それならますます成長が楽しみだ」

 

 言葉通り楽しげに笑うダイゴさん。真意がいまいち掴めない。

 

「ほら、行くなら早く行こうよ」

 

「ああうん、じゃあ行くか。あ、あとツワブキ社長がよろしくって言ってました」

 

「親──ンンッ、父さんが? ……それじゃあ一応受け取っておこうか」

 

 今親父って言いかけたな。そういえばダイゴさんが父親を呼ぶ時ってそうだっけ。めっちゃ意外だったから印象に残ってるんだよな。

 それはともかく、地下に向かうとしよう。襲われたら本当に危ないから気をつけないとな。

 

 

 * * *

 

 

 キバゴ捜索から約二時間程が経過。

 懐中電灯を使いつつ、カインとフォルテを出して周囲を警戒させながら探索してるけど、やはりというか中々見つからない。

 

「うーん……やっぱり一番深くまで行かないと見つからないのか?」

 

「そんな事ないと思うよ。いるところにはいるものだし」

 

「そうか、ならちょっと休憩してからもう少し探してみるか」

 

 時間にしてみればそれほど長くないんだけど、何せずっと緊張の糸を張り詰めたままだから精神的に消耗する。

 物音が聞こえる度にビクついてそっちを向くし、羽音なんかが聞こえた日には動かず警戒心を最大にしてるのでとても疲れるのだ。

 手頃な岩に腰を下ろしてバッグからおにぎりを取り出す。昼も近いし丁度いいだろう。

 

「いただきまーす」

 

 こういう洞窟探索で食べるものはあまり匂いの出ないものがいい──とハルカに教わった。でないと匂いに釣られて野生ポケモンが寄ってきたりするんだとか。

 食事中は気が緩む時間でもあるし手早く食べられるに越した事はなく、そういう意味でおにぎりは非常に便利な食べ物なのである。

 ちなみにポケモンも癖の少ないものなら人間の食物を食べられるので、今回は腹を満たすのを目的に同じものを食べてもらっている。ポケモンフーズだと匂いが強いからな。

 

「それにしてもユウキくんって結構しっかり下調べしてるんだね。ここにキバゴが出るってそんなに知られてないのに」

 

「あ、ああ、まあな。少しくらいは調べるさ」

 

 急に振られた核心を突く言葉に少しどもりながら答える。まさか前世の知識でとか言えるわけがない。

 ただ、調べようと思えば生息域くらいは簡単に調べられるのがこの世界のいいところ。まあハルカがほとんど図鑑完成させてたおかげでもあるんだけど。

 なんかもう色々と主人公の役割が取られてるけど最早今更なので気にしない。

 

「パーティ決めてないって言ってた割には捕まえたいポケモンは明確だね。他にも誰か候補はいるの?」

 

「いや、今考えてるのだとこれで最後だな。後は旅先で出会ったポケモンを仲間にするつもり」

 

「そっか」

 

 最初の一匹にして相棒のジュカイン、色々出来るというのもあるけど完全に趣味のチルタリス、一般ポケモン枠最高峰の『こうげき(A)』種族値で全てを粉砕出来るオノノクス。ここまでを確定として考えていた。

 そして気付く。『こおり』や『フェアリー』の一貫がヤバすぎると。

 もう一匹受けポケが誰か欲しいところ。出来れば両タイプ半減出来るやつ。

 

「知ってると思うけど『ドラゴン』タイプのポケモンは育てるのが難しいよ。例外もあるけど、基本的にはプライドの高い子が多いから」

 

「そうだなぁ。ボーマンダとか手懐けられる気がしねえわ」

 

 未進化の状態なら比較的懐きやすいドラゴンというのはそれなりに多いけど、ボーマンダの場合はタツベイ時代から少し気難しかったりする。

 それに未進化の時は懐いていても、進化したら急に言う事を聞かなくなるという状況も珍しくない。『ドラゴン』タイプ──というか、タマゴグループが『ドラゴン』のポケモンはその傾向が強めという話。

 だからまあ、強いポケモンを従えるにはトレーナーにも相応の格が必要になってくるんだけど、ここら辺の自信が俺には無い。

 キバゴも進化したら無視する系ポケモンだけど、タツベイよりは友好的なのでそこでどうにかするつもりだ。オノノクスかっこいいんだもの。

 

「ま、どうにか頑張るさ。どうせなら好きなポケモンと旅したいもんな──ん?」

 

 そんな話をしていると、どこか遠くの方で音が聞こえた気がした。

 

「今何か音しなかったか?」

 

「うん、あたしも聞こえた」

 

 ハルカにも聞こえたという事は俺の聞き間違いじゃないのだろう。それに音がどんどん近付いてきてる気がする。これは……地響きか? 

 

「……なーんか嫌な予感……」

 

 残ったおにぎりを口の中に放り込んでいつでも動けるように準備する。

 揺れが近付く。鳴き声らしきものも聞こえてきた。

 影が見え、全速力でこちらの方に向かってきたその正体は──

 

「キバァ〜〜〜〜ッ!」

 

「キバゴ──と、なんだアレ!? ゴローンか!?」

 

 緑色の小さな恐竜といった風貌のキバゴ──と、高速回転(“ころがる")してキバゴを追いかけるゴローンらしき岩の塊。どういう状況!? 

 

「うーん、ゴローンの縄張りに入っちゃったとかかなぁ」

 

「呑気か! カイン!」

 

「ジュッ!」

 

 “リーフブレード"

 

 泣きながら逃げるキバゴとすれ違いながらカインが“ころがる"ゴローンを一閃する。多少レベル差があっても四倍弱点を耐える事は出来ず、ゴローンはあっさりと目を回して沈んだ。

 そんなカインの姿を見てハルカがぱちぱちと手を打つ。

 

「お見事。息ぴったりだね」

 

「そりゃどうも。っていうか咄嗟に助けちゃったけどいいのかこれ」

 

 こういう野生の諍いに介入するのって本当はあんまりよくないらしいんだけど。

 

「まあ責任を取るなら。それにほら、終わってないよ」

 

「え?」

 

 ハルカの指差す方を見る。

 するとそこにはさっきのゴローンの仲間と思しきゴローンが二匹と、一際大きいボスっぽいゴローニャが一匹。

 

「ゴォォォォォッ!!」

 

 あーあれはキレていらっしゃる。

 

「無理! 逃げるぞ!」

 

「りょうかーい」

 

 いくら相性有利でも数には勝てない! 

 キバゴを抱えて全力ダッシュ。ついでに『けむりだま』を投げつけて視界を遮断。身体能力で劣っていようともこちらには文明の利器があるわ! 

 とにかく遮二無二逃げ回り、ゴローン達を振り切ったのを確認して汗を拭いながら周囲を見渡す。

 

「……ここどこだ?」

 

 完全に迷子だった。

 




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あとツイッター始めてみたので興味があるなら是非。

レジェンズアルセウスの解釈一致すぎてヤバい。数こそ正義です。
あのゲームプレイしてる人はこの小説の感覚掴みやすいんじゃないかなーと思ったり。
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