ポケモン世界に転生したからゲーム知識で無双しようと思ったのに全然役に立たない上になんかヒロインがおかしいんですが?   作:名無しのナナシ

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特に事情は無いですが遅れました。
今後もちょっと更新ペース落ちるかも。


アイドルといっても実は普通の人と変わらないらしい

 ジム戦を終え、ナックルバッジとわざマシン08(“ビルドアップ")を受け取り外に出る。

 

「ありがとな、ハルカ。おかげで対策が出来た」

 

「ううん。考えたのはユウキくんだし、あたしはちょっと手伝っただけだもん。上手くいってよかったね」

 

 ハルカとのそんな会話。

 今回のバトルはハルカとの模擬戦が大きく勝利に貢献したのは言うまでもない。

 ハルカのエースが『ほのお』『かくとう』のバシャーモかつ人型、さらに“みきり"の精度も高いので“みきり"対策をとにかく重点的にやらせてもらったのだ。

 本当ならワンリキーやマクノシタ、出てきてゴーリキーくらいだろうと思ってたからハリテヤマが来た時は焦ったけど何とかなってよかった。

 ちなみに体格差的に腕に張り付けないワンリキーやマクノシタ相手の時は、受け身でダメージを軽減してから反撃するつもりだった。

 ああうん、投げ飛ばされるのは確定してる。腕力って意味だとよっぽどじゃなきゃ『かくとう』タイプに体格差とかあってないようなもんだから。

 チルット(フォルテ)に関しては受け身とかはさせずにそもそも触られない様に立ち回る事前提に考えてた。キバゴ(ファング)はまだしもチルットはフォルム的にどうやっても受け身不可だし。

 まあこっちは上手くいかなかったんだけどさ。

 

「これでバッジ二つ目か。意外と順調に集まるもんだな」

 

「ハイペースなのは確かかも。まだ旅してから二週間くらいしか経ってないし」

 

 週にバッジ一つというハイペース。

 まあこれはあくまでもスタートダッシュに過ぎないので、今後はそうもいかなくなるんだろうけど、新人トレーナーとしては上手くやれてる方なんじゃないだろうか。

 

「さて、キバゴも捕まえたし、バッジも手に入れたし、ダイゴさんにも会えたし。もうムロでやる事はないかな?」

 

「そのはずだよ。もうカイナに行っちゃう?」

 

「そうだな。期限も迫ってきてるし留まる理由も無いしな」

 

 正直こんな重要パーツをいつまでも抱えていたくないし。

 

「それじゃハギさんにお願いしないとね。また船に乗る事になるけど大丈夫?」

 

「あー……まあ一応酔い止め飲むから大丈夫……だと思いたい」

 

「そう? でもまた気持ち悪くなったら言ってね?」

 

 ムロに来た時の事を思い出して少し気分が落ち込む。

 快適な船旅とはいかないのが世知辛い。せめて安全運転してもらうようにお願いしようかと思ったけど、なんとなくああいうタイプはその手の提案を無下にする気がする。

 

「酔ったらまた迷惑かけるけどその時は頼む。んじゃ行くか」

 

「おー!」

 

 目指すはカイナの造船所。

 早めに重荷から解放されたいところである。二重の意味で。

 

 

 * * *

 

 

 カイナシティとは一言で言えば大きな港町である。

 人とポケモン、そして自然が行き交う港というキャッチコピーに違わず様々な人と活気で溢れており、中には外国人であろう人間も散見される。

 船の運転は依然として変わりなかったものの酔い止めが効果を発揮したおかげでなんとか酔いも軽度で済んだし、これ以降しばらくカナズミやムロに戻る事情も無いのでハギ老人に別れを告げ、近くの海の家で少し休んでからクスノキ造船所へと向かった。

 そしてまあ案の定というか、クスノキ館長は博物館の方に行っているようで直接渡して欲しいと頼まれたので『海の科学博物館』に足を踏み入れてみれば。

 

「……おお……」

 

 その名の通り海を連想させるような青と白を基調とした内装と、そこかしこに配置された海関連の展示物。

 流石に街を代表する建物なだけあって豪華というか、力が入っているのがわかる。

 

「人もいっぱいだね。そんなに人気なのかな?」

 

