ポケモン世界に転生したからゲーム知識で無双しようと思ったのに全然役に立たない上になんかヒロインがおかしいんですが?   作:名無しのナナシ

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やっぱり主人公の運命力は狂ってると思いました

 とりあえずぺラップ&クレッフィの軽い説明と実演を見せた時の博士のはしゃぎ様ったらなかった。

 なんかもう、新しい玩具を前にした子どもかってくらいに目ぇキラッキラさせて『頼む! そのポケモンを調べさせてくれ!』って言ってきた。

 それは別にいいんだけど、めちゃくちゃ葛藤した挙句に提示された一ヶ月とかいう期間は長すぎるので三日でお願いしますと言ったら『三日!?』と絶望したみたいな表情になったのが印象的だった。

 ……うん、多分研究者としては一ヶ月でもギリギリまで切り詰めた期間なんだろうしめちゃくちゃ調べたいんだろうけど、こっちとしても戦力とかその他諸々の事情があってですね……。

 ただまあ、博士という立場にあってあれだけ興奮するって事はそれだけ大きな発見なんだろう。

 実際、プレイヤーとしての自分だった時も新しい追加進化とか出たらワクワクしたもんなぁ……規模は違うけど博士のそれもまあ似たようなものだろう。

 

 んでまあ、旅してる間はハルカがデータを取るとして、とりあえず調べられるだけ調べてもらったところでわかった事は二つ。

 一つ目は、このぺラップとクレッフィは新しい進化や形態というわけではなく、別々の個体として存在しているらしい。だからやろうと思えばこの二匹を別のボールに入れる事も可能なわけだ。

 ここら辺、ヤドランとして進化したシェルダーにはボールが反応しなかったりするので、その違いを分析したかったみたいだけど時間が足りなかったそうな。

 

 じゃあなんで一つのボールに入るんだよって事だけど、ここで二つ目。クレッフィを調べた結果、なんと天才(6V)だという事が判明した。

 この世界における6V──天賦個体と呼ばれてる──ってのは文字通りバトルの天才という事で、例えば攻撃を狙って急所に当てたりだとか、技を回避したり当たってもダメージを最小限に抑えたりだとか、まあとにかくデータに表れない部分が秀でていたりする。

 早い話が才能の塊って事なんだけど、博士の推測だとこの6Vとしての才能を遺憾無く発揮した結果がこの合体現象なのでは、という事らしい。

 

 何言ってんだオメェと思わなくもなかったけど、よくよく話を聞いてみれば、ペラップとクレッフィはタマゴの頃からの付き合いなんだそうで、超が付くくらいぺラップに懐いてるんだとか。

 それは見てれば大体わかるんだけど、博士曰くこれが原因なんじゃないかという事で。

 要は自らがそのポケモンの一部だと認識するほどの信頼関係。それがポケモン特有の環境適応能力と、6Vという天才性が噛み合ってこうなってるんじゃないかという推測だった。

 言ってみればただの思い込みなんだけど、この世界は思い込みで能力上がったりするからそういう事もあるんだろうととりあえず納得しておいた。なつき度が条件ならもっと他にも発見報告上がってるだろうしな。

 

 ともあれ、あくまで暫定ではあるけど固有種認定された結果『ペラッフィ』という種族名を付けたらしい。

 わかりやすいというか、まあ前世の戦術そのまんまな名前だ。変に小難しい名前にする事もないと思うけどさ。

 

「固有種、ねぇ……」

 

 血涙を流しながら返してもらったぺラップ──改めペラッフィの入っていたボールを、キンセツの街並みを歩きながらぽんぽんと投げる。

 ポケモンが固有の変化を起こしたもの。その発見例が極端に少ないものは固有種と呼ばれるらしい。

 ゲーム的な条件としては6Vかつ、()()()()()()()()なつき度最大のクレッフィが手持ちにいるってところか。どうやって手持ちへのなつき度確認するんだよって話ではあるけど。

 

「お前、凄いやつだったんだなぁ」

 

「フィー?」

 

 パタパタとすぐ近くを飛ぶぺラップの首に装着されたクレッフィが不思議そうに鳴き声をあげる。

 何も自覚は無いんだろうな。俺も凄さについては正直あんまりよくわかってないけど。

 ちなみに解放してる理由はハルカに『観察の為に出しておいてほしい』と言われたからである。

 