「ソウダナァ」

 

 ハルカの言葉通り、見える範囲だけでも館内には結構な人数がいる。

 でも悲しいかな、ゲーム通りならそれらの半数くらいはアクア団かマグマ団だったりする。

 デボンを襲撃したのがアクア団だったからここもアクア団だろうか。制服着てないからわからないけど。

 

「ユウキくんはこういうとこ好き?」

 

「いや、別に普通かな。でも展示物を眺めるのは嫌いじゃない」

 

 俺は元々こういった施設に縁が無い……というか、あまり興味を持ってない部類の人間なんだけど、それでも実物を目にすれば相応に興味も湧く。

 自分から足を運ぶ気にはならないけど、何かの用事で来たならついでに見ていこうか、くらいの関心は持つのだ。

 ……うん、まあ、全くの無関心ってわけじゃない程度だな、うん。

 

「でも今はクスノキさんを探す方が先かな。ここにいるらしいけど」

 

 辺りを見回してみるも、それらしい人物は見当たらない。

 一応館に備え付けられてるパンフレットを持ってきたからそこに載ってる顔を探せばいいんだけど、一階にはいなさそうか? 

 

「二階の方かもな。行ってみよう」

 

「うん」

 

 ハルカと共に二階に上がってクスノキ館長を探していると、船の模型が展示されている辺りにそれらしい人物を発見した。

 その場所に近付いていかにも偉そうな雰囲気を持った初老の男性に話しかけてみる。

 

「あのー、クスノキ館長ですか?」

 

「はい? いかにも私がクスノキだが……」

 

 ビンゴ。

 これでミッションクリアだ。

 

「デボンコーポレーションから荷物を預かって来ました。こちらを」

 

 鞄から荷物を取り出してクスノキ館長に渡す。

 そうして館長がその中身を見て、もう一度こちらに向き直った。

 

「おお、確かに! では君がツワブキさんが言っていたトレーナーか。どうもご苦労様」

 

「いえいえ。ついでに造船所まで護衛しますよ。最近は物騒ですから」

 

 などと周囲を牽制しておく。

 ゲームだとこの辺りで連中が乱入してきて荷物を奪おうとしてくるんだけど、ゲームと違って無名のトレーナーじゃないハルカという存在がいるおかげで、白昼堂々と襲ってくるような事は無さそうだった。こんな建物内で事を構えたくないし助かる。

 ……実はアクア団なりに周りに気を遣ってたりするんだろうか。一応海が題材の建物だし。

 

「ありがとう。ではお願いするよ」

 

 クスノキ館長の承諾も得たので博物館を出て造船所へと向かう。視線は感じる気がするけどやっぱり手を出して来るような気配は無い。

 そのまま何事も無く造船所へと辿り着いたので、変な連中(アクア団)に気を付けるようクスノキ館長に告げて外に出た。

 さっきまで感じていた視線もさっぱり無くなってるし、とりあえず諦めてくれたって理解でいいだろうか。

 

「……なんかあっさりと終わったな」

 

「そりゃまあ荷物を渡すだけだし。それとも何か起こってほしかったの?」

 

「まさか。何も無いのが一番だよ」

 

 そう、何も無いのが一番に決まってる。だけどなんて言うか、どうにも落ち着かない感じがする。

 それは本来起こるはずだったイベントをスキップした事で、どんな影響が出るかわからないからか。

 いっそここでアオギリとかが出てきてくれればそこを抑えてアクア団は潰せたかもしれないのに。いやまあ、それはそれでシナリオブレイクではあるんだけど。

 ……まあ今気にしても仕方ないし、なるようにしかならないだろう。深く考えない事にする。

 

「それより何しようか。キンセツシティに向かってもいいけど……」

 

 荷物をクスノキ館長に届けるという依頼は達成出来たけど、もしかしたらまだアクア団がこの街に潜伏してるかもしれない。

 そうなると俺──というか、ハルカがこの街から去ったのを見て荷物を奪取、なんて事にもなりかねないわけで。

 少しの間はこの街に留まってた方がいいかもなぁ、なんて事を考えながらハルカに考えを聞いてみる。

 

「そうだね……じゃあ市場の方に行ってみない? 色々役に立つ道具が売ってるかもだし」

 