「凄いっていうか、超希少個体だよその子たち。ユウキくんの運どうなってるの?」

 

 若干呆れたようなハルカのセリフ。

 6Vクレッフィの希少性は言うまでもなく、ぺラップはぺラップで人の言葉を話せる程に知能が高いという珍しい個体である。

 そんな二匹がくっついた状態とか、研究者視点ではどう見えてたんだろうか。人によっては発狂して狂喜乱舞するレベルなのかもしれない。

 加えて色違いのチルットまで手持ちにいるという状況。確かにこれは強運を通り越して狂運だと言わざるを得ないだろう。

 

「どうなんだろうな。ゲームコーナーとか行ったら大勝ち出来るかもしれん」

 

「確かに。行ってみる?」

 

「いや、いいわ。別に欲しいものも無いし」

 

「そっか」

 

 ORASの世界がベースっぽくはあるけど、ゲームコーナーは普通に営業していたりする。

 ただ、トレーナーが必要とする景品のほとんどは店売りで買えるので寄る意味はちょっと薄い。軽く遊ぶ分には楽しそうなんだけどな。

 

「まあまずは改めて何が出来るか見たいところだな。お前はバトルの経験とかあるのか?」

 

「ナクモナイデスガ、アマリジシンハアリマセン」

 

 ぺラップがそう答える。

 まあそれならそれでこれから慣れていけばいいか。

 

「おっけ、んじゃちょっと中庭行くか。そこで軽く動きを見よう」

 

「おー! あたしも楽しみ!」

 

 ハルカがちょっと興奮してる。

 データ取りを任せられた、というだけじゃなくて単純に未知のポケモンが何するのか楽しみなんだろうな。

 かく言う俺もちょっとワクワクしていたり。二匹が一緒になってるって事は技を同時に使えたりするんだろうか。そこら辺も含めて検証しようか。

 

 

 * * *

 

 

「準備出来たかー?」

 

「ダイジョウブデス」

 

 キンセツシティ中央にある中庭にて、バトルスペースを借りてペラップと対峙する。

 

「よし、じゃあハルカもデータ取りよろしくな」

 

「任せて!」

 

 流石は親子というべきか、博士に負けず劣らず目をキラキラさせながらふんすと鼻を鳴らすハルカ。

 どうあれ細かい部分はハルカの目の方が信用出来る。

 ぺラップにはとりあえず俺の指示は無しに自由に動いてもらって、チルット(フォルテ)の相手をしてもらう事とした。

 ジュプトル(カイン)だとちょっと強すぎるし、組手相手としてはフォルテが丁度いいだろう。

 

「それじゃま、やっていくか! フォルテ!」

 

「ちるっ!」

 

 “でんきショック"

 

 レベルはフォルテの方が少し上かつ、弱点の攻撃。さて、どう動くかな? 

 

「ぺラッ」

 

「フィッ!」

 

 “クレスガード"

 

「む」

 

 技はぺラップに命中。だけど大きなダメージって感じじゃない。一瞬クレッフィが光ったけど何かしたかな? 

 とりあえず相手の出方を待ってみると、ぺラップが大きく息を吸い込んで。

 

バ──カ(“おしゃべり")!!」

 

「はあ!?」

 

 大きな声──否、音波を発した。

 あんなにも礼儀正しい子がなんて粗末な罵倒を!? 誰だこんな言葉覚えさせたやつは! 

 いやでも“おしゃべり"かアレ!? 攻撃範囲マジでわかんねぇ! 

 

「くっそフォルテ、大丈夫か!?」

 

「ちるる……」

 

「『こんらん』してますねぇ!」

 

 技をまともに受け、ダメージこそタイプ相性で半減だけど、『こんらん』で飛行すらまともに出来なくなったらしいフォルテが千鳥足になった。

 やっぱあの技壊れてんだろ。『こんらん』ってシンプルにこっちの指示届きにくくなるんだよ。凶悪すぎるわ。

 

「ぺラッ」

 

「フィッ」

 

 “カギえらび"

 

 “リフレクター"

 

 “ひかりのかべ"

 

 そんなこんなをしてる間に半透明の壁が貼られる。

 自力じゃ両壁覚えないし誰かが覚えさせやがったな。なんていい仕事をするんだ。

 

「しかも“いたずらごころ"で行動が早い、と。──()()()()()、フォルテ!」

 

「──ちるっ!? ……ちるっ!」

 