「よし、それじゃあ市場に──」

 

「あ──っ! ハルカちゃん!?」

 

「何──うっ……」

 

 向かおうかというところで、向こうの方から声がかかった。

 声質からして女の子だけど誰だろうか。

 声のした方を見てみれば、そこには青を基調としたへそ出しの服に首や手、腰や足周りに白い綿をあしらったアイドル衣装を身に纏う、ホウエンで知らぬ者無しのトップアイドル──。

 

「久し振りだね! 元気にしてた? コンテストはやる気になった!?」

 

「あ、あはは……久し振り、ルチアちゃん……。コンテストはまだいいかなーって……」

 

 ──ルチアがいた。

 随分ハルカと親しげだな。前の旅の時に会ってたとかかな。

 その割にはハルカは他人行儀というか、ちょっと引いてるみたいだけど。

 

「そう、それは残念──あれ? あなたは?」

 

「ど、どうも。ユウキです」

 

 完全にハルカしか見えてなかったルチアの視界に入ったようなのでとりあえず挨拶しておく。

 それにしても珍しい姿が見れた。なんか新鮮だったな。

 

「ユウキくんだね。初めまして、わたしはルチア。コンテストアイドルやってます!」

 

「ああうん、知ってます。雑誌とかで見た事ありますし」

 

「敬語じゃなくていいよ! 歳もあんまり変わらないと思うし!」

 

「そうで……そうか。じゃあお言葉に甘えて」

 

 ルチアの年齢って色んな意味で公式には明かされてないけど、背格好から考えると(主人公)と同年代くらいっぽいんだよな。

 それにしても元気というか、親しみやすさのあるアイドルだ。こういう優しい子に限って変なのに付き纏われたりするんだから不条理な世の中だと思う。

 

「ねえねえ、あなたはコンテストに興味は無い? とっても楽しいよ!」

 

「いやー、見るのは好きだけど自分がやるのは……」

 

「……なんでさっきからちょっと目を逸らしてるの?」

 

「…………別に」

 

 だってそんなへそ出しルックとか目に毒だし。あと顔がいい。しかも物理的に距離が近い。

 ハルカといいルチアといい自分の容姿を自覚しろ。世の中善人だけじゃないんだぞ。

 

「……ルチアちゃん、近いよ?」

 

「あっ、ごめんね? つい……」

 

 こちらを覗き込むように身を乗り出していたルチアも、ハルカの一声で少し距離を取ってくれた。

 ありがとうハルカ、助かった。でもその意識を自分にも向けてほしい。

 

「相変わらず熱心にスカウトしてるんだね。これで何人目?」

 

「ユウキくんを入れたらちょうど百人目だよ! そしてハルカちゃんは五十人目! だからこれはやっぱり運命なのよ! きっとあなたたち二人はわたしの求めていたトレーナーさんに違いないのよ!」

 

 何かルチアが自分の世界に入ってしまった。

 というかハルカもスカウトされてたのか。まあ容姿を考えれば出会って即スカウトされててもおかしくないとは思うけど。

 そんなルチアを横目に見ながらハルカが聞いてくる。

 

「……で、ユウキくんはコンテストやるの?」

 

「いや、さっきも言ったけど見るのはともかく自分がやるのはちょっとな。何をやればいいのかすら全くわからないし」

 

「だって。残念だったねルチアちゃん」

 

「ええ──っ!? でもでも、あなたたちなら絶対輝けると思うの! ほら、衣装だってあるし! 衣装さーん! 持ってきてー!」

 

 なんだ。何が彼女をここまで駆り立てるんだ。

 

「というか、俺はともかくハルカもやんないの? 興味無いのか?」

 

 これはゲームというよりアニメの影響の方が強いけど、ハルカといえばコンテストのイメージがある。

 もちろんこれらは設定が全然違ったりするから一概に同じとは言わないけど、微塵も興味が無いって事も無いと思ってたけど。

 

「ん……興味が無いわけじゃないよ。ただ他にやる事があったってだけで」

 

「それがジム巡りか?」

 

「それは半分かな。もう半分はまだ終わってないから」

 

 そんなハルカの言葉。

 残りの半分ってあれか? 前にダイゴさんと話してたやつが関係してるのか? 