 フラフラしているフォルテに一喝。軽い『こんらん』ならこういう方法でも即座に解ける。ジム戦だとこれじゃ遅いけど。

 

「“でんじは"!」

 

「ちるっ!」

 

「ぺラッ」

 

 “カギえらび"

 

 “トリックガード"

 

 相手を『まひ』させる電磁波を放つも、“トリックガード"で防がれてしまう。

 さて、確認した限りではクレッフィの技はラストが盗みに使った“すりかえ"だったはずだからこれで全部だな。

 どうやらその場その場でぺラップとクレッフィが覚えてる技を切り替えれる感じっぽい。

 あとは……ダメージを見た感じタイプ変更もやってるかな? 

 

「もう少しやってみるか。“チャームボイス"!」

 

「ちるちる〜♪」

 

「フィッ」

 

 “クレスガード"

 

 フォルテが魅惑の歌声で攻撃するも、壁込みとはいえぺラップには大したダメージを与えられていない感じだ。

 やっぱりこれクレッフィのタイプ相性で受けられてる気がする。

 

「遠距離だからか? “とっしん"!」

 

「ちるるっ!」

 

「フィー!」

 

 “クレスガード"

 

 三度の攻撃。だけどやっぱり攻撃が通ってる気がしない。もうこれは確定と見てよさそうかな。

 

「ぺラッ」

 

「フィフィー!」

 

 “カギえらび"

 

 “おどろかす"

 

「ちるっ!? ぴ〜っ!」

 

「あーあー、泣いちゃった……」

 

 イマイチ手応えが無い上に簡単にあしらわれてるものだから、自信を失くしちゃったっぽい。あんなちっこい上に効果も無い技でビビっちゃってまあ……。

 飛んできたフォルテを抱き寄せて頭を撫でてやる。よしよし、安心しろ。どんなお前でも俺は愛し続けるから。

 

「ハルカ、どうだ?」

 

「んー、大まかにはわかったよ。続ける?」

 

「いやー、フォルテが泣いちゃったしとりあえず終わりで。ぺラップも戻ってこーい」

 

 声をかければ、パタパタと翼を羽ばたかせて飛んでくるぺラップ。

 こいつはこいつで小さくてかわいいんだよな。あんま表情変わらないけど。

 さてさて、ハルカの目から見たぺラップはどうだったかな。

 

「まずなんだけど、その子もう裏特性か技能を持ってるね。正確にはそれっぽいものだけど」

 

「あ、やっぱり?」

 

 ちょくちょくそれらしいものを使ってるなーとは思ってたけど。

 

「といっても、持ってるのはクレッフィ側っぽいんだよね。ぺラップが適宜使い分けてる感じで」

 

「タイプ変化とかか?」

 

「あ、気付いてた? そうそう、多分一時的に自分のタイプをクレッフィのものに変更してるんだと思う」

 

 合ってる? とハルカがぺラップに聞くと、コクリと頷いた。

 

「アブナソウナコウゲキガキタラ、クレッフィノチカラヲカリテマス」

 

「やっぱり。うーん、結構無茶苦茶やってるんだよねこれ……どういうシンクロ率なの……」

 

 うんうん唸り始めるハルカ。

 そうか、ハルカの目から見てもめちゃくちゃなのか。じゃあコイツヤベーじゃねーか。

 

「ま、まあそれはお父さんに任せよう。今は理屈云々より能力の把握が大事だし」

 

 それは思考を放棄しているのでは、とは言えなかった。

 

「あとは多分、使える技も実質的に八個になってると思う。記憶容量がぺラップとクレッフィで別だから」

 

「だろうなぁ。うーん、色々とポケモンバトルを破壊してる気がしてきた……」

 

「うん……めちゃくちゃだね……」

 

 ポケモンが覚えてられる技は四つまで……というのは、半分正解で半分間違い。

 正確には『バトル中に即座に使える技が四つまで』だ。

 実は技そのものは一度覚えればいつでも使えるんだけど、図鑑で表示される技以外は使う時に若干タイムラグが生じる。

 わかりやすく言うなら、使い慣れた技とそれ程使い込んでいない技、どっちが早く繰り出せるかという事だ。こんなのは考えるまでもない。

 で、リアルタイムに動かなきゃいけないこの世界のバトルだと、数秒程度の遅れでもわりと致命傷になったりする。

 だからバトルで使える技は()()()()四つまで。もちろん例外もあるけど、まあ多くても六つとかが限度だと思う。

 何気にクレッフィが五つ目の“おどろかす"を使ってたっぽいけど、あれも向こうに余裕があったから使っただけで、本来であれば使わないデータ外の技だ。

 ともあれ、そんな原則がある中で倍の八個というのはちょっと──いやかなりイカれてる。

 