 だとしても今は半分くらい自由行動みたいなものなんだし、ちょっとくらい自分のやりたい事優先してもいいと思うけどな。

 

「興味があるならやってみればいいんじゃねえの? ルチアもあんなに推してるわけだし」

 

「うーん……なんというか、今やっても集中出来ないと思うから。それはコンテストに出てる他の人にも失礼だし、全部終わったらまた考えるよ」

 

「そりゃ残念。せっかくならコンテストやってる姿ちょっと見たかったけどな」

 

 どうにも意思は固いようだ。

 こういう真面目さはハルカのいいところだけど、もっと気楽に考えていいと思うんだけどな。

 

「……ユウキくんって、ルチアちゃんが着てる服みたいなの好きだったりする?」

 

「えっ」

 

 絶妙に答えにくい質問してきたな。

 そりゃ本心を包み隠さず言うなら好きだよ。でも大変目に眩しい格好でもあるわけで、素直に答えようものなら変態の扱いを受けても何も言えなくなってしまう。

 

「その、ね? あたしが貰った衣装もちょっと露出があるというか、お腹が出てるから、ね? ユウキくんがああいうの好きなら……」

 

「やめようぜこの話。どう答えても俺が不利になる」

 

 少し顔を赤くしたハルカがそんな事を言い出した。

 やめろよ、この流れで好きって言ったら完全にそれ目当てでしかなくなるだろうが。

 というか俺そういうの好きそうと思われてんの? 否定はしないけどショックなんだが。

 

「そんな事言わずにあなたからも何か言ってあげて! ハルカちゃんなら絶対にスターになれるの! わからない事があるならわたしが教えてあげられるし!」

 

「知らん巻き込むな! 何言っても俺が損するだろうが!」

 

「どうして!? あなただってさっきからわたしのお腹をチラチラ見てるんだし好きなんでしょ!?」

 

「うおおやめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 何言ってくれてんのコイツ!? 

 そりゃ見るよ! 男なんだから仕方ないじゃん! でもそこは黙ってスルーしてほしいところじゃん! なんで言うの!? 

 

「……やっぱり好きなの?」

 

「違う! いや違くはないけど誤解だ! これは男の性というか生理現象というか……やめろ自分の腹を見るな手を当てるな! そういうのじゃねえから!」

 

 何!? 羞恥プレイか何か!? それとも俺を社会的に抹殺したいの!? 

 

「もう勘弁してくれ……それにハルカも『今は』って言ってるんだし、無理にやらせる事ないんじゃねえの?」

 

「うう……それはそうなんだけど……」

 

 どうやらよっぽどハルカに入れ込んでるらしい。

 気持ちはわからなくもないけど、本人の気が向くまでは気長に待つしか無いと思う。

 

「ごめんねルチアちゃん。旅が終わったらまた考えるから」

 

「ハルカちゃん前もそう言って断って──あれ? そういえばハルカちゃんって前は一人だったよね? でも今はこの人と一緒……」

 

 瞬間、ルチアの目がキラリと光る。なんか嫌な予感がする。

 

「まさかまさか!? 二人ってそういう関係!? だったら今日一緒にいるのも、もしかしてデートだったり!?」

 

「でっ……!? おい待てって──」

 

「ああ、きっとそうなのよ! 確かにアイドルに恋愛はご法度……だからハルカちゃんはずっと断ってたのね!」

 

「ちょ、違──」

 

「だったら無理には誘えない……ううん、今この瞬間もわたしがいるのは無粋ね! じゃあ二人ともお幸せに! あ、でもコンテストに興味が出たら参加してみてね! はいこれ!」

 

 俺の言葉は耳に入ってないらしく、一人で盛り上がったルチアは『コンテストパス』と『ポロックキット』と『ライブスーツ』の三点セットを俺に押し付け、そのまま手を振って去ってしまった。

 ……とんでもない勘違いされたんだが。

 

「……やっべぇ、どうしよう……」

 

「ルチアちゃん、思い込みが激しいところがあるから……まあ言いふらしたりするような子じゃないから大丈夫だと思うけど……」

 

「にしてもデートか……やっぱり端から見るとそう見えるのかな……」

 