「理不尽なくらい強いポケモンはあたしもそれなりに見てきたけど、この子はなんか違うベクトルに突き抜けてるなぁ。育て方次第じゃこれまでのバトルを一変させるかも」

 

 ハルカがにっこりと笑って。

 

「結構責任重大だよ? ユウキくん」

 

「変なプレッシャーかけるなよ……というかそんなに強いならハルカが育てた方がいいんじゃ……」

 

「だって結果論だし。それにその子のトレーナーはユウキくんだからね。あたしが横取りは出来ないよ」

 

「しっかりしてんなぁ……」

 

 とはいえセリフから察するに、本当はハルカも育成してみたいんだろうな。

 まあトレーナーとしての責任を問われればそれは応えるしかないわけで。どう育てたものかなぁ……。

 

「ただ一つ言えるとしたら、意外と新しい技能とかはあんまり使えないかもね。もうこの子たちはこれでほとんど完成しちゃってるから。汎用的なのを一つ覚えられるかなってくらい」

 

「そうなのか。いやでも、俺的にはそっちの方が助かるな……なんでも出来るって言われた方が困る」

 

 自由の不自由とでも言おうか。明日の晩御飯何がいいか聞かれて迷う的な。

 個人的には無限の可能性を示されるよりも、ある程度方向性が定められてた方がやりやすい。

 

「ちなみになんだけど、野生でそこまで完成されてる個体ってどれくらいいるものなんだ?」

 

「ほとんどいないよ。だからこの子たちが例外すぎるの。こうなるように最適化された結果なんだと思うけど……うん、まあ天賦個体が悪いかな」

 

「そういう結論になるのな」

 

 とりあえずわけわからん事になってたらだいたい才能のゴリ押しらしい。

 

「……お前、よく今まで捕まらなかったな。お前を見たトレーナーも一人や二人じゃないだろうに」

 

 ぺラップを見ながら言う。

 ハルカがこれだけ言うんだから、こいつを捕まえたいってトレーナーもいたはずなのに。

 

「ヨクワカリマセンガ、バトルシナケレバキヅカレナイノデハ?」

 

「……ああそうか、そう言ってたな」

 

 そもそもこの二匹の天才性がわかったのも博士の調査があったからで、ハルカですら見ただけじゃ気付いてないようだった。

 つまり、ゲームでいうジャッジのような特殊な人間でないと個体値は見抜けないというわけであり。

 バトルしてるところ見てないんだから気付けるわけねーだろという話である。

 

 ……にしてもウチの『ひこう』タイプ、バトルに向いてないやつ多くね? 

 

 フォルテはやる気はあるけど闘争心があるかといえば微妙だし、ぺラップはそもそもバトルの経験がそれほど無いし。

 どうあれアタッカーは無理そうな気がする。補助系の育成方針で考えてみるか。

 

「じゃあ次。今度は俺が色々指示してみるからやれそうな範囲でやってみてほしい」

 

「ワカリマシタ」

 

「よし。それじゃ──カイン、相手役よろしく」

 

「ジュッ!」

 

 やる気十分なカインを出して相手役に据える。

 さて、それじゃあ色々試してみましょうかね。




評価や感想、批評等あればよろしくお願いしマース。
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あとツイッター始めてみたので興味があるなら是非。



ぺラップ
『裏特性』
『カギえらび』
持ち物が『クレッフィ』の時、クレッフィの覚えている技を自分の技として使う。

頭のいい子。でもバトルする分には平凡な個体……だった。クレッフィが全部悪い。『ペラッフィ』の理性担当。


クレッフィ
『裏特性』
『スペアキー』
自分を持ち物として『ぺラップ』に持たせる事が出来るようになる。

『技能』
『クレスガード』
相手の技を受ける時、ぺラップのタイプを『クレッフィ』のものに変更する事が出来る。

ぺラップ大好きすぎて合体(文字通り)した。なおまだ未完成。
バトルに対する嗅覚が完全に天才のそれ。『ペラッフィ』の本能担当。
一応バトルの時はペラップ側のステータス参照になります。
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