 男女の二人旅ってだけならまだともかく、ハルカは距離感が近いし仕方ないのかもしれない。

 やっぱりもう少し言った方がいいかもなぁ。

 

「……ユウキくんはあたしとデートとか嫌?」

 

 なんて事を考えていると、ハルカが遠慮がちな声音で聞いてきた。

 ……これもまた答えにくい質問だなぁ。でもそんな不安そうな顔されたら素直に答えるしかないじゃないか。

 

「いや、別にそんな事ないぞ。ただそういうのは好き合ってる男女がやる事だからな……」

 

「そっか……うん、そうだよね。ユウキくんはあたしの事なんとも思ってないもんね」

 

「いやお前そういう言い方は卑怯じゃね? なんとも思ってないなんて事は……」

 

「じゃあ、ユウキくんはあたしの事どう思ってるの?」

 

 いつになく真剣なハルカの目。いつものように流せるような、そんな雰囲気じゃない。

 ……これはどう答えるべきなんだろうか。

 少なくとも今俺がハルカに向けている感情は友愛の割合が大きい。ただ、女の子としての魅力を感じていないかというとそれは嘘になるわけで。

 

「……そ、れは……」

 

「……ぷ……くく……あははっ! 冗談だよ〜。ユウキくんこういう話に弱いね〜」

 

「……はぁ?」

 

 答えを返せず口篭っていると、堪えきれなくなったといった感じでハルカが笑いだした。

 おいふざけるな。さっきまで真剣に考えてた俺が馬鹿みたいじゃないか。シリアスを返せ。

 

「お前……言っていい冗談と悪い冗談があるだろ……」

 

「ごめんごめん。でもルチアちゃんのお腹に見とれてた罰って事で」

 

「だからそれは……っ! いや、うん、何も言い返せないわ……」

 

 ここから何を言っても負けな気がする。だって事実だし。あれを自制出来る男がいるなら名乗り出てきてほしい。

 

「ふふ、あたしのでよければいつでも見せてあげるよ?」

 

「ごめんて……おい服から手を離せ。まさかこんな街中でそんな事しないよな?」

 

 ハルカがニヤニヤと笑いながら服の裾をつまんで上下させる。その度にわずかに肌が覗くものだからとても心臓に悪い。

 こういう挑発ムーブはどこで覚えたんだろうか。オダマキ博士はこの事知ってるのか? 知らないならこれを見たら泣くかもしれない。

 とりあえず腕を掴んでやめさせる。

 

「だからそういう事するのやめろって……変な目で見られるぞ」

 

「あたしが変な目で見られたら嫌なんだ?」

 

「そりゃまあ……いい気はしないかな……」

 

「へへ〜そっか〜♪ 他の人に見られたくないか〜♪」

 

 なんか変な形で受け取られてる気がする。別にそういう独占欲的な意味合いで言ったつもりはないんだけど。

 

「それじゃああたしが変な事しないように手繋ご? そしたら本当にデートみたいだよね!」

 

「なんでそうなる……ああわかったからやろうとするな! ほら!」

 

 断ろうとしたらまた服に手をかけようとしやがったので慌ててハルカの手を取る。

 おかしい。男としてはむしろ嬉しいシチュエーションのはずなのになんでこんなに焦らなきゃならないんだ。

 

「……へへ……えへへ〜♪ デートだぁ〜♪」

 

 本当に嬉しそうなニッコニコの笑顔になるハルカ。

 ただ手を繋いだだけでこんなに喜ばれるならこっちとしても嬉しいんだけど、それはそれとして照れくさい。

 女の子と手を繋ぐなんて前世でもほとんどした事なかったからなぁ。

 

「じゃあ行こ? カイナ市場は色々あるよ!」

 

「そうだな……うん、行くか」

 

 元々はルチアの勘違い……だったのに本当にデートみたいになってしまった。……まあ悪い気はしないしハルカが満足するまでは俺もその気分でいよう。

 ナビを取り出してカイナの店を調べる。お洒落なカフェとかがあればそこに行こうかな、なんて思いながら。




評価や感想、批評等あればよろしくお願いしマース。
あとツイッター始めてみたので興味があるなら是非。

今後シリアス要素もちょって出るんですけど今のうちにタグ追加してもいい?

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